276 ─五月、薔薇の木の下で。
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[ ……結局、 最後は格好がつかなくとも、きっと 少しは扱えたんじゃあないかとおもう。
──── 信徒の真似事は、どうにも似合わない。
身長上、とでも言うのか、 耳打ちをするように 寄った"花冠の彼"には、 真赤の夢の一部を。 ……絡み付いて 離れないほどの 逃げ場のない薔薇の荊蔦を ほんのすこし分け与え、]
(38) 2018/05/21(Mon) 04時頃
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──── 捕まってしまうぞ。
[ はやく逃げないと、 と 次ぐ前に 盛大に"遮られて"しまえば、 驚く前に笑い声が立った。 ──── 珍しい。]
ふ、 はは、 身体を温めて寝るといい。
[ そうしてひら、と 手を振って、 彼の背中も見送ることとなる。
──── 身体は、冷える様子が無さそうだった。*]
(39) 2018/05/21(Mon) 04時頃
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[ ぺたり、と 一歩 窓へと踏み出し、 ]
(40) 2018/05/21(Mon) 04時半頃
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[ 足音の去る後には、 真赤の香を誘う開かれた窓が
ぽかり、 と** ]
(41) 2018/05/21(Mon) 04時半頃
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ケヴィンは、イアンの見えざる顔を思う。
2018/05/21(Mon) 21時半頃
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[ …薔薇の香りには、ずいぶんと慣れたものだけれど、 慣れるは、 慣れるで 弊害もあり
──── 堕ち行くような、 死に行くような 変質した其れさえ、鼻先で感じ取れ、
全く違う、暴力的な其れに、 脳味噌ごと揺らされるようだった。 ひたひたと何処かを目指した足取りは、 段々とおもく おもく、 ]
(78) 2018/05/21(Mon) 22時頃
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[ ぽつり、ぽつりと 聖書の一節を咥内で混ぜ、
おもたい足取りは また 一歩一歩、 どこかへ、 ]
(79) 2018/05/21(Mon) 22時頃
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[ 聖書のない掌も、ずいぶん久しぶりだった。 神罰の下されない世界は、…何を信じてよいのやら、 方向も、天地も 全てが"信じられない"世の中で、
─── 神さえ信じていないのに、 縋る偶像を手元の重みに求め、
これしか知らなかったんだ。 "あい"の意味も、 "しんこう"の意味も 本当はよくわかっちゃいない。]
(89) 2018/05/21(Mon) 22時半頃
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[ 信徒の真似事も、 "聖体拝領"の真似事も、 ───── その手順ひとつとっても、 何かに縋らなきゃあなんにも出来ないのに、
……未だ脳内に響く悲哀の声が、 どうにも部屋に戻らせてはくれなかった。]
(90) 2018/05/21(Mon) 22時半頃
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[ ──── 中庭に出る、勇気は 流石に未だ、足りていない。
中庭に続く 透明のガラス戸に、 かるぅく手をついて、 ……花の咲く頃、ここまで近くに来たのは、 はじめてだった。 空からは赤に染まって見えた其所も、 此処まで寄ればひとつ ひとつを花弁まで視認できる。
…ガラス戸の向こう、中庭の向こうからは、 止まった時に割り入るように、星の音が降り注ぐ。]
(112) 2018/05/21(Mon) 23時半頃
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[ 其処で、ゆる、 と 視線を回せば、 先程別れた後輩の姿を、先に認めるだろうか。>>96 もうひとり、は 居たかどうか、 月の光では淡すぎたが、]
─── よく会うな。
[ すこぅし押せばガラス戸が開き、 星のうたの 細やかな響きと、 中庭の色濃い紅が、 ふわり と 、]
(113) 2018/05/21(Mon) 23時半頃
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[ 天動説だか、地動説だか、 そういった類いの、視覚の はなしで。 ───── 縛られているのは、本当に月か? とは、 満ち行く薔薇の香りの内に 思えど、
眼鏡の向こうの瞳を覗くよう、 茶は 反らされることもなく。]
(116) 2018/05/22(Tue) 00時頃
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夜の後には、 朝が来るのだろう? いつか、 ──── 薔薇が満足したなら、 "月"だって 自然と動き出すさ。
[ 今日、この日だけだろうから。 ─── "ケヴィン"という青年が、薔薇の内に立てるなど、 "何か"に信徒と認められる など、…… ]
(118) 2018/05/22(Tue) 00時頃
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…食堂に行くとか、言っていなかったか?
[ ふと、 思い立ち。言葉を次ぐ。 "用事の後か?"と 確認するよう、 ──── 確かな詮索の瞳を、向けた。 ]
(120) 2018/05/22(Tue) 00時半頃
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[ 開け放ったガラス戸の、 その向こう、 薔薇の内からは星のうたが、 音符を重ね、 厚く あつく ]
──── さあ。 薔薇は何が欲しいんだろうな。
(131) 2018/05/22(Tue) 01時頃
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[ 何時かの夢現、 また、 "もうひとり"の遂げた"欲"の法則を思えば、 …… 下腹のおもたい熱も、理解が及ぶと言うものだが、
霞めた言葉は 意地の悪さを滲ませて、 "平静"を乗せた瞳を眺めた後、 茶は中庭へと ]
(132) 2018/05/22(Tue) 01時頃
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……直接聞いてみようか。
[ 一瞥をロビンに向け、 一歩を中庭に踏み出した。
──── 溺れてしまう。 人一倍の嗅覚は、薔薇以外の全てを切り離し、 視界さえ霞むよう。 ( 狂気の沙汰だ、 と "普通"であれば思うが、) ( もう ほしのこえさえ聞こえていなくて、 )
漸く振り向いて、左手を伸ばしてみるけれど、 朱みを帯びた茶には確かな"違和"があったろうし、 ─── もう"いつも通り"かどうかはわからないから。 指先は 取られたかどうか、 ]
(133) 2018/05/22(Tue) 01時頃
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[ 唯一、 耳からではない薔薇のさざめきだけは、 音さえ止まった"真赤"の景色も貫いて、]
(139) 2018/05/22(Tue) 02時頃
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[ 左手に、人肌を受け止めたなら、 手のひらは翻り、 ちぃさなその手を掴んでしまって、 中庭に引き込むように 腕をひいた。
其処で漸く、茶は一時射干玉を認め、 …確かに弱っているのだろうけれど、 聞こえる程度の "ひとりごと"に>>135]
─── 水でも持ってきてやろうか?
