人狼議事


226 【突発誰歓】君の瞳に花咲く日【RP村】

情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新

視点: 人


トレイル5人がレーザー・ガンを向けた。
タルト1人がレーザー・ガンを向けた。

トレイルは市民の手により▼zap▼された。


時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
タルトが無残な姿で発見された。


現在の生存者は、ヒナコ、オスカー、シーシャ、キルロイの4名


天のお告げ (村建て人)は、メモを貼った。

2015/06/13(Sat) 02時頃


露店巡り シーシャは、メモを貼った。

2015/06/13(Sat) 02時頃


【人】 トレーサー キルロイ

[あのとき声を掛けていれば、何か変わっただろうか。
おそらくは、何も変わらなかった。

ただ、彼の瞳に残された時間の全てを
意味あるものに出来たのならば、
きっとそれで良かったのだろうと思う]

(0) 2015/06/13(Sat) 03時頃

【人】 双生児 オスカー

── →トレイルの部屋 ──

[──トレイルと分かれて廊下を行く。

 逆方向に隠れていたキルロイ>>167には気付かずに、託された花を見に。

 踏み入れた部屋には一面の紫。
 そして散らかった白。

 紫色の煙のような花の名前は知らずとも、葉を見れば菊科の植物だと知れる。]

 ──これなら、適当に植えたって、どこにでも根付くだろうな。

[そんなことを呟いて、紫色の花をちょいと突く。
 背の高い花はくすぐったそうにゆらゆらと揺れた。]

(1) 2015/06/13(Sat) 03時頃

【人】 トレーサー キルロイ

[図書室の中から、ドサリと何かの倒れる音がする。
上手く動かない腕をもどかしく思いながら扉を開けると、
其処にはつい先ほどまで穏やかに笑っていた筈の人がいた]


 ―――――――…ッ。


[その姿に息を呑む。
彼の結晶化は首から上にまで及び、光に乱反射して煌き]

 レイ兄ちゃん、…レイ兄ちゃん!

[気を失っているようだった。
無意味だと分かっていても、名を呼ぶのを止められなかった。
彼の身体は自分が触れば壊れてしまうような気がして、
黒い翼は余りにも不吉で、この色を呪う。

横たわる彼に寄り添うように佇む、
その花の名前が紫苑であることは知らない]

(2) 2015/06/13(Sat) 03時頃

【人】 双生児 オスカー

[鉢の数を数えて植物の詳細や頼まれごとをメモすると、部屋の片隅に置いてあった如雨露で水をやって、部屋を出た。

 戻り際にナースステーションを覗くと、やはり事務仕事をしている婦長が見えた。]

 ──婦長さん。ちょっといいかな。

[顔見知りの彼女に声を掛けて、もし彼が部屋を引き払うことがあったとしても、鉢植えだけは置いておいてくれるようにと交渉する。]

 うん、停止条件付きでね、もらったんだ。
 だから、勝手に棄てちゃだめだよ。

[そんな念押しをして、保護の約束を取り付けて。

 それから、中庭やら裏庭やら、とにかく病院内の地面を探して歩いた。

 ──途中で患者の誰かと会えば、トレイルからの頼まれごとを共に覚えていてほしいと伝えて**]

(3) 2015/06/13(Sat) 03時頃

【人】 トレーサー キルロイ

[医師を呼んできて、トレイルの処置を願う。
明らかに症状が重篤化している彼に、
それでも別れたくない――とは、願えなかった。

後は淡々と進められていく彼の診察と転出の段取りを、
呆然と眺めていることしかできない。
途中、彼の意識が浅く覚醒したのだろうか。
何かしらの反応が見られれば、ひとまずは安堵したのだが]


(………笑ってる)


[彼の顔は酷く安らかに見えた。
理由は当然分からない。
けれどその笑顔を見て、何故かとても苦しくなる]

(4) 2015/06/13(Sat) 03時頃

【人】 トレーサー キルロイ

[最後、忘れ物、と零された言葉]


 あっ。


[医療スタッフは、
お構いなしにトレイルを運んで行こうとする。
取り残されたままの、本と紫苑とトートバック。

迷わず紫苑の花を手に取って、彼の顔の傍らへと添える。
すぐに振り落とされてしまったかもしれないけれど。
せめて微かな香りだけでも、彼に届いていれば良い*]

(5) 2015/06/13(Sat) 03時頃

双生児 オスカーは、メモを貼った。

2015/06/13(Sat) 03時頃


トレーサー キルロイは、メモを貼った。

2015/06/13(Sat) 03時頃


【人】 透明女子会 ヒナコ

― 昨日

[タルトちゃんに鎮痛剤を打つせんせい。
 隔離施設につれていく、という言葉をきいて
 わたしは「やっぱり」という諦念と
 「どうして」という
 どうしようもない無力感に襲われていた。

 どうしようもないのだ。

 わたしはタルトちゃんの頭を一つ撫でると、
 描いた絵をそっと渡して、
 連れられていく彼女の背をみおくった。

 タルトちゃんを落ち着かせてくれていた
 オスカーさんに、ありがとうとごめんなさいを言った。
 同い年に見えても、やっぱりオスカーさんは大人だ。]

(6) 2015/06/13(Sat) 12時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[ わたしは何も手につかず、
 ふらふらと自室に戻って、書き物を続ける。

 トレイルさんも体の結晶化が進んで
 運ばれたと知るのは、
 彼が紫苑とともに搬送された後。

 かなしかった。
 けっきょく数日前言葉を交わしたきり。
 あの静かで優しい瞳を思い出して
 ――かなしいのに、疲れてしまっていた。

 ずっとずっとこのびょういんにいて
 なんどもなんども、離れるのを経験してきたのに
 いまになって心を揺さぶられるのは何故だろう。

 そっと拾いあげたローズクォーツ>>1:2を見る。
 心配してくれた彼女も最早いない。
 目を背け続けて来た事実からは逃れられない。]

(7) 2015/06/13(Sat) 12時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[記憶の中のナナちゃんの笑顔に縋る。
 ひどく無力。わたしはいったい何してるんだろう。
 ………ぎ、と歯を食いしばった時。
 
  ( ……あ、)

 嫌な音が聞こえたから―― *]

(8) 2015/06/13(Sat) 12時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

 

「カムパネルラ、僕たち一緒に行こうねえ。」

 ジョバンニが斯う云いながらふりかえって見ましたらそのいままでカムパネルラの座っていた席にもうカムパネルラの形は見えずただ黒いびろうどばかりひかっていました。ジョバンニはまるで鉄砲丸のように立ちあがりました。そして誰にも聞えないように窓の外へからだを乗り出して力いっぱいはげしく胸をうって叫びそれからもう咽喉いっぱい泣きだしました。もうそこらが一ぺんにまっくらになったように思いました。』

       ――『銀河鉄道の夜』

(9) 2015/06/13(Sat) 12時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

― 夜 「   」の部屋 ―

[小さく開いた窓から夜風が吹き込む。

 ぱら、ぱら、と机上に開かれた本の
 夜色を吸い込んだ頁がひとつひとつ捲れていく。

 散乱したレター用紙。

 転がったシャープペンシルに消しゴム。

 ベッドの上には、大きな大きな蒼い翅の蝶が一羽。

 その腕の中、表紙のない絵本が一冊。*]  

(10) 2015/06/13(Sat) 12時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[わたしはれっしゃにのっていた。
 ごとん ごとん とゆれる ざせきのうえ
 そらにはたくさんのほしがさいていた
 それはよくみると しおんのはなのようだった。

 ねえ、しってる? 
 しおんも、ほしも、あすたーっていうんだって。
 かたちがよくにてるから そういうんだって……。

 にんげんのわたしの
 めのまえには だれかがすわってる
 それはつれていかれた「みんな」にみえた。]

『どこまでもどこまでも、一緒に行こうよ。
 わたし、あのさそりみたいに
 ほんとうにみんなのしあわせのためなら
 なんど体を焼いたってかまわない。』

[かたりかける。むかいのひとはくちをひらく]

(11) 2015/06/13(Sat) 13時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ


   『だけどここで降りなけりゃいけないの』

『どうして……?』

   『神さまが仰るんだよ』

『そんな神さまうその神さまだよ』

[きてきがなる。
 「いかないで」というと、そのかげはくびをふる。

 せんせいがはいってきた。
 「さあ降りるんですよ」とせんせいがいった]

(12) 2015/06/13(Sat) 13時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

 
 まって、せんせい。
 わたし、わたしね。
 どこまでだって行ける切符持ってるの。
 みんなといっしょに、
 どこまでも、
 どこまでだって!
 いっしょにいけるの……。

 ……ヤメテ。
 ツレテイカナイデ。
 サミシイノ。サミシインダヨウ……。

(13) 2015/06/13(Sat) 13時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[てをのばす。「みんな」はどこかへきえていく。
 つのをもっただれかさんまでつれていくと
 わたしをふりかえって、せんせいは、ひとこと]

『なにいってるんだい
 きみはとっくのむかしにむしけらじゃないか
 みんなとはちがう、ただのむしじゃないか……』

[そういった。
 がらんどうのきしゃのなか。
 のこされるのは、わたし。]




[   ああ、  そう、  だった。
     わたしは、 ……………。    ]


[             ぐちゃり。]

(14) 2015/06/13(Sat) 13時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

― 朝 ―

[ぱちりとそれは目を醒ます。
 髪をゆるく振り朝陽に目を細め
 かつてと同じように、身軽にベッドから降りる。

 それから白いワンピースを揺らし歩き、転び、
 それでも歩いていく。時には四つんばいで。
 大事そうに絵本を抱きしめ
 それから大きな大きな蒼い翅を震わせながら
 中庭の方へと歩いていく。**]

(15) 2015/06/13(Sat) 13時頃

透明女子会 ヒナコは、メモを貼った。

2015/06/13(Sat) 13時頃


【人】 トレーサー キルロイ

[学校からの帰り道、路地の隅で死んでいる鴉を見た。
傾きかけた陽の光が遠くの町のビル群に重なって、
周囲を目が痛いほどの茜色に包んでいた。

――――――カンカンカン。

踏切の音が鳴る。電車が通り過ぎていく。
開発の進んだ都市群から少し離れた田舎町。
コンクリートと自然の緑が混在した、半端な町で。


――――――カンカンカン。


二台目の電車が通り過ぎても、
未だ鴉から目を逸らすことは出来なかった。
……いや、果たしてそれは鴉だったのだろうか。
黒い翼の在るべき場所には、
歪に曲がった腕のようなものが見えた]

