75 サプリカント王国の双子
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彼の、罪状は… 女王ほか、1名の殺害。 と、……女王世話役の、傷害。 それ以外は、なにか……?
[確認するように、つぶやく。 けれど、それ以上の罪状など必要ないと、わかっている。]
……
[唇を開き、閉じる。喉が渇く。 舌がひきつれるような感覚とともに、]
(74) kokoara 2012/01/20(Fri) 23時頃
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罪状は、十分、過ぎます。
――――― 死刑が、適当かと。
[冷たい声音。
何者かなど考えるな。 相手は、罪人だ。
握りしめた手は、爪が食い込むほどに。]
(75) kokoara 2012/01/20(Fri) 23時頃
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―病院―
今日は、赤い花を買ってきたのですよ。 ……貴方がこの前私に飾ってくれたものには劣るかもしれませんが、 でも、素敵ないろです。
[赤は、色々なことを思い出す色だ。だけど、愛しい。 独り言のように呟く言葉の途中、動く気配がしたような気がして振り返る。
――慌てすぎて、危うく花瓶を倒しかけた]
――ハンス!!
[花瓶を元に戻してから、寝台に手を付きオリーブの瞳を覗き返す]
良かった……目を、覚ましてくれて……。
[ぽたり、ぽたり。 部屋の中だというのに、白いシーツに雨が落ちた]
(76) siro 2012/01/20(Fri) 23時頃
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ラルフは、ひっ、あと30分なのか! うー。
Cadenza 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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―あの後―
[疲労が怒りや苛立ちを追い越し、黙り始めてから どのくらい経った頃だったか。 本当の犯人が捕らえられたかわりに解放され、 不機嫌丸出しのまま携帯で連絡を取ったのは、 帰れと言い放った従者だった]
ああ、ボクだ。今どこにいる?
『―…サプリカント城の前におります』
帰れって、言っただろう?
『私は、あなたのお兄様の僕ではありませんから』
…ふん。
[くつり、口元が歪む]
(77) Cadenza 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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もう少しで、城を出る。待っていろ。
『―…はい』
[返事を聞き終わる前に通話をきる。 どこまでバカなヤツなんだ。 歪んだままの口元に笑みを浮かべて城の中を歩く。
状況が状況なので、王女姉妹に挨拶は出来たか否か。 出来たなら疲労は隠さぬものの丁重に挨拶をしただろう]
(78) Cadenza 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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[城の外。 最後は警察の人間が頭を下げたのを無視し 待っていた従者が近寄るのを待った。
そして、城を振り返って見上げ、一度目を細め―]
本当に、とんでもない厄日でございましたよ。 ボクの人生の中でも、とても思い出深い一日でした。
[くすくすと笑いながら、流暢な外向きの声音で]
帰るぞ。 こんな真夏は、エルメアのビーチの方が数倍いい。
[振り返ったときはもう、抑揚のない声。 そうして、もう一度城を振り返ってから歩き出す。 今度はもう、振り返ることはなかった]
(79) Cadenza 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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―そして、数日後―
[エルメアの海を一望する屋敷のテラス。 チョコレートの香りの煙がゆっくりとのぼっていた]
ええ、そうです。 とんでもない、これからもよろしくおねがいしますよ。
[携帯で会話をしながら浮かべる、笑み。
サプリカントから戻ってすぐに失った商機のリカバーに走った結果、 それを取り返してもなお余りある大きな話をつかんで引き寄せた]
まだまだ、こんなものじゃない。
[犯人は妹王女の世話係だったことは、部外者はきっと知りえなかっただろう。 けれど、王室はまだバタバタしているだろうことは想像に容易い。
騒ぎが落ち着いてから、改めて王室御用達の宝飾品の取り扱いを願い出るつもりだった。 うまくいけば、兄を一気に超える大きなチャンスだ]
(80) Cadenza 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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厄日がとんだ切欠になってくれたものだ。
[一人ごちてふふふと笑い、 くるりと勢いよくリビングを振り返って]
さあ、派手にやろうじゃないか! 今日は無礼講だ!
