25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 01時頃
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―本邸・廊下―
虎鉄は、何いいよんねん。
[高嶺への評というよりは、最後に付け足された言に、苦笑い。 後、叶うなら、愛情を持ってスパンと後頭部を軽く叩く。
訝しげに此方を見る、高嶺には、首を傾げる。 どう響いたかはしらねども、技巧的には凡才の域を出ないのは事実。 いびる云々には、素知らぬ顔をする苔色は、密かに鵠と夜光が同じ方角に消えたのを見ていた。]
本郷様、御機嫌よう。
[そして、見えた楽器持つ人に、主同士の会話を邪魔せぬよう挨拶と礼のみ向けた。]
(15) 2010/08/05(Thu) 01時半頃
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思わずつっこみいれとうなること謂うんが悪いんや。
[虎鉄に向かって、ふふんっと鼻を鳴らす。 このようなやり取りは、昔していたことだろう。 師の前ですれば、よく呆れられたものだ。]
……ぶっ。
[と、高嶺と本郷のやり取りに、噴出しかけ口元を手で覆う。 流石に此方は突っ込む訳にはいかない。 げほん――と空咳を一つ吐いて、上げられる弓を見る。]
提琴(ヴァイオリン)。さっき響いとったなぁ。
[ポツリ呟いて、主同士で話が弾むようなら邪魔はせぬが得策と]
ほな、わては食堂に向かいますわ。 虎鉄はどうするん?
[場を辞する旨を告げて、弟弟子に問いかけを向けた。]
(32) 2010/08/05(Thu) 02時頃
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心配してくれるんは、ありがたいんやけどなぁ。
[叩いた次は、撫でまわすか。 しかし、高嶺に幼いと謂われれば、手はとまり、苦笑いが浮かぶ。 苦笑いは、主以外に舞を見せようとしない虎鉄に対しての、高嶺の言葉にもかかるのだが、それはきっと悟られはしないのだろう。]
せやったら、一緒にいこか。 嗚呼、本郷様の謎かけは、まだ解けてないんや。 解けることがあったら、茶、持ってあがりますわ。
[ふっと思い出して、裏の意図なく、今度は差し入れという言葉は使わずに、本郷に告げる。 その後は、主達に礼を向けた後、虎鉄の腹の虫を揶揄いながら、*食堂へ*]
(51) 2010/08/05(Thu) 02時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 02時半頃
手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 15時頃
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―食堂―
それだけ食べれられるんやったら、大丈夫やわなぁ。
[共だって入った食堂で、華月は少しの呆れと、親しみを込めた苔色で虎鉄の喰いっぷりを見ていた。華月はというと、赤い実が乗る粥を口に運んでいた。]
ごっそうさん。 わるいんやけど、欲しいもんがあるねん。 持ち出してもええやろか?
[昔話を交えながらの食事は、思ったより時間が掛かったよう。 虎鉄に席を立つ言葉をかけてから、厨房へと皿を片しに行き、目的のものを得る為に使用人に話しかけた。]
(223) 2010/08/05(Thu) 15時半頃
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茶葉は、これ。茶器は白の……これがええかな。 うん。それと魔法瓶あるやろか? あっつい湯、淹れて欲しいねん。
[漆塗りの盆の上にチャキチャキと目的のものを揃え、ほなっと去りかけた時、ふっと思い出して]
なぁ、本郷様っていつも決まった茶のんだりしとう?
[問いかけに対して、その使用人が知る限りは蓮茶が多かったという答えを得る。ふむっと一つ頷いて、礼を紡いでから、華月は食堂を後にした。]
(224) 2010/08/05(Thu) 15時半頃
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―花主の棟に向かって・本邸廊下―
[高嶺の若干の注文に、魔法瓶で湯を運び、その場で茶を淹れるという手段を取った華月は飄々と目的地へ向かっていた。
と、脚を止める。 本邸の何処からか、琵琶の音が聴こえた。]
霞月夜様の音やないなぁ。誰やろか。
[少し彷徨わせる視線、窓を見やれば、月昇らぬ空の色が苔色を焼く。]
(233) 2010/08/05(Thu) 16時頃
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まぶしっ……
[カタリと持った盆の上、茶器が小さく音を立てる。 細めた視界、青に白が1つ過ぎった。]
白鳥は哀しからずや 空の青 海のあをにも 染まずただよふ
[その風景の鮮やかさに、思わずその短歌を口ずさむ。 舞や唄で習う時代より、随分若い世代の唄。 識った時、胸中に走った衝撃(感情)を、どう表せばよいのか、未だにしらない。
悲しい(かなしい)だけではない 愛しい(かなしい)だけではない
二つを合わせた、哀しい(かなしい)……。]
(234) 2010/08/05(Thu) 16時頃
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ま、白鳥(しらとり)は 白鳥(はくちょう)さしとる訳やないらしいけど。
[誰を思うたか呟いて、そして歩き始める。 その先に、手を空に掲げる人の姿は、あるやなしや。
あるならば、空を見詰めたと同じように、眩しげに苔色を細め、見やる。]
(240) 2010/08/05(Thu) 16時半頃
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[りん――聴きなれた音が、静寂を裂く。 見える紫苑色に、微笑む苔色の眦。 彼の人の視線が、茶器に落ちても、普段と変わることのない表情。]
何、捕まえようとしてはったん?
