73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/12/27(Tue) 00時半頃
奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/12/27(Tue) 20時半頃
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──音楽室── [一人奏でるバイオリンの曲は童謡めいたものが多く。
バイオリンを通して自分と会話すると言うよりは、在りし日に思いを馳せるため。 それは自分が決定的に歪むよりも前。未だ純真でいられた幼少の頃。
他者からのいじめ。簡単に折れた心。 自分の殻に閉じこもりがちで、無表情に近い息子の情操教育にと与えられたのはバイオリン。
初めてその音に触れた時、嬉しかった。 奏でた一音は音と呼ぶにはあまりにも粗末なもの。されど、自分が奏でた大切な音。 誰とも心を通わせることができなかった自分が、初めて心を通わせることができるものに出会えた気がした。 一音、また一音、綺麗に奏でられる音が増えていく。音符の連なりを追えば、曲へと姿を変えていく。 色褪せていた自分の世界が急速に色付き始める。自分の居る場所がきらきら光って見えた。 もっとも、それは自らの手が生み出せる範囲の小さな世界でしかなかったことには気付かなかった]
(69) 2011/12/27(Tue) 21時半頃
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[誰かを抱きしめるために必要な両手を広げるだけの世界があればいいと何かの小説で見た気がした。 でも、自分は違う。自分が必要としている世界を形成するのは、もっと小さくて。 だって、自分を抱きしめるのには、両手を広げる必要なんてないのだから。
鼻腔を擽る薔薇の香り。薔薇の香りが齎すのは一体何なのだろうか。 人の奥底にある欲求が浮かび上がるとノックスは言っていた。 それなら、自分は疾うに自らの世界に閉じこもっていてもおかしくはないのに。 薔薇の香りが齎す効能は自分に効いていないとも思えない。
今までは意識的に吸い込まないようにしていた薔薇の香り。 この香りに身を委ねれば、幸せになれるのだろうか。幸せ……?自分は幸せになりたいのだろうか。
多くは望んでいない。幸せでなくても構わない。だから、だから…誰もいない世界で一人────]
あぁ……違うのか。
[ぽつり呟くと、手を止める。不自然に途切れる演奏。 一度瞳を閉じて、自嘲気味に笑みを浮かべる。 幸せでなくとも構わないなんて、思っている時点で、既に破綻している。 分かっている。分かっていても、一人が居心地が良いから、自分は抜け出せない]
(71) 2011/12/27(Tue) 21時半頃
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………香りが、変わったように思えたけど。 それに、………減ったのかな。
[小さく息を吸えば、緩く首を傾げる。 香りの変化はすぐに消えた。きっと、気のせいだろうと結論付けられるほど些細な変化。だから、気にも留めない。
それよりも気になるのは、気配の数。気配には誰よりも敏感な自分。でも、本当のことを言えば、その気配の詳細までは分からない。 だって、自分にとっての線引きは、自分とそれ以外かしかないのだから。それが他人かあるいは得体が知れない者かなんて、大差ない。
色濃く感じる薔薇の香りに紛れている他者の気配が減ったように感じるのは何故だろうか。 それは本来とても好ましいことのはずなのに、素直に喜べない。 気のせいであればいい。だけど、きっと気のせいではない。
痛ましそうに瞳を伏せて、胸元に手をあてる。布越しに触れる十字架の感触。 何かを祈ろうとして、困ったように眉を寄せる。 他者のためになんて祈ったことが無いから、適切な祈りの言葉が浮かばなかった]
(72) 2011/12/27(Tue) 21時半頃
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……相変わらず、外もこの香りなのかな。
[噎せ返るような薔薇の香りにも少しは慣れた。 この香りが消えないのは仕方が無い。 ただ、少しだけ頭を冷やしたくて、窓に手をかける]
寒っ………
[窓を開けば、冷たい外気が頬を掠める。 小さく呟いて、すぐに窓を閉めようかと思ったものの手が止まる]
あれ……?
[中庭に視線を落とせば、先ず目に入るのは真っ赤な薔薇。 そして、それと同じくらい鮮やかな鳥の姿。 視線をさらに滑らせれば、廊下で会った少年の姿も見えるか。 どうしたのだろうと不思議そうにその姿を見つめた]
(78) 2011/12/27(Tue) 22時頃
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[先ほど会った時のように、避ける様子を見せるなら、すぐに窓を閉めようと思っていた。 少年の口から紡がれた言葉に瞬く。 自分の音を聞かれるのは嫌なのは、それは自分との会話であったから。盗み聞きされているようで不快だった。 今弾いていた曲は会話ではなく、あくまでも昔を思い出すためのものであったために、不快感はなく。 手をかざして、目元あたりを隠す様子を見て、考え込むように口元に指をあてる]
………何か、聞きたい曲はありますか?
