285 【突発誰歓RP】逢魔ヶ時に会いましょう
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――― The lucky beast ―――
[ 例えば彼と同じように>>27 忠義で双眸を潰してしまうほど 盲目になれればよかったのだ。
そうであったら、 抜き身のままの錆一刀を 目に入れずに済んだのに。
( ワタシを動かしたのは キミの一途な熱意だったのに。 )
" …キミが諦めてしまったら ワタシまで諦めたくなるじゃないか。 " ]
(67) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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[ だから、…だから。 彼を励ますのは男のエゴなのだ。
萎えかけた心の芯を叩き 花弁が散り落ちないよう
" 独り善がりなキミの幸せなど知るか。 ">>29 と、言葉そのもので伝えるように 沈黙を続ける彼のかんばせを見詰めていた。 ]
(68) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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[ だが、それでも ――――、 ( 天使になりたかったわけじゃあない。 ) 頭の端ではそれを冷淡に眺める影がある。
" キミはキミにしかなれない。 "
ワタシたちは偽物だ。 捨てられた贋作だ。
だが、 >>31伽藍洞のまま放り捨てられて 中身を得たのはどこでだった?
「 ワタシたちの愛すべき裏の街だろう? 」
語る饒舌の裏側、呟く声はそいつの仕業。 ]
(69) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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[ " 所詮はストローマンの戯言だね。 "
ワタシはワタシ。 キミはキミ。
暗示のように、語る言葉は 酷く軽くてそして、脆い。
それは男自身、よく理解していたが 知らないフリを決め込んでいたこと。
" ワタシは誰にもなれて誰にもなれない。 "
不安定な自己を持つからこそ 他者と自分を支えようとする。>>33
掴んだ腕は確かに生きている温度を保っていた。 ]
(70) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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[ 男は天使になれなかった。 望みを叶えられなかった。
叶えられなかったから、 要らぬ節介を仕事にし、他人を助けることで 蟠る感情の泥を見ずに生きてきた。
見ないで済むのなら、 見ずにいるままのほうがいい。
ワタシがワタシとしてあるためには ―――。 ]
(71) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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" さあさあ、お坊ちゃん。 死んで今こそ生き返るのです。 "
ワタシもキミもここにいるのだから。
[ 芝居の帳に包み隠してしまう他はない。 " 今までもそうして来たように。 "
>>33雨の粒をそうっと拭うことも、 目と目を逢わせることだって出来る。 男は天使ではなく役者 だから。 ]
(72) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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…なぁに、 " 不幸せなのはワタシたちばかりじゃない。 "
我々が演じているこの場面よりも 悲惨な見世物などいくらでもあるんだからねえ。
[ そして止まらない台詞を述べながら、 頭の隅で考えていることと言えば、
It can not be helped because you can not look into your eyes!>>35 ( " 自分の目は覗けないんだから 他人のを借りる他ないだろう? " )
―――――――― 、 ]
(73) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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どういたしまして、ザーゴ。
ワタシもキミを見つけられてよかったよ。
[ 何とも救い難いことばかりだ。
だから、 そんなものは一旦脇へ放ってしまって 男は伝言役に徹することにした。>>37
…そう思いきったのは この際僥倖だったのだろう。 ]
(74) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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[ 伝言を終え、 幾つか言葉を交わしたか、交わさないか。 …大音の波が唐突に押し寄せた。>>38 ]
街中が叫んでいるようだねえ。 鼓膜が弾け飛びそうだ。
電話の場所は?…ああ、近そうだ。
[ 音の出どころを尋ねれば 頼もしい返事が返って来る。>>38
屋敷内の勝手を知らない男は、 付き合ってくれると言う彼と位置を変え 後ろに黒髪靡かせながら歩き出した。 ]
(75) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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[ 整えられた敷地の中には 実はこの男、踏み入れたことがない。
いつもは門前を過ぎるだけ。 外から少々窺い見るのが精々だった。
よってはぐれれば迷子になるのは、こちら。 門扉近くの待機所>>39ですら例外ではない。 ]
……この屋敷と繋がりのあるキミが、 ここは出たほうがいいと思うねえ。ワタシは。
[ 受話を断った理由ひとつはそれ。 もう一つは、彼へ告げたとおりに。
( 但し内容が聞こえるよう 傍で確り聞き耳を立ててはいたのだが! ) ]
(76) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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まァなんとも……突拍子のない話だ。 事実は小説より奇なりというやつかい。
[ 軈て一方的に断ち切れた受話器と それから彼>>40の顔とを 男の石瞳が数度 …往復する。
24時間。たった一日程度で 生きるか死ぬかを決めよと言う。
その突拍子もない選択を今直ぐ 肯定も否定もできない。…する材料はない。
どうすればいい? 赤い爪先で軽く蟀谷をなぞった――その直後。 ]
(77) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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[ ―――― 激しい音が轟く。 傍らにいるヒトの声>>41すらすり抜けるほど 鼓膜と脳がぐらぐらと揺さぶられ、 足許にびっしりと亀裂が生まれてゆく。
倒れないようにするばかりが精一杯だ。 ]
…ザーゴっ ! 取り敢えず何処かに ――――
[ 掴まれと言いかけたところで ようやく鳴動は収まり、…静寂が訪れた。 ]
(78) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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…あ、…ああ。ワタシは大丈夫。 キミは? 立てるか?