(16) 2015/06/13(Sat) 13時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[空から数羽の鴉が新たに舞い降りてきた。
野生生物の間では、共食いは珍しいことではない。
ただ、病気の個体を食べることは無いのだが。
鴉の亡骸に群がっていた鴉は、
また直ぐに何処かへ飛んで行ってしまった。


――――――カンカンカン。


翼を失った鴉は、何処にも行けない。
死して仲間の糧になることすらできず、独り。
恨めしそうな黒い瞳には、最早何も映らない。

――――――カンカンカン。

踏切の音が五月蝿い。


――――――カンカンカン…]

(17) 2015/06/13(Sat) 13時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

―図書室―

[男は本来の目的を果たす為、また図書室に来ていた。
時折しか訪れることのなかったその場所。

それでも昔は、
ケイトリンとヒナコが一緒に本を選んでいて。
ゆりが重たそうな本の頁を捲っていて。
タルトが勉強をして、その隣にナナオが居て。

今は誰の姿もないその部屋。
昨日の騒ぎの痕跡も、綺麗に片づけられている]

(18) 2015/06/13(Sat) 13時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[昨日、タルトも"連れて行かれた"ことを知るまで、
そんなに時間はかからなかった。

まだ幼い、自分の半分くらいしか生きていない少女。
本当ならこれから沢山、
楽しい思い出を作っていける筈だった年頃の少女。
どうして現実は、こんなにも冷たいのだろう。

隔離病棟がどんな場所なのかは分からない。
あちらに送られた者達は、
どうやって日々を過ごしているのだろう。
尋ねても、医師は何も教えてはくれない]

(19) 2015/06/13(Sat) 13時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[隅の席に腰かけて、持ってきた本の頁を捲る。
鳥の生態――視力の項には、今の見え方への答えがあった。
医師には気付かれていない筈だ。
そもそも最近では不調な者が多く忙しいようで、
男自身の検診は後回し、おざなりにされている印象がある。

目に映る異常の進行が少なければ、そんなものだ。
翼の外面はずっと前に、ほぼ完成してしまっているし。
絵を描いたりもしていたから、
調子は悪くないと思われているのだろう]

(20) 2015/06/13(Sat) 13時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[そのまま頁を捲ると、
今度は鳥が空を飛ぶ翼の仕組みの概説があった。

これまでも医師から、羽ばたく練習をしてみないかなどと、
冗談だか本気だか分からないことを言われたことがある。
この人は病気を治す気はあるんだろうかと悩みつつ、
きっと忙しすぎて疲れていたんだろうと結論していた。
基本的には、医師には感謝している。

あの時は、腕の機能を残すことを第一に考えていたし。
そもそも未だ翼も随分未発達だったから、
性質の悪い軽口として流してしまっていたけれど。

―――今、鴉の無表情な瞳は、
その内容を食い入るように見つめていた**]

(21) 2015/06/13(Sat) 13時半頃

キルロイは、ヒナコ、君の蒼い翅は、空を舞うことが出来るのだろうか。**

2015/06/13(Sat) 13時半頃


トレーサー キルロイは、メモを貼った。

2015/06/13(Sat) 13時半頃


【人】 露店巡り シーシャ


      白やぎさんからお手紙着いた
      黒やぎさんたら読まずに食べた
      仕方がないのでお手紙書いた
      さっきの手紙のご用事なあに

      黒やぎさんからお手紙着いた
      白やぎさんたら読まずに食べた
      仕方がないのでお手紙書いた
      さっきの手紙のご用事なあに
                         』

(22) 2015/06/13(Sat) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

― 失われた最後の頁>>2:131 ―

その本の中には他愛ない日常の欠片が詰まっていただろうか。

――最後の頁にたった一行だけ。
名前の一つも、宛先もない言葉がつらつらと並ぶ。
"  "は見るのすら厭うた"シーシャ"の文字。


 『 誰が忘れてしまっても私だけは忘れない。
               あなたを。 あなたの記憶と一緒に。 』


届かぬ手紙が"  "の目に触れることはもう、ない。

(23) 2015/06/13(Sat) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

― 「その日」の夜 ―

["また"誰かがいなくなったことを「  」は知らない。
唯、道の半ばを過ぎるときにほんのりと香った
"     "の匂い>>5にすっと赤い目を細めただけだった。

いなくなる。わすれる。おぼえていない。
昨日いなくなったのは?一昨日は?一年前は?
ぐちゃぐちゃと記憶が溢れて、零れる。

歌を唄う人。彼女は黒い手袋をしていたっけ。
本と文字を愛する人。感情を言葉に置き換えていた、人。
騒々しいピエロも、それを慕っていた人の姿ももうない。
涙の代わりに鉱石の零れる無表情な顔。
落ちた涙の色は何色だった?――その目の色は?

歩くたび、ぽろり、ぽろりと記憶の砂は落ち、欠け、消える。
それから、遠く、遠くに運ばれるものを見て。淡い色を見て。]

(24) 2015/06/13(Sat) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ


  「 みいらちゃん? 」


[口を衝いた言葉の意味が分からずに首を傾げた。
それは、名前だったか、アダ名だったか。
それとも、両方を兼ねるものだったか。
分からずのまま、ふいと顔を背ければ歩き出す。

道程の半ばで或る少女もまた、いなくなったことを知る。
無邪気な笑顔の愛らしい少女だった。
最後に顔を合わせたのは――いつだっけ。
喧騒の中に混じる"タルト"という単語。少しだけ、思い出す。

ぱきん。

また、何かが剥がれ落ちていくような音がした。]

(25) 2015/06/13(Sat) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[
     がり がり

                  がり。


その夜。
「  」は廊下の一角で壁を傷付ける。
今までと同じように、深い爪痕を残し、"記録"する。
けれど、その中身は空っぽ。

壁にキズが増えても、赤い赤い色が腕を伝っても、
爪の間に塗料が食い込んでも、一言も上げず、唯

その行為にどんな意味があったのかも分からず、
爪痕が何を残すのかも分からず、
ただ ただ 壁を削り取ることをやめない。

                「  」が最後に失くしたものは――…]

(26) 2015/06/13(Sat) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[壁の傷痕は醜く爛れ、やがて気触れる。
赤い歪な模様の残る壁を残して、「  」は立ち去る。

 紅い雫すら落ちない指先が痛みを感じることはない。
 「  」の右手のひらにはもう何もない。

       「  」はふらふらと自室へ戻る。
          左手の中に鈍色の鍵をしっかりと握ったまま。*]

(27) 2015/06/13(Sat) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

*[ 誰かが言いました。

 『 どうして二人で仲良くできないの? 』

            「 そうするしかないからだよ。 」

 『 どうしてあの子はいなくならなくちゃいけないの? 』

            「 かみさまがそう決めたからだよ。 」

 『 かみさまはおねがいを叶えてくれないの? 』

            「 かみさまは何時も見ているだけなんだ。 」

 『 そんなかみさまなんて、しんじゃえ。 』             ]*

(28) 2015/06/13(Sat) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

― 泡沫の夢 ―

夜更け、自室へと戻った青年は眠りに就く。
そして、夜明けが訪れるまでの間、泡沫の夢を見た。

それは"私"でありながらシーシャではない過去。
「  」の失くした記憶とそこに宿る感情。

唯一の"希望">>1:301を信じようが信じまいが、
何も信じられなくなる日がいつかくる。
何もかも忘れて自分でなくなる日がいつかくる。

いつの日か青年の中にはひとりきり。
青年はシーシャになる。
そして、ある日突然"私"も"オレ"も消えてしまう。

(29) 2015/06/13(Sat) 16時頃

【人】 露店巡り シーシャ

目蓋の裏に誰かの口笛が泳ぐ。
閉じた窓の外で夜風がさやさやと音を立てる。

青年は眠り続ける。
離れたふたつの意識は溶けて一つになる。
失われた記憶は混じり合いひとつになる。
別れた感情は欠けたまま、戻らない。

明け方には消えてしまう泡沫の中に浮かぶのは
かけがえのない思い出と、忘れないでという言葉。
そして――青い翅持つ誰かとの約束。

青年は眠る。
未だ醒めぬ意識のうちで羊が一匹 跳ねた。*

(30) 2015/06/13(Sat) 16時頃

【人】 露店巡り シーシャ

― 翌朝 ―

[眼開けば、頭の深部を突き刺すような頭痛が走って、シーシャは思わず顔を顰めた。
窓から降る陽光が眩しく、目を細める。

懐から紫色の錠剤を数錠取り出し、がりがりと齧れば酷く苦い。
数日前に同じものを渡したメルヤがこんな飲み方をしていなければいいと思う。
多用は禁止。用法用量を守りましょう。
そんな言葉を一切守っていないシーシャが口に出来た義理はないが、そう、思う。

本来ならば一錠で事足りる薬。
それが、三錠、四錠と増えていったのは何時からだったか。
今となっては五錠前後を飲まなければ、効かない。
胃に穴が開かないのが不思議だと、自分でも思うほど。]

(31) 2015/06/13(Sat) 17時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[水を飲まずに飲み下すのは習慣のようなもの。
シーシャに限っては何時どこで痛みが起きるとも知れないからと。

暫くして痛みが少し落ち着けば、シーシャはベッドを降りる。
ばきん、と肩を鳴らして伸びをして、あー、と確かめるように声を出せば適当に身支度を整え廊下へ出た。

手の中に握り締めた鍵は今は服の中に眠る。]

(32) 2015/06/13(Sat) 17時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

     『 さぁ、生きるために行こう。
         誰一人も置いていかないよ。

             生きるが故に逝くだろう。
                 いつかまた会える。
                    どこまでも生こう。 』

(33) 2015/06/13(Sat) 17時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[廊下へ置き去りにする独り言を聞いているものはきっといない。
シーシャはどこへ向かうでもなくふらりと歩き出す。

歩きながらに思う。今日は何も起こらない日であれと。
…ここ数日、あまりにこの場所には人がいなくなりすぎた。
がらんと静まり返る廊下はひどく"寂しくて"。
いなくなってしまった顔をひとつひとつ思い出しながら、歩く。

その最中、中庭へ至る道で蒼色が過ぎって。>>15]


  ……ヒナ、  ?


