199 Halloween † rose
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[すでに死後10年が経っていた。 立派な墓は境内に馴染み、枝垂れ桜を背景に静かに佇んでいた。 濡れた墓石に貼りつく花びらをそっと摘まんで取ると、風がザッと強く吹いた]
……凰月先生、
[桜の下に佇む影。記憶の中の姿そのままに。
不義理を詫びるか、礼を言おうか。 そのどちらも合わぬ気がして。ただ深く頭を下げた。
花びら舞い上げる風が吹き、髪を撫でて通り抜けた。 顔を上げた時にはもう、師の姿はどこにもなかった*]
(@19) heinrich 2014/11/01(Sat) 04時半頃
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[終の住処に選んだのは、ある片田舎のケアホーム。陽の光がいっぱいに入る大きな窓から、薔薇の花咲く庭が見える。
『手品を見せて。おじいちゃん』
見舞いに来た少女が言う。 微かに震える指先は、もう幾つもの技を喪ってしまったけれど。 てのひらへ、ころりと転がり出るチョコレートひとつ。
『やっぱりおじいちゃんは魔法使いね』
チョコレートを頬張って、満面の笑みで少女が言う。]
(@25) heinrich 2014/11/02(Sun) 00時頃
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[あれから八十余年の月日が過ぎた。 どれだけの年月をかけても見尽くせないほど、世界にはいろんな景色があった。どんなに違う景色の中に生まれても、人の喜ぶ顔と驚く顔は、皆一様に同じだった。 たくさんの友人が出来た。思いがけず弟子を取り、家族同然の人たちが出来た。こうして代わる代わる、見舞いにきてくれる人たちもいる。 とても満ち足りた、穏やかな日々]
(@26) heinrich 2014/11/02(Sun) 00時頃
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[少女の父親と、職員の話は長引いているらしい。少女はいくらか退屈し始めた。
『ねぇ、おじいちゃん。魔法使いと悪魔のお話して?』
またおねだりが始まった。息をゆっくりと吸って、もう何百回と語った物語を話す。 ハロウィンの日に、お菓子を取り合う魔法使いと悪魔。ジャックの呪いに捕まって、大変、一緒に大騒ぎ。 なんとか無事に呪いはとけて、あぁよかった、めでたしめでたし。
『……2人はまた会えたんでしょう?』
神妙な顔で尋ねる少女に、さぁどうだろう、と笑って返す。 子どもだと思ってたこの子も、知らぬ間に成長しているらしい。
『会えたに決まってるわ。だって2人は、』
言い募る少女の口元に指先を立てて、その言葉の続きを封じた。 お父さんの様子を見ておいで、と、少女の退室を促して]
(@27) heinrich 2014/11/02(Sun) 00時頃
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[ひとりになった部屋。雲雀の声が遠く聞こえる。 思い出そうとすればするほど、悲しいほどに記憶は遠い。 時折、夜中に目が覚めて、全ては自分の空想の中の幻だったのではないかと、不安に取り憑かれる日もあった]
あぁ、でも、もうすぐだから。
[そんな日々さえも愛おしい。 サイドボードボードに手を伸ばし、ガラスの器の蓋を開ける。不安になった時の特効薬。いつも買い足して傍に置いた、薔薇の花の砂糖漬け]
待ちくたびれていないと、いいけど。
[もしそうだったら、この花びらで、許してもらおう。 彼は甘いものが好きだから]
(@28) heinrich 2014/11/02(Sun) 00時頃
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[正午を告げる鐘が鳴る。
暖かい日向のベッドの上で。 真っ白なシーツに落ちる掌。
零れた赤い花びらが、光の中で、ひらり、ひらりと…――]
――約束の鐘が鳴る*――
(@29) heinrich 2014/11/02(Sun) 00時頃
