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ー少し前ー
[
「案外、休んだらでてくるかもしんねぇよ」
そんな事考えたことなかった。見つかるかもしれない…?
女は少し考え]
…うん、考えてみる……
[その言葉はモリスに届いただろうか。
モリスの言葉を反芻させて、少しの間ぼうっとしていた。
すると、ヨーランダが、頭を撫でてくれた。「私も、一緒に探すから。」の言葉に
うん、ありがとう…
[女はヨーランダにそっとしがみつく]
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[そろそろ開票が始まるだろうか。今日は一体誰が選べばれるのか]
…ヨーラ、今日君んちにいても、いいかな。
[明日一緒に処刑場に行くならついていってもいいか、とも訪ねて]
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―― 処刑台 ――
[予想通りの展開となればもう無理に慣れない口調で喋る必要は無い
何も言わずに虚ろな表情で引きずられるように処刑台に連れて行かれて。]
……こんな力、無ければ良かったのに。
[首に縄を掛けられながら、囁くように小さな最期の言葉を聞いた民衆はいたのだろうか。
そうして呆気なくフィリップ・グァッゾの18年の人生の幕は降りた*]
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―― 処刑台上 ――
[新たに"こちら側"になった魂は、自らの死に場所に座り込み]
……っ、く
[幼子のように、今まで溜め込んでいた分が溢れたかのように泣きじゃくっている。
その魂は死んだ筈の自分がどうしてここにいるのか知らない。
前日にここで命を絶たれた存在が、自分が追い詰めた相手が、人間だったことも]
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[その涙は地に落ちることなく、存在していなかったように消えていく。
流す目はどちらも水色、それはフィリップが肉体を失ったことを示していた**]
― 最後の夜・【猫の前足亭】 ―
[
まあ、僕も笑顔が爽やかなタイプでもないけど。
せっかく来たことだし、何か作ってもらってもいい?
お腹空いてるんだ――すごく。
[食べ損ねたから。
その時のことを思い出して、わずかに痛みの残る肩に自然手が伸びる]
あ、何でもいいよ。
ソフィアのお勧めで。
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[コリーンも一緒かも
?
構わない。俺が一緒にいたいだけだから。
[そう言って]
――回想・夜:猫の前足亭――
[お腹空いてるんだ
あの獣が撃ち抜かれたのと同じ場所に、彼が手を伸ばすのを、
やりきれない気持ちで見つめ、ついと目を逸らし、]
……おすすめ、か。何がいいだろ。
小麦粉、少なくなっちゃったから……
そだね。ポトフなんてどうかな。すぐ出せるよ。
[それでいい、とセシルが頷くのなら、
ホッと頷き返して厨房へ向かったろうか]
(セシルさん、僕のこと気付いてない?
気付いてるなら何で……僕が邪魔じゃ、ないの?)
[己に問えども答えは出るはずもなく。
再びあの獣に彼が変じるのなら、成す術はないだろう。
――彼の肩を貫いた銃は、今ここにはないのだから。]
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[ヨーランダにしがみつくと、そっと撫でてくれた
すると、ケヴィンがヨーランダの家に行くと言う。彼女は気を利かせて言葉を掛けてくれた。うん、やっぱり二人の邪魔はしたくない。
モリスのお陰で考える事も出来たし]
私は、遠慮しとくよ〜〜。
2人で育みなさいな♪
[と、余計なお節介を。そして、ケヴィンには頑張ってと意味を込め軽くウィンクした。
ヨーランダにヘクターの事を聞きたかったが、今はあえて聞かない事にした]
じゃ〜またね〜ん♪
[と、軽く2人の幸せを願ってその場を後にした]
―― 翌朝・墓地 ――
おう、行こうか。
[彼女の心が心配だった。こうも知り合いの死体を見続けていては流石に限界が訪れるのではないかと。
霧は今日も晴れない。