[水着姿の若い男女―遊び仲間の集まるリビングから歓声が上がり、 シャンパンの栓が抜ける小気味よい音が響いた**]
(81) Cadenza 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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親愛なる シルヴァーナ様
僕はあなたに3つ大きな嘘を吐いていました。
一つ。あなたを想い愛すると誓ったこと。 僕には愛というものが何なのか、最期まで分かりはしなかった。
一つ。共にいることが望みだと伝えたこと。 僕に残された時間で、それは叶えられようもない。
一つ。病苦に侵された僕の余命は、既に幾許もないこと。 人間に与えられた時間は無限とは言えずとも、 敢えて黙して秘していたならば、其れは大きな嘘といえましょう。
(82) nekosuke 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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この国にとって、あなたにとって、 王の不在はどれほどの意味を持つのでしょうか。
おそらくは、泡沫の夢、大きな意味など有りはしない。
だから、あなたは何を気に病むこともなく自由に生きれば良い。
僕の死を隠し、唯一人の女王として従者と生きることも。 僕の死を晒し、新たな伴侶を得ることも。 其れを責める者など、誰もいはしないのだから。
御優しい、シルヴァーナ様。 御可哀想な、シルヴァーナ様。 僕のような愚か者に騙されて、あなたを不憫に思います。 願わくば、今後あなたの辿る道に幸せが訪れますように。
それでは機会があれば、また、涅槃で。
(83) nekosuke 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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追伸
もしも余裕があったらで、構わないので。
兄さまに、"大嫌いでした"とお伝えください。
エリアス・ブローリン
(84) nekosuke 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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―夜闇の海岸―
[新月の夜。月は出ていない。 夜の闇の仲、生成りの髪は星明かりで照らすには細すぎた。 くるりくるり、黒い傘を回すのは癖の様なもの。 髪先で、銀色の蝶が揺れていた。
子供みたいなオリーブ色に映るのは、幼い頃の儚い追想。 兄に着飾られた自分の姿。 嫌がる素振りは見せつつも、確かにそれは"美し"かった。 美しい物が好き。それが壊れる所はもっと好き。 ずっとずっと、壊したかった。 あなたが聞かざる私を壊したかった。 それはもう、叶わぬ願いではあるけれど。
浮かぶ笑みは穏やかに。口ずさむ言葉は唄う様に]
さようなら。
[最後に微か寂しげな色を残して、翅の無い蝶は宙を舞う**]
(85) nekosuke 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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[ぽたり、と落ちる雫>>76。 手を伸ばそうとした。 痛々しく巻かれた包帯に、気付く。]
――…… っ
[思い切り、苦しそうに歪んだ顔は、オリーブは。 看護婦らによって前髪上げられていれば、 はっきりと目にする事できただろう。]
[指先の感覚は歪。 ハンマーでぐちゃぐちゃに潰された指は、神経までも切れ切れに。 症状は未だ告げられなかったけれど。 己の指の事。既に、わかっているようで。]
――……。
[言葉を落とそうとして。喉が、引き攣る。]
(86) pijyako 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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"もう"
"この目の前の人を、飾る事が、できないのか"
[それは、医者に告げられれば真実であると知れる。
苦しげな顔、取りつくろう事もできずに。 けれどまだ涙流すようなら、包帯巻いた手、 そっと、その髪に触れる様にだけ、撫でて。
必要あれば文字盤でも持ってきて貰って。 けれど目覚めの日には頑なに、思いを割ろうとはせずに。]
(87) pijyako 2012/01/20(Fri) 23時半頃
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[――……数日後。 男の姿は病室から、消える。]
(88) pijyako 2012/01/21(Sat) 00時頃
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サイラスは、ベネットおかえりいいいいいいいい(はぐ
siro 2012/01/21(Sat) 00時頃
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[―告知―
国家反逆者 シメオン・クルック
女王殺害他余罪により
公開処刑、斬首に処す。
日時 ○月×日 △時より 場所 ――――広場 ]
(89) kokoara 2012/01/21(Sat) 00時頃
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― 後日 - 実家 自室 ―
―――、ッ、くしゅ
[響くくしゃみの音。 ず、と鼻を啜れば、寝台の中、再び紙面>>63に視線を落とす。
『お茶を飲みに』――できれば、ペンブルックシアに戻る前に一度挨拶に行きたいものなのだけれど。 生憎と、あの日、騒ぎから解放された後、直ぐに熱が出てしまい、数日をベッドの中で過ごす羽目となってしまった。 未だに微熱の続く中、母が持ってきたのは一通の手紙だった。
幾度も読み返した文面。そっと折り畳み、丁寧に封筒へ。 そうすれば、紅茶とを持ってきた母親が扉を開くか。]
(90) kirisame1224 2012/01/21(Sat) 00時頃
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ベネットは、ただいなーん
sunao 2012/01/21(Sat) 00時頃
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……あ、……ありがとう
[そうして口に含んだ紅茶。 どこか物足りなさを覚えたのは、あの日飲んだ紅茶の味が、未だ残っているせいか。]
母さん、……蜂蜜、持ってきてもらっていい?
[母親にそう頼めば、怪訝そうな顔をしながらも母親は蜂蜜を持ってくるだろうか。
夏の日差しが窓から差し込む。
あの騒ぎの犯人が、若き妹王女に死罪を言い渡された事は未だ知らぬまま。 口にしたキャンブリックティーの味は、城で口にした其れとはやはり、かけ離れていた。*]
(91) kirisame1224 2012/01/21(Sat) 00時頃
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――あれから――
[夏も終わろうかという頃。 遠く、教会の鐘が鳴る。
決められた処刑は覆らない。ミッシェルが決断を下したと、遠く聞いた。 ああ。本当にあの場所から彼女を引きずり下ろすことは出来なかったのだ、と思った。 彼女自身を傷つけ公務を行えないようにしたら、と過ぎったこともゼロではなかった。 けれどそう出来なかったのは、己の胸の燻りが故に。
群衆は政治家とマスコミュニケーション関係者と、カメラマン、それから物見遊山の観客。 ゴシップ記者がノートを抱え、どこかの国の外交官が愚者の愚行を笑いに来ていたかもしれない。
都合がいい。 斬首台の刃が落ちる寸前に、息を、強く深く吸い込む。 最後の悪あがきだった。]
(92) mmsk 2012/01/21(Sat) 00時頃
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―宮廷庭園―
『疲れたでしょう。少し、休んで下さい。』
[かかる声に、どさりと運んできた堆肥を地面に置いた。 指は器用に動かずとも、土や、石を運ぶ事は位はできた。 ――……髪を、姿を変えてはいるけれど。 目の前の庭師には、姿覚えられていただろうか。
宮廷に出入りする業者の元。 結局は舞い戻るように努めたのは、きっと。 どうしても離れがたかったからと、それと。
あの涅槃で見た花弁が、美しかったから。]
――……。
[蝶が舞うのを目で追った。 肩にはいつ男の元戻って来たのか、リリィの姿。 その尻尾、弟に上げた銀の蝶が飾られて。**]
(93) pijyako 2012/01/21(Sat) 00時頃
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狂ってんだよ!