[声音は少しだけ、幼く見えた仕草を揶揄う風に響く。]
(242) 2010/08/05(Thu) 17時頃
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蝶?
[鵠の応えに、嗚呼――と一つ息を吐けば、華月は悪戯を思いついた子供の顔をする。]
まだ、居るやんか。 ほら、鵠さんの肩口に……。
[盆は持ったまま、何時の間に飛ばしたのか。 白い和紙の蝶が、窓の外を見る人の肩口で息づく。]
……どうするん?
[今までの揶揄うような声音が不意に色を変える。 問いかけは、その蝶を捕まえないのか意味するだけなのか。]
飛んで行ってしまうで?
[染まらぬ白を、声音とは裏腹。 苔色は常と変わらぬ微笑を湛えて見詰めた。]
(244) 2010/08/05(Thu) 17時半頃
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[かけた言葉の意味合いを、相手は知ってか知らずか。 蝶に触れた手に、器用に盆を片手で支え、もう一方を伸ばす。]
そやな。 折角、結んだ蕾なら、咲かなもったいないやろ。
[触れるか触れないか。 蝶は蓮を思わせる花に変わる。]
(247) 2010/08/05(Thu) 18時半頃
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手妻師 華月斎は、呉服問屋 藤之助に、「蝶のままのが佳かったかいな?」と手妻の披露後、微笑んだ。
2010/08/05(Thu) 18時半頃
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[鵠が花に唇を寄せる様を、先の紫苑色を引き継ぐように、苔色が一度驚いたように開き、細まり]
……ほな、わては高嶺様ん部屋行くわ。
[そして、尋ねの答えが出る時、まるで何かに耐えられないと云う風に紫苑色から逸れた。 触れるか触れないかの距離に在った指先も、弾かれたように盆に戻り、本来の目的が、まるでその場を去る口実のように唇から零れ落ちる。
咲けと、暗に謂った。 何にも染まらぬ白は、哀しいから。
けれど、何かに染まろうとする白もまた
――哀しい。]
(249) 2010/08/05(Thu) 19時頃
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……なんやろか?
[去ろうとした足は、止まる。 名を呼ばれて振り向かないは情知らずだと、思ったからか。 否……。]
[沈黙が場を支配する。 視線を受け続けた苔色が、堪らず紫苑色を見詰め返す
―――そして、囚われる。]
…………っ
[カタリと手に持った茶器が鳴った。 伸ばせない手は、華月も同じと示す音。]
(253) 2010/08/05(Thu) 19時半頃
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[伸びてくる手。 引力に導かれるように、微か傾ぐ身体。 触れるか触れないかまで縮んでいた距離は、それでもう……。
――嗚呼、触れてしまえば]
[言葉を紡げない唇が、掠めるように。 けれど、確かに白に何かを刻むよう、鵠の唇の端に触れようと。]
(256) 2010/08/05(Thu) 20時頃
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[端に、けれど確かに触れ合う唇と唇。 そのまま深く貪りつくしたい衝動を抑えたのは、互いの身体の間で鳴る茶器の音。]
……あかんっ
[蹈鞴を踏むように後退する身体。 どこか怯えたように、紫苑色を苔色が見詰める。]
鵠さんは、自分で選ばな、いけんのや。 わてに、流されたら、あかん。
[まるで己は選べなかったのだと、告白するに等しい言葉が戦慄く唇から落ちた。]
(262) 2010/08/05(Thu) 20時半頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/05(Thu) 20時半頃
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[また名を呼ばれる。 糸で縫いつけられたように動けなくなる脚。]
くぐ い さ……
[微かに揺れる紫苑色を見詰める。 言葉の先を知りたいとも、知りたくないとも、思う。
けれど
結局、伸ばされる手を、はねのけることが出来ないのは、過去と同じだった。]
己は……なんやろか?
