人狼議事


226 【突発誰歓】君の瞳に花咲く日【RP村】

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【人】 トレーサー キルロイ


[何処までも遠い遠い空の中――――…。

吸い込まれるように、緊急サイレンの音が鳴った]
   

(17) halt 2015/06/15(Mon) 23時頃

【人】 トレーサー キルロイ

[ざわめきが遠い。
一部職員を除いて玄関付近の区域には、
立ち入らないよう放送が流れる。

同じような放送が流れたことが、過去に一回だけあった。
その時は、確か、]

(18) halt 2015/06/15(Mon) 23時頃

【人】 トレーサー キルロイ

―屋上―

[其処には既に人気が無かった。
集まっていた医療スタッフたちは、
慌てて地上へ降りて行ったのだろう。

扉の鍵は開いたまま。
―――…扉すら、開いたまま。

ゆっくりと足を前に進める。
夜の匂いを含んだ風は、
中庭で感じたものより少し肌寒い]

(19) halt 2015/06/15(Mon) 23時頃

【人】 トレーサー キルロイ

[柵の傍らまでやって来た。
強くなった風が黒い翼を煽り靡かせる。

遠く地上ではざわめきが絶えない。
其方を覗き込もうとして、
足元に置かれている二冊の本に気が付いた。

挟み込まれた紙切れが、寂しそうに揺れている]


 ―――――――…。


[其れが何を意味するのか。
理解をするという間もなく、頭の中に事実が転がり込む]

(20) halt 2015/06/15(Mon) 23時頃

【人】 トレーサー キルロイ

[どうして責めることが出来るだろう。
別離の予感は中庭で別れた時、確かにあった。
こういう形でだとは、思っていなかったけれど。

…どうして責めることが出来るだろう]


 シー兄ちゃん。


[絵本と絵日記を抱きしめて、その場に力なく崩れ落ちる]

(21) halt 2015/06/15(Mon) 23時頃

【人】 トレーサー キルロイ

[ざわめきが遠い。
立ち入り区域を解除します、という放送が流れていた。
既に陽は沈み、月が昇り、辺りは闇に包まれている。

泣きもせず、笑いもせず、ただ無表情で其処にいた。
どうしたら良いのか分からないから、
どうしたら良いのか分からない顔でずっと其処に居た。
シーシャの残した最後の痕跡が、ざわめきが、
消えてなくなるまで。
忘れない為に。全て、覚えておく為に。

地上から人の気配がなくなると、
立ち上がって漸く下を覗き込む。
暗く――――…霞む視界には、普段通りの景色が映る]

 じゃあね。

[あの時>>5:138
思わず黙り込んで返事し損ねた言葉を返して。
立ち去る屋上、残されたのは一枚の黒い鴉の羽根*]

(22) halt 2015/06/15(Mon) 23時頃

【人】 トレーサー キルロイ

―(if)See you in your dream―

[病院の施設内を、
幻想的な煌く記憶の欠片達がパレードし、
天に向かって消えていく。
その光景を絵に残せる程の力が残っていないことを、
口惜しく思った。

(――――――忘れない)

その、数日後]

(53) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[新たな入院患者がやって来た。
12歳くらいのその少年は、トニーという名前だった。
右眼から花が咲くという奇病を患っていた。
果たして何色の花だったのか
――鴉の瞳には、其れは日毎に異なる彩で映し出された]

 宜しくな、俺はキルロイ。
 此処は不便も多いけど、悪いことばかりじゃないから。
 何か困ったら、頼ってくれて良いんだぜー。

[自分がそうして貰ったように、施設内の案内を買って出た。
トニーは不安がってはいるが、
何処か新しい環境に期待している様子も見受けられた。
元々、此処に来る前の生活があまり恵まれたものでは
なかったということは、後日彼に教えて貰った]

(54) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

 図書室は地下にあるから、あとで行ってみるか。
 後は、食堂と、トレーニングルームと…。

[狭い歩幅に合せて、ゆっくりと歩く。
時折揺らした黒い翼が、ふわりと風を受けて揺れる。
横切る廊下に刻まれた傷跡。
未だ消えることは無く、確かに其処に存在している。
やがて、最後に―――と、少年を中庭まで連れて来た。

穏やかな風が吹いている。
少し強くなってきた日差しが眩しい。
かつての賑やかさは其処にはなく、静寂に満ちている]

 此処が病院の中で、一番広い空が見れる場所。
 春か秋だと、もっと気持ち良いんだけどなぁ。
 ちょっと暑くなって来たかなー。

[遠くで鳥の鳴く声がした。小さな蝶が、空高くを舞っている。
花壇に広がるのは幾多の種類の花々と、
それに混じった薄紫の――] 

(55) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ


 ところで、いきなりなんだけどさ。
 一つだけトニーに仕事を頼んでも良いか?