[と、名を呼ぶものの相手は止まるかどうか。
どこか軽い動きに違和が過るけれど、口には出さぬまま。**]

(34) 2015/06/13(Sat) 17時半頃

露店巡り シーシャは、メモを貼った。

2015/06/13(Sat) 17時半頃


【人】 双生児 オスカー

── よる ──

[眠るオスカーの鼻から、ふわりと抜け出すものがある。

 それは小さな妖精の姿をしていたり、ゆらゆらと揺れる花の形をしていたり。
 中には意味のない形のふわふわした何かだったりと様々だ。
 幻想のように淡い光を纏ったそれらは、締め切られた窓や目の前にある壁などないもののようにふわりふわりとあちこちへ散らばって行く。

 楽しげにぴょんぴょんと跳びはねて*]

(35) 2015/06/13(Sat) 21時半頃

【人】 双生児 オスカー

[──人の記憶には種類がある。

 意味を記憶するもの、エピソードを記憶するもの、行動を自動化するもの。
 オスカーの脳裏から、真っ先に抜けだしていくのは、固有名詞やエピソードの中身だ。

 あれがあった、これがあった、という字面だけは比較的後まで残るが、それをどういう経緯で、何を話して、何を思ってそうなったかは覚えていないことが多い。

 そして、しばらくすればその字面すらも消えていく。

 残るものは何もない。]

(36) 2015/06/13(Sat) 21時半頃

【人】 双生児 オスカー

[──覚めない夢。

 この病気に罹患してからの生活は、ずっとそんなイメージが続いている。

 感覚は多分子どもの頃に戻ったよう。
 頭の中には骨組みだけが残った記憶。

 いろんなことがあったはずなのに、欠けてしまったものが多くて。

 点と点をつなぎ合わせて、想像力で形を作って、オスカーはそこにいる。

 同じ病に罹った患者達が、十代前半から半ばくらいの見かけになってすぐに消えていくのは何度も見たはずだけれど。

 それを怖いとか悲しいとか思う気持ちは元々なくて。

 自分もあぁ、そろそろかな、なんて思うのみ*]

(37) 2015/06/13(Sat) 21時半頃

【人】 双生児 オスカー

── あさ ──

[外で──が鳴いている。
 ぴぴぴ、ちちち、と楽しげに。

 さて、あれは何だったっけ。
 そろそろ一般名詞まで欠けだしたか。
 そんな感想をぼんやりと。

 手のひらを目の前にかざせば、一回り細くなった腕が映る。
 筋肉の凹凸の薄くなった腕は、だいたい12歳頃のものだったろうか。]

(──この頃は性徴が大きい時期だから、判りやすいな。)

[穏やかに、ただそんなことを思う。]

(38) 2015/06/13(Sat) 22時頃

【人】 双生児 オスカー

[起き出して身長を測ろうとすると、そこにメモが一枚貼られている。

『○○○号室の鉢植えに水をやること、可能ならば移植すること』

 それに目を通して、昨日の自分からのメッセージだと見当をつけた。]

 ……あぁ、大丈夫だよ。
 トレイル、君に頼まれたことはまだ覚えている。

[自分がこれを貼ったことは全く覚えていないけれど。

 背を測れば、昨日より10センチも縮んでいたから、少しだけ急いで部屋を出た*]

(39) 2015/06/13(Sat) 22時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[それはど黙して軽快に廊下を歩いていく。
 真白であった筈の壁に刻まれた記憶を見て
 それは目を細めるも、すぐにまた歩きだす。
 それにとっては、壁の傷はただの傷だ。

  『不知周之夢爲胡蝶與 胡蝶之夢爲周與』

 朝陽が白い病院内をぼんやりと照らしている。
 ナースが昨日去っていったものたちの
 部屋を片付けている。
 どこかで紫苑の花が咲いている。

 ちちちと鳴く鳥の声が聞こえる。]

(40) 2015/06/13(Sat) 22時半頃

ヒナコは、キルロイの漆黒の羽、を少し、思い出して、すぐに忘れた。

2015/06/13(Sat) 22時半頃


【人】 透明女子会 ヒナコ

  「……ヒナ、  ?」

[声がする。くすんだ白髪の「  」が、
 指先を紅く染め傷つけながら、
 様々な記憶を取り零しながら、
 そこに立っている。

 蒼い翅したそれは無視して
 中庭に進んでいこうとして
 ぴたりと止まると

 絵本を抱えなおし
 「  」>>34の方をじっと見て
 小さく首を傾げてみせた。] 

(41) 2015/06/13(Sat) 22時半頃

ヒナコは、シーシャをじっと見つめている*

2015/06/13(Sat) 22時半頃


透明女子会 ヒナコは、メモを貼った。

2015/06/13(Sat) 22時半頃


【人】 露店巡り シーシャ

[蒼い翅が揺れる。>>41
無機質な目。黒々と複眼のような闇色が此方へ向く。
その華奢な腕の中には絵本。――表紙は、ない。  ]


               ( ――――……やくそく )


[ちり。と小さな音と記憶の一部が燻る。
けれど、シーシャはそれを無視する。
置いてき(思い出し)た自らの記憶を振り返らない。
記録と化した記憶はシーシャには記録以上にはならない。]


  ――よォ。
     そんなに大事そうに絵本なんか抱えてどうしたよ。


[薄く笑みを浮かべて尋ね、くすんだ蘇芳の双眸を眇めた。
絵本の中身を抱えた腕越しに視るように。]

(42) 2015/06/13(Sat) 23時半頃

露店巡り シーシャは、メモを貼った。

2015/06/13(Sat) 23時半頃


【人】 トレーサー キルロイ

―図書室―

[本を読み耽ってどれ程経ったのか。
ふと視線を感じて、緩やかに顔をあげる]

 ………………。

[其処にはまるで絵本の中から抜け出してきたような、
小さな可愛らしい妖精がいた。
淡く神秘的な光に包まれたまま、優雅に踊る。
無邪気な笑顔。心から、幸福そうに。

それがオスカーの記憶の欠片だということは、
直ぐに理解した。
抜け出す幻想の一部を見かけるのは、
初めてではなかったから]

(43) 2015/06/13(Sat) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[妖精はくるりくるりと舞い終わると、
お行儀よくお辞儀する。
それから最後に、男に向かって手を差し伸べた]


 君は、何処に行くの。


[意味の無い会話。これはきっと唯の幻想。
それでもゆっくりと黒い翼は伸びて、
その儚い指先に触れた]

(44) 2015/06/13(Sat) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[触れた瞬間、妖精は霧散するように目の前から消えた。
代わりに現れたのは――何より愛しい人の姿。

白昼夢。
これは現実ではない。幻覚ですらない。
自分の願望が見せている、一時の夢。

焼け付くような腕の痛みだけが妙にリアルで。
骨が擦り切れ砕ける音を、聞いた気がする。
頬を冷や汗が伝う。
痛みと消耗で朦朧としているのか。

それならそれで構わなかった。
幻想の中の彼女は、
記憶の中に咲く彼女に違いなかった。
哀れでも滑稽でもいい、どうか、消えないで]

(45) 2015/06/13(Sat) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ


 ……手を離してしまって、ごめん。

[掠れた声が響く。誰もいない広い図書室]

 助けられなくて、ごめん。何も出来なくて。

[ふらりとよろめく、君の姿が、霞む]

 君は沢山のものを、俺にくれたのに。
 俺は何も、返すことが出来なくて。

[がたんと音を立てて、読んでいた本が床に落ちた]

 それでも、好きなんだ。大切なんだ。
 嘘じゃない。
 本当に、本当に、大好きで。

(46) 2015/06/13(Sat) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[声が震える。気づけば涙が両目から溢れて、
頬を止め処なく伝っていた]

 君が最後に、笑っていてくれたから。
 だから、俺も笑おうと思ったんだ。

 君が俺の絵を、好きだと言ってくれたから。
 だから、もっと沢山描こうと思ったんだ。

 君と一緒に、外の世界へ逃げ出したくて。
 だから、空を飛べたらと思ったんだ。

 それなのに………、

[乾いた笑いが木霊する。
幻想の中の彼女は、ただ、黙って此方を見ている]

(47) 2015/06/13(Sat) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ


 なにも、出来ない。何も出来ないよ。

[その場に膝を付く。

泣いているのは、痛みが酷い所為だ。
きっとその所為だと。
頭の中で、意味のない強がりをする]

 俺のこと、忘れて欲しくないと思ってた。
 今だって思ってる。
 でも、もうそうでなくても良い。
 どうなったって、良いから。

 …………君の心が、救われますように。

[ぐちゃぐちゃな心の内を吐き出して、
黒の瞳は僅かに力を取り戻す]

(48) 2015/06/13(Sat) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

 俺は、忘れない。

 君の全てを、忘れない。

 君と過ごしたこの施設での日々を忘れない。

 誰のことも忘れない。

 忘れられても、忘れることを望まれても。

 俺がどうなってしまったとしても。

 
 ――――…絶対に、忘れない。

(49) 2015/06/13(Sat) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[何時の間にか、妖精も、彼女の幻も消えて。
あの穏やかで優しい微笑が見られなかったことを、
少し残念に思った。

男はゆらりと立ち上がると、歩き出す。
図書室も思い出の詰まった場所ではあるけれど。
此処は地下だ、日の光が差さない。

今は、空が見たい*]

(50) 2015/06/13(Sat) 23時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[じっと、月の色に似たくすんだ白髪を見る。
 視線を落とす。黒い角は長さを増している。
 蘇芳の双眸は笑みに眇められて、
 絵本の方を見つめている。]

  …………ヤ。……ク。
  ソ。 ク 

  ?