男は無理だとわかっていても、彼女の手を握るように自分の手を触れ合わせた]
――回想:夕刻・銀狼とゆずり葉亭――
[票を投じた罪悪感から、堂々と入ることも憚られ。
人目がないのを確認すると、滑り込むように室内へ。
足音を立てぬよう気を付けながら、”彼女”の姿を探す]
……タバサ、タバサ。僕だよ、ソフィア。
君に渡したいものがあって。
[タバサの部屋を見つければ、そう囁いて。
彼女が招き入れてくれるなら礼を言いつつ。
部屋にいなければ、謝罪の言葉を呟き、そっと中へ入って]
知ってしまった以上、ここで暮らす君が一番危ないと思うから
……――これ、僕の形見代わりに。持ってて。
[ごとり、重い音を立てて、机に置かれた鉄の塊。
鈍い色を放つ拳銃が、どうか彼女を守ってくれますように*]
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―― 昨夜・墓守宅 ――
[ベッドに入って、寝息を立て始めるのを確認すると、その横の床に腰を下ろす。本当は添い寝したいなと思っているけれど、こんな身体では一緒の布団に入ることも叶わない。
もう一度彼女の寝顔が見たくなって覗きこむ。真っ白な雪の様な肌にうっすらと紅が走っているのが、彼女が生きているということを証明してくれているようで嬉しかった。
寝顔を見つめながら、そっと頭を撫でるジェスチャーをして]
君の前から消えたくないんだ。
……かっこ悪いよな。
[ずっと一緒にいられたらいいのに、と呟いて、そっと彼女の唇に自分のそれを重ねて。感触はもちろんないけれど、男は満足そうに微笑んでまた床に座り込んだ。
昨夜自宅で夜を明かした時は孤独だったが、今日はとても満たされた心地がしていた**]
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―― 昨夜・コリーンと別れる前 ――
[てっきり来るだろうと思っていたコリーンがあっさり引き下がったのに対して少し驚いていたら、二人で育めとの言葉
何を育むんだ?愛か?
[とコリーンに質問してみただろう]
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ー少し前ー
[
…それ以外、何があるのよ〜!
この色男〜〜♪
[自分の友達が幸せになるのを見るのは、とても嬉しい。その反面、羨ましさもあるが、顔に出すこともせず]
どんどん幸せになんなさい!
幸せな気持ちって、周りの人にもいい影響を及ぼすから〜!
[ね?と言って2人の肩を同時にぽんぽんとした。心から2人の祝福を祈った]
― 最後の夜・【猫の前足亭】 ―
[ポトフでいいかと問われれば
(何故、ここに来たんだろう)
(多分――確かめたかったんだ)
[やがてソフィアが戻れば、薄氷を履むが如き会話の応酬でも繰り広げられただろうか。
食事が終われば外に出て、別れの挨拶を告げる]
まだ仕事だよね。
狼にでも襲われると怖いから、宿まで送ってもらいたかったけど……冗談だよ。
君、まだ疲れているみたいだし……まるで何かに取り憑かれているようだ。
――と、忘れてた。
突っ込んでたけど、萎れてはないな。
[ポケットから取り出した小さな花束を、先ほど触れた髪に挿す。
それから「おやすみ」の言葉を残して夜の霧に紛れた]**
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―教会・処刑場―
[ケヴィンの叫び
教会についたのは日付が変わった頃。村人たちは今日も処刑を続けているようだ。]
はは、なんだ、あいつか。
結局信じてもらえなかったんだなぁ?
[処刑場には力なく引きずられていくフィリップがいた
吊るされて、あっけなく彼の命は尽きた。
嘘つきめ、と罵ってやろうと近づいた、が]
くそっ。
[現れた魂
小さい子供のように泣きじゃくる、その姿が追放された時の己と重なった。
頭を抱え、フィリップに背を向けかがみこんだ*]
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――回想:夜・猫の前足亭――
え。そう? 僕そんなに変かな……
……お墓に寄ったから何か連れてきちゃってるのかしら
[むしろ誰かついて来てくれてれば心強いのに、とは口に出さず。
髪に花を飾られれば
ふ、……はは!
セシルさん、ほんっと気障なことするよねー!