 此処の花の世話を、頼みたいんだ。
 綺麗だろー?
 凄く大事な花なんだけど。
 ほら、俺じゃ、水も蒔けないから。

[少年は、仕方ねえなぁ、
なんて悪がりながらも、二つ返事で頷いた。
それから二人で早速、花の水やりをした。

実は中庭以外にも花が咲いているんだ、
と後出しのように伝えたら、
トニーは呆れながらも其処にも水を蒔いてくれた]

(56) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[トニーはサッカーが得意らしい。
文系の男は付いて行けるかなぁと笑いながらも、
今度一緒に中庭で遊ぶ約束をした。
勿論、花は傷つけないように。

――――――…この少年も、何時かは知るだろう。

この病院が、つまるところは監獄に過ぎないと。
それでもその狭い檻の中に、
不幸ばかりが落ちている訳ではないと。
少しでもそう思って、くれれば良い]

(57) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[自室へ戻って一人になると、重い溜息を吐く。
今となっては、引き籠っていた3か月間が恨めしい。
酷くなる身体の痛みと体力の回復の両立は、
非常に厳しいものはあるのだが。

それでも、諦めたくはなかった]



『キルロイ――キルロイ……ッ』



[夢の中、君が叫んでいる姿を見たんだ。
消え行く儚い宝石の欠片ではなく、
軋む腕を必死に此方へ延ばそうとする凛とした強さ。

君の為なら、何だって出来ると思うんだ。
君が腕を伸ばしてくれるなら、俺は、必ず――――]

(58) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[腕は機能的には完全に翼と同化し、
更に肩から内への侵食も始まっているようだ。
ただ、精神まで侵されることは無かった。
そして痛みに耐えて薬の量を増やさなければ、
差し当たり男が隔離部屋へ連れて行かれる道理はない。

腕が使えなくなった代わりに、
もっぱら機能し始めたのは足だった。
行儀が悪いが、今更そんなことは言っていられない。
いつかこの足ですらも―――
と、過ぎる予感は見ない振りをした。

首に掛けている紐に通した紅玉が揺れた。
全てが終わって始まったあの日から、
ずっとこうして肌身離さず身に着けている。
石に触れると彼女の笑顔が思い出される気がした。
それが男の精神を―――繋ぎ止めてくれている気がした]

(59) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[男は器用に足で鉛筆を持ち、日課の絵日記を付ける。
まだまだ歪な絵。
でも、見れないことは無い、…と、思う。

其れが終わると、スケッチブックを見返し始めた。
何度も、何度でも、見返した。
忘れないように。覚えているように。
彼らが確かに存在したこと、その想い出を。

棚の中には、シーシャの絵日記も並んでいる。
その隣の箱にはヒナコとの文通の手紙が、
彼女の最後の記録の走り書きと共に仕舞われている。

部屋の片隅には、ケイトリンが微笑んでいる絵が飾ってある。
完成度は七割方の、あの日の未完成のまま。
もう記憶の中の色を失ってしまったから、
どうしても続きを描くことが出来なかった。
あの鮮やかな愛しい菫色を、上描きしたくはなかったから]

(60) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[そうして、―――――]

[どれ程の月日が流れただろう]

[入院患者の移り変わりは波がある]

[時に激しく、時に緩やかに、増減を繰り返し]

(61) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ


[そんな、とある雨上がりのよく晴れた日のことだった]
 

(62) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[鴉の瞳は、遠い空に虹がかかるのを見た。
十四色に煌く虹だった。


あの向こうにキミが居るんだね。

――――――――誰かが、呼んでる。


紅玉が揺れた。
この頃には痛みで一日の大半を朦朧とすることも多かったが、
今ばかりは頭の芯が冷えた様にはっきりとしていた]

(63) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[遠く、ざわめきが聞こえる。
あの人達が何を言っているのか、よく分からない。

世界がまるで切り離されてしまったように。
全て覚えている。
覚えているけれど、干渉を嫌うように。

そうだ、捕まってしまう前に。
あの子のように、あの子のように、あの子のように。
痛くても、苦しくても、どうして頑張っていたんだっけ。

ああ、そうだ。 …そうだった]

(64) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ



『……きみをつれて、どこかとおくへにげれたら』
   
   

(65) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[ヒカリモノ好きの鴉が飛んだ。
大空高くに舞い上がった。

聳え立つ監獄の白い柵を、悠々と見下ろして。


硝子のようなその瞳には、
――――――― 一面に咲く紫色の花が映っていた*]

(66) halt 2015/06/17(Wed) 22時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[>>22シーシャの痕跡は消え、ざわめきは遠く。

……遠く]


 ―――――――…っ!?


