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[目の前が暗くなる…その前。
真っ赤な月の中に いつかの大きな獣の姿が目に映った]
ああ…お前か、逃した餌を待ってたってわけか
[首筋に残された赤い痕]
欲しいならもっていけば…
[やれやれ…という風に溜息をついた]
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―自宅?―
[とんとんとん、シチューを作っている。
玉ねぎと鶏肉だけいためて、お湯を入れて、ジャガイモにんじんを放り込んで、ゆだった後、お湯と同じくらいの牛乳を入れて、また煮込んで。市販のルーを入れて。また、{3}時間ほど煮込んで。ナンプラーと、ハーブと、塩コショウ。後から思いついてベーコンとマッシュルームも加えて。]
んー。こんなものですかね。
[味見の後、コンロを消して。満足して、そのまま寝かせる。]
シチュー作ったんですけど、食べます?
[なぜか真っ先にホリーにメールをして、その日は眠った。*]
―夢のつづき―
……解ってはいたけど、ぼろぼろだな。
徹夜で走り回ってるんだし、仕方ないけど。
[座り込む人影の隣、窓に背を預けて立っていた]
皆で夜明けを見る為に。
あと少しだけ、待ってても良いよね。
[言葉を伝えてしまえば重圧にもなり得るとは思っていた。
欠け落ちて行く予感もしている]
ちゃんとメアリーとズリエルを連れて来て。
先輩でしょ、確りしなよ?
[自分の目が覚めるまでか、彼が目を覚ますまで、佇む]
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お母…さん…ごめんなさい。ごめんなさい
[パチリ目が覚める。]
あ…あれ?私、夢を見てた?
何の夢だろう、なんだかすごく悲しくて…
[目からぽろりと涙がひとすじ零れた]
あれっ!夢で泣いたりしてる…びっくり
おかさーん、もっと早く起こしてくれたらよかったのに
あっお弁当ありがとう!
うちの学校の学食も美味しいけど、わたしやっぱりお母さんの作ってくれるお弁当が一番好きだよ。
[そういってきゅっと腕にしがみつく]
えっ、急に何?って…
うーんなんだか急に甘えたくなったんだよ
[少しだけ照れて]
今日は軽音の音あわせだから…少しだけ遅くなるから心配しないでね、いってきます。
[母親に手を振って自転車に乗り学校へ]
─伝説の樹─
[『それ』を、いつ感じたのかは、はっきりしない。
最初に走ったのは、痺れ。
左腕が、痛む]
……っ……!
[息が詰まる。
身体が熱い、気がした。
特に熱が集中しているのは、左腕]
ちょ、なに……なん、なん、だよ?
[零れたのは、掠れた声。
熱はどんどん高まる。
身体の異変にも、気づく事はできなくて。
弾け飛びそうな左腕を押さえつけたまま──意識を手放した]
― 放送室 ―
[音を作っている。何故今そこまで作ろうと思うのだろうか、自分でもわからないくらい急いて作っている。
思い出されるのは、自室の引き出しの奥にしまった、初めて人に聞かせられると思った一つの曲。どのような形でも世に出したいと思った曲。
なので、生前に書くような、簡単な遺書まで添えてある。]
[意識が、おちる。
知っている感覚。
これを感じたのは、いつだったか。
覚えている。
何かを追いかけて。
事故にあった時に。
その時は、どうやって。
戻ってきたんだっけ?]
[意識があるのかないのか、わからない状態。
周りの全ては混濁して。
全てがとけてゆく直前に。
声が、一つ──滑りこんだ
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[笑い声が聞こえて、月を背にした狼を見上げる。
歯噛みして、……手は届く訳がなかった。
あと何人が、欠けてしまうんだろう。
現実とは違う現在を想像してみる。
皆が居て何事もなく笑って過ごせる時間が欲しかった]
……悔しいな。
こんなつもりじゃなかった筈なのに、
少しも助けにならないままだ。
─屋上─
……っうあっぢい!
[戻る感覚。
訪れる目覚め。
最初に感じたのは、あつさ。
叫ぶような声を上げて、がば、と身体を起こしたなら]
……あー……あれ?