[一斉に視線が向く。 黙れ、と官吏は制したが、しかし止まる気はなかった。]
魔女の呪い、だなんだか知らないが! 双子しか生まれない家系で、一人は女王、一人は政治! それを守ってきたからって、男が生まれても迷わず女王! 妹が死んだら身代わり連れてきてはい王女です! 狂ってんだよ! ただの、何にも知らない、九つの女の子捕まえてきて! 王女になれだ!
[ざわめく観衆の声。 本当だったのか、という声と、罪人の戯言だ、という声と。 混じり合って声はどんどん大きくなる。 喉が潰れて血の味がした。 喉を裂いた他のやつの口の中もこうだったろうか。 目を切れるほどに見開き、食らいつくように叫ぶ。]
(94) mmsk 2012/01/21(Sat) 00時頃
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シルヴァーナ=サプリカントは男だ! ミッシェル=サプリカントは死んだ! それが事実だ、お前らが求めてきた事実だ!
(95) mmsk 2012/01/21(Sat) 00時頃
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[殺してしまえ、と事務的に動く官吏の手で斬首台の刃が落ち て]
(96) mmsk 2012/01/21(Sat) 00時頃
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この国は何年も前から狂ってんだよ! ずっと、ずっと、ずっと! あそこにいる妹王女は、何も知らない、ただの女の
[ ズタ ン ]
(97) mmsk 2012/01/21(Sat) 00時頃
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[ そしてまた時は過ぎた ]
(98) mmsk 2012/01/21(Sat) 00時頃
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[もの言わなくなった金の髪の青年を群集は、そして王宮はどう受け止めただろうか。 新聞、ニュース、ゴシップ記事。所々様々な所で青年の最期の言葉は取り上げられたろう。 事実を突き止めようとする記者たちの執念はすごいものだ。 王宮は炊きつけるようなフラッシュの雨に襲われるかもしれない。 まだ即位就任したばかりの"双子王女"には重い課題となるか。
けれど、所詮人の噂も七十五日で。 彼女らが忙殺されるうちにシメオン=クルックの名などサプリカント中の誰もが忘れていく。 皆、皆、忘れていく。 ただの一事件に成り下がり、人々の意識は死んでしまった罪人などより今日を明日を生きることに移り変わる。]
(99) mmsk 2012/01/21(Sat) 00時頃
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[波音ざわめくサプリカント。 あたたかな人々、素晴らしい気候に、美しい海と山野。 子供たちには笑顔絶えず、穏やかで平和なこの国は観光客も多く。 賑やかに栄える島国は、常の輝きを取り戻していった。
数人の内腑に、深くナイフを突き刺したまま*]
(100) mmsk 2012/01/21(Sat) 00時頃
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―病院―
ハンス、……ハンス……っ、
[涙を流したのなんて、何時ぶりだろう。 嬉しいのに、彼が目覚めてこんなに嬉しいのに、それでも涙は止まらなかった。
それは、つい先日届いたあの手紙のせいだったかもしれない]
――ハンスが、目覚めたら、言わないといけないことが、あって。
[彼が言葉を伝えられないのだと解れば、自分が話す番だと気づいた。 袖で涙を拭いながら、ハンスに髪を撫でられながら、どうにか言葉を搾り出す]
(101) siro 2012/01/21(Sat) 00時頃
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――エリアスから、伝言です。
[彼が眠っている間に、己はエリアスと結婚の儀を終えた。 終えたばかりで、彼は姿を消した。そして届いた一通の手紙。
――読んだ時は、あまりの内容に呆然とした。 ハッピーエンドをと、言ったではないか。 命の終わりがすぐそこまで来ていたのなら、最後の瞬間まで隣にいてほしかった。 お互いに、愛とは何かを知るには、共に過ごした時間は短すぎた]
(102) siro 2012/01/21(Sat) 00時頃
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[そんな身勝手な夫の言葉などそのまま伝えてやるものか。 口を開く。涙はやっぱり、止まらなかった]
……兄さまのことが、大好きでした、と。
[笑ってみせた。王女には似合わない、ひどく、ぐしゃぐしゃな顔で**]
(103) siro 2012/01/21(Sat) 00時頃
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