[それは一音ずつを確かめるように口にすると、
 黒い瞳に、青年の姿を映し出し
 また小さく首を傾げて、
 絵本のページをぺらり、ぺらりと捲った。]

(51) 2015/06/14(Sun) 00時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

>>1:169

すべてをつたえたとき 女の子が言いました
女の子はぎらりとひかる銀のナイフを手にしていました


  『 わたしが わたしのままでいるうちに 』  』

(52) 2015/06/14(Sun) 00時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[一つの頁を見つめると、
 それは本を閉じ、ゆっくり青年に歩み寄ると、
 その袖を一度引く。]

   ヤ。ク。ソ。ク。

[ふわりと綻ぶような笑みを浮べたのは一瞬。]

    …………。

[ またもとの無表情に戻ると、光に誘われるように
 中庭の方までふらふらと走っていく。]

(53) 2015/06/14(Sun) 00時頃

【人】 双生児 オスカー

── →トレイルの部屋→ ──

[足早にトレイルの部屋に向かう。

 辿り着いたそこは既にほとんどが引き払われていたけれど、紫の鉢植えと如雨露だけが取り残されている。]

 ……ひとまず、私の部屋に運んでおこうか。

[腕まくりをして、しばらく移動作業に励んで。

 あらかたそれらを持ち出したあと、最期の一つと共に中庭へ出た。

 ──花壇にいくつか花を追加するくらい、怒られることもないだろう。
 キク科の植物は強いから、とりあえず植えてやれば根付くし増える]

(54) 2015/06/14(Sun) 00時頃

【人】 双生児 オスカー

[探してもスコップはなかったから、花の名前を書いた看板をむしり取ってスコップ代わりに使った。

 一鉢植え替えて水をやればふぅと一息。

 そして自室に戻りを一つ抱えてくる。

 そんなことを何度か繰り返しているうちに、ふらりと中庭に出てくる少女>>53と角の生えた青年を見かけて立ち止まる*]

(55) 2015/06/14(Sun) 00時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[約束。>>51
たどたどしい言葉にシーシャは一瞬目を瞠って、伏せる。
捲られる本の頁を見ることも、捲る手を止めることもしない。]


  ――――……そいつァ、俺の預けた本だったな。


[確認するように呟くけれど、答えはない。
頁を捲る音だけが静かな廊下に響く。]


  『 わたしが わたしのままでいるうちに 』


[止まった頁には一文。
廊下が再び静まり返ればシーシャは顔を上げて、それを見た。]

(56) 2015/06/14(Sun) 00時半頃

【人】 露店巡り シーシャ


  ――…約束。


[シーシャは拙い言葉を繰り返すように囁く。約束。約束。
袖が引かれれば、見下ろす顔には笑み。>>53]


  ……付いてこいって?


[その表情は直ぐに消えてしまってその場には残り香だけが漂う。
覚束ないと形容するに正しい足取りで走っていくその姿を止めることはできなくて、シーシャもまた後を追う。

中庭へ着いたとき、その場には先客>>55がいた。]

(57) 2015/06/14(Sun) 00時半頃

【人】 露店巡り シーシャ


  お早う。 何してんだ?


[看板片手>>55の、見た目は子供、頭脳は大人の少年を見下ろせば、シーシャはそう問い掛ける。
目だけは蒼い蝶の翅の方へ、うろうろ、うろうろと。]

(58) 2015/06/14(Sun) 00時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ


[青年の囁きにも、問いかけにも、
 答えることはできない。

 傷だらけの壁ばかりの廊下を走る間、
 看護師が胡乱げな目で蒼い翅を見ていた。]


[中庭はきらきらと光に満ちていた。
 白壁が太陽の光を反射して眩しかった。
 木の葉と草を撫ぜていく風が心地よく
 どこかで鳥が鳴く声がした。

 さわさわと花壇に新しい花が揺れている。>>54

 青い空は手を伸ばせば、どこまでも届きそうで、
 届かなかった。]

(59) 2015/06/14(Sun) 01時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

 『キルロイさんの翼やわたしの羽は、
  育てば飛べるようになるのでしょうか。

  小さな頃は蝶になりたかったなあ。と思い出すと
  なんだか複雑な気持ちになるのです。』

[――文通した手紙の一枚に、
 少女はそう記したことがある。
 それももう、それにとっては、 ]

(60) 2015/06/14(Sun) 01時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[ 紺色が目に留まる。>>55
 思い出したようにポケットの中の
 レター用紙をひとつ開くと

 何してんだ、と問う青年の声がする。
 向けられる視線に振り向いても無表情のまま>>58

 それは、生えているマーガレットを一輪摘み取って
 オスカーにそっと差し出す。

 受け取られなければ花はそのまま
 手のひらから
 ぽとりと零れ落ちていくだろう。]

(61) 2015/06/14(Sun) 01時頃

【人】 双生児 オスカー

 ……やぁ。
 これかい?
 花の植え替えをやっているんだ。

[ちょうど抱えていた、空っぽの鉢を示して、植え替えの終わった花たちを目で示す。]

 トレイルに世話を頼まれたんだけれどね。
 私もいつ消えるか判らない身だから。

[そんなことを言ってさらりと笑う。
 青年の目が少女──あれは誰だったっけ──の方をちらちらと見ているのを察して少し首をかしげた。
 あのこのことが気になるのだろうか。]

(62) 2015/06/14(Sun) 01時頃

透明女子会 ヒナコは、メモを貼った。

2015/06/14(Sun) 01時頃


【人】 双生児 オスカー

[彼の視線に吊られるように彼女に目を向けると、彼女もこちらを向いて、じっとこちらを見ていた。
 すっと花の咲いている花壇に寄ると、一輪手折ってその手を差し出してくる。]

 ……私にかい?

[反射的に手を出せば、ひらりと落とされるように手渡される花>>61
 黄色い蘂と白く長い花弁のそれは、かつて少女に好きな花を問われて答えた花。]

 ……ありがとう。

[表情の抜け落ちた瞳は、背中の蒼い羽と相まってまるで蝶の複眼のようで。
 ──そのまま彼女が姿を変えて、飛んで言ってしまうのではないかという錯覚に囚われる]

(63) 2015/06/14(Sun) 01時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[花の植え替えをしている。
 トレイル。消えるか判らない身。>>62

 それらの言葉に、
 一瞬、「それ」は黒い瞳を揺らがせたが
 またすぐに無表情に戻った。

 マーガレットを摘み取って
 オスカーに手渡す。
 白い花弁がたおやかに揺れている。

 ありがとう、といわれた時だけ
 ぺこりと頭を下げた。>>63]

(64) 2015/06/14(Sun) 01時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[階段を昇って顔をあげると、
窓から太陽の光が差し込んでいた。
青く揺らめく奇妙な色だけれど、
それでも柔らかく温かい日差しだ]

(65) 2015/06/14(Sun) 01時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[
 真っ黒な瞳を泳がせて、
 ついと二人に踵を返す。
 中庭の中央まで歩いていく。
 途中で転んでも絵本だけは離さない。

 大きな木を見上げる。
 絵本を抱き込んだまま、

 蒼い翅をはためかせると、
 スリッパも履かない弱弱しい素足が、
 地面から浮き上がる。
 
 ふわりと、飛んだ。

 やがて手ごろな木の枝までたどり着くと
 ぺたりと座り込んでぐるりと木の葉を見回す。]

(66) 2015/06/14(Sun) 01時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

―自室―

[そのまま自室へと戻り、絵日記を取り出した。
シーシャに貰った方ではなく、
シーシャにあげる為に描き溜めていた方。

震える指先は、その最後の頁を埋めていく。
みんなで中庭でピクニックをしている絵。
記憶は記録に少しだけ嘘を吐く。
絵画の中では、ここ数日間で
隔離部屋へ移された者達も皆が集っていた。

その絵は線は曲がっているし、色合いも異常だった。
けれど、精一杯に描き切った]

(67) 2015/06/14(Sun) 01時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[次に、箱の中からレターセットを取り出す。
ずっとずっと書けなかった文通の返事。
まだ腕が動く内に、最後に―――。

―――ぱさり。
偶然一枚の手紙が、宙を舞った後に床へと落ちた。

 『キルロイさんの翼やわたしの羽は、
  育てば飛べるようになるのでしょうか。

  小さな頃は蝶になりたかったなあ。と思い出すと
  なんだか複雑な気持ちになるのです。』

この手紙を貰った頃より、
ヒナコの青い翅は随分と大きくなった。
それ以上の異変が起きていることを、まだ知らず]

(68) 2015/06/14(Sun) 01時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[やがて男は文通の返事を描ききると、
手紙と絵日記をポケットに仕舞い部屋を出る。

焼け付くような腕の痛みは、
もう薬でも碌に防ぎ切れはしないけれど。
懐にある紅玉を思えば、
少しだけ心が軽くなる気がした]

(69) 2015/06/14(Sun) 01時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[シーシャの言葉に返事が返ることはついぞない。>>59
中庭へ出れば建物に四角く切り取られた空が見えた。

巨木の上から吹き降ろす風は花壇に咲く花も、
シーシャの月色の髪も嬲って通り過ぎていく。

空の色は青い。
落ちていけるほど、青い。

少年への問いに揺らぐ蒼い翅
振り向いた顔は矢張り色のない表情で。

表情の欠落した瞳が少年へ手向ける花の色は――白。>>61
そのまま踵返す姿へシーシャが声をかけることはないままで。]

(70) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 露店巡り シーシャ


  ヘェ――急にまた、どうして。
  …トレイルが?


[少年の方へ向き直れば、訝しげな顔をした。>>62
風に揺れる花の淡紫を見遣れば、名前は分からず。]


  まァ、鉢植えよりは花壇の方が花も嬉しいだろうよ。
  ――…アンタが何時いなくなるとしてもさ。


[そう、告げて少年の首を傾げる様子に気付けば、ヒナコのことがちょっと、と濁した言葉で気になる旨を伝えてみる。

木の近く。ふらふらと歩く翅が地面へ倒れそうになれば>>66寄ろうともするけれど、飛び上がってしまえば手を伸ばしたとしてももう、届かない。]

(71) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 トレーサー キルロイ

―中庭―

[本当は昨日の約束の言葉通り、
まずはシーシャの部屋に行く心算だった。
けれどその道中で、黒い瞳は確りと捉えてしまった。

ふわり、ふわりと。
軽やかに空を飛ぶ、大きな翅を持った少女の姿>>66]


 ………ヒナコ?