[弾き終わったと言うことは容易い。あるいは何があったと問うことも容易い。 だけど、どちらも口にすることはできず、開かれた唇から紡ぎ出た言葉に自分でも驚く。 驚いたところで取り消せないし、それくらいしか自分にはできそうもない]
それと、もし……良かったら。 使って下さい。
[吐く息が真っ白に染まるほどに、外は寒い。何故外にいるのか。 きっと寮内にいたくない何かがあったのではないかと想像するのは難くない。 しばらく迷った後、バイオリンを弾くために外していた黒の皮手袋を手に取る。 手から離す時、自身の迷いを写すように少し震えるも、黒の皮手袋は音もなく、中庭にひらりと落ちた]
(83) 2011/12/27(Tue) 22時半頃
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え………っと。
[痛くない曲と聞いて、感じた戸惑い。 自分の音はどこまでも自分に優しい。だから、痛い曲というのがそもそも分からず。 そして、1つ思い当たる可能性。今まで考えてみたこともなかったこと。 自分の音は自分に優しいけれど、他人にとっては……────?]
すみません。自分の音があなたにとって痛くないか、正直自信がありません。 ただ、その、できる限り…、頑張ります。
だから……その、もし、痛かったら、……言って下さい。
[歯切れ悪く、そう告げる。少しでも痛みを齎す可能性があるなら、断った方が良い。 自分の音が受け入れられなければ、結局傷付くのは自分。 分かっていて、それでも弾かないことを選択することはどうしてかできない]
(96) 2011/12/27(Tue) 23時頃
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……お礼を言われるほどのことではありませんから。 その手袋、……捨てるつもりだったんです。 だから、要らなくなったら、捨てて下さい。
[自分と種類は違えど、他人を避けている印象がある少年に向けて、そう付け加える。 自分も他人が一度はめた皮手袋をもう一度はめられるかは自信がない。 だから、慣れない嘘を吐いた。それが互いにとって一番だと思えたから。 指を通す様子を見れば、安心したように息を吐く]
寒いですから、飽きたらいつでも立ち去って下さい。
[そう声をかけて、自分に集中するためにバイオリンを構える。 やがて奏でるのは、星に願いを込める曲。自分の願いは叶わないと知っている。 だから、少年にもしも何かの願いがあるなら。願いがなくとも、今後もしも何か願いができたら。 その願いが叶うようにとの、想いを込めて、音楽室から奏でた]
(97) 2011/12/27(Tue) 23時半頃
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[誰かのために奏でるのは初めてのこと。 手が震えそうになったのは、外気による寒さのせいではない。 それでも、一度曲を奏でれば、毎日連れ添っているバイオリンの音が狂うことはなく。
ふと、バイオリンを弾きながら、視線を向けるのは中庭で咲き誇る薔薇。 薔薇にも願いはあるのだろうか。ノックスいわくお節介な薔薇>>2:468 そして、気になったのは枯れかけであるということ。 とても、そう見えないが、散る間際に花は美しく咲くとも聞く。
薔薇は好きにはなれない。それは今でも変わらない。 されど、もしも薔薇にも願いがあると言うのであれば。
その願いも、また叶えばいい。 未だ本質からは遠く、薔薇の目的すら知らず、そう願った]
(103) 2011/12/27(Tue) 23時半頃
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ありがとうございます。それなら、良かった。
[少年の言葉に瞳を細める。 中庭と音楽室。この距離感はどうあっても縮むことはないから、自分の受け答えは幾分柔らかなものとなる。 一方でふと感じた疑問。もしも、もしも自分の音が誰かを傷付けていたなら……? 緩く首を振る。その疑問の答えはすぐに出た。でも、今は関係ない。
少年との距離が遠いゆえに、少年が何を考えているかまでは分かるわけも無く]
………本当は、もっと。
[一曲を奏で終えた後、少年の瞳に光るものが見えた気がした。 もっとも、鮮やかな姿の影となり、はっきりとは見えない。 きっと見られたくないものだと思ったから、沈黙を破って、口を開く]
(106) 2011/12/28(Wed) 00時頃
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もっと、違う曲が良かったかもしれませんね。 この曲……幼い頃に、何度も何度も繰り返し弾いたんです。
[相手の反応は見ないようにして、ぽつりぽつりと零す]
どうしても、叶えたい願いがあって。でも、叶わないとも分かっていて。 その度に思いました。 もう1回弾けば、明日弾けば、明後日弾けば、………ずっと弾き続ければ。 いつか叶うかもしれないって。
叶わないと分かっている願いでも、叶うかもしれないって思うことができるだけで、希望が持てたんです。
