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メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
メモを貼った。
―夢の深く―
[黒い薔薇の咲く茨の中。
茨の絡まる其の身を両腕で抱くようにして蹲り。
涙も流せず震えているのは。
禁忌を犯した、遠い日の、姿。]
メモを貼った。
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…いいのかな。
[こんなに幸せで。
蔦の呪縛は解けぬまま、その身も胸の奥も痛むけれど。
痛みは忘れてはいないけれど、それ以上にあったかいものが傍らにあって。]
なんかさ、怖いんだ。
これもみんな全て夢で、目覚めたら消えてしまいそうで。
あっちからもこっちからも、苦しい胸のうちが聞こえてくるのに、
俺だけこんなコトしてていいのかな、とか…思って……
[それでも狡いから。
優しさに漬け込んで、寄りかかったままでいる。]
―医務室―
[抱え続けているのは苦しかった、けど。
打ち明けて、少し軽くなった心。
眠りに捕らわれた寝顔は、穏やかだった。]
メモを貼った。
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[医務室で眠り続ける姿は、いまだ呪縛の蔦模様から血を滲ませたまま。
けれど、その色はどす黒く変色した鬱血の色から、少しづつ変わり始めていた。
包帯を巻く拙くも優しい手に、僅かに綻んだ唇から吐息が零れて、
苦痛に寄せられていた眉は、先程よりは少しだけ弛緩して見えたかもしれない。]
俺は、ずっと先輩の側にいますよ。
いままでも、これからも。
先輩が、全て負う必要は無いと思います。
[撫でる手はゆっくりと動かしたまま。
その身体が離れるまで、動くつもりは無くて]
―回想・自室―
[根元から先端へ、舌を這わせる。
口を開いて深くまで咥え込むと、喉の奥で締めつける様に。]
……ん、ぐ……ッ、ふ……
[鼻にかかった吐息を漏らしながら、薄く目を開く。
見上げるように、両手で顔を覆うその様を伺い。
かりかりと、縁を引っ掻く様に動かしていた指先は、とその窄まりの中心をとん、とん、と焦らすように突く。
一度、テオドールの雄から口を離すと、人さし指に自分の唾液を絡ませて、男を知らないその後孔に、指を埋めていく。
丹念に其処を解し、テオドールの口から甘い声が漏れるのを聞けば、其処から指を抜き、昂ぶった自身の先を宛がった。]
[高く、甘い声で名前を呼ばれる度に、世界は、ぐらりと傾ぐ。
抱いているのは誰だったか。
此処に居るのは何時の自分で。
自分の年齢も。 此処が何処だったかも。
ぐらり、ぐらり、揺らぐ。]
[此処は寮の自室だと] [此処は実家の自室だと]
[抱いているのは後輩だと] [抱いているのは実妹だと]
[囁くのは、惑わすのは、誰の声か。]
[テオドールの中に果てると同時。
心に、びしりと大きく罅が入る。
その隙間に蔓を伸ばすのは白い薔薇か、黒い薔薇か。
わからないまま、心が、囚われていく。]
……ぁ、……は、ぁ……ぁ……
[焦点の定まらない青磁が、自分の上で動くその姿を、ぼんやりと見ていた。
薔薇の香りで痛む頭は霞がかった様に上手く動いてくれなくて。
何度果てたかすらも思い出せなくて。
だんだんと体の力が抜けていく。]
[瞼が、重い。]
「ごめんなさい。」
[音なく呟く唇。]
「あいしてる。」
[声なく動く唇。]
「これでいいんだ、ぜんぶ」
[どろり、濁った青磁が薄く、瞬く。]
[眠る様に瞼を伏せて―――]
―夢の中―
わ〜……
[夢の中、どこまでも続く茨の中。
薔薇が咲いているのが見える。体が何だか軽くて、楽だ。だから多分、夢なのだろうと思う。
蔦は腕に巻きついたままだった。
薔薇の園からは逃れられないらしい。けれど、ある程度の自由はきくようで]
あ〜…………
告白しちゃった……………
[その事実だけで、頭がぼうっとしている。]
『――― おやすみなさい**』
よりにもよってイアンの前で告白するし……
しかも、そのタイミングで寝たよね〜、俺…
俺、寝てるんだよね〜……
[夢の中で夢だとわかる瞬間が、ある。
今がそれだ。]
うう……返事も聞けないし、意識失ったからこれから何があっても何もできないし、もう、最悪だ〜……
何より、……恥ずかしいし〜。
[蹲って、ごんごんと地面を叩いている。]
ていうか。ていうか。
何かもう、全体的にダメダメな気が、する……
あ、うう。
うあぁぁぁああぁぁ〜!