[そして、先を促す言葉を惑いながらも選んだのは、まぎれもなく自分だった。]
(277) 2010/08/05(Thu) 21時頃
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[紡がれる言の葉を聴く。 単語の一つ一つの意味を拾い上げ、噛みしめるように咀嚼する。
途中でとまる声音に、何かを決めたように、大きく息を吐く。 そして、逸らされた視線と合わすように、背を向けた。]
もし、鳥と蝶として、一緒に飛べる未来が 欠片でもあるんやと思うなら、ついてきて欲しいねん。
高嶺様にも伝えとこおもたんや。 一緒に知ってもろたほうが早い。
[背に隠した秘密。 人によっては大したことのないものかもしれない。 けれど、華月にとっては大きなもの。]
……選ぶんは、わてやない。 高嶺様と、鵠さんや。
[呟いて、鵠がついてこようがこなかろうが、脚を高嶺の部屋の方へと進め始めた。]
(291) 2010/08/05(Thu) 21時半頃
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―高嶺の部屋前―
[後ろに鈴の音を伴って、向かった先は高嶺の。]
茶持って来たんやけど、タイミング悪かったやろか。
[集う3人を見やって、わざと聴こえる音量で呟きを零した。]
(305) 2010/08/05(Thu) 22時頃
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―高嶺の部屋前―
なんやろ……
[その場の空気に違和を感じた。 それは高嶺からであり、ロビンからでもあったのだが。 何が違和なのか掴みきる前に、高嶺から部屋の中へと命じられる。]
そやったら、えぇんやけど。
[小首を一つ傾げ、乾とロビンに礼を一つ向ける。 その時になって、やっと、ロビンに感じた違和の欠片を感じ取った。 けれど、その場で何を謂う訳でもなく、ただ立ちつくすロビンに心配気な視線を向けた後、鵠を苔色で一瞬見やってから、高嶺の後に続いた。]
(316) 2010/08/05(Thu) 22時半頃
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―高嶺の部屋―
[扉を閉めたのは、華月と鵠とどちらであったか。 憂いの消えぬ困った風な、花主とは少し違う高嶺の表情を見て、華月も一瞬困惑した表情を見せた。]
……わての返事は、話もろた時からきまっとります。 出来れば、次の宴までに、 高嶺様に判断貰いたいと思うて、きました。
[促されて茶器を置きながら、言の葉を紡ぐ時は、もう常とは変わらぬ――否、何か決意を秘めたような微笑を浮かべいた。]
見てもらいとぅもんがあるんやけど、見てもらってもええですか? 鵠さんにも、見て、知ってもろて、 選んでもらお思ってついてきて貰いました。
[ちろりと、苔色を紫苑色に向け、そして黒檀に戻した。]
(324) 2010/08/05(Thu) 23時頃
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―高嶺の部屋―
[常であれば、ロビンに感じた違和――それは前とは違う表情の移り代わり、他人(乾)の傍にあったこと、をそれとなく尋ねるなりなんなりしたのかもしれない。 それをしなかったのは、嗚呼、やはり思うより常ではいられてない証。]
ほな、見苦しいもん、見せますけど……。
[くるりと背を向ける。 常ではないとは謂えど、手妻で慣れた手は震えることなく、自らの帯をとり、着物を床に落とした。 晒される背には、消えることのない幾多の傷痕。 それは切り傷であり、鞭打たれたあとであり、火傷のように爛れた個所もあった。]
……見目にも問題ありますやろけど、問題はそやないんです。
[ポツリ―――懺悔のように呟く。]
(338) 2010/08/05(Thu) 23時半頃
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もしも、花として求められる中に、色ごとが含まれるんやったら。 わての性は、この背のままです。
抱かれる方は、まだえぇんです。 優しゅうにされたら、感じんだけの話やから。 せやけど、抱く方は……、前の主さんは3ヵ月で死にかけてん。 最初の刷り込みやろか、どうしても優しゅうできへんねん。
[2人に背を向けたまま、肩を震わせた。]
(339) 2010/08/05(Thu) 23時半頃
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―高嶺の部屋―
[鵠が息を呑む音に、我知れず唇を噛んだ。 華月にとって、選ぶことは、もう遠い昔にすんでしまったこと。 貧困街で、両親が死んだ後、最初の花主の手を取ったその時に。]
………っ
[高嶺の言葉が聴こえ、背にかかる温もりに、肩を軽く叩かれることに、また震える。 痛めつけられるより、優しく触れられる方が痛い。]
……はい
[名を呼ばれれば、息を一つ吐いてから、振りかえろうと。 肩に着物がかかれば、前を合わせた。]
[沈黙は、高嶺の真意を知るための間。 苔色は、相手が言の葉を紡ぐ口元を見遣った。]
(352) 2010/08/06(Fri) 00時頃
