人狼議事


50 桜散る 華の宴

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[――視界が、まばゆく白い光に包まれた――]
 
 


目が、目が〜〜〜〜ッ!!

[←この顔で。]


『目覚めなさい……勇者サイモン……。』と聲が頭に響くのを聞いた。


[落ち着いてから、周囲を見回す。
そこは、部屋だった。
自分はベッドに横たわっている。
ただし、やたら角張って、世界中に丸みというものがなかった。]

『起きなさい。起きなさい。私の可愛いサイモンや……。』

[それは、声と呼ぶにも奇妙なもので。
びびびびびびび、と電子音に近い音で奏でられる。
サイモンが身体を直角に起こすと、視界にその人らしきものが映った。
所謂、ドット絵。どうやら彼女は、母親、という設定らしい。]

『今日はお前が始めてお城へ行く日だったでしょう――……。』

[どこかで聞いたセリフは、飽くことなく何度でも繰り返される。]


[奇妙なことに、口からは『はい』と『いいえ』しか発声できなくなっていた。
動きも歩きも、やたらカクカクして、よく壁にぶつかる。
全てのものが四角く切り取られた世界。
耳元でやたら陽気な曲の流れる街中には、クローンと見紛う同じ姿の住民が右往左往していた。]

…………。

[淡く桜が香ったとしても、彼に嗅覚は、ない。
そういう世界なのだ。]


[それは、始業式の日。桜の舞う季節。
両親にゲームをプレゼントして貰った彼女が、期待に瞳を輝かせながら、主人公の名前を『サイモン』とつけた。
今思えば、愛着があったのか、適当だったのかは定かではない。
そんなことはどうでもよくて。


その日から、僕は『勇者サイモン』になった。]


[彼女はサイモンを操作し、ゲームにのめり込んでいった。
時に戦い、時に傷つきながら、サイモンは成長した。

彼女と画面越しに見詰めあう時間が、勇者サイモンにとっては全てだった。

味方を引き連れ、立ちはだかる強敵を薙倒す。
それも、全ては――彼女のためだけに。]


[蜜月は過ぎ去り、彼女の興味は他へ移った。
今頃、もっともっと絵も綺麗で声も出て、複雑で新しいゲームを娯しんでいるのだろう。
それを浮気と、問い詰める術をサイモンは持たない。
そもそもこれは、恋でもない。


彼女が、次のゲームの主人公に、好きになった彼の名前をこっそりつけていようと、勇者サイモンとは何の関係もない話だ。]


 
 
 
[プログラムが、夢なんて見るだろうか。それもまた、愚問だ。**]


メモを貼った。


[ふと、何故だか気になってアイテム袋を覗いてみた。

 ▻こもちこんぶ
  こもちこんぶ
  こもちこんぶ
  こもちこんぶ
  こもちこんぶ
  こもちこんぶ
  なっとう
  ティッシュ

何これひどい。**]


メモを貼った。


メモを貼った。


―いつかの朝―

 ……いってきます。

[行き先も告げずに、家を出る。
 誘われるように向かったのは、近所では一番の桜並木。
 不思議な夢に、どうしてもまた桜を見たくなっていた。]


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