254 東京村U
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/09/27(Tue) 00時半頃
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― 清瀬駅 ―
[東中野駅を、深く潜って大江戸線へ。 肩がくっついているジジイの生暖かい体温が入間には非常に不快だった。 練馬で乗り換えて清瀬へ。 到着とともに電車から出て、ほっと一息ついた。
遅刻をするわけでもなく、早く来すぎるわけでもなく。 いつも通りの時刻に校門をくぐって、たまたま見かけた同じクラスの女子に挨拶をすることで、入間はやっと朝の嫌な喧嘩のことを忘れた。]
(9) 2016/09/27(Tue) 01時頃
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― 朝・教室 ―
[いつも遅刻をしてくる転校生である一二三(ひふみ)がHRの前に登校してきた。 どこだかの地方から転校してきた男の子だ。遅刻癖があって、お調子者でときに笑わせてくれるところは嫌いじゃない。そんな彼は影で「ろくでなし」と呼ばれている。1+2+3は6なのに、ひふみときたらろくでなし。遅刻常習犯だし、まあ妥当なあだ名だろう。 生徒の何人もが珍しいものを見る目で彼を見て、いじりにかかる。入間もその一人で――]
うわっ。はあ?時間早くない? ひふみ〜、遅刻の皆勤賞狙ってたんじゃないの? [バイトをやめたんだという彼に、へぇーと相槌をうった。]
(15) 2016/09/27(Tue) 01時半頃
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[入間のすぐ傍、椅子に座った生徒のノートパソコンで、彼女たちは動画をみていた。 動画はニュースでも報道されていたあるアイドルの自殺未遂、あるいはあるアイドルの死について。]
あぁ、これか。
[暇かよ。 こんなニュースをわざわざピックアップして放送する余裕がある今、この世は平和と呼べるのかもしれない。 自分とは縁遠い出来事である「だれかしらない人の死」に関して、芸能レポーターと大御所がコメントしている。それに、仲間みんなで、なんとはなしにくすくす笑った。]
(20) 2016/09/27(Tue) 02時頃
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あ、そういえば歌番組っつーか、 ミュージックアワーといえばさぁ……
[動画は件の歌番組のVTRを流し始めようとしていて―― ――ぶつん。 不意に動画が止まった。もとい、画面が暗くなった。 女子達は、一斉に「ろくでなし」の顔を見遣った。 ノートパソコンから、コンセントが抜けていた。]
は〜〜〜〜〜? ひふみ〜〜〜? やればできるんならさし直せってー。
[それから、女子数人でろくでなしと囁きあって小さく笑う。 文句をいっているうちに、一二三本人に誤魔化されるやら、仲間のうちの女子一人が気を効かせてコンセントをつなぎなおすやら。 次第、女子たちの興味関心は死んだアイドルの話から、ミュージックアワーに関することへ移ろい、先ほどまでの動画は途中で止められ、キャンディ・ノヴァも出演したミュージックアワーの動画が流れ始めた。]
(29) 2016/09/27(Tue) 02時半頃
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♪らぶらぶにゃんにゃん、らぶにゃんにゃん
[日本人離れした顔のあるアイドルの歌い方を、入間はやや小馬鹿にして真似た。 少しは似ていて笑ってくれているのか、はたまた愛想笑いか、周囲の女子から笑い声が聞こえる。
そのなかに、聞き間違いでなければ『くそったれが』という小さな男子の声を聞いた。]
…………?
[一二三がそう呟いたのだろうか? 入間の表情は、一瞬にして真顔になる。 すぐに一二三は居眠りを決めこんだようだった。 「なに?」と女子グループのひとりから訊かれ、入間が言葉を選ぶうちに、先生が教室へと入ってきた。**]
(30) 2016/09/27(Tue) 02時半頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2016/09/27(Tue) 02時半頃
PPP イルマは、メモを貼った。
2016/09/27(Tue) 09時半頃
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(感じ悪う〜〜。)
[くそったれが、というクラスメイトの小さな小さな呟き声に対して、入間はそのような感想を抱いた。 ちらりと机に突っ伏して丸まった背を見遣る。 不貞寝か狸寝入りかもしれないなと思った。]
(56) 2016/09/27(Tue) 12時頃
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[件の動画だって、スマホをいじっているうち目に入った噂話のひとつにすぎない。動画だって幾人かのTwitterユーザーにRTされて出回っていたものだ。 それを見ていただけで怒られる所以なんてあるだろうか?]