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手妻師 華月斎は、懐刀 朧の理由を、鵠との間が狭まったことを意識しながら待つ。
2010/08/06(Fri) 00時頃
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[背の秘密を明かして尚、求められるのであれば。 元より、高嶺を主とすることに、華月はなんの異存もない。]
[静かに、主と定めた人と鵠のやり取りを聴く。 檳榔子染を馴染みが、黒檀の色彩強い人に差し出せば、刹那瞼を伏せた。]
……了解や。主様。
[かかる言葉に、身を繕いながら返した言葉が答え。 高嶺様でなく、主さんでなく、主様と。
花として、花主の傍につき、少し遅くなった宴へと、もう一つの花と共に向かった。]
(382) 2010/08/06(Fri) 01時頃
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―大広間―
人狼病……
[そこに辿り着くや否や、告げられた文言に苔色は瞬く。 次にその眼差しは、ヨアヒムから流れ出る紅を見る。]
『 』
[唇が微かに動く。読みとれた者は居たか居ないか。 気持ちよさそうやな――と、羨むような言葉は、流石に音には出しはしない。
ふと我に返って、頭を振った。 と、何処かで椅子の鳴る音が聴こえた。]
(413) 2010/08/06(Fri) 01時半頃
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―大広間―
虎鉄、どないしたん。 確かに、胸糞はわるぅなる話やけど……。
[我に返った華月は、様子の弟分の傍に寄ろうとする。 そうしながらも、意識の端では常に、黒檀と紫苑色の2色を気にして。]
(446) 2010/08/06(Fri) 02時頃
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手妻師 華月斎は、2つの色と、眼差し合うことがあれば、今はただ冷静さを保とうとする苔色を見せる。
2010/08/06(Fri) 02時頃
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お気遣い、感謝しますわ。
[弟弟子を気にせずにはいれない心情を汲んでくれたのか。 花主の言葉に、礼を述べる。
憂う表情を気にしながらも、場と先程の主の言葉を思い出せば、問うことは難しい。]
虎鉄っ!!!
[崩れ落ちる身体、支えるのは本郷の方が先だった。 どうするか一寸迷うも、主の命もあり、虎鉄の介抱には*手を出すつもりで*]
(474) 2010/08/06(Fri) 03時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/06(Fri) 03時頃
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―大広間→高嶺の部屋―
[本郷から虎鉄の身体を譲り受け抱え、命じられたまま主の部屋へ運ぼうと。 去り際気にかかることは多々あれど、今は抱き上げた弟弟子のことが一番で、他には反応をしめせぬまま。
その間、何度、紫苑色と視線を合わせたか。 抱きかかえた者のあまりの冷たさに、その身は死体のように重くも感じられ、逆に魂のように軽くも感じられた。]
[しかし、まるでこの詮無い現状に花を一つ添えるよう。 華月の唇が微かに綻んだ瞬間があった。
その表情は、主様といいなれぬ鵠へか。 それとも、朧と名を呼ぶことを許した花主へか。 どちらもだったか。]
(594) 2010/08/06(Fri) 13時頃
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[運ぶ途中、問いが掛かる。]
[恐れはあると高嶺の一つの花は言を持って答えた。 片割れの花は、言葉なく微笑む――逆に恐れはないと示す態。 伏せられる紫苑色を見、真っ直ぐに憂う黒檀を見つめる。
やがて部屋に辿り着けば、冷たく重く、矛盾して軽い、虎鉄の身を褥へ寝かしつけた。]
[まるで鏡写しの逆しまに、鵠が言の葉を紡ぐ時は沈黙を保つことの多い華月は、始まる話にこの時も口を鎖していた。一瞬、ぴくりと動いたのは、白鳥の伝承を聞いた時。
もし、その話が真実になるのならば、己が裡に眠るものと少しばかり似ているのだと思う。鏡写しであればこそ、似ている部分がなければ、逆しまにもならぬか。 ただ、鳥と蝶が違うのは……――。
ふと、それこそ鏡写しのような、己が主人と霞月の君を思い出す。]
(597) 2010/08/06(Fri) 13時頃
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……茶、いれましょか? 話とったら、喉かわかへんですか。
[黒檀と紫苑色と2つの視線を受けて、思い立ったように提案をした。高嶺の部屋には丁度、宴となるはずだった場所に向かう前、華月が運んだ茶器一式が澄みに置かれて在った。]
(598) 2010/08/06(Fri) 13時頃
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