[矛盾した言葉を紡いでいるのは分かっている。今はもう叶うかもしれないなんて思うこともできないけど。 それは口にしない。純粋に相手のために何かしたいと思って奏でた曲に不吉な話は不要だから、代わりに嘘を吐く]
僕の願いは………叶ったんです。 だから、きっと……あなたにも良いことがあると思います。 僕はそれを願っています。
(107) 2011/12/28(Wed) 00時頃
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[内向的な自分の性格に反して、明るい曲の持ち合わせはある。 バイオリンを通せば、何だって表現できる。 だからこそ、好んで持ち歩いて、会話をしているのだ。 そういう曲の方が良かったのではないかと、思い悩んでいたから、首を振る気配にホッとする]
ごめんなさい。僕は、あまり……言葉には長けていないから。
[唐突とも言える自分の話の後、相手が頷いてくれる様子に安堵したのは束の間。 迷う様子を見て、そう告げるも、続く言葉には瞬く]
もう少し、暖かい場所でなら。 あるいは……今の場所と互いが逆の場所でなら。
……いつでも、構いません。 もっと、他にも何か、あなたにとって痛くない曲を練習しておきます。
[今度は少年には室内で聞いて欲しいと思ったから、少しの条件をつけて、迷うことなく頷いた]
(112) 2011/12/28(Wed) 00時半頃
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事情はよく分かっていませんけど。 僕の音が、あなたにとって、優しくて、暖かいものに……なれたらいいなと。そうは思います。
あ……
[元々聴覚は優れている。 バイオリンを奏でている時は集中していたから、一度足を止め、そして通り過ぎた足音>>101にこそ気付かなかったけれども。 演奏を終えた後だから、音楽室へ向けて、近付く足音>>108には気付いて、小さく声を上げる]
もしかしたら、ここに誰か来るかもしれません。 窓、閉めた方がいいですか?
[何故中庭にいるのか、結局分からなかったけれど。 中庭にいるのが人目を避けているように思えたから、そう問いかけた]
(113) 2011/12/28(Wed) 00時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/12/28(Wed) 00時半頃
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[少年の顔に浮かんだ笑みにこちらも静かに笑み返す]
えっと……?あっ! すみません。名乗るのが遅くなりました。 僕の名前はセシル・ルブラン。高等部1年です。
[お礼の言葉の後詰まったのが、相手の口数の少なさ故ではないことに気付く。 緩く首を傾げて、思い至った1つのこと。 普段人を避けているゆえに、名乗る習慣がそもそもない。 非礼を詫びるように頭を下げて、自らの名前と学年を告げる]
こちらこそ、聞いてくれてありがとうございます。 よければ、名前、聞いても構いませんか?
[相手の名前を問うも、答えたくないようなら無理強いはしない]
(119) 2011/12/28(Wed) 01時頃
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ええと、……失礼します。
[誰かが来ると告げた時の相手の表情は気になったけれど。 それを問うたり、心配するだけの時間は無いように思えた。 窓を閉めて、万が一音楽室に誰か入ってきた時に備えて、カーテンも閉めておく]
………無理に連れ帰った方が良さそうにも思えたけど。 大丈夫、かな。風邪引かないといいけど。
[自分には無理に連れ帰ったりはできないから。 申し訳なさそうに瞳を伏せる。 せめて、中庭にまだ少年がいるなら気休めになればいいと、またバイオリンを構える。 扉の向こうで足音が止まったこと>>117には気付いていたが、声をかけることはできず。 少し迷った後、今度は柔らかな旋律の子守唄を奏で始めた**]
(120) 2011/12/28(Wed) 01時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/12/28(Wed) 01時頃
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[音楽室の扉の向こうに誰かがいるのは分かっていた。 だけど、子守唄を奏でている最中は音楽室に入ってくることはないことに、少し不思議に思う。 やがて、最後の一音を奏で終えれば、開かれる扉。 バイオリンをおろして、視線を向ければ、そこにいるのは元生徒会長。名前も顔も一応は知っている]
いえ、練習中というわけではありませんから。 うるさかったなら、申し訳ありません。
[謝罪の言葉には緩く首を振って、音が漏れていたと聞けば、すまなそうに瞳を伏せる。 責めているわけではないと言われても、考え無しであったことは事実だった]
こんな時間ですから、……眠く、なりませんか……?
