194 花籠遊里
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── 一輪の『花』の終わり ──
[東雲は宵闇の髪をゆらりと揺らし、最後の刻を伝えにやって参りました。 今日舞う紙吹雪は、何時もよりも多い気が致します>>4:85
そして口に出されるでしょう。
「櫻の季節は終わったよ。」
───と。]
(8) anbito 2014/09/23(Tue) 23時頃
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[昨夜がなければ、花主さまの足元に縋り付いていた事でしょう。 そんなかみなんていらないから、此処にずっと置いてくださいと 願い乞うたかもしれません。
僕は『花』であり、『花』でしかなく。 『花』として生きて、『花』として死ぬのだと。 それが、僕を生んでくれたおかあさんの望みで 僕に赦された『生きていくこと』だと、思っていたのです。
喉に甘露のように流し込まれた『毒』>>4:118 奪うでも交わるでもない、接吻けに溶かされたもの>>4:119
一度芽吹いた呪詛の芽が、秋の花を咲かせようと ゆっくりゆっくりと、育っていきました。]
(9) anbito 2014/09/23(Tue) 23時頃
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…───お世話になりました。
[『花(ぼく)』は終わりを迎えました。
撒き散らされた紙幣を一枚一枚と集め 裏に刻まれた読めぬ文字を大切に抱きしめて
深々と、射干玉の髪を床につけ。 花籠の主が消えるまで、頭を下げていたのでございます*]
(10) anbito 2014/09/23(Tue) 23時頃
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── 一人の『櫻』の始まり ──
[朝陽が昇る頃にございます。 僕はこの廓を出る前に、数人にご挨拶に向かいました。 一人は霧雨の夜に泣いておられた朧月へ。 最後になる挨拶と、頼み事をしに行ったのでございます。
僕が『人』になることを聴けば 彼はどんな顔をしたでしょう。 寂しそうな面持ちであったと思うのは そう思って欲しいと、僕も寂しいからなのかも知れません。]
(13) anbito 2014/09/24(Wed) 00時半頃
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[丁助さんにもお顔を見せたことでしょう。 僕は僕の年季を終えて、『人』となるのだと知れば いつもの笑顔は、どんなふうに変わったでしょう。
不器用な、丁助さん。 あの日>>0:156>>0:157追いかけてきてくださった丁助さん。 僕は訊けなかったことを訊こうとして。]
(14) anbito 2014/09/24(Wed) 00時半頃
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[僕は彼にそっと告げました。 丁助さんも、朧さんも。 何も謂わず消えてしまった藤之助さんも。 小さな梅の花を残していった亀吉さんも。
此処にある『花』も 此処にくる『蝶』も
此処を統べる『主』も
みんなのしあわせを、切に願って。 花籠を後にしたのでございます*]
(15) anbito 2014/09/24(Wed) 00時半頃
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──【『しあわせ』への一頁】──
[優しい朧月との別れ>>16 確かな泡沫の泡をひとつ浮かべ>>*7 美しい所作にて送られる言の葉に、僕が心からの笑みでお返しして。
あれからどのくらいの月日がたったことでしょう。
『外』を知らぬ花は、残されたたった一つの手がかりが 海を越えた場所なのだと謂うことを知りました。 本当にとてもとても、遠く。 その遠い海を越えるのに、幾らかの時を要してしまったのでございます。]
(22) anbito 2014/09/24(Wed) 02時頃
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[餞別代りにと残されたお金は、 あの御方の残したものだと思うと、使うことが出来ませんでした。 時が来るまで手をつけず保管しておりました。 そのお金は今、封筒に入れて懐の内へとしまってあります。
───大切な、徽章(やくそく)と共に。
海と空を織り交ぜたような着物に身を包み 束ねぬ射干玉の髪をそよがせて
僕は今、『約束の地』に辿り着いたのでありました。]
(23) anbito 2014/09/24(Wed) 02時頃
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え、っと… あ、あの……
[やってきた場所は、それこそ世界さえ変わったかのようでありました。 僕一人だけが物語から抜け出してきたような。 或いは、僕一人だけが物語の中へと迷い込んだような。 言葉もまるで違い、意思の疎通だって難しい。 そんな場所で、それでも僕はあの御方だけを ひたすらに探しておりました。]
この、この御方をどなたか知りませんか?