かとりー、さっきのって声聞こえるってホント? アタシどこだか全然わかんなかったよー。 は?耳とかめちゃくちゃいいし。
あはは!わー、霊感とか言い出しちゃった?きっも。
[耳の良し悪しを揶揄われ、友達の香取里奈を揶揄い返す。 すこし思い込みがつよいところがあるもんね、なんて入間は思う。 その体型でポッチャリを自称するのはちょっと無理がある。]
(58) 2016/09/27(Tue) 12時頃
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[人が死んでいるから、笑ってしまったのが、フキンシンだっただろうか? だったら怒られるべきは笑わせてきた出演者だろう。 もしかして一二三はIKB32のファンなのだろうか? 転校してきて以来皆に知られていなかっただけで、彼の正体とはキモいタイプのアイドルオタクだったのだろうか。 転校生という物珍しさも相まって、お調子者の彼がちょっと気になっている友達のことも知っているので、もしそうだったら……]
(そうだったら……だったら、うーん、笑えるかも?)
(59) 2016/09/27(Tue) 12時頃
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[一限目の若い男性教師の英語の授業が始まり、自分なりの気持ちの落ち着けどころも見つかって、一二三の様子に関してを、入間は一度すっかり忘れた。 英語教師の安井の顔は、顎周りと額の広さを除けば、まあまあ嫌いじゃない。 背が高いおかけでスタイルがよく見えるのが良い。 おかげで英語は苦手でも話を聞く気がおきやすかった。]
(61) 2016/09/27(Tue) 12時頃
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[意識は暫くの間男性教師に向いていた。 だから余計に、気が抜けていて、はっとさせられたのだろう。 一二三がむくりとその体を起こした。 視界に入った動くものに、何の気なしに入間は視線を向けた。 斜め後ろから見る一二三の頬に、涙がつたって見えた。 見てはいけないものを見た気がして、入間は声には出さずに口のなかで「えぇー…」とつぶやく。]
(そ、そんなに?泣くほど?)
[勿論、さっきのことで泣いてるとも限らないが……]
(63) 2016/09/27(Tue) 12時頃
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[午前の授業が終了する。 昼休み、購買で買ったパンやお弁当をそれぞれもって、椅子を引き寄せ合って友達で輪を作る。 輪の真ん中には、三つくっ付けた机。 机には、化粧直し中の友達のコスメグッズ、友達の一人が朝買った音楽雑誌が広げられ、友達のスマホがMVを流しながら置きっぱなしにされていた。 雑誌には、あるインディーズバンドのライブ時の写真と、それに関する記事が載っていた。]
午後はぁ〜、スズキの授業かぁ。だっる……。
[なんとなしに、授業中不意に視界に飛び込んできた同級生の涙で、モヤモヤを引きずっていた入間は、髪の毛の先をいじりながら呟いた。]
アタシ午後いいやぁ。帰ろっかな。 電車すいてるし。
[なんで朝から親の喧嘩を聞かされて、昼まで他人のことでモヤモヤしていなきゃならないのだろう。 学校もつまらないなら、遊びに行く他ないなと考え、入間は午後の授業をサボることに決める。]
(64) 2016/09/27(Tue) 12時半頃
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― 清瀬駅 ―
[学生鞄を肩にかけて、清瀬駅から電車に乗った。 白茶けたシートに腰かけた。 電車が発車する。]
………。
[髪の毛の先をなんとなしにいじる。]
……。 …………。
[入間はさっとスマホを手にとって、ラインを一二三に送った。 『さっきウチらなんかした?😓💦』**]
(73) 2016/09/27(Tue) 17時頃
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イルマは、リーに話の続きを促した。
2016/09/27(Tue) 17時頃
イルマは、ドリベルに話の続きを促した。
2016/09/27(Tue) 17時半頃
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― 昼:西武池袋線電車内 ―
[すぐに返事がかえってきた。>>102 どういう意図の絵文字なのかよくわからなくて、片眉よせた。
『ウチら動画みてたあとなんか怒ってなかった?』
と送信した後、数秒迷ってから
『元気なさそうだったし😩』
という言い回しを選んだ。 泣いてるの見ちゃったとか、自分たちは何も悪いことしていないだろうとか、言いたいことはあるのだが、一度堪える。]
