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[ 帰って来たのだと。
改築された校舎を視認するまでもなく実感する。
未知の領域に足に踏み入れたような、
背筋にかかる重苦しい感覚がなくなっていたから。
自分がいたのは、グラウンドの中央。
先程まで雪合戦で盛り上がっていたはずの場所。
そんな痕跡もいっさい消え失せて、
夕陽に照らされた綺麗な雪原が広がっていた。 ]
このまま、雪合戦の練習でもいいけど。
[ 一緒に戻ってきたはずのフェルゼは無事だろうか。
ぐるり周囲を見渡しながら、呟いて。
─── まずは濡れた服を着替えて、それから。 ]
あー、こんなところにいた。
探しましたよ、全く。
ほらほら、みんなが帰ってくる前に。
お風呂に入って髭でも剃ってさっぱりして下さいよ。
でんと構えいればいいんですよ。
貴方は私達の顧問なんだから。
[ どこぞの部屋にうずくまっていた愛すべき肉塊。
…… もといヨアヒム先生。
にこにこ笑いながら、首根っこ捕まえ引きずって、
そのまま温泉に放り込んだ。 ]
[ それから厨房をチラリと覗く。
丁寧に下拵えされた材料達。
ここまで用意されていたら、
自分一人でも完成させられそうだけれど。 ]
みんなで作った方が、楽しいからね。
きっと。
[ ここではないどこかで。
未だ健闘しているだろう部員達。
彼らの顔を、一人一人思い浮かべながら。 ]
…… がんばれ。
[ その手助けができないのは歯痒いけれど。
君達ならきっと大丈夫だと。
暇を持て余した三年生は、
再び雪のグラウンドに降り立つと。 ]
消える魔球とか投げてみたいけど、
当たってもノーカウントなのかな?
[ 一人首を傾げながら。負けず嫌いの王子様は、
再戦に備えて雪合戦の練習に励んでいた。 ]**
戻ってきたのか。
[ ーーー戻ってこれたのか……?
吹雪に包まれて白い世界になった。
そして次に目を開けたらそこはどうやら校舎前にいた。
戻ってきたと確信するには情報が足りない。
あの時は吹雪いていた。
今は綺麗な夕焼けだ。
振り返ると見え覚えのある合宿所。
手にあるソレらを見て。
夢ではなかったと戻る前のことを思い出し、
はーー。と息をつく。
ーーーー戻ってきたんだ。 ]
前はあんな学校だったんだね。
みんなが無事に戻れますように。
[ 校舎の中に入り
壁に手を当てて改装前の先ほどまでいた学校を思う。
当時は子供達の元気な声で溢れていたんだろうな。
その様子を見ていた妖達がいてーーー。]
オスカーは戻ってきている…よね?
お風呂かな?
[ 彼女も一緒に戻ってきたはずだが
どうやら姿は見えなかった。
戻ってきた場所が違うのか。
うんそうだきっとお風呂だ。雪合戦したし。汗かいたし。
僕も入りたい。
最後の理由が一番大きいがそうとなれば行動が早かった。]
― 浴場 ―
ん、いいお湯……。
気持ちいい……ね。
[ ふ〜〜と大きく息を吐く、
チャプ……とお湯を手で掬ったり
白い湯気をのんびりと見つめて温泉を堪能する。
身体に温かさが浸透していく。
雪のように白く、滑らかな肌が
温泉でさらに磨かれたようだ。]
[ そうして静かな時間が過ぎた頃
ヨアヒム先生がやってきた
まさかオスカーに連れてこられたとは思いもせず
突然やってきた先生に驚き。]
先生の…えっち。
[ 赤く火照った躰を隠すように手で隠し
ー(湯船に浸かったままであったが)ー
目を伏せ、恥ずかしそうに先生を見た。]
ふふふっ、冗談ですよ先生。
お背中流しますよ。
[ ヨアヒム先生の反応を見て満足し
すぐに安心させるように先生に笑いかける。]
先生、無事で良かったです。
僕とオスカーも戻ってこれました。
もうすぐ皆も戻ってこれると思いますよ。
大丈夫です。
信じて待ちましょう。
そうだ先生、
ロビンがパウンドケーキの心配をしていましたよ。
どうしました?顔色がーーー…
僕にこっそり教えてください。
うん、うん、半分食べてしまった…。なるほど。
大丈夫ですよ先生。
半分残してくれてありがとうございます。
[ 半分残ってたよ……!
そうロビンに心の中で呼びかけた。]
[ ほかほかぽかぽか
浴場を後にし心も体もほかほかだ。]
オスカーは……
[ 浴場には姿が無かったみたい。
んー、と思考を巡らせ彼女の性格なら
もしかして……。と思うところへと向かった。]
消えたらカウントされないんじゃないかな?