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[>>133 果てのない闇。温かな闇。 無音のそこにひとつ、炎が燈る。
懐かしい声が聞こえる。
目を開くとそこには、あの日のままの姿があった。 記憶の中の霞み繋ぎ止めた像ではなく、鮮やかに、そこに]
………、
[遠く、泣き縋る声が聞こえる。あの少女が泣いている。 たくさんの人を置いてきた。たくさんの景色を置いてきた。 もう一度巡ればまた、あの光に会えるのだろう。
“レイズ”の声が響く]
(@33) heinrich 2014/11/02(Sun) 02時頃
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ちょっと見ない間に、勘が鈍ったのかしら。
[手を伸ばし、耳に、頬に、首筋に、触れて。 胸の上に手を置いて、向けるは挑発の笑み]
アタシの勝ちよ、
[――…ショー・ダウン]
(@34) heinrich 2014/11/02(Sun) 02時頃
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……愛してるわ、シーシャ
(@35) heinrich 2014/11/02(Sun) 02時頃
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[>>156 闇の色が濃くなった。 現し世はさらに遠く、輪廻の光も届かぬ奥へ。
魔に堕ちる。そのことの意味を肌で感じる。 人の身にはおそらく“嫌悪”として映る物。 真っ黒になるまで煮詰めた、混沌と誘惑の香り。
愛しい腕に抱かれて嗅ぐ闇の、なんと芳しいことか]
……ンッ
[また何か言おうとした唇を、自分から迎えに行った。 問答の時間も惜しんで、互いに求めあう口付け。
そして異変はすぐさま訪れる。 舌に絡み喉を焼き、裡へと辿りついた熱の塊。 業火に内側から身を焼かれ、存在を塗り替えられる]
(@36) heinrich 2014/11/02(Sun) 04時頃
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ぁ……っ、 く
[苦鳴が喉の奥から漏れる。 立てなくなりそうな惑乱の中、シーシャの背を掻き抱いた。
もっと、もっと。 ねだる眼差しは浅ましく、とろりと溶けた糖蜜のように。 理性は炎で焼き切れて、ただ“快”を、自分にとっての一番の愉悦を求めて泣いて]
シーシャ……、
[炎は全てを焼き尽くし、ようやっと鎮まった。くったりと腕の中に崩れ落ちれば、額にも首筋にも汗が浮いて、まだ頭がぼんやりする]
あぁ……、まだドキドキしてる。
[強烈な炎の余韻を身の内に感じながら、小さく笑うとシーシャの頬に手を伸ばした]
(@37) heinrich 2014/11/02(Sun) 04時半頃
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[額を拭う手の優しさと、覗く眼差しの苛烈さと。ゆらめくふたつの色に心が翻弄される。 腰を抱き寄せられて、体の奥が深く疼いた]
アタシだってね、ずっとお預けされてたんだから、
[頬撫でる指は口元へと辿り着き、シーシャの薄く形良い唇をなぞる]
もう、我慢なんてできないの。
[情欲の色に染まる瞳で、ゆうるりと笑って見せて]
(@38) heinrich 2014/11/02(Sun) 06時頃
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[名を問う声に、小さく瞬く。 もうずっと長く“華月斎”であったから、その前の名は手付かずの姿で眠らせていた。 必要とされることのなかった、その名前]
ちょっと、恥ずかしいわね。
[あんな口づけを交わしておきながら、名前ひとつで兆す恥じらい。 隠していた全てをさらけ出すような心地。 耳元へと口を寄せ、小さな、声で]
和希。かずき、よ。
[秘密を打ち明けるように囁いた]
(@39) heinrich 2014/11/02(Sun) 06時頃
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[揶揄いまじりの言葉を向けられ、顔にサッと朱が走る]
アンタ以外を相手に勃ちゃしないわよバカ!
