276 ─五月、薔薇の木の下で。
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―食堂―
[足が近づけば近づくほど、中から聞こえてくる声は大きくなる。 何だかフォルテがついているような声>>0:414に威勢がいいと思う反面、声の主を誰だったか思い出す。 昔まだ中庭に出没していたころ、四阿にもスケッチブックを片手に生徒を追いかける声が遠くから届いていた。 自分は今のところ世話になったことはないが、なぜだろう、少し入りづらい気持ちもあって]
…いやいや。
[壜の存在を確認して思い直す。 遠慮はなしだ、何せ銅貨一枚がかかっている。 にょっきり、とは言わないがそこそこはみ出る様な体の傾斜で食堂の中を覗き込む。 さっさと壜を返却して銅貨一枚にありつける状況なのかと見定めるつもりで]
(5) 2018/05/17(Thu) 00時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2018/05/17(Thu) 00時半頃
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ひぇ。
[思わず小さく声を上げてしまった。 こちらに気づいたらしいその下級生>>15の顔が歪んで見えたような、気がして。 別に自分が彼をそんな顔にしたわけではないので完全にそれはこちらの一方的な被害妄想に過ぎないのだが]
…お、邪魔、さま。
[一歩、二歩、三歩。 出来の悪いゼンマイ仕掛けのような足どりで足を踏み入れ、そそくさと壜の返却を済ませて銅貨を一枚手に入れた]
(25) 2018/05/17(Thu) 01時頃
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[そう、これが目的で、あとは調理室に向かえばいい。 フェルゼとの競争にはもう不戦敗を決め込むしかなかったが多分許してくれる、と信じてはいる。 せめて寮の部屋に隠してあるとっておきのチョコレートを差し出すべきだろうかと、調理室に向かう前に寮へと寄り道することにした。
善は急げ、素早く、だ。 多少の気まずさはきっと後々解消すればいいと信じて*]
(26) 2018/05/17(Thu) 01時頃
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―寮―
[自分部屋に戻ればベッドの半分以上を占めるキャンバスをまず部屋の外へ出した。 あの侵入者はなんてものを置いていったのかと、ぶつぶつ言いながら作業をしたことまでは覚えている。 そう、なんだかちょっとその作業が疲れてしまって、調理室へ行く前に一休みしようとそのままベッドに倒れ込んで、瞼が落ちて
──それから、自分はどうしたんだっけ?]
(31) 2018/05/17(Thu) 01時頃
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[柔らかいその場所に倒れ込むとき、確かに金具の音を聞いた。 ポケットからではなくて、シャツの襟の下。 赤い細い皮に金具の付いたそれは、チョーカーと呼ぶにはいささか刺激が強すぎる見た目だと自覚があった。
同室にも、誰にも、見せたことのない赤。 まるで飼われているかのようにも見える赤。
誰の掌の中に首輪に繋がる鎖があるのだろう? 月は、今はまだ光を鎖に綯うことはしないようだが何れは姿を示すだろう。 何せ、まだ瞼は閉じたままだから**]
(33) 2018/05/17(Thu) 01時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2018/05/17(Thu) 01時頃
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ー寮ー
…んー…
[花の香りがする。 ベッドの上、ゆらゆらと浮上するのは意識。 窓の外にお月様、まあるく。 今は何時なのだろう。 いつから自分は眠っていたのだろう。 少なくとも今、隣のベッドには生徒会長の姿はない。 こちらに気を使って談話室かどこかでまた持ち帰り作業をやっているのかと首を捻ると喉元で微かに金属音が鳴った。 赤い革の由来をベネットはよく知らない。 ただ、入学したときに母につけられたものだ]
(117) 2018/05/17(Thu) 23時頃
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[母と、”あの子”の運命を繋がなかったその色で縛られている皮肉。 理解できない。理解しえない。 赤い絲は親友だった少女たちの小指を繋がなかったというのに。
ずっと一緒だと約束を交わした彼女が、彼女の運命を連れてきたその時に女は望んだのだ。 自分の手を離した彼女を見返すことを。 真実など知らなかったが、それでも構わなかった。 神なんて不公平なものだと、女は知っていた。
だが、その望みも今となっては潰えようとしている。 十数年かけて育てた復讐の苗は、音楽の道を捨てようとしているのだから]
(119) 2018/05/17(Thu) 23時頃
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[はく、と欠伸を一つ咬み殺す。 フェルゼに不戦敗を詫びるためのチョコレートを引っ張り出したのはベッドのサイドボードの奥から。 睡眠欲が満たされたら腹が減る。
そうだ、パン───もとい、調理室へ行くんだった。 緩慢にベッドから降りると足元でペタリと音がする。 いつ靴を脱いだのだろう?