(157) 2016/09/28(Wed) 13時頃
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[練馬で大江戸線に乗り換えて東中野へ。 電車に揺られてまた三十分が経ち、車掌が駅名を呼ぶ。 次は東中野……と聞こえて少々。電車は止まった。]
(159) 2016/09/28(Wed) 13時半頃
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― 昼:東中野 ―
[入間は電車から降り、大江戸線の改札を出た。 黒く長い帯のようなエスカレーターへ向かい、そこへ立つ。 流されるまま、明るい昼間が待っているはずの地上へ向けて、とろとろとあがっていった。
――着替えて、遊びにいった先で一晩あかして、夜は家に居ないで住むようにしようかな。 その考えに至るのも、習慣になってきている。
駅から出る。 午後の明るい陽射しがややまぶしく、眠たくなりそうだった。]
(160) 2016/09/28(Wed) 13時半頃
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[いつもと変わらぬ埃っぽい色の小ぶりなビルやマンション。 色鮮やかなコンビニ。 青や赤のゴシック体の文字だけが並んだキレイさもカワイさもへったくれもない質素な看板。 電信柱たちは細くて黒い管同士で手をつないでいる。 なんの変哲もないこの駅前から家への道もすっかり歩き慣れた。
道端には子連れの人やオバサンオジサン、どこかの制服着た男の子や女の子、自転車をフラフラ漕いでいる老人。 見知った顔なんて一つとしてないが、それも含めての『普通』の景色である。]
(163) 2016/09/28(Wed) 13時半頃
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[日向ぼっこをしている無機質なアスファルト。 秋の昼間の日光が柔く降り注ぐ灰色の帯。]
(167) 2016/09/28(Wed) 14時半頃
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[駅から少し歩いただけで、入間は、真っ白なタイルの敷かれたマンションの前にたどり着いた。]
(168) 2016/09/28(Wed) 14時半頃
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― 昼:東中野のあるマンション ―
[まだ新しいこのマンションは、オートロックのその玄関からマンション内に入るだけで、使用された床材や壁材などなどからくる臭くもないがいい匂いでもない、作られたばかりのにおいがする。 同様に、作られたばかりのにおいのするエレベーターに乗って、真新しい8のボタンを押した。
揺れも少なくエレベーターは8階まで上る。 白い壁のエレベーターのなかで、入間はスマホを見て軽く唇をとがらせ、髪の毛の先をいじった。 電車の中で声をかけた友達から「今日はパス」と返事がきたのだ。
『マヂか😣😱💦💦』 『ま しょうがない✋🐰 また今度いこ💕』]
(169) 2016/09/28(Wed) 14時半頃
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[エレベーターの白い扉が左右に開いて、柔らかいクリーム色の壁があらわれた。 クリーム色の壁の廊下を歩き、八階の五号室まで。
入間は鞄から鍵を取り出した。 鍵をあけようとするが、鍵は『かかった』。 一瞬にして血の気が引く。]
(170) 2016/09/28(Wed) 14時半頃
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[冷えた体温が、親への不満で急激に温まる。]
(はあ? 閉め忘れてんじゃん)
[腹が立ってくる。不用心にもほどがある。 盛大に不満のため息をもらし、鍵をあけなおして、扉を開いた。]
(ムカつくなー……泥棒はいってきたらどうすんだよ)
(171) 2016/09/28(Wed) 14時半頃
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[しかし、玄関に入って、はたとする。 母親の靴と、父親の靴が揃えておかれていた。 帰ってきていたのだろうか。 はたまた今日は二人とも休みをとったのだろうか? 折角いない時間に帰ってきたのに……と、内心落胆する。 そうと分かればさっさと出かけてしまうのが良いだろう。
靴を揃えて脱ぎ、まだワックスがかかって間もないすべすべの廊下を、紺色の靴下で歩く。 室内の壁は無機質すぎないアイボリーに近い白。 窓が大きいため、室内は明るい。]