[徽章を見せては裏返し、徽章を見せては裏返し。 読めぬそれがきっとあの方の名前なのだろうと信じては ただただ、歩き回っておりました。
ふと、怖い顔をなさった方が僕の腕を掴みます。 僕の痩躯で逃げ出すことなど出来もしません。 ただなすがままに、僕は連れ去られてしまいました。]
(24) anbito 2014/09/24(Wed) 02時頃
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── 隣国、留置所 ──
………───。
[木格子の折を抜けたはずであると謂うのに 僕が連れてこられた場所は、鉄で出来た格子の中でありました。 なにがどうなっているのかは判りません。 ですから僕は、ただ檻の中で大人しく座っておりました。
あの約束もまた、泡沫の『夢物語』だったのでしょうか。 『花』でない僕には、逢うことさえ赦されないのでしょうか。
───たいせつな徽章(やくそく)も奪われてしまいました。
返してくださいと、何度も縋りつきましたが 聞き入れてなどくれませんでした。]
(25) anbito 2014/09/24(Wed) 02時頃
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───お逢い…、…したい…です。
[やがて大使館には警察からの連絡が入ることでしょう。
「エクトゥール・エトワル・ダルジャン参事官の徽章が見つかった。 どうやら異国の者に盗まれていたらしい。 罪人を捕まえて留置所に拘束している。」
…───と*]
(26) anbito 2014/09/24(Wed) 02時頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
anbito 2014/09/24(Wed) 02時半頃
看板娘 櫻子は、メモを貼った。
anbito 2014/09/24(Wed) 02時半頃
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[冷たい冷たい、牢の中でありました。 それは秋風が冬を呼んできていたからでしょうか>>29 それとも、わからぬ言葉の所為でしょうか>>31 徽章は毟り取られ、何とか用意した旅券を何度も見られては 苗字も何もない僕をあやふやにしか証明できない身分証を睨み 加減もない乱暴なまま、放り込まれた所為でしょうか。
外は、あんなにも華やかだったのです>>30 鮮やかな色彩は、霧の街にはない色で 僕が世話した中庭よりもずっと、ずっと輝いて見えました。 硝子の向こうに、ちょこれーとだってあったのです。
なのに、今はまた牢の中。 花籠よりも淀み、寒い、鉄の格子の中で 僕は小さくなっておりました。]
(42) anbito 2014/09/24(Wed) 23時頃
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[逢いたくて、逢えなくて。 逢えなくて、逢いたくて。
薄櫻色の唇は言の葉を紡ごうとして───…
カシャンと鳴る音は>>33 『しあわせ』な幻想を見せるのです。]
(43) anbito 2014/09/24(Wed) 23時頃
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───やっ、やだぁ!! 厭だっ!!!!!
[『今までしてきたこと』と何が違うのでしょう? 僕が『花』であることと何が違うのでしょう?
それは夢ではありません>>34
ただ組み敷かれ、ただ腕に枷を嵌められ か細い叫び声は黴の臭いに殺され 重い指先は容易に皮膚に圧迫の花弁を残しました。
着物が引き剥がされて露になるのは、滑らかな白でしょう。 その首筋から香るのは、淫靡な櫻の馨でしょう。 はらりと伸びる射干玉の枝葉は、艶やかな絹糸なのでしょう。
そうして、殿方を誘うためだけに作られた『造形(はな)』なのです。
所詮僕は、散らされ行く『花』でしか───…]
(44) anbito 2014/09/24(Wed) 23時頃
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[ぎゅうと目を瞑っておりました。 唇を硬く閉ざしておりました。 何をされても、声ひとつ上げまいと。
けれど、次の瞬間触れた指は───…
ゆるやかに撫でられる頬と、浅い呼気。 僕の身体は震えていました。 怖くて怖くて、仕方がなかったなんて 数多く櫻の春を売ってきた僕に、謂える権利なんてありません。 だから僕は、後ろを振り返ってこう謂うのです。]
(45) anbito 2014/09/24(Wed) 23時頃
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ば、…か。 …お名前を、教えてくれないままだったから 叫ぶことも… 出来なかったじゃ、ないですか…っ。
海を渡って、来たのです。 あなたさまに逢うために、来たのです。
あなたさまの、こと
───なんと、お呼びすれば いいのですか?