もーちょっと相手選びなよ、いや選んでるとは聞いたけど
こーゆーのはアイリスとかクラリッサみたいな子に……
……いや。ううん。ありがと。嬉しいです。はい。
[クラリッサへの罪悪感で潰れそうな今、
その名前を自ら出すなんて何をしているのか。凹む。
清々しい自爆を密かに披露しつつ、手を振り見送って]
[セシルの姿が闇に溶ければ、がくりと膝からくずおれるだろう。
緊張の糸が切れてしまったのか、四肢に力が入らない。
客がいなくて良かった、なんて。
生まれて初めて思ったかもしれない]
……は……はは。何だ、これ……
[指先から始まった冷たい痺れは、脳髄までも凍らせて。
生への執着、死への嫌悪。――違う。
力及ばず倒れるだろう、無念。――これも違う。
殺しておいて、撃っておいて、殺そうとしておいて。
今更、死ぬのが怖いも何も、なかったけれど。
おそらく、もっと単純で、本能的な――きっとこれは、]
……い、たい、のは、……やだなぁ……っ
[引き裂かれる痛みへの恐怖で、唇は笑むように歪む]
[一日中"取り憑いていた"のは、ひたひたと忍び寄る死の足音。
こんな自分が善人なものか。痛みへの恐怖に震えて泣いて。
覚悟なんてこれっぽっちもできてない、19の小娘でしかない]
(……ケヴィンはすごいなあ。僕には無理だ。
自分が死んだ時のことなんて、多分、思い出したくない)
[笑みの形に強張った顔を、ぼろぼろと涙が落ちていく。
夜半、"迎え"が来たのなら、きっと毅然と顔を上げるから。友の盾になるから、だから]
(誰もいない、今だけ泣かせて)
[ほんとは怖い、なんて今更誰に言えるだろう?
誰も彼もが優しすぎる、このままじゃ総崩れだと。
強いつもりで立ち続けた、自分が一番弱かった]
(とんだ喜劇だ)
[嗚咽がすすり泣きに変わり、星が高く瞬くまで。
ひとり、無人の店先に蹲って。
やがて緩慢な動きで立ち上がると、戸締りをして、二階へ。
夕食を済ませ、お湯を使って、寝支度を整えれば、
真っ直ぐ自室に向かって、その日は出歩かないつもりでいただろう*]
ー何処かの道ー
[ヨーランダとケヴィンと離れた後、モリスの言葉を反芻していた。思い切って休んでみようと思った。かと言って、何処で休もう。墓地?自宅?お店??ソフィアの店?協会?考え付く所は、何処も彼の事を考えそうな所な気がして]
…どこに行こう。…どこに、行けば……
[生前行き場が無いなんてなかった。何処に行ったら良いかなんて、真剣に考えた事がなかった。死ぬというのは、こういう事かとぼんやり考えていた。休む場所を捜し路頭に迷う]
…何だろう…これ…
[自身のどうしようも無さに、少し自重気味に笑った]
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― 最後の夜・【猫の前足亭】 ―
そう言えば、あの墓地、あれこれ居そうだったね。
[何か連れて来たかも、という強がった冗談
昨日のヨーランダとの会話を思い出して]
気障かな?
まあ、こういうことをするのに抵抗はないよ、とは。
あ――そうか、ここで照れたりはにかんだりして見せたら、君の好感度をあげられたのかな?
[悪戯っぽく。
次いで、触れられた名前には何も答えず。すぐに後悔を滲ませた表情になるソフィアの額をこつんと弾いた]
…………君は笑っているほうがいいよ。
[弾いた指先を頬に伝わせ、両の手で小さな顔を包み込む。微笑んで覗き込むその目の奥には紅がゆらめき。
見つめ返すその瞳に、彼はどのような存在として映ったのか――
最早、考えても仕方のないこと]**
[夜更けまでの数時間は空白。
この世に於ける未練があったなら、然るべき場所で。
やがて、時が満ちると今宵の獲物を求めて、
再び馴染みとなったあの場所へ]
ー翌日・何処かの道ー
[ウロウロ、ウロウロ、時間だけは過ぎていく。正直時間の感覚も不確かだ。女は考え過ぎてパンクした]
も〜〜〜〜う!