[文句を言ったつもりが、どツボに嵌ったかもしれない。 意地悪なはずの眼差しは、見上げれば何故か温かく感じられて、余計に体が熱くなった。
抱き上げられ、寝台へと横たえられる。体に感じる彼の重みが心地いい。 あの頃、けっして踏み込んでこなかった深みへ。迷いなく求められて、心が震えてしまう]
……ぁっ、
[瞼への口づけの後、急な心許なさに身をすくめる。隠そうにも彼の重みで身動きが取れず、体の全てをさらけ出したまま]
(@40) heinrich 2014/11/02(Sun) 18時頃
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アタシの悦びは、アナタの悦び。アタシの涙は、アナタの涙……。
[シーシャを見上げたまま、与えられた言葉を繰り返す。その言葉の響きは、まるで、]
……誓いの言葉みたい。
[ぽつり、零してから、微笑む。目元が滲んでしまいそうだ。 祝福する神もいないけれど、お互いだけを証人にして交わされる誓いの言葉。 胸元に刻まれる契約の印は、奥深く息づいて、ゆるやかに根を張っていく]
シーシャ、 キスして?
[囁いてねだるのは、炎を移すためでも、契約を刻むためでもない、ただ互いを欲する口づけ]
(@41) heinrich 2014/11/02(Sun) 18時頃
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[想いの欠片を纏って零れ落ちる、シーシャの言葉。賭けをしたあの日を思う。自分の魂を対価に、彼の傍にいられればと願った]
もうどこにも行かないわ。
[彼の想いに触れた今は、酷いことを願ったと思う。今はもう、彼なしで生きることも、彼を置いて死ぬことも考えられない]
この体も、心も、全部。
[長い長い時間をかけて、ようやくたどり着いた自分の居場所]
(@45) heinrich 2014/11/02(Sun) 22時半頃
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[音立てて繰り返す口づけ。甘い毒に少しずつ意識を侵されていく]
………ッ、
[肌を滑る掌。触れられた所から熱を持って粟立つ。 下腹部を擦り上げられると、強い刺激から逃げようとするように反射で腰が引けてしまう]
だ……め……、
[上がりそうになる嬌声を喉奥で噛み殺して、寄る辺を求めるように手がシーツを掴む。 己以外の手で齎される、強すぎる快感。裡から煮えたぎる情欲に、容易に落ちてしまいそうで、]
……シー、シャ
[怖い、と思う気持ちと。もっと、と欲する気持ちと。相反する感情がせめぎ合う。 擦り上げられた胸がジンと痺れて熱を持ち、堪らず腰を彼の手に押し付けた]
(@46) heinrich 2014/11/02(Sun) 22時半頃
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―11月1日―
[広場のベンチに座り、行き交う人々を眺める。 祭の賑わいは秋風とともに過ぎ去って、この街の日常に掻き消される]
長居したわね……。
[この街に滞在したのは、今日を合わせて“たった3日間”のこと。 けれど離れ難くなるほどに、いろいろなことがありすぎた]
これ以上ここに居たら、本当に出ていけなくなっちゃいそう。
[もう旅支度は住んでいた。派手な衣装は鞄の中。身軽なバックパッカーのような出で立ちで、もういつでも次の街へ行ける。 それでもまだここにいるのは、いくつか心残りがあるから]
(@47) heinrich 2014/11/02(Sun) 23時頃
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[>>221 名を呼ぶ声に顔を上げると、笑みとともにこちらへ駆け寄る姿が見えた。 立ち上がり、ひらと手を振って出迎えて]
会えてよかったわ。 あとちょっとで約束破りのペテン師になるところだった。
[笑ってそんなことを言い、上着のポケットに手を入れる。 手を出して、と囁いて、彼の掌に乗せたのは橙色のお手玉]
(@48) heinrich 2014/11/02(Sun) 23時半頃
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―広場>>228―
だから手が早いんじゃなくてぇ、
[訂正をしようとして。 なんとなく嘘とも言い切れない気がして否定が濁った。 あっという間に悪魔に骨抜きにされた自分。した方じゃなくてされた方だから、「手が早い」からは外れるだろうか。
お手玉を手にのせると、すぐに意図を察したリーの顔が鮮やかに輝いた]
まずはこういう簡単なのから練習なさい。まっすぐ上に、同じ高さに。