[違った、再び辺りは騒々しさを取り戻した。

近しいものが次々に輪郭を失って、
白昼夢を見ているように惚けていた男の意識は、
予想外の現実に引き戻される]

(78) halt 2015/06/17(Wed) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ


 何、……今度は、何が―――…

[ヒナコが、シーシャが、オスカーが、
"いなくなってしまう"ことには予感があった。

しかしこのざわめきは、そのどれとも違うもの。
鼓動が速まる。
冷や汗が頬を伝う。
何もかも、何もかも理解はしていないままに]

(79) halt 2015/06/17(Wed) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[ざわめきに近づくように、気づけば足は駆け出していた]

(80) halt 2015/06/17(Wed) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[――――声>>72が、聞こえたんだ]

[夢でも幻でもない]

[現実に、その彼女の強い意思と温もりを湛えて]

(81) halt 2015/06/17(Wed) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

 ケイトリン――――――…!!

[名を叫んで駆けた廊下の先、確かに其処には君が居た。
髪は解け、足取りは重く。
けれど別れた時と何も変わらぬ、
凛とした熱籠る瞳と共に]

 ……っ、な、…なんで此処に!?

[突然すぎる再開に、
気の利いた言葉一つ出て来はしなかったけど]


 良かった……。
 君が、君のままで…。
 生きていて、本当に良かった。


[飛びつきそうになる衝動を、押さえて。
彼女の体を支えるように、そっと優しく抱きしめた*]

(82) halt 2015/06/17(Wed) 23時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[かつて幻で見た彼女は、笑ってはいなかった。
それはきっと、自分自身の心が笑っていなかったから。

どうすれば良いのか分からないくらい苦しくて。
どうすれば良いのか分からないくらい悲しくて。
それでも前を向くために凍りつかせた心の一部が、
ゆっくりゆっくりと溶けていく。

彼女に逢えたから。

どんな姿だって構わない。
恥ずかしいなんてある訳ない。
その必死で健気な姿に、愛しさと切なさが増した。

胸に募る想いと、情けなく滲んでいく視界は。
苦しげながらもはっきりと伝えられる言葉>>85と、
その懐かしく優しい微笑を見て決壊した]

(96) halt 2015/06/18(Thu) 02時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[ああ、格好悪いなぁ。
また泣き虫だって思われてしまう]


 ―――――――〜〜〜〜ッ。


[彼女はこんなにも真っ直ぐで、眩しい位に強くて。
絶望に陥っても、前だけを見ていて。
そして奇跡を起こしてしまった。

そっと抱きしめれば確かに温もりを感じる。
彼女の存在を感じる。
心根の強さと対照的に、脆く華奢なその身体。

床へ音を立てて転がり落ちていく宝石達。
あの、診察室で見たものとは違う。
色を知ることは出来ないけれど、
――きっと何より優しい色をしているのだろう]

(97) halt 2015/06/18(Thu) 02時半頃

【人】 トレーサー キルロイ


 ケイトリン、俺の方こそ、ごめん……。
 本当にごめん。

 何もできなくて――――――……。
 君のすぐ傍に居たのに。
 君はあの扉の向こうに、居た筈なのに…。

 逢いたかった。
 ずっと、君に……。

 もう二度と、逢えないと思っていた、から…。

[彼女に触れながら、
過ぎるのはあの手を離してしまった時の後悔。
頬に涙を伝わせ続けながら、絶対に繰り返さないと誓う]

(98) halt 2015/06/18(Thu) 02時半頃

【人】 トレーサー キルロイ

[やがて少しだけ熱を離して、見つめる彼女の顔。
その瞳が――見たこともない色で。
離れていた時間と、その時が刻んだ変化を実感する]

 ナナオもメルヤも、無事なんだ。
 良かった、向こうで一人きりじゃなかったんだな。

 元気なら良いんだ。…それだけで。

[彼女の報告に心の底から安堵して。
同時に、胸に燻るような違和を覚えた。
元気ならば、どうして隔離されなくてはいけなかったのか。
隔離をされていなかった、"彼ら"は――――]

 ………………。

[大丈夫、と問われて、
一瞬浮かべるのは泣き出しそうな笑顔。
既に涙は止まっていたけれど、頬に過ぎる跡はそのままに。
やがて、それは虚ろな表情へ変わって]

(99) halt 2015/06/18(Thu) 02時半頃

【人】 トレーサー キルロイ


 俺は大丈夫、何ともない。
 
 だけど。
 ヒナコが、蝶になって元の心を失ってしまった。
 オスカー爺ちゃんが、霧になって消えてしまった。


 シー兄ちゃんが。

 …………死んでしまった。


[それは、今彼女に伝えるべきことでは、
なかったかも知れない。
けれど、今だからこそ、伝えなくてはいけないとも思った]

(100) halt 2015/06/18(Thu) 02時半頃

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