[そして顔を押さえて地面を転がり、蔦が体に巻きついている。
せめて、願うのは。自分が眠っている間、彼らがどうなるのか、知らないでいられること。知ってしまえば、きっと嫉妬に狂う。]
びったんびったん。
メモを貼った。
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[蔦に雁字搦めに絡まって動けなくなり、地面をごろごろ転がりつつ。]
返事、か……
やっぱり、いきなり何言ってんだろう、としか
思ってないだろうな〜、あの反応……。
でも、せっかくやったんだし、聞いておけば……
ああでも、どうせ『そんなこと言われても…』って思ってるんだろうな…
いや、むしろ『嫌いです』って言われたら…
あぁぁぁああ 気になる…
気になって夜も眠れ…いや寝てるけど…
ああもうああもう ああああああ!!!
[今度はごんごんと、地面に頭をぶつけている。]
…痛くない、やっぱり夢か〜…
[苦痛というほど苦痛ではないが。
医務室では、眠りながら時々眉間に皺が寄っている少年の姿が見られるかもしれない。**]
[それは本当に一瞬のこと。
もう一人の天敵は、背後でフィリパを犯すのに没頭していて、それを知っていたからきっと油断していたのだ。]
っ!!
[トライバルタトゥーが蠢いて、気づいたときにはもう遅い。その牙が深々と突き刺さり、薔薇の精は悲鳴を上げる。]
『ちょうだい』
[ジョージの魂の奥深く、薔薇の精は逃げ込み、傷を癒やそうと丸くなる。
妖精と共鳴しすぎた少年もまた、狼の牙で平等に刺し貫かれて。
幼い身体は力を失った。**]
あ〜?
[いつのまにやら、絡みついた蔦が解けていた。首を傾げながらも、左腕の蔦はそのままに、夢の中をさ迷う。じっとしていると、また悶えたくなってくるので。
そうしているうちに、見つけたのは、黒い薔薇の咲く茨。
ね〜?
誰か、いるの〜?
[問い掛けは、実に無遠慮。**]
―薔薇の揺籠―
[取り囲む薔薇の蔦。
まるで意思を持つように。
更なる花を咲かせようと。
そのための精気を得る為か。
白い肢体に、魂に、絡みつく]
あ、はっ……
なん、だろ、すごく……ひゃうっ!
ンッ……イイ……あは、あはは……あっ……
[魂の奥底まで薔薇の毒に浸され。
弄ばれるままに喘ぎ悶える。
その度に、取り囲む薔薇は一輪。また一輪。
純白の花を咲かせていく]
あーっ、あ、やぁ、そこっ……
んぁ……もっと、くりくりってしてぇ……
っは、あ、おか、しく、なるぅっ
[全てを暴き、奪われて。
もう何処を如何すれば精気を得れるのか。
理解しているというのだろうか。
薔薇の蔦は胸の頂をくるくるとなぞり、押し潰し。
硬く尖ったそこに絡まりぐいぐいと引っ張る。
外聞なく喘ぎ、半開きの口から零れる舌がぴくぴくと震える。
精を放ってなお責めは止むことは無く。
眠りの中、終わることの無い快楽に身を委ね*]
[閉じていた青磁を薄く開いて、恐る恐る声の方に向ける。]
……誰……?