[唖然として、そのまま中庭へ降り立った。
彼女が座った木の傍らまでやってきて、
漸くそこにオスカーとシーシャもいることに気づく]

(72) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

― ??? ―
>>59)

「7号室患者の病状が悪化しました。

ここを抜け出される前に。

奇病を広められる前に…………」

(73) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

― 中庭 ―

[寄ろうとした青年の掌にも>>71
 黒い翼を持った彼の小さな呟きにも>>72
 それは気づかず、枝の上で

 ぱさりと、一枚のレター用紙を取り出した。
 少しの間それを眺めていた。

 ふと、唇を開く。]

(74) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

 
  ア。ア。 アー。
  ゥ。 ナ……ナ。
  …………
  ………………やくそく……。
 

(75) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[声を出す事を忘れたかのように
 何度も形にならないうめき声をあげると
 ふと、何か言葉を紡ぎ出した。]

(76) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

『白い世界にひとりきり

 黒い角のちいさな少年
 爪をたてて叫んでいた
 壁を傷つけ泣いていた
 いつか涙が笑顔に変わるでしょうか

 白い世界にふたりきり
  
 銀の鎖に繋がれた
 絵本のふたご
 いつかは手を繋ぐでしょうか』

(77) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ


 いつだって世界は穏やかで
 優しい毒を流しこんで
 そうして全てを忘れてさせてく
 笑顔もぬくもりも
 届かぬ向こうにつれていく

 忘れないで

 君の瞳に花咲く日
 いつか君が忘れる日がきても

 君の瞳に花咲く日
 君に映る最後の花でいたかった』

(78) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ


 手のぬくもり 絡めた小指
 君の笑顔 

 君が忘れる日がきても

 忘れない 』

[それは歌だった。
 メロディも詞も何もかもが拙い、歌だった。]

(79) 2015/06/14(Sun) 02時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[ その歌が何を意味していたのか
 「それ」には知る由もないが

 ただ、穏やかに吹く風に乗せて
 木の上で、何かのために歌い続けていた。**]

(80) 2015/06/14(Sun) 02時頃

透明女子会 ヒナコは、メモを貼った。

2015/06/14(Sun) 02時半頃


【人】 双生児 オスカー

 あぁ、トレイルはだいぶ病状が進行していてね。
 ……部屋はもう、綺麗に片付けられていたよ。
 この鉢植えたちを除いてね。

[少しだけ、かつて男の病室があった方を見つめ、優しい声で問い>>70答える。

 彼がどうなったのかは判らないが、けれど、最後に手を振られた時のあの顔はまだ覚えている。
 終わりを悟った人間の、覚悟ともあきらめともつかない顔。]

(81) 2015/06/14(Sun) 03時頃

【人】 双生児 オスカー

 ……理由は、聞いたかも知れないけど忘れてしまったんだ。
 私は忘れながら若返っていくのが症状だから。

 何かすごい愛着を託されたかも知れないけれど、それはわからないな。

 ……けれど、大の男が鉢植えの世話をしてくれと頼むんだ。
 きっと、よっぽどの思い入れがあったんだと思うよ。

[相手の名前が誰だかはわからない。
 けれど、代名詞とは便利なもので。
 youの一言で全て代用できてしまうのは、オスカーのような人間にはひどくありがたくて。]

(82) 2015/06/14(Sun) 03時頃

【人】 双生児 オスカー

[……答えているうちに少女が舞い上がった>>66のを視界の端で見る。

 あぁ、彼女は。
 何か違うものに生まれ変わろうとしているのか。

 常識では到底考えられないその現象に、
 少女の歌うその歌に。

 人としての彼女の“終わり”を感じて、ただ。
 じっと歌に聞き入った*]

(83) 2015/06/14(Sun) 03時頃

【人】 トレーサー キルロイ

[ヒナコの様子が明らかに可笑しい。
これまでも翅は成長し続けていたが、其れ以上に。
地上よりも空に近い場所で木の枝に腰掛ける姿は、
蝶か――或いは可憐な妖精のよう。

何があったのかと問う様に一度視線を地上へ降ろして、
改めて見たオスカーの姿に息を呑んだ]


 ……オスカー爺ちゃん、また。


[縮んでいる。それも今回は、随分と沢山。
あの夢の欠片達が、彼から年月を攫っていったのか。
あとどれ位、猶予が残されているのか。

それでも穏やかな様子は、
何も変わりなく見えるけれど]

(84) 2015/06/14(Sun) 04時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[少し遠く、淡紫の花が揺れている。
鴉の瞳に正確な色味は映らないが、形と香りで分る。
昨日も見た花――紫苑、
取り残された本に書いてあった名]

 レイ兄ちゃんの花だな。

[オスカーが何故その花を移していたのか。
昨日の図書館前での遣り取りを思い出し、
何となく理由に思い至る]

 元気に育つと良い。

[青空の下で、いつまでも]

(85) 2015/06/14(Sun) 04時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[ヒナコの異変を見て、
シーシャも動揺し心配しているように見えた]

 兄ちゃん、早く何とかしないと。
 先生に見つかる前に。

[彼女の安全を考えれば医師に相談すべきだろう。
そう思う。そう思うのだが、そうする気にはなれない。

ケイトリンが連れて行かれてしまったときのこと、
トレイルが運ばれていった時のことを思い出す。
あの事務的な、何処か寒々しい様子。
彼らは感傷の為の猶予はくれはしない。
それはきっと、ある側面で正しい。
……だけど、]

(86) 2015/06/14(Sun) 04時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[それでは駄目な気がする。
頭の中で思考をめぐらせていると、
不意に少女が声をあげた。

最初は意味のない音。次に単語。そして最後は、]


 ……………。


[それは歌だった。
彼女の想いを閉じ込めたような詩だった。
誰へ向けられたものなのかは、直ぐに分った]

(87) 2015/06/14(Sun) 04時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[穏やかな風が吹いている。
酷く優しい風だった。
歌声はずっと続いている。

男は黙ったまま、数歩後ずさる。
そしてちらりと、シーシャの姿を見た。
二人の間で交わされた約束も想いも知らなかったけれど。

黒い翼を風に揺らしながら、二人を見守る**]

(88) 2015/06/14(Sun) 04時半頃

【人】 露店巡り シーシャ


  あァ、…そうか。
   連れて行かれたのは知ってたケドよ。
     花は――残ってたんだな。


[シーシャはあの"ミイラちゃん"が花なんて自室に置いていたとは知らなかったから、素直に驚いた。>>81

年の近い割に達観したところがあって、シーシャがころころと"代わって"も動じない人だった。
最後に顔を突き合わせたのは――朝食のきしめんが包帯に似ている>>0:103なんて話をした時だった。

アダ名が名前にならなきゃいいな>>0:95とかなんとか言った気がするが、もしかしたら、今は本当に"ミイラちゃん"かも知れない。と。ふと、心に過ぎった。

淡紫の花の花は群生してそよそよと揺れている。
…花は喋らない。ただ風に揺れているだけだった。>>4:156]

(89) 2015/06/14(Sun) 05時頃

【人】 露店巡り シーシャ

[シーシャは眼前の少年の名前を知っている。>>82
けれど、長話を交わすということはあまりなく、名前"だけ"を知っているに等しくて。
数日前にその名前を口にした口は今は名前を紡がない。]


  ――…まァ、忘れっちまったなら仕方ねぇ。
    それでもよ、こいつがココにあるってだけで、


[一旦花々を見下ろして、シーシャは続けた。]


  この花に思い入れがあるってェなら十分だろうよ。
   ココならよっぽどのコトが無きゃ枯れそうにねぇし。


[だろう?と同意を求めつつ、足音>>72に振り返ればそこには一日ぶりの弟分の顔。
よォと手を振れば"声">>75が聞こえて、樹上へと視線を戻した。]

(90) 2015/06/14(Sun) 05時頃

【人】 露店巡り シーシャ

[枝の上で揺れる蝶の翅をシーシャの蘇芳色の瞳は見上げる。
ばさりと固い音が聞こえた。――紙の音、だろうか。>>74
直後、意味を成さぬ声が風に乗ってシーシャへ届く。

音の羅列に混じる"やくそく"の言葉が耳朶を這う。


その時、体の奥深く。どこか見えぬ場所で音が鳴る。]

(91) 2015/06/14(Sun) 05時頃

【人】 露店巡り シーシャ

            [ ……ぱりん。 ]

(92) 2015/06/14(Sun) 05時頃

【人】 露店巡り シーシャ

           
 『 約束。 やくそくだよ 』

              『 ぜったい、うたうから ききにきて 』


 「 約束だ。 」

          「 もし、オレがオレを忘れてしまったとしても、
               "私"しかいなくなったとしても、きっと 」 


  ( 忘れない。絶対に、思い出すから――――…… )
          

(93) 2015/06/14(Sun) 05時頃

【人】 露店巡り シーシャ

[記憶の奔流は一瞬で通り過ぎ、後には何も残らない。
シーシャはハッとしたように目を瞠ったけれど、
過ぎていった記憶の端を掴むことは出来なかった。
その間に話しかけられたとしても気付かなかっただろう。>>86

そうしているうちに樹上の"声"はやがて歌に変わる。]

(94) 2015/06/14(Sun) 05時頃

【人】 露店巡り シーシャ

[それは、確かに歌だった。
荒削りの、けれど想いのこもった歌だった。

穏やかに吹く風が中庭を渡っていく。
不意に、目の奥が熱く。熱くなる。
堪えきれずに瞬けば一筋、頬を水滴が伝って。

流れていく液体は奇妙な温かさを伴って、落ちる。
次々と溢れるそれを止めることもせず、
シーシャは繰り返される歌を聴いていた。

いつまでも、いつまでも聴いていた。**]

(95) 2015/06/14(Sun) 05時頃

露店巡り シーシャは、メモを貼った。

2015/06/14(Sun) 05時頃


【人】 透明女子会 ヒナコ

― 回想:夜・自室 ―

>>8)
[その拙い歌を書き終わった時、
 ぶちりと嫌な音がした時。

 ぐるぐると視界がまわって、
 からん、と手にしていた
 シャープペンシルが転がる音がした。
 蒼い羽が、大きくなるのを感じた。

 めきめきと育つのは
 「わたし」ではない何か。
 ばかなわたしは、唐突に自分の”終わり”を悟る]