[ 自分が何とか動けそうなことを確認すると 男は傍に膝をついた彼>>41へ声をかけ 要りそうならば手を差し伸べて、 …それからようやく周囲へ視線を移す。
荒れた庭。散乱した石畳。 そして、壊れた電話機。>>42
思わず、 …ため息が漏れた。 ]
(79) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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どうやら詳しいことを知るのは難しそうだ。 …だが、考えることは決まったねえ。
[ いつの間にか自分の目にも憂色が 浮かんでいるのじゃないだろうか。
確認するすべはないのだけれど、 男はこの時、確信めいてそう思った。
しかし。…しかしだ。 これからどうする?…どうしよう。 それは誰かと一緒に考えることでは この男の中ではすでに無くなっていた。 ]
(80) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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" 還るべきか、還らざるべきか。 " これを考えなければ前にも進めやしない。
どうだろうね、キミ。 ここからは別行動にしないか。
…いや、少し行きたい場所があるものだからさ。
[ 付き合わせても悪いから、だとか 付け加えるのは実のところ、言い訳だ。
行きたい場所。行くべき場所。 そこへ彼を連れていくのに気が引けただけ。 ]
(81) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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キミも行きたい場所には行っておいたほうがいい。 何せ本当に戻れるのかはわからないんだ。
……まだ、時間はあるらしいからね。
[ 結局肝心なことは伏せたきりで 別れの言葉を告げ離れるのみだった。
" 期待は苦悩のもとになる。 "
口にすれば確たる事実に変わりそうで、 他人の言葉を借りることは終ぞ出来ないまま。 ]**
(82) 2018/10/10(Wed) 19時半頃
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エルゴットは、オーレリアとの会話をぼんやり思い浮かべた。
2018/10/10(Wed) 22時頃
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[ やがて男は急きたてられるように豪邸を後にし、 振り返らず地を踏みながら 行き先を反芻する。
歩いて、止まって。 歩いて、止まって。
時折、長くその場に佇んで 逢魔が時の空の色を眺めたり ]
" London Bridge is falling down, Falling down, Falling down. London Bridge is falling down, … My fair lady. "
[ 音だけの旋律を口に上らせながら 罅割れを踏んでは閑静な住宅地へ進んでゆく。 ]
(136) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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[ 周囲には人の気配がない。 男だけに見える影の姿も。
地震が起きる前には落ち着いて綺麗で 穏やかな街並みだっただろう、そこを 一人きりで歩いているだけだ。
それなのに鼻歌の裏では 延々と同じ内容を呟き続けている。
違う。違う。違う。違う。 ]
" ワタシは捨てられたわけじゃあない。 "
[ それでも重い歩調は先へと歩み、 暫くあとに一軒の家の前へと辿り着いた。 ]
(137) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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[ 小奇麗な家だ。 隣の二軒の間にちょこんと挟まるようにして 赤く塗られた屋根が顔を覗かせていた。
庭には月桂樹の木が一本。 よく手入れされた芝生は青々と茂っている。
案の定と言おうか、 矢張り住人の気配はない。…どこにも。
それを幸運と言うべきか、 それとも不運と言うべきか?
