226 【突発誰歓】君の瞳に花咲く日【RP村】
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[湿り気の失われていく傷痕へ目を遣る。 幾ら傷を付けたところで、遺したところで。 失われていくものを止めることは叶わなかった。 残ったのは"私"だけが意味を知る、壁に描かれた記録だけ。]
……どうして、だろうな。
[誰のせいだろう。 「シーシャ」の中に二つの心が出来てしまったのは。 片方が消えなくてはいけなくなったのは。 ――誰の、せいだろう。 考えたって、青年には分からない。
駄々のような声を聞けば、苦笑交じりに絵本を手洗い場の脇へ置いて少女の頭へ手を伸ばし、そっと触れる。>>178 …でも、今度ばかりは、無理すんな。なんて。 …無理に笑わなくていい、なんて、……言えなかった。]
(192) 2015/06/10(Wed) 14時半頃
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[傷を包む少女の小さな手のひらは暖かい。>>179 …随分と一度に喋ってしまった、と青年は少しばかり後悔する。 何時かいなくなる。なんて、ともだちがいなくなってしまったばかりの少女にする話としては不適切だったに違いないと今更ながらに思った。]
あー…、なんていうか、その。 …ごめん。
[逸らした目線を少女まで戻して、謝まる。 それは、直前に言えなかった言葉の分の謝意も混ざっていたかもしれない。…それと、ワガママの分も、合わせて。]
――――うた?
[…さすがに直後のそれは予想外だったから、青年は鸚鵡返しに言葉を繰り返して、ぱちくりと瞳を瞬いた。]
(193) 2015/06/10(Wed) 14時半頃
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[歌を作るのだ。と少女は言う。 シーシャを覚えておくために。いなくならないように。
嬉しい、と青年は思う。 形にして自分を残そうとする誰かがいることを。 "シーシャ"が自分を忘れてしまったとしても、覚えている誰かがいることを。
同時に何故、と思う。 何故、何故、消えるのは"私"ではなく自分なのだろうと。]
そりゃあよ。勿論。 出来たら真っ先に聞かせてくれよ。
[それでも、それを表には出さないように努める。 これ以上の不安は少女には与えまい。 青年自身が自分を失くさないでくれと願った、少女には。]
(194) 2015/06/10(Wed) 14時半頃
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――…楽しみにしてる。
[それだけを告げれば、一度、笑んで。 青年の傷ついた手を包む少女の両手を解いて、 右手の小指をそっと手に取り、自分の小指と絡める。]
約束。 …その時に"オレ"でも、……"私"でも。 必ず聴きに行くから。 ――だから
[脇へ避けた絵本を手に取り、少女へと差し出した。 青年が青年であるために。忘れない、ために。*]
――…その時まで、預かっておいて…くれねぇかな。
(195) 2015/06/10(Wed) 14時半頃
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もとは一人だったからかな。 一緒だから…気に食わねぇのかも、知れない。
[薄い唇を噛んで、低く呟く。 青年は今は自身の奥に眠る"私"のことを考えた。 "私"もこんな気持ちだったのだろうかと。 ……自分の中に棲むもう一人のことを考えた。
似た者同士だからこそ。好きにはなれなくて。
( ――嫌いにもなれなくて。 )
…それぞれが別の人間だったら。 …片方が何時か消えてしまう。なんてことがなかったら。 疾うに考えることをやめた"もしも"の話。 それがふっと胸に蘇って、青年の瞳の奥を熱くさせた。]
(267) 2015/06/10(Wed) 23時半頃
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[謝らないでと、そう、言われたけれど。>>243 小さな頭へ寄せた手のひらへ伝わる温かさにどこか安堵している自分を、情けねぇなあ、と思う。
ああ、本当は。 幾ら悟っているような振りをしてみたって、 他人事のように澄まして口にしてみたって、
…いなくなりたくない――なんて。
ガキが駄々をこねるように思ってしまう。 人の温かさは体の奥に沈めた未練を容易に引き戻そうとする。
それを。どうにかこうにかもう一度隠して、笑う。 小指を一層強く絡めて、紡いだ言葉は『 約束 』。>>245]
(268) 2015/06/10(Wed) 23時半頃
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[…小指が繋がれたことで近くなる少女の顔は、 青年の心の凝りを溶かしていくようにふわりと微笑む。]