[零す声は、声変わりの済んでいない、幼い声。
腕を解き、ゆっくり起きあがれば、茨は深く肌に刺さり、小さく、泣きそうな悲鳴を零す。
たすけてと、小さく呟いて。
傷だらけの細い腕を、声の方に*伸ばした*]
俺?俺はノックスだよ〜。
[尋ねられた声に、自分の名前を答えた。]
ちっちゃい子。
動いたら、棘が刺さっちゃう?
痛いね、でも大丈夫だよ〜。
…救急箱ないかな?
[傷だらけの細い腕、それを軽く握る。
どこかで見たことのある子どもだな〜と思ったけれど、頼りなげな姿からは誰に似てるのか、連想できず。
ただ、怪我をしている小さい子は助けなきゃと思って。腕の傷を、労わるように撫でる**]
痛いの痛いの、とんでけ〜。
『許される筈なんてないのに』
『逃れられるわけないのに』
[響く黒薔薇の声は、ノックスにも届いただろうか。
逃すまいと、更にきつく絡まる茨。
掴まれた腕を振り払うように、もがく。]
っ、!……ごめん、なさ……い……!
[幼い姿はぶれて掻き消え、其処に居るのは少し、成長した姿。
妹を亡くした、其の日の姿。]
……僕は、……
[振り払った手に手を伸ばし、壊れた瞳で笑いかける。]
誰でも、いい……
……一緒に……、僕と、一緒に……
[誘うような笑みを浮かべて。
白薔薇の蔦の絡むその腕に、黒薔薇はその蔦を伸ばす。
指先がその腕に触れたか触れないか。
それすらわからないままに、がくりと力が抜ける。
更に、更に深い眠りへと。]
……ポーチュラカ……
[引き摺りこまれるように、目を閉じる。
黒い茨はノックスに届いてしまった*だろうか*]
うぁっ!?
[茨がさらに子どもに絡みつき、その子が成長したのに目を瞬く。
でも夢だから、そういうものだろうと納得した。]
なんだ、この声……い、いじめんなよ!
…わあわあわあ!
[しゅるりと黒い薔薇の蔦が自分の腕に絡み、焦っている]
くっ……いた、痛いな、
[黒薔薇の蔦の棘が刺さる。そして、壊れた瞳の笑顔は、とても痛々しくて。思わず、眠る少年に手を伸ばす。]
……はぁ、いたた……っ、
[黒薔薇に絡みつかれながら、少年を*抱きしめた*]
メモを貼った。
[呪いは少年の手を離れ、妖精もまた、枯れるを厭う本能のまま精を求める。
暴走し始めた呪いは、その虜たちに委ねられた。]
[枯れぬよう。
花を咲かすよう。
求める薔薇に、囚われて]
……あ、は。
欲しい、の……?
……いい、よ。私が、手伝ってあげる。
協力、してあげる……
ほら……おいで?
[高い声。甘い声。誘う声。
両手を伸ばし、微笑む]
[嗚呼、協力なんて名ばかり。
本当はただ。
自分が溺れたいだけなのに]
て
っ
ど
?
[茨の揺籠に囲まれて。
享楽に耽りながらも呟く名は――]
[誰かの腕の中、抱き締められる感覚
暖かさに、まどろみの中、薄く、青磁が開く。]
………ぁ
[過去の姿は掻き消えて、其処に残るのは、今の姿。]
……ロイル……?
[小さな声で、その名を呼ぶ。
一つ、二つ、ゆるゆると、瞬いて。]
はな、して……くれないか……?
[そう言って、突き放そうと、自分の腕をその胸元に伸ばそうとして、思い留まる。
目に入ったのは、茨の巻き付いた腕。
きっとこの腕で触れては、この暖かい腕の主を更に傷つけてしまうだろう、から。]
……はな、して……
[小さな声で、懇願するように。
其の腕の暖かさから離れたくない想いと。
これ以上、誰も傷つけたくない想いと。
二つが鬩ぎ合い、零れる声は、泣きそうなくらいに、細い。]
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