(172) 2016/09/28(Wed) 14時半頃
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[格子ガラスのはめ込まれたリビングへ続くドア。 どうやらリビングに両親はいないようだった。 入間はドアを開く。 二人とも部屋に籠っているのかもしれない。
居間には朝同様、明るい陽射しがはいりこみ、広いフローリングの床と、毛足の高い踏み心地のいいラグをてらしている。
出かける前に飲み物を飲んでから――そうと思って入間はキッチンに向かった。]
(177) 2016/09/28(Wed) 15時頃
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[まだほとんど新品のようなキッチンはよく片づけられている。 母親が主に選んだ食器や調理器具。 ぴかぴかのシンク。 大きな冷蔵庫。 木製の食器棚は上等な品で無駄な装飾はないデザイン。 表面にキズの少ないダイニングテーブル。 椅子は、三脚。家族分。]
(178) 2016/09/28(Wed) 15時頃
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[キッチンに居た長く黒い髪を後ろに括った女が]
「おかえり」
[と言った。 口元だけでなく、眼鏡をかけた目を笑わせて、目じりには笑いじわができていた。 エプロンをかけて、布巾で皿をふいていた。]
(179) 2016/09/28(Wed) 15時頃
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[不意に後ろのほうで音がした。 ドアが開いた音。 脱衣所や風呂場へと続くドアが開いたのだと位置でわかる。]
「おかえり、みおん」
[と男の声が言った。 足音がゆっくりと近づく。 足音は、キッチンの方へ向かおうとしているのがわかる。 そちらを見ようとすると、短く刈った髪の毛とそこへまじった白髪が、そして横顔が見えた。 髭を剃ってはいるようだが顎や口元は黒っぽく、そしてそこへ笑みをうかべていた。]
(180) 2016/09/28(Wed) 15時半頃
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[頭が真っ白になり体が動かない。]
(181) 2016/09/28(Wed) 15時半頃
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[ だれ ]
(182) 2016/09/28(Wed) 15時半頃
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[二人の男女がこちらを見ている。 男は回り込むようにキッチンに向かいながら片時も入間から目を離さずにいる。その男には名前を呼ばれていた。馴れ馴れしく娘でも呼ぶような口ぶりだった。どうやら自分はその男に知られているらしいのだが、何故知られているのかが見当がつかない。
「早かったじゃないか」と更に続け「はは」と笑い声をあげているのだが笑い声の癖も声音も聞いたことはなく、細めた目は笑っているはずなのに、その表情が果たして本当に笑顔にあたるのかがわからなかった。
だってその男を知らないのだから。
強張った体の一部がやっと動いてくれたかと思ったが、舌が絡まっているばかりで「ぇあ」という意味不明な言葉を発することが出来ただけだった。早鐘を打っている心臓のせいで息が苦しく手足が動かない。]
(183) 2016/09/28(Wed) 15時半頃
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[女がこちらの声に小さく笑ったのが聞こえた。 僅か首を傾げた女の仕草はほんの一瞬だったのだろうがスローモーションのようで、黒くてつやのない癖毛の前髪がごわごわと揺れてみえた。 笑い声が自分を馬鹿にするせせら笑いで滑稽さゆえのことなのか、何かが面白かったのか、そもそも果たしてそれが笑うという動作だったのか、そこには感情が乗っているのかもわからない。
なぜならその女も知らない人だから。
入間が硬直しているのに対して男女は顔を見合わせるように首を横へ動かす。油を入れた瓶の蓋を捻るさまや、ひとりでに首を動かすマネキンを連想させた。 その目がこちらを見続けている。お互いの顔をみる仕草があったにも関わらず、横目でずっと視線が絡んで離れない。 女が言った「そうたいしたの?」という言葉が、遠くて遠くて聞き取りにくく、それの意味を頭が捉えることが、できなくて、]
(184) 2016/09/28(Wed) 15時半頃
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