[ひとつ、ふたつ。
瞬き。
目に入るのは、見知った場所──屋上]
……なんでオレ、こんな暑いとこで寝てるし。
[日差しの降り注ぐ、屋上。
普通に考えて、昼寝なんかしない。はず]
っとー……太陽、撮りに来てたんだっけ……?
違うな、確か……彩雲が出たからって、聞いて……。
[見上げた空に漂うのは、ごく当たり前の、空。
違ったっけ? と首を傾げるものの]
……つか、ここにいたら死ねるし……って、あ、そういや、相棒っ!
[とっさに探すのは、愛機。
カメラバッグは、日の当たらない場所にひっそりと置かれていて]
あ……無事か。
[いつも当たり前に持っているはずのものなのに、何故か。
それがそこにある事に、妙に安心していた**]
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[幻が消え記憶が薄れるまで、耳に残る静かで柔らかい音色は、
メリークリスマス・ミスターロレンス。
あの放送部員が流してくれていた曲**]
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[リクエストがあれば、誰かがまた来れば、そちらに意識が向くか。それまでは暫くは、篭って聞くかもしれない。
そういえば、先輩達や同級生のコスプレよかったなあと、何処かで思った。一人、同情した先輩も居たと思う。]
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[それと、ソフィアの思い人は?なんて話もあったっけと振り返れば、相手は結構居そう。昼下がりの食事風景で、井戸端会議的にネタにしてもいいなと考えてみる。
人の恋路話は結構楽しい、なんて思うけど、事の結果が見られるのだろうかと不安もあるのだが。]**
― 生徒会室・窓辺 ―
あっ
[ぽとり、インクみたいに鮮やかな着色がされたアイスが、落ちていく。
ぼうっとしていたのか、手はすっかり緑に染まっている]
最後のいっこだったのに…… うー、もっかい買って来よっかな。
[地面に出来たちいさな染みを、惜しげに見つめ。
手をぺろと舐めて歩き出す。
ただし、階下でなく、屋上へと]
せんぱーい、飲み物とか要ったら…… … 、
[ついでに買ってきますよ、と誰に言おうとしたんだろう。
誰であっても、今其処に見える人影
年上扱いに似ては、いても]
…… おはよ?
[カメラを構えるでもなく、座り込んでいる姿に。
昼寝でもしてたんだろうかと、不思議そうにとりあえず、挨拶。
そうして、たぶん。
熱中症になるよ、とか、そんな何でもない、きっといつもの言葉を続けようとしたんだけど]
…… っ
[詰まった喉は声を出さず。代わりのように、ぼろ、と涙が零れた。
自分でも、わけが分からない。
テッドに会うのなんて、それこそ毎日のようなものだし、今更何だっていうんだろう。
それは、頑張って分類するなら、ほっとした に近かったかもしれないけど。
それより、ぼろぼろと止まってくれない事のほうが、問題だった]
ぁ…… と、
[何でもない、とか、ごめん、とか。
適当な言葉を口にしようとすれば、何だかもっと、おかしなことを口走ってしまいそうで。
結局、香料と着色料まみれの手で、自分の口をおさえ。
なんでもない、と言う代わりにぶんぶん手を振って、ぱたぱた走っていくことしか出来なかった]
→ 放送室 ―
…… さいっ、 …!
[こんこんこここん。
慌しく叩いたのは、職員室の横の戸。
涙は止まらないし、手はべたべたのままだし、そんな様相のクラスメートを入れたいと思ったかは別として、扉が開けば飛び込み]
……なんか、理不尽じゃない曲。
[理不尽な要求をして、落ち着くまで隅っこで籠もるつもりのよう*]
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― 精神世界 ―
[満身創痍のフィリップ、別れを告げるメアリー、三度側に居る者を失ったズリエル。
最早舞台を降りた、否、帰してもらえた自分に出来る事は何もなくて、ただ彼らを見守る事しか出来ない]
ズリエルさん、あなたが、悪い訳じゃないから――
だから、これ以上、自分を責めないでね。
[けれど、命の実は果たして間に合うのだろうか、間に合って欲しいとただ、祈り、青い月を見上げる]
今は、ほんの少しだけ与えられた休息の時。
もう、3人だけになってしまった、きっとこれが最後のチャンスだから、今はその身を休めてね。
[今ならば分かる、自分とラルフは生かして貰ったのだと言う事]
――ありがとう。
でもね、私は、もっと皆と一緒に居たかったよ。
今居る夢の中はとても心地良いけれど、それでもやっぱり仮初のものだから、どこか悲しい。
神様、どうか、皆を――
[あの赤い轟音の日に伝説の樹にお祈りしたように手を組み神に祈り、そして再び幻へと還ってゆく]
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―回想:いつかの生徒会室―
[ドレスのまま、ラルフにキャップを被せて遊んだり、
女性陣を観察して癒されつつクリームパンを食べていると]
え? ブーケ?