[ と、 "正しく" …「何が欲しい?」と尋ねて見せた。]
(140) 2018/05/22(Tue) 02時頃
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[ "パン先輩"の手のひらは、……体格自体も、 同年代から比べると、少しばかり目立つところはあり、 トレーニングに打ち込まずとも、筋肉質な左腕は、 かるぅく引いても力はそれなりで、 小柄な彼はどの程度、引かれることになったろう。 つんのめるようなことがあったなら、 受け止める体制も取ろう。
人目>>135があろうと、気にする素振りも、なく。]
(141) 2018/05/22(Tue) 02時頃
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――――― 聖書には"あい"の定義が記されている。 美しいアガペーの言葉だ。 ねたまず、謹み深く、高慢にならず、 ……けして絶える事がないと、
"賜物"だって"あい"がなきゃあ意味がないらしいぞ。
[ 手を引く彼には、唐突な言葉に聞こえただろう。 聖パウロの愛の讃歌は結婚式の常套句だ。 その間、茶は射干玉から逸れることはなく、 ――― 寧ろ鋭い光さえ覗かせて 紅く、紅く 輝る。]
(177) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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―――― ロビン。
[ ……薔薇が、何を選ぼうと 末端はただ、飢えてしまうから
下腹の熱は理性を苛みつつあったし、 押し倒さんばかりの欲求は 当然のように あったけれど 絞り出すような声で彼の名前を呼べば、 右の指先が伸び、 唇へ到達する。]
(178) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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―――― キスを、させていただいても?
[彼が、同じく彼の同級から、 同じような頼まれごとをしたことはさすがに知らないが、 ――― 許しを求めただけ、懸命な態度だ。
それだけの欲が、 茶の瞳には揺れている**]
(179) 2018/05/22(Tue) 10時半頃
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[ きっと今日はキス日和なんだ。 だって、 そう 月が、赦してくれる。
戸惑う言葉に、 不思議と罪悪の心はなく、 ( ――――― この体格の差に、) ( 業、 は 感じつつも、) 今日ばかりは 倫理も、 背徳心にも、目を背けて、]
(187) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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[ 右の指先が滑り降り、 顎に添えられ、 否定の無いその唇を、 真赤の舌が、這う。
甘い言葉ひとつもなく、柔く食み、 深く、 深く、
───── 薔薇に見せつけるような、其れ。]
(188) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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[ ぞわ、 と 逆立つような其れが、 "している側"だというのに、 余裕も、理性も、 音をたてて削っていく。
絵画のような美しさは、きっと 無い。 覆うようなふたりの 差と、 呼吸の間も惜しむような 其は、
片方が 獣 であると言われても、 けして否定はできないもの。]
(189) 2018/05/22(Tue) 13時半頃
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[ 結局、───理由と言われると、 ……自分が落ち着かないからだ、と、 たった其れだけの返答には成ってしまったけれど
同時、今の己は末端ではあろうから、 欲求が、薔薇の求めるものでは あったろう。
──── 兎に角、欲しい。 足りない、 と それだけ。]
(201) 2018/05/22(Tue) 17時頃
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[ 酸素の代わりに交換するのは、 きっと、 心を狂わす薔薇の香り。 欲に色づく茶は、ぼぅ と 解けた灰色を認め、]
─────……嗚呼、 くそ、
[ ため息と共に零れるのは、 倫理を飛び越え、背徳心を無視しても "信じられない"己の体への、 苛立ちのような。 制御のきかなさを吐き捨て、 それでも獣を押さえ付け、 熱に掠れた喉が問う。]
(202) 2018/05/22(Tue) 17時頃
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――― 逃げるなら、今のうちだが。
[ 誘う薔薇の木立の先、 すこぅしばかりの暗がりへ 人目なんて気にしている余裕は全く無いから、 ――― 連れ込むことも 厭わないだろう。]
(203) 2018/05/22(Tue) 17時頃
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[ 絡まる薔薇蔦は 気付かぬうちに囲い、締め上げ、 荊は甘やかに 柔肌を傷つける。 呪いを刻み、 欲を植え付け、 ――――― 深紅の世界を幻視する。
熱の浮いた息を付き、 夢うつつのちぃさな身体を 薔薇の木陰に誘いながら、]
(224) 2018/05/22(Tue) 20時半頃
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――――――……… 、
[ 振り向き様に 薄い唇に指を寄せ、 しぃ、 と 悪魔の口止めを>>216 追うもの>>209に見られぬうちに、隠れ行く。 *]
(225) 2018/05/22(Tue) 20時半頃
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