[精一杯、強がって*]
(46) anbito 2014/09/24(Wed) 23時頃
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―― 地下牢 ――
[震える権利など無いはずなのに、身体はずっと震えていました。 気丈に居ようとすればするほど 僕の身体は落ち着きを忘れたように
あゝ、それをも溶かしていくのは 彼の指先だけなのでありましょう。
数多くの櫻を買った蝶は、可笑しなことだと蔑むでしょうか。 数多くの春を買った人は、可笑しなことだと嗤うでしょうか。
そんなもの『夢物語』だと。 指を差して、せせら笑うのでしょうか。
誰が何を謂おうと構わないなんて。]
(67) anbito 2014/09/25(Thu) 01時半頃
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[皮肉を彩るくせに、指先がこんなにも優しいこと。 絞る声に紛れて、上がる吐息をお隠しになられていること。 持ち上げた口角が、何を想っていらっしゃるかも。
今この射干玉に映る、秋色のすべて 僕が知っていれば、それだけで。
───『しあわせ』なのです。
それは『花』であった名残。 何度も謂ったでしょう?
甘く愛されるほど、咲き誇るのだと。]
(68) anbito 2014/09/25(Thu) 01時半頃
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[接吻けが、甘い毒を流し込んでゆかれます。 唇が触れて、蜜のようにとろりと囁かれてゆかれます。 指先が僕の顎を引き、もう片方は髪を梳き。
重なりは、名を告げに離れるでしょう。
そんなの、赦してなんてやらないのです。 人に人の蜜を注げばどうなるか。
胸元に手を添えましょう、彼の心音が届くように。 服をきゅうと掴みましょう、もう二度と離さないように。 そっと眸を閉じましょう、恥ずかしさを隠すため。 自ら唇をもう一度、あの時のように重ねましょう。
まだ、まだ涙なんて見せません。
大きな射干玉に、滲んだ海を湛えたままで。 頬染めて、はにかんでみせるのです。]
(69) anbito 2014/09/25(Thu) 01時半頃
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───えくとぅー、る …さま。
寂しくなんて、ありませんでした。
[だって、あなたさまに逢うために 僕は、───(生まれて)来たのだから**]
(70) anbito 2014/09/25(Thu) 01時半頃
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看板娘 櫻子は、メモを貼った。
anbito 2014/09/25(Thu) 03時半頃
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── 郊外のお屋敷 ──
[甘やかな接吻けを、唇を触れ合わせてから 檻から連れ出された僕は、華やかな街を過ぎていきます。 鮮やかな街並みにはまるで子供のような声をあげておりました。 そうでもしないと、気が付いてしまいそうだったのです。 僕の鼓動はずっとずっと、早鐘を打ち続けておりました。
たどり着くのは、しらないおうち。 都見下ろせるその家につれられて、鼓動は更に煩さを増すのです。
これから、どうなるのでしょう?
──愚問です。 欲しい答えは決まっているのですから。]
(80) anbito 2014/09/25(Thu) 23時半頃
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わっ あ!
[放られた体は、場に似合わぬ素っ頓狂な声をあげたことでしょう。 あまり触れることのなかった、ベッドというものの上で 小さな痩躯はぽよんと跳ねました。]
その、それは…
[彼は僕に、花籠に帰す気はないと仰いました。 けれど、鎖で繋ぐこともないと申します。 帰るべきはここだと。 そう、おっしゃられました。 捨てられて、今まで。 帰る場所なんてありませんでした。 花籠だけがすべてで、そこからは出ることさえ望まなかった身です。]
僕の……お、うち…?
[そう思っていいのでしょうか、と。 射干玉が問うように彼の瞳を見上げた時にございます。]
(81) anbito 2014/09/25(Thu) 23時半頃
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あっ、あのっ!! お仕事は、い、いいのですかっ
[ネクタイに手をかけるお顔が、僕を見下ろしている表情。 惹かれない筈がありません。 僕の鼓動は高く、また煩く鳴り始めました。]
こん、な お時間ですしっ!
[聞きなれない衣擦れの音が、声を上ずらせます。 唇が触れた頬が薄い櫻に色付きました。 視線はふわふわと彷徨います。 良さそうな機嫌は崩れてしまうでしょうか?