まあ、今はいいか。そんな気分]
(122) 2018/05/17(Thu) 23時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2018/05/17(Thu) 23時頃
ベネットは、フェルゼが調理室にいないとは知らない。
2018/05/17(Thu) 23時半頃
ベネットは、メアリーヒルズと一緒にいるとも知らない。
2018/05/17(Thu) 23時半頃
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ー廊下ー
[廊下を進む、ペタペタという気の抜けた音。 部屋に戻ったら足を洗おうとは決めたが、靴がないのもこれはこれでなかなか楽しい。 普段は靴底に遮られて知りえない床板の軋む感触も、一部タイルが埋め込まれた床のひんやりとして滑らかな感触も、素足だからこそわかるというもの。 調理室に向かう道中、時折満月へと視線をやるたびにどこか花の香が際立つように思えた。 今自分が探しているのは、小麦の匂いなのだけれど花の香りもまあ悪くはない]
…?
[進んでいくうちに見つけたもの>>114。 魚の一片は誰の落とし物か。 手には取らず、しゃがんで、その色をじっと見降ろすだけ]
(130) 2018/05/17(Thu) 23時半頃
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[栞の魚は小さな床の池の上。 何故ここにいるのだろう。 誰かが落としていったと考えるのが順当だが、その一方でなんだか迷い語を見つけてしまった心持ちだ。 じい、とそれを見下ろすこと暫し、小さな世界の落とし主を探すのも悪くはないと拾い上げたところに聞こえた声>>133に視線を向ける。 花の香り、小麦の香り]
先輩。
[ひらひらと、栞の魚を宙に緩やかに躍らせればとある東の五月の風景に少し似て]
これくらいじゃ平気でしょ。
(136) 2018/05/18(Fri) 00時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2018/05/18(Fri) 00時頃
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五月病?なにそれ。 体が冷えるとなるわけ?
[はあ、と生ぬるい相槌。 何せいつも通りの、あんまり表情がよくわからない顔>>142で仰るものだからただの季節性の怠慢もなんだかすごい病気のように聞こえてくる。 紙の魚をどこに保護したものかと迷いながら]
目的地?調理室。 フェルゼと落ち合うって話してて。 先輩がまたパン焼いてたらごしょーばん、に、預かりたいなーと、ですね。
[胃袋にはどんな時でも素直。 小麦の匂いと花の匂いが混じる不思議に首を捻りつつ]
(154) 2018/05/18(Fri) 00時頃
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[珍しい反応>>162だと率直に思う。 いつもはこちらの言葉に対して殆ど微動だにしない相手だけに、指が耳裏をなぞるのをしげしげとみる視線]
夜食。 んー…まあ、そんなとこ。 ありがとうございまっす!
[そうだ、今は夜だった。 施されるパン・オ・レザン。 無造作に寄越されるも聖餐であるそれを戴くこちらは恭しく、受け取れば鼻をくすぐる香ばしさと甘さの入り混じる香りに表情がわかりやすく緩む。 これは間違いなく今回も美味しい]
(170) 2018/05/18(Fri) 01時頃
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ん? あー、持ち主知ってるならお願いします。 迷子じゃかわいそうだもんね。
[ひらひら泳ぐ紙の魚は聖餐と引き換えに。 ふと、聖書を持ち歩く男の手に渡る魚を覚えば頭の奥に過るイクテュス。 栞とケヴィンの間、泳ぐのはこちらの視線。 結局は、それを差し出す。 受け取った二本を抱えなおしながら]
…先輩のその調子だと、きっとフェルゼは調理室にはいないよね。
[そうでなければ自分に二本渡すとは思えなかったので]
(171) 2018/05/18(Fri) 01時頃
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[そう、迷子はかわいそうなのだ。 魚も、親からはぐれた子供も、迷える子羊も。 パンを抱えなおしたとき、ごく小さく響いた金属の音]
(174) 2018/05/18(Fri) 01時頃
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そっかー、じゃあやっぱりちょっと探すしかないか。
[まあ、そこまで行動範囲が広くない相手を探すこと自体はそこまで難しくはないだろうと高を括る。 かなりの確率でいる場所といえば、自分がすっかり寄り付かなくなった四阿だから。 久しぶりに満月の下でピクニックと洒落こむのも悪くはないだろうし]
毎度ごちそーさまです。 また新作作ったら何卒。何卒。
[パンのお恵みを。 栞の魚をあずけた男>>191を拝み倒してから裸足であることもわすれて進行方向は中庭へ踏み出せば青芝の力強さが足の裏をくすぐった**]
(194) 2018/05/18(Fri) 02時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2018/05/18(Fri) 02時頃
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―中庭―
[月の明かりが落ちてくる。 煌々と冴える明かりも好きだが、どちらかといえばふんわりとその光が仄かに霞を描く朧月夜のほうが好きだ。 冴えすぎる光は、誰かの秘密を暴いてしまいそうで。 さくさくと芝を踏む音を立てて、足は進む。
ふと、誰か>>205に名前を呼ばれた気がして視線が、動きが、動きを止める]
(217) 2018/05/18(Fri) 12時頃
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なあ、フェルゼ知らないか?