(96) 2015/06/14(Sun) 10時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

  ま、

[待って。まだ、約束を果たしてないの。
 ナナちゃんと交わした約束。
 シーシャさんと交わした約束。
 ちゃんと果たせてないの。
 
 叫んでも、消えていく、意識。
 嫌。忘れたくない。]

[ぜえはあと息を切らしながら、
 わたしは起き上がり、シャーペンを握った。
 ベッドの上、暮れていく病室の中、
 目に付いたレター用紙を取る。

 その時、うまく取れなくて、
 用紙がベットの上に散らばった。
 かまわず必死に文字を書いた。]

(97) 2015/06/14(Sun) 10時頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[一枚目、名前の羅列。]

『……オーレリア ニコラス
  ナナ ゆり 
  ケイトリン メルヤ
  タルト トレイル
  オスカー キルロイ
  シーシャ』

[オスカー、の文字の横に
 下手くそな花のような何かと、マーガレットの文字

 他の人の名前の横にも、桃色の花や飴、
 音符、ピエロのような何か
 ――いろんなものをかいた。

 キルロイさんに絵の書き方を教わればよかったと
 おぼろげな意識の中後悔した。]

(98) 2015/06/14(Sun) 10時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[二枚目、メッセージ]

『わたしでないわたし

 えほんをあずかっています

 なかにわのおおきなきのうえで
 うたをうたってください
 どこにいてもきこえるように

 やくそくをはたしてください

 やくそくをはたしたら、』

(99) 2015/06/14(Sun) 10時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ



  ( めきり、めきり、めきり )

[羽が伸びていく音が怖い。……怖い。]

  い、や……! やだ、助け、て、
  蝶になんかなりたくな――――

[バキン、と、シャーペンの芯が折れる音と共に
 わたしの意識は*]

(100) 2015/06/14(Sun) 10時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

― 現在・中庭 ―

[ぱさり、風にあおられ、
 レター用紙が翻っている。

 木の下のひとたちは
 静かに歌を聴いてくれたようだった。
 ひとである「   」がそこにいたなら
 とんでもなく、顔を赤らめ
 ごめんなさい、と言って逃げただろうけれど。

 ひとではない「それ」は何度か歌うと、
 ぺらりと絵本のページを捲る。
 女の子の空白の言葉は、
 「   」にも「それ」にもわからないままだ。]

(101) 2015/06/14(Sun) 10時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[ 「それ」は絵本を閉じると、
 ぱ、と枝から舞い降りて、ふわと着地した。
 レター用紙を二枚とも落とした。

 涙を流す彼>>95に首を傾げると
 静かに持っていた絵本を差し出した。

 終わりが近い。
 遠くから複数人の足音がした。**]

(102) 2015/06/14(Sun) 10時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

― 回想:夢から醒めて ―

[青年の目が醒めたとき、>>31
失くしたはずの記憶が自分の中にあることに気付いた。

――…けれど、それはただの"記録"だった。
記憶のひとつひとつ、思い出せはすれど、
その中に宿る感情を思い出すことは出来なかった。

…青年は、"私"との境界が薄れ始めていることを悟った。
記憶を記録としてしか感じられないのも、そこに残った感情を感じられないのも、"私"と混ざりかけているからだと、理解する。

混ざって、砕かれて、青年の欠片はやがて消える。
今は最後の最後、星が燃え尽きるみたいに、
僅かに青年の意識が表に浮かんでいるに過ぎないのだと。]

(103) 2015/06/14(Sun) 13時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[…次に"私"に代わったら、二度と戻れない。
――それは、予感ではなく、確信だった。

どれだけ今のままでいられるのか、青年にはわからない。
一分?十分?一時間?それとも、一日?
わからないけれど、それが長くないことはわかっていた。

時間は、ない。
自分が自分であるうちに、
『 わたしが わたしのままでいるうちに 』]


                   ――――……ころして。


[絵本には書かなかった。――…書けなかった。
鮮やかに蘇るその声。その顔。空白の言葉>>101
青年は噛み締めるように口にし、それを飲み込んだ。
それから、青年は小さく歌を唄う>>33と――…、*]

(104) 2015/06/14(Sun) 13時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

― 中庭 ―

[塩辛い水が頬を伝い落ちるけれど、
シーシャにはその正体がわからない。

        ずっと昔に忘れてしまったから。
         ずっと昔に失くしてしまったから。

それでも、シーシャは"泣く"。
拙い歌に、その中に込められた想いに。


                    ( …忘れない )


確りと伝わるたった一言。

  『 君が忘れる日が来ても 』

                ――…わたしは忘れないよ。>>1:34 ]

(105) 2015/06/14(Sun) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[やがて、歌は終わる。>>101
オスカーやキルロイはどうしていただろう。
そちらへ目を向けることはしないで、
シーシャは、地面へふうわりと降り立つ蝶の翅を見詰めた。

流れる雫は未だ止まらないまま。
地面へ落ちる二枚の紙を蘇芳色が捉えたが、拾うことはせず。
差し出された絵本を受け取り、ぎこちなく手を伸ばす。

頭へ伸ばした手のひらが触れることが叶っても叶わなくても、
身を屈めれば、小さく小さく、傾げられた首元へ言葉を落とした。]

(106) 2015/06/14(Sun) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

        ――――……ありがとう。ヒナ。

(107) 2015/06/14(Sun) 14時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[確かにそれを、それだけを伝えれば遠くから足音が聞こえる。
――…誰の足音か。見ずとも、聞かずとも、分かる。
時間が、来てしまったのだと。

シーシャは涙を拭って、蝶の翅から身を離す。
けれど、くすんだ蘇芳色は黒々とした瞳を見つめたままで。]


   君が忘れる日が来ても、俺は君を忘れない。
        俺の瞳に咲く最後の花が君であるように。

     ――…けれど、君の瞳に花咲く日。
           願わくはそれが俺の姿ではないことを。


[それは歌にならない詩(うた)だった。
掠れ声で囁くそれは蒼い翅の少女にだけ届いていればいい。
…意味が分からなかったとしても、聞こえていれば、いい。
言葉を終えればシーシャはその場に佇む蒼い翅を凝視する。
目の中に留めておこうとするように。忘れないでいるように。**]

(108) 2015/06/14(Sun) 14時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[蝶の少女が歌う詩が終わる。
ふわりと地上に降り立つその軌跡、落ちる二枚のレター用紙。
寄り添う二人から少し離れた場所で、
その落し物を拾い上げる。

―――もう、分かっていたことだけど。
文通の返事は、とうとう間に合わなかったらしい。

このレター用紙をシーシャに渡すべきだろうか。
ちらりと彼の方を見る。
だけど、最早それも必要がない気がした。
だから静かに、それをポケットの中へ仕舞う]

(109) 2015/06/14(Sun) 18時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[揺らめく紫色の中、遠くから近づいてくる人影を見た。
男はもう何も喋ろうとはせず立ち尽くし、
ヒナコ、シーシャ、オスカー、
その場に居る者達を見つめていた。

このひとときを記憶することしか、
自分に出来ることは無いのだと理解して、
ただ、じっと見つめていた**]

(110) 2015/06/14(Sun) 18時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[ぎこちなく伸ばされた掌を>>106
 怖じるでもなくたんたんと受け入れ
 撫でられると、心地よさそうに目を細めた。

 青年が身を屈める。
 「それ」は、落とされた言葉>>107を、
 理解しているのかしていないのか、
 ただ。月色の髪と青年の項を見ていた。]

(111) 2015/06/14(Sun) 20時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ


[>>108

 真っ黒な目は離れる蘇芳色を追う。
 青年の唇が紡ぐ詩に耳を澄ましている。

 ひらり、蒼い翅が揺らめいた。
 ざあぁ、と風が草木を揺らした。

 「それ」は、言葉の意味を理解してはいなかった。
 ただ。]

(112) 2015/06/14(Sun) 20時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

 
   …………シー。………ャ。  さ。
 

(113) 2015/06/14(Sun) 20時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

[白い頬に透明な雫がひとつ、ふたつ零れ落ちる。
 泣きながら微笑んだ。

 唇が一瞬、「だいすきでした」と綴ったのは、
 最後に残った「ヒナコ」の残滓。

 想いはいつからか。
 その感情の名はなんというのか。
 もうわからない。]

[ ぱちりと瞬きを一つした。


 ……それで、 「おしまい。」 ]

(114) 2015/06/14(Sun) 20時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ


  ?  ??  ……?

[ 「それ」は自分の目から零れるものを
 理解できないかのように掌で拭うと
 その雫を見つめて不思議そうな顔をした。

 それから、ひらりと中庭を、楽しそうに舞う。
 キルロイの翼を見て
「あなたも飛ばないの?」といわんばかりに首を傾げる。
 オスカーの植えた紫苑の花を嬉しそうに見た。

 もはや正気ではなかった。
 「それ」がステップと共に中庭の入り口まで来た時
 現れたのは白衣の男。]

(115) 2015/06/14(Sun) 20時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ


  『ヒナコ』

[そういって差し伸べられた手を、「それ」は無視するが、
 強引に手をとられて「いやだ」というように
 翅をはためかせた。

 ひとにとって虫の抵抗とは些細なもの。
 すぐに取り押さえられ、腕に注射を射され、
 大人しくなったそれは、
 先生に手をひかれ連れて行かれる。

 オスカーにも、キルロイにも、シーシャにも
 別れを告げることなく、
 閉ざされた隔離施設への道を行く。]

(116) 2015/06/14(Sun) 20時半頃

【人】 透明女子会 ヒナコ

 
        「♪」

[唇から途切れ途切れに、
 あの歌の旋律を零しながら。**]

(117) 2015/06/14(Sun) 20時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[風の中に自らの名を呼ぶ音が混じる。>>113
シーシャは弾かれたように顔を上げて、その顔を見た。

そして見る。白い肌を伝う雫を。
その中に見える微笑みを。

                 一瞬だけ瞬いて、消えた言葉を。]

