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[どうやら、階段の下でまた少し寝入っていたらしい。
―――気を失った、というべきかもしれないが。
なんとか起き上がり、中庭に出ようとした。
ふら、と壁に何度もぶつかり、右腕の包帯が解けていく。
これはまずい、と自室に戻ることを考えたが、階段を上ることがどうしても出来なくて、手近なベットを、と考えた結果、医務室に辿り着く]
[ベッドの下に伸びた包帯もそのままに、
ベッドにもぐりこめば、そのまま目を閉じた。
夢に、落ちていく。
薔薇の香りが滲む、夢がやってくる**]
メモを貼った。
メモを貼った。
[
もしも、この口が動いたなら。
どんな言葉を返したろう。
苦痛を伴う行為をされ、辱められた。
否、くちづけを求め衣服を脱がされただけでも怒りと恐怖で拒絶するものも少なくないというのに、笑み浮かべ眠っているのだから、奇異に映ってもおかしくない。
ただ、それでもこの身は、満たされていた。]
[手を伸ばしたかった。求められたかった。
欲望のままに貪り、けれど甘やかに寄り添いたかった。
だからこれでいいのだと。
これが、いいのだと。
言ったのかもしれない。
言わずに笑い誤魔化すだけだったかもしれない。
揺るがないのは、モリス・レーヴェンは甘美な幸福の中にいたことだけだ。
それがたとえ、薔薇の魅せる夢だったとしても*]
メモを貼った。
【人】 本屋 ベネット―東屋― (72) 2018/05/21(Mon) 22時頃 |
[眠るモリスには、誰の声も届かない。
届かないけれど、突然の笑い声
夢の中、手回しのオルゴールがゆっくりと回るように、辿々しいメロディが流れた。]
[
Sento un affetto Pien di desir,
Ch'ora è diletto, Ch'ora è martir.
Gelo e poi sento L'alma avvampar,
E in un momento Torno a gelar.
]
[
Voi che sapete Che cosa è amor,
Donne vedete S'io l'ho nel cor.
]
【人】 本屋 ベネット―東屋― (80) 2018/05/21(Mon) 22時頃 |
【人】 本屋 ベネット[明けない夜。 (81) 2018/05/21(Mon) 22時頃 |
― 医務室 ―
[いつもより上等なスプリング。
静寂に満ちた、けれど誰かを感じる白い部屋。
薔薇の香り。
覚えていない夢を辿って、
床にのびた包帯の先を目で追った]
【人】 本屋 ベネット[少し爪の伸びた指先が、飴色を押し込む。 (82) 2018/05/21(Mon) 22時頃 |
[包帯を拾い上げる。
適当に腕に巻き付けて、留めるものを探そうと見渡して]
………あ
[さっき感じた誰かの気配。
ベッドに眠るモリスの姿を、見つめた。
熱が出ているのかもしれない。
何故ここにいるのだろう、とか
大丈夫だろうか、とかそういうんじゃなくて、
彼を見て、咄嗟に考えたのは]
先輩は、 何が好きなんだろ……
まだ、夢の中にいるのかもしれない
メモを貼った。
[手の力が緩み、包帯がまた床に伸びる。
左手では拾い上げることも上手くいかない。
不器用な指先は、包帯をつかみ損ねる]
あ、 やべ
[左手だから、だけじゃない。
滲む涙を拭って、見られていないか、とモリスの方を見やるけど、
起きる様子がなければ、それは寂しさに変わる]
【人】 本屋 ベネット…。 (93) 2018/05/21(Mon) 22時半頃 |
【人】 本屋 ベネット[深く、深く、息を吐く。 (94) 2018/05/21(Mon) 22時半頃 |
[小さな呟き
一度はっとしたような顔になって、少しの間のあとシャツの胸元きゅっと握って、眉を下げた情けない笑顔を俯いて隠して、考えたことなかったなと溜息をつくかもしれない。
それから改めて、好きなものを考えたろう。
考えたことがないのは本当だった。思い浮かぶのは食堂にある珈琲のクッキーだとか、フェルゼと紅茶を飲む時間だとか、即物的なものばかりで苦笑したに違いない。]
【人】 本屋 ベネット[ーCC GG AA G FF EE DD Cー (95) 2018/05/21(Mon) 22時半頃 |
[けれど、夢は醒めず。
後輩に寂しさを与えていることも知らずに、夢に囚われたまま。]
メモを貼った。
― 春の思い出 ―
[そういえば、―――モリスは覚えているだろうか。
あれは、入学式の日だったか。
新生活への高揚感なんて、この学校ではわずかなもの。
ただの、新入生じゃない。
自分以外ではほとんど出来上がってるコミュニティへの参入だ。
明るく振舞うことに疲れて、中庭の隅。
俯きがちに歩いている時、何かを見つけて拾い上げた。
小さな木彫りの意匠。
可愛らしい、と普段思うことのない表現が頭に浮かんだ。
それから誰が拾ったのだろう、と見渡して――]
[辿る思い出は、薔薇の香りに覆い隠される。
不器用ながら留めた包帯をシーツにもぐりこませた。
静寂に満ちた、けれど誰かを感じる白い部屋。
誰か、が一人なら。
それはただの寂しさであって疎外感ではない。
だから、大丈夫。
喉が渇いていたけれど、抗えない眠気に、夢に落ちていく]
メモを貼った。
【人】 本屋 ベネット[一日休むと、取り戻すのに三日。 (122) 2018/05/22(Tue) 00時半頃 |
――春の日に――
[続く夢は霞んで、とある一日の出来事をぼんやりとリフレインする。
鳥の羽が小さな珠を抱くような細工をひとつ、中庭に落とした。
小さな不運だった。手が滑って、風が吹いて。
いつも通り執着などないはずで、このまま捨て置くことも考えたが、何故だかその日は拾いに行こうと思って、庭で彼に出会った。
あの頃は名前も知らず、どころか顔を合わせるのすら数えるほどでしかなくて、呼びかけることも出来ずに一度、おろ、と戸惑って。]
――欲しいなら、あげるよ。
[そんなふうに、きっと的はずれなことを言ったんだったか*]
[すぐ傍で眠りに落ちた誰かが、その相手と知るすべはない。
ない、けれど、或いは。
夢の中ならば、薔薇がいたずらに邂逅を許すやも、しれず――**]
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