[ オスカーの姿を探しグラウンドへ。
またもや完全防備の格好をし
今度は赤い運動帽が無いので雪と同化するレベルの白さだ。
もしかしたら雪合戦の練習に、
そう思えたのはオスカーの性格を考えた故だ。
予想通りのその姿が見えて、
おかえり。とふんわり微笑みを向ける。
そうして呟きが聞こえたならそう返事を返して
早速練習?熱心だね。
消える魔球は相手の視界から雪玉を消すんだよ。
会得できたらすごい必殺技になるよ。
でもねオスカー。
あの時の僕に向けた君の本気、覇気があったよ。
ソレを思い出して?
あの時の君の闘志、すごくドキドキさせられたよ。
闘志を乗せた君の雪玉は鋭く重いんだ。
練習付き合うよ。
あの時の延長戦…するかい?
[ 誘うようにオスカーに微笑みかけた。**]
【人】 執事見習い ロビン[肝心の望み?を聞けば、フェルゼとオスカーを帰したのは間違いだったんじゃないかと頭を抱えて] (22) 2021/01/02(Sat) 17時頃 |
[ 背にかかる声に振り向いて。
誰もいないと錯覚し、一瞬瞳を瞬かせた後。
雪と同化した完全武装に、小さく笑う。 ]
やっぱり?
でも球が消えたら、みんな楽しんでくれるかな。
[ ただいま、と応えれば。
彼と同じ顔で微笑んで。 ]
おかえり、フェルゼ。
[ 彼も戻っていると聞いてはいたけれど。
実際に目で確かめられたなら、やはり安堵して。 ]
雪合戦。
付き合ってくれるの?
なら、喜んで。
[ 相手としては、申し分ない。
弧を描く唇を向け、フェルゼ対峙すると。
雪玉を握った拳をぎゅっと強く握りしめ
大きく肩を揺らせば、
夕陽に照らされた二人分のシルエットが、
雪のグラウンドに踊った。 ]**
うん。だたいま。
[ オスカーの笑顔は人を安心させる効力があるね。
ふふっと笑って雪を手に取り雪玉を作りながら。]
見世物としては注目の的になっちゃうね?
んん?消える球…一発芸になりそうだね…
僕もそろそろ考えておかないと……。
[ 手に持った雪玉を眺めながら
何かできないか?といつになく険しい顔で考える。]
いいね、その表情。
僕も熱くなれそうだよ。
[ 対峙するオスカーに気分が高まる。]
雪玉は自分の手の平で包み込める位の
大きさがベストだよ。
僕は少し小さめなのかな。
手に馴染む感じで固すぎると滑るから
程よく固めて…と。
この加減が難しいよ。相手に当たった時も
痛すぎない固さが大事なんだ。
でも雪玉作ってる時って楽しいよね。
[ 自分流になってしまうがそんなアドバイスを
はさみつつ]
消える魔球は理論上ではわかるんだ。
相手の視線から雪玉を消す
言うならば注意を逸らす。
ミスディレクションだね。
球を高く上げて行方を見せなくする。
ぶれる球で錯覚させる。
考えられるのはそういう方法だけれど
理論上では可能な方法だけれど
実際どんな感じになるかやってみよう。
[ そうしてオスカーに向かって雪玉を投げる。
あの時と同じように20球を投げてみる6は鋭い球が
向かっていったようだ。]
[ 消える魔球も試してみたけど
これは、なんていうか難しい。]
うーん…難しいね消える魔球。
難しいものじゃなくって
消える魔球なら投げた時に飛散して消えるくらいの
面白い方が楽しませられるかもね?
消える魔球でびっくりさせてる隙に
相手に当てる…とかね?
[ 難しいことを考えるよりインパクトがあったほうが
楽しいよね。なんてふふっと笑う。*]
うん。私もね。
みんなに驚いてもらえるの、好きだよ。
[ ふわりと笑顔をこぼせば、一瞬足を止めて。
手の中に残しておいた、最後の一球を真上に放る。
一見すれば大暴投。
ただ、僅かにカーブがかかった球は、
スピードに乗せた他の球とは違う速度で
ゆっくりと緩やかな放物線を描いた後。
そのままフェルゼの頭上に落ちる計算。 ]**
ハハハッ!凄いねオスカー。
飲み込みが早すぎて驚いたよ。
[ こちらに届く球を手で弾いたのが合図のように
四方八方から飛んでくる。鋭いその球の連打に
避ける方も全力だ。
ステップを踏むように足元からくる雪玉を避け
バック転で綺麗に回避する。アクティブに避けていくが、
それでも12球のうち8球は
当たっているので急成長に驚いた。]
【人】 執事見習い ロビン お願い事なぁ。 (42) 2021/01/02(Sat) 20時頃 |
[ 最後の一球
高く上がるその球はブレて一瞬のうちに見えなくなる
その雪玉を目で追いかけるうちに
ボフンッ。と背中から仰向けに倒れる。
その顔の横に雪玉が落ちた。]
まいった。これが消える魔球か…
オスカー、おめでとう。
[ 夕日に照らされるグラウンドで
目を丸く輝かせてオスカーの方を見上げた。**]
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