(118) 2015/06/14(Sun) 21時頃

【人】 露店巡り シーシャ

[それは瞬き一度で跡形もなく消え
後に残ったのは蒼い翅の蝶が一羽きり。

物言わぬ蝶が舞う様子をシーシャは黙って見つめていた。
やがて、白衣の姿が中庭にやってきて、その名を呼ぶ。
その時ですら、シーシャはそれを見ているだけ。

連れて行かれる蒼い翅をただ、見ているだけ。
途切れ途切れに微かに聞こえる旋律を耳に残しながら。

一度、二度とシャッターを切るように瞬いて。
それから、もう目から涙を落とすことは無かった。*]

(119) 2015/06/14(Sun) 21時頃

【人】 露店巡り シーシャ

[蝶の通り過ぎた中庭。
静まり返ったその場所で他に何か言葉が交わされたか。

       何れにしろ、全てが終わった後。
        青年はその場を静かに立ち去る。

その手にしっかりと表紙のない絵本を抱えたまま。
もう片方の手には鈍色の鍵をしっかりと握り締めて。*]

(120) 2015/06/14(Sun) 21時頃

【人】 露店巡り シーシャ

― 屋上 ―

[シーシャがここへ来るのは一日ぶりである。
昨夜は鍵が開くことだけを確認して部屋へ戻った。夜に特定の場所へ長居するのは好ましくない。何時誰に見つかるともしれないから。…もしかしたら、連れ戻されることだってあるかもしれない。

屋上へ続く扉は何なくシーシャの持つ鍵を飲み込み、開いた。
切り取られた庭に吹く穏やかな風は、ここではシーシャの髪を浚って去っていくだけ。 風に攫われてしまわぬよう、しっかりと絵本を抱えて、シーシャは屋上へと足を踏み出した。

シーシャのこの場所に関する思い出は常に"私"と共にあった。
楽しかったことも、悲しかったことも"私"の関わらぬことはなかったし、一瞬たりともその存在を意識の底から失くしたことはなかった。
自分を失うことに恐怖を覚えてはいても、"私"を消滅させてやろうだとか、消してしまおうとは思わなかったのだ。

――消えたくない。そう思っていながらも、心の裡にもう一人が棲まうことに対する拒否感を抱いたことはなかった。
記憶の奪われる恐怖、自分を失くす恐怖、感情の消える恐怖。
"私"は最後までシーシャの恐怖だけは奪ってはいかなかった。]

(121) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[自分がいなくなったらどうなるのだろうと考えない日はなかった。
"私"がシーシャになってしまうことがずっと、ずっと、怖かった。自分が消えてしまうことが何より恐ろしく、その思いが壁へ消えない傷痕を幾つも残させた。

心が自分が自分であるということを求め続けた。
躰が自分がシーシャであるという自覚を失くしても、シーシャは"自分"を見失わないために必死だった。
魂がいなくなりたくないと。忘れられたくないと哭いていた。
擦り切れて失くなりかけても、歪みきった心が生き汚く消えたくないと叫んでいた。

自分を。"俺"を残しておくために。
生きるために行こう。生きるが故に逝くことになったとしても。

それだけがシーシャを突き動かしていた。
…それだけが"私"ではないシーシャの存在意義だった。
存在意義。――そして、存在命題。

何のために生まれて、何をして生きるのか。
生きることは、嬉しい。例え、胸の奥が痛んでも。]

(122) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[
      生きたい。
                     消えたくない。

               ただ。


"私"でないシーシャのままで、生きていたい。と、そう、思う。]

(123) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[屋上はそう広くなく、空間と地上を遮る柵まではそう遠くはない。
シーシャは歩きながら目を細めた。

見上げる空は青く澄み、流れる風が薫る。ピクニックなら、此処まで来られれば良かったのに、と人知れず思う。
どれだけぶりにか、目にした病院の外の景色は何も変わってはいない。幾つか、淡紫の揺れる箇所が目に付いた。花を愛する誰かの窓から種が飛び立って行ったのかもしれない。

シーシャは一人きり、屋上に佇んで風景を眺め続けていた。
何処か遠くを見詰める蘇芳色の瞳には思い出の花が咲く――。]

(124) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

      
  『 雲雀鳴いてる??どこにいるのかなあ? 』


[タルトが目をくるくると動かして鳥を探している。
オスカーと一緒に鳥の姿を探しているようだ。あれは、中庭でピクニックもどきをしたときのことだった。
雲雀は見つかったのだろうか。その後、シーシャは寝てしまったから覚えていないのだけれど。

タルトのいる場所でも雲雀の鳴き声が聞こえればいいと思った。
幾ら訂正してもシーシャをシーシャと呼んでくれず、ソーシャしゃんと呼んでいた。
太った猫と仲のいい、愛らしい子供だった。


――…タルトをそっと心の中から消した。

            さようなら、何時も光のように明るかった子。]

(125) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

     
  『 おはようー。おっちゃん。 今日はなーに? 』


[食堂で調理師のオッサンに話しかけるナナオ。
あの日はちょうどきしめんの日で火傷をしたシーシャは熱いから気を付けろと忠告をしたのだった。
その後に医務室の近くですれ違った時にはひどく慌てていた。きっと、自分ではなくて他の誰かのために「せんせい」を呼びに行ったのだろう。
友達想いで、タルトを可愛がるいい子だった。

時々中庭で、自作の歌を歌っている様子を見かけた。
たまにトレイルと一緒にいるとき、視線を感じたような気がしたのは、トレイルを見ていたから、だったろうか。
彼女の作った優しい子守唄の旋律が好きだった。


――…ナナオをそっと心の中から消した。

          さようなら。何時も歌を心の中に持っていた子。]

(126) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

     
  『 なんだ、シーシャか 』


[トレイルが肩をすくめる。
シーシャが"私"の時も"俺"の時も、トレイルの態度は常に変わらなかった。
自分を失う恐怖に囚われ続けているシーシャにはその態度が有難かった。それと同時に、同じ恐怖を抱えているはずの彼が平静でいることに嫉妬のようなものを抱いていた。
トレイルもまた、何時かどこかのピエロに似たような思いを抱いたことをシーシャは知らない。

花を後生大事にしていたことも知らなかった。
年が近いからか、たまに話すことはしたような気がするけれど、トレイルについて知らないことは多かった。
…本人には言わないけれど、花を揺らす風のように飄々とした態度に何度か助けられたことがあった。


――…トレイルをそっと心の中から消した。

           さようなら。最後まで平静を忘れなかった人。]

(127) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

     
  『 花は“お気に入り”だよ。 』


[ゆりが無邪気に笑う。
――…あれは"私"の記憶の中のひとつ。どうしてお姫様抱っこなんてコトをしようと思ったのだろう。
それでも、ゆりの顔は楽しそうだったから気紛れは悪くはなかったようだと、思う。
感情を失くしていくゆりに自分を重ねたことも少なからずあった。

紙で鶴を折っているところを見かけたことがあった気がする。
物静かで、独特の雰囲気の漂う少女だった。
そんな彼女も、連れて行かれてしまった。


――…ゆりをそっと心の中から消した。

              さようなら。何時も静かに笑っていた子。]

(128) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

     
  『 ──じゃ、お大事に。 』


[記憶の中のオスカーが素っ気なく言う。
元が高齢だからか、小さくなった見た目にそぐわぬほど悟りきった言動をする人だった。
本を薬代わりに毎朝読み返すのだと、聞いたことがあっただろうか。
シーシャの名前を忘れてしまうのか、なかなか覚えてくれないものだから、何時の間にか名乗ることをやめてしまった。

悟りきっているようで、人を笑わせることに長けている人だった。
年の功よりなんとやらと言うのだろうか。動物にも、詳しかった。
雲雀の探し方を聞く機会はついに訪れない。


――…オスカーをそっと心の中から消した。

               さようなら。誰よりも賢しく聡かった人。]

(129) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

     
  『 何をしているのかしら、酔っ払い共 』


[ケイトリンが眼鏡を光らせて立っていた。
朧な記憶は矢張り"私"のもの。 ケイトリンと仲がよかったのは、"私"のほうだった。
無表情なようでいて、よく人を気にかけていた。…特に、キルロイを。
図書室で居眠りをしていたら怒られる、なんてこともあったっけ。図書館の中でケイトリンを見かけることは少なくなかった。

キルロイの気持ちは直接本人から聞いたけれど、ケイトリンはキルロイのことをどう思っていたのだろう。
今となっては知るすべはないが、…せめて、何時か会うことが出来ればいいと思う。
それが何を意味するか知らないわけではない。それでも、そう、思う。


――…ケイトリンをそっと心の中から消した。

        さようなら。無表情の下に宝石箱を抱いていた人。]

(130) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

     
  『 シー兄ちゃんは立派な"兄ちゃん"だよ。 』


[思い出す弟分の顔はずっと昔のもので。
最初のうちは兄ちゃんなんてガラじゃねぇよと言ってもいたものだったけれど、気付けば本当の弟のように可愛がっていた。
たまに、…実の弟の面影を重ねたりもしていたのはシーシャだけの秘密だけれど。

気持ちが表情になりやすいキルロイ。
ケイトリンがいなくなってしまったことで、寂しさに囚われてしまっていた。
何時か乗り越えていければいいとシーシャは思う。
――そして、シーシャのことも忘れてしまえるよう、願う。
道の先に光が無くとも闇は無ければいいと、そう思う。


――…キルロイをそっと心の中から消した。

           さようなら。誰よりも優しくて愛おしい俺の弟。]

(131) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

シーシャは、ふと、遠い目をした。

2015/06/14(Sun) 21時半頃


ヒナコは、シーシャの歌を、歌い続けている。

2015/06/14(Sun) 21時半頃


【人】 露店巡り シーシャ

     
  『 せっかくだから、お茶でも飲んでいく? 』


[メルヤが澄まし顔でシーシャを誘う。
何時も何時も澄まし顔の癖に、慕っていたピエロがいなくなったときは酷く泣いていた。
自分のことを放り出して他の誰かのことにばかりかまけているような奴だった。

どういうわけかバナナが好きで最後の置き土産もバナナだった。
トレイルと喧嘩している様子を見かけたこともあったろうか。
人の心配が好きなお節介焼きだった。シーシャは、嫌いではなかった。


――…メルヤをそっと心の中から消した。

        さようなら。誰よりも"家族"のことを想っていた人。]