[抱えた聖餐は二本。 それからチョコレートの包みがひとつ。 幾ら自分たちがそこそこの食べ盛りとはいえ、そこまで頬袋も胃袋も大きくはない一人が全部食べるには多すぎる分量。 見当をつけても外れることはあるから、少しでも引き当てる確率を上げておくに越したことはない。
モリスと自分の距離は開いたまま。 結局は自分の勘に頼るしかないのだろうと手を振って東屋へむかう。 勘というよりは、脈、かも知れないが]
(218) 2018/05/18(Fri) 12時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2018/05/18(Fri) 12時頃
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ー東屋ー
[さらに足をまだ進める。 月のうつくしいよるに薔薇の垣根を越えるのに抱えているのはパンとチョコ。 風情なんてものはなく、ただの食い意地が露呈しているだけ。
マーク>>166は、まだそこにいただろうか。 今年の初め、この年齢の割に背の高い後輩を、最初は編入生だと思っていた。 まさか去年までの中庭の眠り姫だなんて最初は一致しなくて。 彼のそのスタイルもあって、まあこちらからは知っているという程度。 学年が二つ違えば、意図的に関わりを持たねば入ってくる噂なんて風のそれ。
言葉を交わす余裕が彼にあるなら、やはりフェルゼの所在を知っているかを尋ねるだけなのだけど*]
(219) 2018/05/18(Fri) 12時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2018/05/18(Fri) 13時頃
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ー東屋の側ー
…ん? 俺じゃないほうがよかった?
[誰かと待ち合わせでもしていたのだろうか。 マーク>>236の言葉に少し首を捻る。 まあ、こんな月の明るい夜ならば寝台を抜け出して誰かと遊びまわりたくもなるだろう。 高々二つとはいえ、有り余る若さはきっと彼のほうが多いと勝手に推測する]
ああ、やっぱりあそこにいるのか。 解りやす。
[扉のあるほうを見る。 まさか、尋ね人以外にも人がいるとは思ってもいないが]
(276) 2018/05/18(Fri) 22時頃
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…凹む?フェルゼが? おっけ、わかった。 なんかあったら伝えとくけど?
[それをマーク>>237は自分のせいだという。 どういうことなのか、今来たばかりの自分は首を捻ることしかできなくて。 ただ、目の前の後輩もどこか自分には凹んで見えたから、彼が何か言い残すことがあるならそれを預かるつもり。 本人同士、面と向かっては言いづらいこともあるだろう。 その背中を見送りながら、ぽつり]
…ま、俺の言う事じゃないか。
(277) 2018/05/18(Fri) 22時頃
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[音楽を手放そうとしている理由を言わないせいで、何処か自分たちの関係が拗れていることくらい自覚している。
月を見上げればやはりそこには煌々とした光。 いっそ曝け出したほうが楽なのかもしれないと、惑う思考は薔薇の香りのせいなのか。 とめた足を再び動かし歩きだせば、再び芝を踏むさくりとした音]
(278) 2018/05/18(Fri) 22時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2018/05/18(Fri) 22時頃
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ー絲ー
[愛していた。 それを若さ故の感情だと、過ちだったと、少女が言おうと。 赤い絲を信じていた。 愛していたから、愛しているから。 そんな言葉>>144を聞きたくなかった。
彼女が永遠なんてなかったというのなら、自分が永遠にすればいい。 大切なものを、ひとつ、またひとつ、盗りあげてやればいい。 優しい彼女はきっと苦しむ。
そうやって、苦しんで、もがいて、嘆いて、自分を思えばいい。 狂った愉悦は、ほんの少しだけ感情を満たした]
(304) 2018/05/18(Fri) 23時半頃
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[愛しいから、許さない。 苦しいからから、憎み続ける。 この、黒い絲が永遠になるまで*]
(306) 2018/05/18(Fri) 23時半頃
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ベネットは、オスカーが東屋から出てきたのを見つけてあからさまに嫌そうな顔。
2018/05/18(Fri) 23時半頃
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ー東屋ー
[マークから預かった伝言>>289に作る指のサインは了解。 自分でよかった、という言葉の意味に首を捻る。 特別彼に何か恩を売った感覚はないし、何がどう作用して彼の中でよかったという判断になったのかもベネットには理解しえない。 ここで確実になった尋ね人の居場所へと向けた足は内側から扉が開いたことに聊か驚いた。 中から出てくるのはてっきり淡い色の同級生だと思っていたので]
(311) 2018/05/19(Sat) 00時頃
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……何でお前がいるんだよ。
[おっと、うっかり声に出してしまった。 フェルゼがそこにいるとしか聞いていなかったので、オスカー>>273が出てきたのを見て出てきた言葉を包み隠す余裕がない。 しかも相変わらずの顔で笑うものだから、こちらからすればさらに感じが悪い。 だから、こちらから引き留めるなんてことはもちろんしなかった]
(312) 2018/05/19(Sat) 00時頃
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