[くったりと手に馴染むお手玉は、南瓜よりよほど扱いやすいだろう。 もうひとつ取り出すと、真上へ、真上へ、手本を見せて]
それに慣れたら、手のひら、手の甲、手のひら。 それも出来たら、右手、左手、右手、同じ軌道で出来るように。
[あのスパルタ特訓で踊りを覚えたリーならば、このくらいすぐに覚えるだろう。 その上達を見守れないのが、少し、さみしい]
(@53) heinrich 2014/11/03(Mon) 00時半頃
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あら、上手じょうず。やっぱりリーは筋がいいわね。
[>>235 それらしい軌道を描き始めたお手玉、目を細めて手を叩く]
きっとすぐに私より上手くなるわ。
[そう言って、2個め、3個めのお手玉をリーの手に乗せて]
上達のコツはね、自分が喜ばせたい相手のこと考えて練習するの。練習も誰かと一緒がいいわ。早く喜ばせたくなって、すぐに上手くなっちゃうから。
[それでその相手が、リーをいっぱい褒めてくれたらいい。自分の代わりに]
(@54) heinrich 2014/11/03(Mon) 01時頃
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[>>229 手のひらに、指先に、声に、匂いに、翻弄されて。 沸き上がる声が溢れそうで、自分の手の甲に歯を立てた。口を塞ぐようにしながら、ぎりぎりと噛み付いて。 そうでもしないと、自分がどんな声を上げるかわからない]
……ッ、!
[容赦のない手が、湧いた愉悦を追いたてる。濡れた音が混ざりこみ、聴覚から脳髄を甘く犯す]
(@58) heinrich 2014/11/03(Mon) 02時頃
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[>>230 間近に見上げる、魔性の瞳。あの日横顔で見たその眼差しが、まっすぐにこちらを射抜く。 本性を晒す彼の声は、少しだけ、寄る辺なさを含んでいて]
……シーシャ、
[歯型の残る手を、シーシャの頬へ伸ばす。触れて、目元をなぞって、髪を抱いて]
怖いわけ、ないでしょ。
[そう言って笑ってみせる。 肌を合わせて、その熱を感じて。竦んでいた体は今、熱の一欠片も逃すまいと、開いて、自らも絡まり合う]
――…ぁ、 ぁあっ!
[体が跳ねて、迸る悲鳴。愛しい人の腕の中、それは甘く、甘く、薔薇蜜のように]
(@59) heinrich 2014/11/03(Mon) 02時頃
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名前……
[>>*19 鼓膜とは違う場所を震わせて、聞こえる、彼の声。 甘く囁くその声に、快楽は加速する]
シレークス……?
[心に浮かぶ名を囁く。 契約の完成。秘密を分かち合うように紡ぐ、互いのたったひとつの真名。 途端に胸が熱くなり、理性の箍が、外れて]
(@60) heinrich 2014/11/03(Mon) 03時半頃
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―11月1日―
[どうやって部屋に戻ったか、あまりよく覚えていない。もう日は高くなって、日常を取り戻した街並みが生活の音をさせている。
広すぎるベッドにひとり横たわり、ただぼんやりと天井を眺める。 横を向いたりはできない。わかっている現実をもう一度味わうなら]
………、
[横たわったままで食む赤。薔薇の花びらの砂糖漬け。 空白を埋めようとするように、それを喉の奥へと通して]
(@66) heinrich 2014/11/03(Mon) 22時半頃
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シーシャ……、
[名前を呟く声が掠れる。想い変わることはないと、彼の前で啖呵を切った。彼との再開が叶うならば、時間など問題にもならない。そう、思うけれど]
消えたり、しないわよね……
[ゆっくりと落ちる時計の砂。どれだけ大切に抱えていても、記憶は等しく零れていく。この世界に存在しない、この世に連なるもののない、記憶の中のみに生きる彼を、どうすれば傍に留め続けられるのか。
彼の声を、いつまで覚えていられるだろう。彼の体温を、いつまで覚えていられるだろう。 今ある記憶に霞がかかる、そのことが何より恐ろしい]
(@67) heinrich 2014/11/03(Mon) 22時半頃
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―――!