[ルーカスの勧め
どうやら結婚式のブーケ云々については無知だったらしい]
お揃いも面白いかなって。ふふ。
[サイモンへのバニー提案は、思ったよりも不評だった。
アイリス
目を逸らすソフィア
箒もオプションに加わったラルフをまた観察している間に、
紙で折られた綺麗なブーケが出来ていて
なんで会長なんだろ……。
[ブーケを渡されるルーカスを見つめながら、ぽつり。
なぜかここで立ち上がりそこへ向かうのも行きにくくなり、
アイリス
ルーカス会長の趣味でした。でいいと思うよー。
ふふ。アイリスとラルフくんのそれは、見たかったな。
まあ将来見れるだろうけど。
[大福を幸せそうに頬張るソフィア
とりっくおあとりーとー。
…………え? ……これ、わたし?
[目の前でいきなり膝まづかれ
大仰にブーケを差し出されるが、その時心の中で巡ったのは、
これを受け取って良いのは自分じゃないような、そんな気持ち]
まあ、この格好だし。ね。
[じわりと滲み出す何かを抑え、勢いよく立ち上がる。
目を伏せ、そうしてどこかぎこちない仕草で手を伸ばし、
何だか奪うような強引さで取ってしまった気がした]
ふふ。ありがと、会長。
[それでも、最後はいつも通りの笑みで。
ふと過ぎる、切なげな色が浮かんでしまわぬように]
れんあいってふくざつなんだねー。
[その後のアイリスとソフィアを中心とした
恋愛談義には、聞きつつも生返事を繰り返していた]
[ソフィアのスリットには気付いていたが、
先生がくる気もしない上に観察中なのでスルーして。
色気抜群になるはずのそれは、健康的な可愛らしさ]
ふふ。
ソフィアちゃんの言う物好きさんは、沢山いそう。
恋じゃないだろうけど、わたしもそのひとり。
[それ以外、恋の話にはなにも言わずに。
ルーカスの掌に描かれるハートを、ふと見遣って。
自分の掌も見つめて小さく首を傾げただけ。
靴を脱ぎ、ソファに膝を抱えて座り、ブーケを見つめた]
―――……?
[まわりの声も音も遠く膜を通したような現実感。
その中に漂いながら、聞こえるのはぐずる赤ん坊の泣き声と、
誰かが眠る前に呟いたような、掠れた母を呼ぶ声
[そのアルトの声は、確かにどこかで聞いたのに。
思い出せないまま、長い間呼んでいないそれを、呟いた]
おかあ、さん……。
[窓を眺めながら何事かを思い出すようにして、
でもすぐに忘れようというように、一度強く目を瞑った。
誰かに何かを問われても、何でもないと微笑むだけだろう。
ふとどこかからまた、アルトの歌声が響いた気がした]
――さて、投げるよー!
[全てを壊すように、大きな声と共に立ち上がり。
ブーケを天に向けて勢いよく、放った。
それは誰の手に渡ったのだろう。もしかしたら天井に当たるか。
幻想のような幸せな一日は、こうして終わりを告げて*]
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[真っ暗な屋上で、ずっと、ずっと]
[ひたすらに誰かを待ち続けて]
[頭上には星も、月も、まだ見えない――]
[ドアに鍵はかかっていない。放送室は自分の私室ではないので、何かを仕掛ける時にしかかけるつもりはなかった。
激しいノックと共に激しく開けられたドア。転がり込むように入ってきたクラスメート。
かおがぐじぐじになっている姿に、自分が重なった。そういうことなんて無かったはずなのに。]
[要求のほーが理不尽じゃね?と思いつつ、一度流した曲を止める。アンインスト…知り合いがたまに流せと言ったアニメで使われた曲だったか。]
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