[時間のこと、そして選曲に込められた意味。 こんな時間と鸚鵡返しのように言いながらも、正確に時間など疾うに把握しておらず。 疲れていると思っていたのに、体は全く眠りを欲さない。 それは自分だけに起こっていることなのか、あるいは他人にも起こっていることなのか、探るように問いかけた]
(157) 2011/12/28(Wed) 08時半頃
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香りは………そもそも、薔薇自体が好きにはなれませんから。 気にならないわけではありませんが…。
[最後に問われた言葉に考え込むように一度口を噤み。 未だバイオリンと弓を握っている自分の手元に視線を送る]
そうですね。きっと………僕は。
[顔を上げて、言葉を選ぶようにやけにゆっくりと口を開く。 レオナルドを見つめる瞳は僅かに揺れて、そしてまた視線を逸らすように伏せられる]
この香りで、自分が決定的に変わったと……思うことはありません。 いつも通りでいたいから。だから、バイオリンを弾いているのかもしれません。
[正気か正気でないか。自分にしか興味を持てない自分が正気だと言えるわけもなく。 だけど、それは薔薇の香りが漂ったことに起因するわけではない。 嘘にはならない程度に曖昧にぼかした言葉を紡ぎ、小さく息を吐いた**]
(158) 2011/12/28(Wed) 08時半頃
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[レオナルドからの返答を聞き、考え込むように俯く]
………夢の世界なら。ずっと、一人でいれるのでしょうね。 目覚めないのであれば……、それはとても────なことなのに。
[もらした感想はか細い声で、俯いた表情は暗く、一度瞳を閉じる]
え……?
[ノックスとジェフェリーのことを聞けば、驚いたように顔を上げる。 ノックスとはつい先ほどまでここで会っていた。ジェフェリーとは楽譜をばらまいた時に出会ったきりか。 小さく肩を落として、ぽつりと呟く]
そうですか。 何となくは、……気付いていました。気配が……少なくなった気がしたから。
[困ったように眉を寄せて、小さく息を吐く]
(172) 2011/12/28(Wed) 14時半頃
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[生徒会長は元であれども、その時には一人しかいないから、こちらからは知っていても、自分は有象無象の一人。 名を問われてはいなくとも、礼儀を考えて、自らの名前と学年を一応告げる]
僕は……そうですね。 きっと、他人に迷惑をかけることだけは……ないと思いたいです。 変化があっても、それは自分の中だけのことで。
[ゆっくりとした話口調で紡ぐ言葉は、慎重に言葉を選んでいることが相手には分かるか。 曲に対しての感想には、一瞬瞳を歪めて、首を振る]
………今の音は、僕の、僕だけの音では、ありませんから。 だから、……すみません。感想は受け入れ難く、あります。
[素直に受け入れれば、それで良いのに、何故かそれが自分の音と思われるのは耐えられず。 そう返した後、また顔を伏せた]
(173) 2011/12/28(Wed) 14時半頃
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……一曲??ええと。
[ピアノに近寄る相手を見つめて、瞬く。 困ったように視線を泳がせるも、ピアノまで来てしまえば、断ることもできず]
誰かと、……一緒に音を奏でるのは、ひどく不得手です。 それでも構わなければ、どちらでも弾けますので。
あぁ……でも、できれば、痛くない曲の方がいいかもしれません。
[相手が何故そんな気になったのか分からない。 向けられた笑みを探ろうと思う気にはなれず、戸惑いながらも、一度おろしたバイオリンを構えなおし、相手に選曲を促す。
中庭にいたフィリップを気にして、最後にそう付け加える。 寮内に入ってくれていたらいいのにと中庭に一度視線を向けて、小さく深呼吸をする。
最初の一音は緊張のため、酷く不安定な音を響かせるだろう。 相手の伴奏に怖々とあわせながらも、相手が伴奏を止めなければ、途中からは常と同じ音を響かせた**]
(174) 2011/12/28(Wed) 14時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/12/28(Wed) 23時半頃
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――回想・音楽室――
…………
[目覚めたくないと願うかと問われた言葉>>179に返すのは沈黙。 レオナルドの瞳を見つめて、惑うように揺れる赤茶の瞳。 睫毛が震え、唇が戦慄くも、決して言葉が紡ぎだすことができない。 無言であることが、肯定であると聡そうな相手には伝わってしまうか]
僕の、音を……?僕の、音は……
[誰にも聞かせたくないと、言いそうになるのを辛うじて飲み込む。 痛みをこらえるように唇を引き結び、目線を伏せる]
…………分かりました。
[暫しの迷いの後、薄く唇を開いて、小さく頷いた]
(250) 2011/12/29(Thu) 00時頃
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[問いかけ>>180に返す言葉は無く、緩く首を振るのみ]
――――……ッ!