それでも、落ち着いていられないのです。]
(82) anbito 2014/09/25(Thu) 23時半頃
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[新しい場所で、僕の色んなものが育っていきます。 それは僕だけでじゃなく。 きっと、二人で。]
しゅっじ んっ
[その言葉に、一気に耳が熱くなりました。 おうちに対しての意味だったのかもしれませんが 自意識の過剰な僕は、別の意味へとそれを変換してしまったのです。]
(94) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃
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……待、ちますっ。 お洗濯も、お食事も、お風呂もご用意しますから。
…──寂しがらせないで、くださいね?
[言の葉が一つ一つ、素直に溢れて行きます。 僕はきっと、堪えず灯をともしてこのおうちで帰りを待つでしょう。 だから、寂しくなどさせないでください。 本当はあなたさまに逢えるまで、寂しくて泣いてしまいそうだったのだから。]
(95) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃
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そんっ な… 、ぁ
[幾千とは謂わずとも、何度も夜を越えてきました。 それを主張する声に返せたのは、微かに詰まるような声です。 彼の鼻が頬へと擦れば、香るのは変わらない櫻香。 首筋に触れた指先に、過敏なくらい体が強張ります。 指が肌をなで、着物の袷を解こうとするならば 弱々しくも頭を振るのです。 否定ではなく、射干玉がベッドに広がって行くでしょう。]
っ……は、ず かし
[唇が鳴らす音は、肌理を愛でられた証。 書斎で落とされた額への接吻けが甦るようでありました。]
ばか……っ! ていこ、なん…てっ
[出来ないとわかっている癖に。 本当に、酷い御方です。]
(96) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃
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ん、っ
[足を開かせるよう動く膝に、僕の甘い声が溢れます。 頬が唾液を乾かして、なのに一層仄かな色を灯しておりました。
丘などない胸に指先が滑ります。 その指には鼓動も何もかも、伝わってしまっているのでしょう。 緊張で少し湿った体はすでに熱く、肌を上気させております。 呼ばれたりなどすれば、どきんと鳴ったのも用意にわかることでしょう。]
え、く ぅ …さま ぁ、っ!
[まだ慣れぬ名前を小さくにだけ口にしますが 指が胸にある小さな飾りを愛撫すれば、それも甘き声にて掻き消されてしまいました。 低い声が届けば、ふるりと体が震えます。 あゝ、なんて甘い睦言を囁く御方なのでしょう。]
(97) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃
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や、優しく…… して、くださいませ。 ……はじめて ……なのです。
[既に快楽に潤んだ射干玉が、彼を見上げて小さくおねだりをいたします。]
だい、すきな… 殿方と… 寄り添うのは…──
(98) anbito 2014/09/26(Fri) 01時頃
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あなたさまは『櫻』を買わなかったのだから。 知らなくて、当然です。
ですから──…
[強情が顔を見せては、強がりを申します。 今となっては簡単なこと。 一枚の隔たりは壊して欲しい硝子戸。 逃げるのは追いかけてきて欲しいから。 避けていたのはこれ以上惹かれぬ為。 すべて、判りやすいほどの裏返しでございます。]
……───もう、離さないでくださいね?
[揶揄には揶揄を、本音には本音を。 ですから素直におねだりを返したのでございます。 「生涯を共に」なんて、そんな意味を込めて。]
(120) anbito 2014/09/26(Fri) 21時半頃
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[肌に降るのは櫻吹雪でありましょう。 一つ一つ、それが彼の所有の証のように色付きます。 その度に洩れ出そうになる声を噛み 代わりのように、体が微弱に震えるのです。]
あっ、 まぃ のは…ぁっ …あなた…さま、で … ──んっ!
[蕩けるような嬌声を織り交ぜて、必死で紡ぐのは 抵抗できぬ声が綴る、せめてもの抵抗でありました。
僕だけが甘いのではありません。
胸の小さな果実に掛けられる愛撫は こんなにも意地悪に、こんなにも優しく。 与えられるものが甘いからこそ、 僕は甘く咲き乱れるのです。 膝に押された部分は既に熱くなっていたことでしょう。]
(121) anbito 2014/09/26(Fri) 21時半頃
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