64 色取月の神隠し
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己が藤之助にしか、見えない……?
[>>92日向が気まずそうに綴った言葉に 鵺の双眸がぽかり、瞠られる]
つまり、己が……人の子に見える、と言うのか。
[人の子は鵺の裡に己が恐れる化物の姿を見る。 だからこそ、見る者により鵺の姿は異なり 正体不明のあやかしと、恐れられてきたのだ。
だから日向も、いざ己と対峙すれば 心の裡に潜む恐怖を引き出される筈だと
――そう、鵺は思っていた]
(3) 2011/09/20(Tue) 21時半頃
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――――……。
[畏怖されることこそが鵺の力の根源なのだ。 こうまで平然とされていては、鵺の立場などあったものではない]
……今の人の子は、皆、お前のような者ばかりなのか?
いや、……違うな。 たまこや一平太は、己の裡に強大なあやかしを見ていた。
[落魄したとは言え、こうまで己を恐れない人の子と出会ったのは永い歳月で初めてのこと。 それ故に鵺の心は大きくさざめく]
(5) 2011/09/20(Tue) 22時頃
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……そうさ、お前は知らないだろう。
かつての京で、二条の帝が ――近衛の、或いは後白河の、鳥羽の帝の在りし頃より ずっと、ずうっと、人の子は己を畏怖してきたものだよ。
[鵺が言葉を零すたび、ごぼり、ごぼりと闇が溢れる]
清涼殿の賢き身の人の子も 北面の武士ですら、鵺の名を聞き、眼を見れば怖気たというのに――
それなのに――何故だ? 何故、お前は己を恐れない。
[日向の薄茶色の瞳に凶眼を据えた]
(9) 2011/09/20(Tue) 22時半頃
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[己の問いに、事も無さげに日向が答えれば 鵺は――それこそ"鵺を見た人の子のように"得体の知れないものを見たような、そんな心持ちになる。
「鵺の姿を捉えた瞳には、何が映るのか」
当人だけは決して知ることの叶わないそれを 鵺は日向の言葉に見たのだ]
……痛む? この、脚の金創のことか。
[毒気を抜かれた態で、日向の問いに鸚鵡返しの様に答えて 心配だったよ、との呟きが耳を打てば、不思議そうに僅かに首を傾げる]
(14) 2011/09/20(Tue) 23時半頃
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勿論喰らうさ。
己は神さんでも何でもないからなぁ。 無辜の人の子だろうが悪党だろうが、喰らいたいときに喰らうのさ。
……どうだ、恐ろしかろう?
[眼差しでの問いに、やや調子を取り戻し、答える]
(16) 2011/09/21(Wed) 00時頃
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己らと、人の子が、か。
[人と 似てるね――日向が地に刻む言葉に視線を落とし その意味するところを思う]
――――……。
こんな危うい人の子は さっさと喰らっちまう方が、良いと思うがね。
……まぁ、好きにするが良いさ。
[芙蓉にはそう謂うけれど、最早、鵺に日向を喰らうつもりはない。 それどころか、今なら日向の言葉の欠片>>12を 素直に受け取ることが出来るような、そんな気さえしていた]
(20) 2011/09/21(Wed) 00時半頃
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……望んで隠されるとは、何とも物好きなことだな。 [隠世に行くことを望む日向に、ぶっきらぼうな言葉を向ける。 眼差しと共にゆるり微笑みを向けられれば、鵺は何ともやり辛そうに視線を逸らした]
分かったよ。 けど、己が前に里に戻ったのなんざ いつ以来のことか覚えちゃいないくらい、昔のことだからな。 迷わない保障はないぜ。
[日向を里まで託されれば、諾う]
(26) 2011/09/21(Wed) 01時半頃
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藤之助は、芙蓉が、この子、嫌いじゃないだろ――と、口にし 覗き込むようにされれば渋面を向けた。
2011/09/21(Wed) 01時半頃
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藤之助、ね。
[適当に拵えた名なんだがなぁ、と思い けれど、鵺さん、と呼ばれるのも調子が狂うしな、と頷く]
……あぁ、先に行ってるよ。
[軽口を叩く芙蓉に軽く手を挙げてみせ 行こ、と男を見上げる日向に 道行を迷わぬよう、黙って手を差し伸べる]
――――……。
[やがて祭りが終わる頃には 村人達も、神隠しのあったことに気付くだろう。
けれど、隠された者たちが何処へ去ったかは 古木の根元に挿された、標たる風車の他に知るものはなかった――**]
(33) 2011/09/21(Wed) 02時頃
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