人狼議事


42 廃棄人形ーeverlasting love marionetteー

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[人形資料室を調べて回るが、やはり警察の手が入っていて
予測どおりではあるが素人で分かることはほとんど無かった。
……その帰り、サイラスと出会った。
彼はいつも通りの笑顔を浮かべ、いつも通り私と会話した。
何の違和感も無い日常の光景。それでも私はどこかで悟っていた]

(ああ――これから私は彼に壊されるんだ……)


[薄暗い路地裏に連れ込まれ、
彼の大きな手が自分の喉を目一杯押し込む。
苦しさに自然と息がひゅうひゅうと漏れでた]

(思ってる。どうしてあなたがこうするのか。
私は、ずっとそれを理解したかった。
時々私のことをを憎しみとも悲しみともつかない
複雑な負の感情で見つめるあなたを、理解したかった――)

[傲慢な考えなのだろうか。彼の言う通り。
理解できない、彼にとってされたくもない。無駄な思考]


(ごめんなさい。サイラス、あなたを苦しめて。
それでも――こうしていれば、あなたの憎しみや悲しみを、
少しは知ることができるのかもしれないから……)

[決して抵抗するようなことはしなかった。
やがて、自身の首が嫌な音を立てて、
彼の手から離れた身体は自身の身体以上に冷たい地面へ落ちた]

(――ああ。冷たい。これが、あなたの……)


(……ソフィア、あなたには、残酷な……)

[最後の意識で彼女のことを考える。
きっと優しい彼女は自分がこうなったことを嘆くだろう。
そして自分をこうした犯人に、人一倍強い怒りを覚えるかもしれない。
――だからこそ、サイラスを追い詰めて欲しくなかった。
他人を利用した身勝手な願い。謝る資格も自分には無い。それでも]

(ごめんなさい……)

[もう、身体のどこも動かないけれど、
この身勝手さはまるで人間のようだと思い、少しだけ笑いたくなった。
やがて、滲んだ視界は黒く染まり、意識は深淵へと落ちていく――]


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[突然押し入ってきた警察官に唖然としていると、
 彼らは自分取り押さえ、連行していこうとする。
 サイモン暴行事件の容疑だと聞くと、目を丸くして。]

私が、するはずないでしょ!
私じゃない、私じゃない、私じゃない!

[自分が彼に近しいからという理由で、疑われるのはわかる。
 しかしそれよりも、自分がサイモンをあんな姿にしたと言われることにショックを隠せない。
 取り乱しながら「私じゃない」と繰り返す。瞼に思い浮かぶのは、昏睡するサイモンの姿。
 それも一緒にフラッシュバックして、かぶりを振る。自然と涙がこぼれた。

 やがて淡々とラルフに話しかける警察官に諦めの色を浮かべると、
 大人しく、連行されることにした。
 
 自分じゃない。自分が、するはずない。
 容疑は、すぐ晴れると思っていた。]


―取調べ室―

私じゃありません。

[きっぱりと、言い放つ。
 目の前に座るのは、取調べ担当の警察官。傍には2人、同じ制服を着た男が控えている。
 もう長い間、同じ押し問答を繰り返していた。
 
 もちろんずっと毅然としていられたわけじゃない。
 既に緑の瞳は淀み、疲労の色が浮かんでいた。
 それは警察官も同じなようで、はぁ、と息を吐く。

 最後にサイモンと一緒にいたのが、自分だという。
 それはおかしい。彼は楽屋に行ったはずだ。
 だけど、それは――口には出来なかった。

 華月斎を疑ってはいない。
 サイモンが楽屋に行ったのは事実だが、彼が襲われたのは人形資料室だ。
 繋がらない。
 だから余計な疑いを、かけたくはない。]


私じゃない…。

[言い澱んだ自分に、警察官はどう思ったのだろう。
 眉を下げて、飲み物を飲むように、カップを差し出す。
 言われるままにそのカップに口をつけた瞬間]

…?

[ぐにゃりと、視界が歪んだ。
 何か薬でも入っていたのだろうか。
 そのまま、瞼が落ちていく。ぼんやりと滲む思考の中で、華月斎のことを考えていた。
 
 彼に話を聞きたい。
 彼が何をサイモンと話したか聞きたい。
 ――――――会いたい。**]


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―???―

[ふと意識を取り戻すと、そこは白い空間。
 何もない。天井も、壁も、足元の地面さえも。]

…?

[そういえば。
 先ほどまで自分はどこにいただろうか。
 思い返そうとしても、記憶はぼんやりとしていて。
 
 ふらふらと歩いていると、見覚えのある人影。
 人形資料室で、いつも研究ばかりしている、自分の慕う…]

サイモン!

[弾かれたように名前を呼んで、走り出す。
 彼に近づくと、ぐいとその腕を引いた。]


ここ、どこ?
君はここで何してるの?
お芝居、たしか見に行ったのよね。一緒に。その後は?
どうして?今君はたしか・・・。

[矢継ぎ早に捲くし立てる。
 言葉は脳を通さず、ぽろぽろと勝手に口からこぼれているようだった。
 その言葉がやっと記憶になって、自分の耳元に帰ってくる。

 サイモンは首を静かに横に振り、「覚えてないんだ」と静かに言った。
 何を、覚えていないのか。
 それを問う言葉さえ、自分にも思い出せなかった。

 力なく、腕を掴む手を緩めて、うつむく。
 そうしていると突然サイモンが自分の目線まで背を丸め、顔を覗きこんできた。
 見開かれた漆黒の瞳と目が合い、どきりと心臓が鳴る。]


何・・・?

[そう答えると、彼は遠くのほうを指差した。
 遠く、その先に、光。
 うなずいて、そちらに走る。走る。走る。
 さっと開けた視界にいたのは、]

ケイト。

[喫茶店でよく見かけた、自分と同じ人形の少女。]


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