[最初の一音から紡ぎだされる旋律は非常に不安定なもの。 泣きそうに瞳を歪め、自分の音がどこまでも自分以外とは相容れないことを思い知る。
無理だ。やっぱり、無理なんだ。自分の音は……―――― 諦め、折れそうになる心。それでも、伴奏が止まらない。 困惑したように視線を向ければ、笑みを向けられる。
安心感など覚えるほどの余裕はあるわけもなく。 その笑みに込められた感情が、侮蔑などの負の感情には見えなかったから、手を止めることはなく、自らの音にまた集中する]
(251) 2011/12/29(Thu) 00時頃
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[たゆたうバイオリンの音は迷いの表れ。 それでも止まぬピアノの音。 重なりあうことはない音に自らの演奏の身勝手さを知る。
そんな自分に気を遣ってくれているのか、添えられるだけの音に気付けば、瞬く。 初めて自分の音に触れてもらえた気がしたのは薔薇の香りが見せる錯覚か。 音に触れられて、支えられて……そう感じてしまえば、自分の心が震えるのが分かる。 これは錯覚だと、何度も何度も自分に言い聞かせる。自分の音が誰かに受け入れられることなんて、ありえない。
そう思う心とは裏腹に、初めて、手を伸ばしたいと思ってしまった。その音に触れてみたいと……。 でも、それは無理だとすぐに諦める。曲は既に終盤に差し掛かっている。 それに、触れようとするには相手の音が圧倒的に足りない。 一度だけ鍵盤に触れる指に視線を送る。滑らかに動く5本の指と、………2本の指。 その不自然さが、ほんの少し気になったけれど、すぐに視線を外した]
(256) 2011/12/29(Thu) 00時頃
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[紡がれる感想。そして、告げられる言葉>>195にすぐには言葉を返せず]
………いいえ、こちらこそ、……ありがとうございました。 誰かと、演奏できて…、光栄でした。
[先ず紡ぐのはお礼の言葉。そして、またしばらく考え込んだ後]
先輩はこの状況をどうにかしたいと……望んでいますか?
[何かを暴くことはとても怖い。怖くて仕方ない。 できれば、やっぱり関わりたくないと思っているけれど。 このままで良いのか、迷う心もどこかにもちろんあって……未だ決心できずにいる]
………もう1つだけ。 先輩は、誰かのために、本気で何かをする時には……どんな心構えを持って、いますか?
[弱弱しい声に反して、視線だけは真っ直ぐにレオナルドを見つめた。自分のためには今回動けない。動くなら、他人のために。されど、自分としか向き合ってこなかった自分にはとても難しく。 返る言葉はあったか。何かあっても、それ以上は何も言わずに、去り行く背を見送った]
(260) 2011/12/29(Thu) 00時頃
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――現在・音楽室―― [ようやく一人きりになれれば、バイオリンと弓を一先ず置く。 自分の体を掻き抱くようにしてずるずると壁に凭れ掛かるように座り込む]
……………どう、したら。
[噎せ返る薔薇の香り。触れてこない限りは、暴きたくは無い。 だから、薔薇の香りの大本を辿ることは今はしたくなくて。]
協力、か。
[レオナルドの申し出を思い出して、そして自らの手を見つめる。 協力してくれるなら、触れても構わないのだろうか。 そう考えるも、そもそもこの手は触れることはできるだろうか。そして、暴いてしまうものは何だろうか。 考え込んでも、結論などは見えず。 触れるべきか、触れないべきか。何度も迷った末に選ぶのは…――]
(268) 2011/12/29(Thu) 00時半頃
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