ん。約束だ。 …これは、 …――そうだな、約束を忘れないための鍵、かな。
[絵本は無事に少女の腕へと渡る。 それを見れば薄らと過る、忘れないでという言葉。]
もし、オレがオレを忘れてしまったとしても、 "私"しかいなくなったとしても、 きっとその本があれば思い出せるから。 …約束のこと。
[頼んだ。と足して、少女の胸元へ居場所を移した本を見遣る。 ――願わくば、忘れなければいい。 …消えゆく"オレ"のことも、この少女の可憐な笑顔も。]
(269) 2015/06/10(Wed) 23時半頃
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[指切りをすれば、控えめに名前を呼ぶ声が聞こえた。 ふいと気配を感じて振り返ればそこに人二人の姿。>>210>>216 傍らの少女が返事をしているから、青年は手を振るに止めた。]
――…ピクニックねぇ。 …今日はいい天気だから、お誂え向きかもな。
[窓から差し込む陽光は柔らかい晴れの色。 今はもう"いない"人のことを思う。 今頃どうしているのだろうと考える。
けれど、それも直ぐに胸の奥へと仕舞い込んだ。 "かなしむ"のは一人でも出来る。 残された時間を他の誰かと使うことはもしかしたら 明日にでも叶わなくなるかも知れないから。]
(270) 2015/06/10(Wed) 23時半頃
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……行く。
[問う声にはぶっきらぼうに答えた。>>248 そうして、少女が歩き出すなら、その速度に合わせるよう、ゆっくり、ゆっくりと足を動かすことにする。*]
(271) 2015/06/10(Wed) 23時半頃
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シーシャは、メルヤメルヤは今どうしているのだろうと、ふと思った。
2015/06/11(Thu) 00時頃
シーシャは、キルロイとしばらく会っていない気がした。
2015/06/11(Thu) 00時頃
シーシャは、ケイトも一緒にいるのだろうか。と考えた。
2015/06/11(Thu) 00時頃
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[約束が叶えば息を一つ吐いて。 中庭へ向かうまで、急がないよう、急がせないようにのんびりと歩いた。 …青年の涙ぐましい隠し事がバレてしまっていたとすれば、隠し事下手な自分に対してもう一つ、ため息でもついたろう。>>284
中庭に着いたなら、風がさやさやと頬を凪ぐ。 流れる音の中に雲雀の囀りが時折入り込んでいた。
――その場にメルヤの姿は無い。 包帯をくれた顔を思い出す。 "また"と口にしなかったその顔を。
数日前に和服姿も人々の中には見えない。 ( …その顔を最後に目にしたのは"私"だったかもしれない。 )
ケイトリン>>276とキルロイ>>260が向かい合う様子を横目で見遣って――これは何というのだったか。…微笑ましい?――などと考え半分に通り過ぎ。]
(309) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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[先日遭った時には慌ただしくすれ違った、顔。>>300 どうやら、今日もまだ変わらぬ姿でいるようだと。]
今日も元気そうで何よりだよ。
[そう声をかけて、ひらりと手のひらを振った。 そうして、更に青年はその場所すら過ぎて。
中庭の中心に聳える高い高い木の枝を掴んで、登る。 長い年月を数えた太い幹に生える枝もまた、人を容易に乗せられるほどに、太い。
枝の上に座り込んで鳥の声を聞いていれば、瞼が少しずつ、少しずつ、下がって。意識が闇の底へ沈んでいく よう だった。*]
(310) 2015/06/11(Thu) 01時頃
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[目蓋の海。眠りの底。 揺蕩う青年の中身はまたしても、ごとり。音を立てて欠け落ちる。
青年が眠りに就くその時だけが。 自らを"オレ"と呼ぶ青年と"私"が共存し得る唯一の時間。
意識の無いその間だけは、区切りのない躰は 二人のものであり、同時に一人だけのものでもある。
青年は眠る。 その間に片方の存在は満ち、片方の存在は欠ける。 満ち引きを繰り返し、やがて青年の意識は一つになる――。
――――……やがて、青年は"私"になる。*]
(317) 2015/06/11(Thu) 01時半頃
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