[響く鐘の音。澄み渡る空を抜けて、ここまで。 飛びつくように窓辺に寄れば、あの時計塔、揺れる大きな鐘が見える。
約束の鐘が鳴っている]
……っ、 ぅ……、
[口元を手で覆って、ずるずると座り込んだ。
あの鐘を覚えていよう。全ての記憶がこの手から滑り落ちても。 この音を覚えていよう。彼とこの世を繋ぐよすがに。
声を殺して、その名を叫んだ。 きっと何を忘れても、この鐘の音とともに。 また何度でも、彼を思い出すだろう**]
(@68) heinrich 2014/11/03(Mon) 22時半頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
heinrich 2014/11/03(Mon) 23時半頃
手妻師 華月斎は、メモを貼った。
heinrich 2014/11/04(Tue) 00時半頃
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―賭けの途中で―
[>>292 活動の拠点を故国に移した頃、その再会は叶った。あのデタラメなお伽噺のようなハロウィンを、共によく知る青年に。 あの街の中で、穏やかな佇まいの中に茶目っ気を持っていた彼が、もうすっかり落ち着いた大人になっていた。時は着実に流れているのだと知る。
それから何度も、機会を作っては共に茶を飲み、近況を報告し合った。 真面目な会社で勤めを続け、結婚して、子供に恵まれて。自分が選ばなかった「真っ当な」人生を、着実に送っていく彼。その姿を見守り、その都度祝福してきたけれど。
あの街のことを話す彼の笑みに、あの頃の面影を見る。 どこか遠く、心の一部を置き去りにしてしまったような横顔に、時折不安が兆した]
幸せか不幸かなんて、結局本人にしかわからないものだわ。 誰もが羨む暮らしの中で飢える人もいれば、 その逆だって有り得るのよ。
[互いに、核心には触れないまま。 ただ自分の忘れえぬものを、自分の手で抱え、それぞれの道を行く。 穏やかな共闘関係は、晩年まで続いた]
(@69) heinrich 2014/11/04(Tue) 01時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
heinrich 2014/11/04(Tue) 01時半頃
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―それからのこと―
[>>308 シビアな戦場だと聞いていた悪魔の世界。あの時に発破をかけはしたが、まさか本当に偉いさんになっているとは恐れ入った。
中に入って眺めてみれば、やはり悪魔の理は人の道理から乖離している。0から覚えることも多い。それでもなんとかやっていけてるのは、目的が明確だからだ。
自分がやるべきことは、とてもシンプル。彼のためになればいい。 それだけを軸に考えれば、たいてい迷うことはない]
あっ、ずるい。アタシも「ある」に賭けたいのに。
[>>309 早々に選択肢を選びとった彼に、抗議の声を上げる。 同じ方を取ったら賭けが成立しない。成立しないんじゃつまらない]
じゃあ次回はアタシが「ある」に賭けるからね。
[手の甲への口付けひとつ、それでもう絆されてしまう。 しっかりと手を握り合い、ゲートの向こうへ]
(@70) heinrich 2014/11/04(Tue) 02時半頃
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……じゃあ、離さないでね?
[意地悪で過保護で、傍にいると退屈しない、誰よりも愛しい悪魔。 長く彷徨った果てに見つけた、自分の居場所。自分だけの場所]
アタシも、離さないから。シレークス、
[ゲートの光に包まれて、彼の耳に口づけた。 それぞれ口にした薔薇菓子は、互いの胸の奥、*2本の赤い薔薇になる*]
(@71) heinrich 2014/11/04(Tue) 02時半頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
heinrich 2014/11/04(Tue) 02時半頃
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