(132) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

     
  『 その時まで……ちゃんと預かってるよ。 』


[ヒナコの笑顔。
涙で目を腫らしながらも、約束を交わした時の笑顔は何よりも綺麗だった。
どんな花より、どんな蝶よりも綺麗だった。]


  ( だ い す き で し た )


[口だけで綴られた言葉の意味を知る者はシーシャしかいない。
確かに約束は果たされた。忘れないよ。その言葉を、「ヒナコ」の笑顔を、シーシャは忘れない。
柔らかい春の日差しのような笑顔が好きだった。


――…ヒナコをそっと心の中から消した。

               さようなら。俺の瞳に最後に咲いた花。]

(133) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[他にも過ぎていく思いがある。
体から花を咲かせたオーレリア。
飴が好きだったニコラス。
それと、それよりもずっとずっと昔にいなくなった人たち。

ラベンダーの香り、バラの花。
そして、騒々しいピエロの顔さえも、流れて、流れて、消えていく。

失くしたくないと思う。
今までの自分を、シーシャを。"俺"を。


絵本を抱えたまま、ひらりと柵を掴んで向こう側へと降りる。
一歩、二歩と歩けば下へ無限に続く緑色と、白色の上にシーシャはいる。

キルロイやオスカーがここへ来なければいいとそれだけを思う。
シーシャは、暫く、そのまま吹き上げる風に身を任せていた。*]

(134) 2015/06/14(Sun) 21時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[ヒナコは遠い所に行ってしまった。
それはあまりに呆気なく、あまりに壮絶な最後だった。

後に残されたシーシャに、かけるべき言葉が見当たらない。
何を言っても、違う気がした。
そして蝶の歌った詩が真実なら、彼もまた]


 シー兄ちゃん。
 要らないなら燃やしても捨てても良いよ。

 これ、あげる。


[不躾に、押し付けるように相手に手渡した絵日記。
これは自分が持っている為に描いたものではないから。
最後の頁に渡せなかった文通の返事を挟み込んだ。
――二本の足で、地面を駆け回るヒナコの絵]

(135) 2015/06/14(Sun) 22時頃

【人】 トレーサー キルロイ

―中庭―

[シーシャも立ち去ってしまった後、中庭のベンチに腰かけて]


 ………良い天気だなぁ。


[穏やかな風が吹き抜けていく。
紫苑が微かに香っている。
静かな昼下がり。

何処までも青い空を見つめていた]

(136) 2015/06/14(Sun) 22時頃

キルロイは、シーシャが今何処にいるのか、知る術もなく。**

2015/06/14(Sun) 22時頃


【人】 露店巡り シーシャ

― 少し前、中庭で ―

[不意に声をかけられて、シーシャの肩が揺れる。>>135
振り向く前に目を乱暴に擦って平静を装った。]


  …あげるって、……コレは?


[半ば押し付けられた形でシーシャの手元に渡ったのは日記のような体裁の何か。
片手でぺらぺらと捲れば中身は絵日記のようだった。]


  ………………。


[中身を詳しく確認する暇はないけれど、返してしまおうかと腕を上げかけた。…けれど、結局は受け取り、その場を辞する。]

(137) 2015/06/14(Sun) 22時半頃

【人】 露店巡り シーシャ


      ――――……じゃあな。


[通り抜け際、ぽん、と軽く伸ばした腕でキルロイの頭へ触れて直ぐに離し、その手をひらひらと振って中庭を後にした。*]

(138) 2015/06/14(Sun) 22時半頃

【人】 露店巡り シーシャ

[それから、建物の中へ戻った青年は近くの食堂まで歩いていくと、筆記用具と紙を借り、何事かを走り書いて絵日記に挟み、食堂を後にする。

屋上へ行くまでに捲るのは手にした絵日記のほう。
歩きながら読み、時には柱にぶつかり、いてっ、などと声を上げながらもその足は廊下を進み、階段を昇り、やがて目的の場所へ到達する。

その間に目を通した絵日記には、歪ながらも描き主の想いの残された絵が並んでいた。
シーシャはそれを見て、少しだけ泣いた。*]

(139) 2015/06/14(Sun) 22時半頃

天のお告げ (村建て人)は、メモを貼った。

2015/06/14(Sun) 23時頃


【人】 双生児 オスカー

 ……そうだね、ここにあるだけで十分だろう。
 彼の代わりに、この子が種を飛ばすだろう。

 スタッフ達だって、ただ咲いている花を無碍に引き抜いたりはしないだろうしね。

[灰色の青年の視線>>90につられるように、そよそよと揺れる花を見つめて答える。

 もう決して外に出ることの叶わぬだろう彼の代わりに、どこかへ種を飛ばせばいいと、そんなことを思っている。]

(140) 2015/06/14(Sun) 23時頃

【人】 双生児 オスカー

[灰色の青年と話している間に、キルロイも中庭に出てきていたようだ。
 驚いたような声>>84が聞こえて振り返る。]

 ……やぁ、おはよう。
 キルロイは一団と背が高くなったね。

[正反対のことを言って笑う。]

 あぁ、トレイルに頼まれてね。
 忘れないうちに、移植しておこうと思って。
 強い植物だからね、きっと殖えるよ。

[兄ちゃんの>>85、という呼び方にきっと彼らは親しかったのだろうと思う。
 彼はトレイルが運ばれたことを知っているだろうか。]

(141) 2015/06/14(Sun) 23時頃

【人】 双生児 オスカー

[──そして少女は舞台を降りる>>102

 彼女は手に持っていた絵本を閉じて、持っていた便箋を手放す。
 ちぎれた羽のように舞ったそれを見送って、キルロイがそれを拾い上げる姿を見る。

 建物の中からばたばたと音がする。

 灰色の青年がふらり少女に歩み寄る>>106

 ──迎えが来たなと思いながら、この少女を   が見たら悲しむだろうか、とちらり思う。
 あの子を示す名前は忘れてしまったけれど、別れが嫌だと泣いていたあの子。
 それとも、再会を喜ぶのだろうか。]

(142) 2015/06/14(Sun) 23時頃

【人】 双生児 オスカー

[青年と少女がどんな言葉を交わしたかは知れない。
 ただ、少しだけ距離の近い動作に、仲はよかったのだろうか、と思うだけ。

 狭い小さな世界の中、僅かでも心通わせられる相手がいたならそれは喜ぶべきことだろう──その分、別れは辛いけれど。

 青年と離れ、踊るように彼女は中庭を抜けようとする。
 その姿は蒼い翅をした蝶そのもので。

 ──だから、彼女を連れに来たスタッフ>>116達が、どこか蟻のように見えたのも仕方のないことだろう。

 連れられていく少女の歌が、耳の底にしばらく残った*]

(143) 2015/06/14(Sun) 23時頃

【人】 双生児 オスカー

── それから ──

[いくつもの鉢を運び出して、植え替え作業が終わったのは午後も遅くなってから。

 何度かスタッフ達に見とがめられはしたが、逆に朽ち八丁で丸め込んで花を植える許可を事後承諾でとりつけた。

 これでとある男の思い入れは、この病院の庭で長くあり続けてくれるだろう。

 作業が終わればさすがに暑い。
 ふうと額の汗を拭って、その辺の水道で顔を洗う。

 こぼれ落ちる水はキラキラと透明で、何だかまるで始めて触れるもののようだった。

 ……それは、感覚の記憶のいくつかが消えていたと言うことを示している。]

 ……せめて、皆を見送れるといいが。

[それに気付いて、ぽつりと零した。]

(144) 2015/06/14(Sun) 23時頃

双生児 オスカーは、メモを貼った。

2015/06/14(Sun) 23時頃


【人】 双生児 オスカー

[誰かを後に残して消えるのは辛いだろうと思う。
 思うけれど、自分は一度もその立場になったことはなくて、常に残される方の哀惜を担う方だった。

 誰かがいなくなった後にぽっかりと空く穴を埋めなくてもいいと、気がついたのはいつのことだっただろうか。
 時折素の穴が開いていたことを見つけて、かつてそこにいた人を懐かしむのが、老人の見送り方だった。

 忘れてしまえばそこで終わりになるけれど。
 それはそれで仕方のないことだと思うのは、責められることではないはずだ。

 ……そうやって見送ってきた相手はもう、何人になっただろうか。
 ふっとそんなことを思った。]

(145) 2015/06/14(Sun) 23時頃

【人】 露店巡り シーシャ

― 現在:屋上 ―

[背にした扉の向こうからバタバタと忙しい足音が聞こえる。
シーシャはちら、とそちらを見はしても身を翻しはしない。
ただ、柵の向こう側、手にした絵本と絵日記をそっと押し出すと]

  
  やっぱり、俺は。
   誰のことも忘れたくないし、置いて行きたくねーんだよ。

   ――――… だから、お前に"シーシャ"はくれてやれねぇ。


[最後にさようなら、とシーシャが告げるのは"私"。

謝まる声も、別れの言葉も、
シーシャの裡に眠る"私"には届かない。届かなかった。

                  ――…昔も、今も、これからも。]

(146) 2015/06/14(Sun) 23時頃

【人】 露店巡り シーシャ

[ごめんな、と紡ぐ声は風に乗って消える。
角を携えた青年は、遠く遠くを見つめて足を踏み出し――、]









                 ――――――……。



[ 一陣の風が屋上を吹き抜け――その後には誰も*いない* ]

(147) 2015/06/14(Sun) 23時頃

【人】 露店巡り シーシャ

― 走り書き ―

[絵日記の最後に挟まれた走り書きには乱雑な文字が残る。
宛先の書かれていない紙切れは、
絵日記に紛れてぱら、ぱらと音を立てていた。]


  忘れてしまった"俺"を記録していてくれてありがとう
   よかったら、この絵本を受け取ってくれないか


[絵本も絵日記も、紙切れの行方も、
かつてその存在を望んだ主が知ることは二度とない。*]

(148) 2015/06/14(Sun) 23時頃

【人】 双生児 オスカー

[びしょびしょの頭で中庭に戻ったときには、誰かがそこにいただろうか。

 いてもいなくても、中庭の大木によじ登ってしばらくぼんやりとして、それからこてんとスイッチが切れるように。

 木の幹にもたれて、眠りに落ちた*]

(149) 2015/06/14(Sun) 23時頃

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