休むってどうやるの〜〜!!
…もう、いい!!
[まるで子供が駄々をこねるように、その場に上向けに倒れた。今は何時なのだろう。
ふと、女の脳裏にソフィアの笑顔が浮かんだ]
…ソフィア…元気かなぁ……?
[まさか、絶命しているとは露知らず声を漏らす。ぼんやりしながら大好きな娘の顔を思い浮かべ、これが休息?などと。
この村は、今大変な事態に陥っているのに、女の頬には爽やか風が頬を優しく撫でていった]
― 【猫の前足亭】・前 ―
[占い師と言った彼も、その彼を守った彼女も、生ける者の身には重い業を背負って生きている。
セシルを撃ったのがソフィアだとは知らない。
それでも彼の目に、今の彼女は痛々しく映った]
見ているのが辛くなるよ。
[だからといって、その命を手折ってしまうことが正しいことである筈はない。
たとえ死を望んでも、他者が摘んでよい生命などない。
だが、そんな当たり前の倫理など、彼には無縁のもので]
殺すのでなく、愛せたらいいのにね。
でも、僕にはその違いがわからないんだ。
[『彼女』とは違う。
――僕の同胞。君を愛せたら、たとえ呪われた身だとしても、僕はどんなに幸せな男になれただろう。そんなことをぼんやりと思う。
不意に、断ち切るように首を振り、そのまま緋色の獣へと姿を変えた]
― 【猫の前足亭】・2階 ―
[その巨体に似合わぬ素早さで、
ソフィアの部屋の窓に飛び移る。
彼女の匂いのする部屋に、音もなく不吉な影となって這い寄り。
――彼女は眠っているだろうか?
その姿を頭上から、醜悪で不気味な化け物の顔で見下ろして、
低い唸り声を洩らして。
それは獣の愛の言葉だったかもしれない。
最期の時は一瞬。
白い喉笛に鋭い牙――速やかに捕食した]**
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―処刑場―
[どのくらい屈んでいただろう。
目の前に鮮やかな紅の欠片が漂う。
手を伸ばし掴むと優しく光り、手のひらに吸いついた]
……あったけぇ。
[男が掴んだのは、誰かが残した祈り
紅に光る手のひらを開き見つめていると、光は一つ瞬いて消えていった]
――最期:深夜・自室――
[不意に風が動くのを感じ、微睡みの淵から呼び戻された。
見下ろす影にも低い唸り声にも、思っていたより恐ろしさを感じなかったのは、散々泣いて諦めがついたからなのか、それとも。
こんなことになったのに、クラリッサにもセシルにも、
会わなければ良かったとは不思議と思わなかった。
ただ、不幸な事故だったと、凪いだ心は告げていて。
それでも彼らを屠りに動いたことを、
後悔なんてしていない。
互いの命を懸けて戦った。結果、僕は負けた。
ひどくシンプルで、分かりやすい。それだけのことだと思う。
願わくば、己の死でさえも。
ヒトの助けとなりますように。
薄く目を開け、覗き見る。獣の毛並みは鮮やかな緋色。
真っ直ぐ見上げてくすりと笑えば、W彼Wは驚いたろうか?]
笑ってる方がいいって言ったのは君じゃないか。
ってか夜這いは流石に悪趣味じゃない? 初体験だわ僕。
……こういう時って何て言えばいいんだろ。うーん。そうね。
――……優しくして?
[冗談目化して挑戦的に顎を上げたのは、精一杯の強がり。
ああ、お花、せっかく貰ったのに枯れちゃうんだろうなあ……そんな、割とどうでもいいようなことを考えながら]
[呆気ないまでに簡単に、終わりは訪れたのだろう。
心優しい緋色の獣に、手傷を負わせたのは自分だと、
告げる機会はとうとう*訪れぬまま*]
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