男は躊躇なくその家の玄関口まで足を延ばし ]
(138) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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[ 玄関口を施錠するドアノブを掴もうとして …小刻みに震えている自分の手に気が付いた。
何度も触れたことのある場所だ。 ( 何年も昔の話とはいえ? ) だから震える必要など、ない。 …ないのに。
( 家を出た日のことを思い出すから、 )
" 拒絶された日のことを思い出すから "
手のひらに力を入れることが出来なかった。
―――― 弾かれたように手を引いた。 ]
(139) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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……だから来たくなかったのに。
[ 独り言ちるけれど、 とはいえそうも言ってはいられない。
時間は迫っているし、 男は…知りたかった。
どちらの街にも籍を置き、 どちらの街をも行き来する自分が 帰れる場所は、 …戻れる場所は 一体どこにあるというのだろう。
一度は離別を選んだ家族の許か。 それとも影と暮らしてきた地下劇場か。 ]
(140) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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[ 帰りを待つ人間など、どこにいるのだろう。 ]
(141) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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[ この時ばかりは、 先ほど別れたばかりの相手も、 約束をした小さな友達も、 保護者のつもりの女のコのことも、 始終顔合わせるご近所の店も、 押しかける教会の聖母のことも、 贔屓にしている何でも屋のことも、 何処かへと飛んでいってしまっていた。 ]
[ …沈黙する扉だけが、そこに。 ]
(142) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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" 誓いましょう。 ワタシはワタシをアナタ方の誰も知らぬ 辺境の片隅に匿す。
そこまでは誰もワタシを探しに来ない。 信じなさい。これでアナタ方は救われる。 "
[ 扉を開けようとすることは結局、しないまま。 洗礼じみた文句を投げかけ、……、
野花を一輪。玄関先へ置くと 踵を返してゆっくりとその場を後にした。 ]
(143) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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[ 片や自分を捨てたもの。 片や自分が捨てたもの。
表と裏のどちらにもいて、 そのどちらにも属さない。
" 境屋 "。
その名前こそが男のすべて。
他には何も、 …何もない。 ]
(144) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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[ 割れた地面の上を、 舗装された道路の上を、 敷地と道路を区切る柵の上を、 硝子で造られた建物の上を。
境を横切るように、 踏みつけるようにして 男は歩いていく。
何処へ行くと決めているわけでもない。 ただ暮れなずむ空の下を何処までも。
―――― 何時までも。 ]*
(145) 2018/10/11(Thu) 00時頃
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[ >>135" また "があるかどうかなんて 元々男の知ったところじゃあない。
" 保証もないのに約束だけするなんて あまりにも酷というものじゃないか? "
…だから、 指切りだってしなかった。
期待なんかしていないフリをして 口から出るのは未来の夢の話ばかりだった。
( ロマンチスト" 気取り "じゃない。 ワタシは間違いなく夢見がちだった。 ) ]
(170) 2018/10/11(Thu) 11時半頃
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[ 探して欲しかったのは誰だ? 瞳に自分を映して欲しかったのは? 鼓動を分けて欲しかったのは。>>133
「 ―――― ワタシさ。 」
自分は自分の目を覗けない。 覗けないならば他人のを借りるしかない。 " ワタシが人を助ける理由はそれだけだ "
…………でも、 ]
(171) 2018/10/11(Thu) 11時半頃
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[ 幕を引く覚悟はいつだってしていたのだ。 ]
" ワタシの仕事を知っているだろう? 他人の行きたい場所へ連れていく…。
……それはね、 "
[ 自分が行きたい場所には行けない。 行きたい場所はもうどこにもない。 ( ということなんだ。悲しいことに。 )
そうして、嘘が積み重なっていく。 ]
(172) 2018/10/11(Thu) 11時半頃
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どういたしまして。 ワタシは境屋。必要なときは キミの傍にいるさ。
…今までそうだったようにね。
[ 押し付けられた願い事の代わりに 切り売り口上の別れ言葉を返し。 白い花束の代わりに抱える、道中。
荷物が増えてしまった、と 苦笑零して空を見上げた。
白々と光る星の色をどこかに探して。 ]
(173) 2018/10/11(Thu) 11時半頃
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