82 謝肉祭の聖なる贄
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>>2:129 [クラリッサを抱いていたのはそれほど長い間ではないだろう。 顔伏せて娘をそっと捥ぎ離す。 ややあって、冷たく鎧った白い貌上げて、]
金髪の男はもう役には立たぬだろう。 代わりに汝が輩に奉仕せよ。
[贄たちのまぐわいを見物している輩たちを示して促した。 そして祭は真なる宴である夜へと移り――]
(2) 2012/03/17(Sat) 01時頃
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[――その日はそれ以降、クラリッサを近づけることはなかった。
闇の一夜のあいだに、彼女が他の贄の手で死に至る可能性を考えなかった訳ではない。 しかし、それもまた試しであり、]
(12) 2012/03/17(Sat) 01時半頃
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―朝― [明けて、朝。
いずこで休んだか、銀灰の髪なびかせて現れた大神は、纏う気配を一変させていた。 近寄り難い冷気はそのままに、匂い立つような艶が加わった。 白い膚にほんのりと光輝を纏い、銀灰の髪と膚から立ち昇る香は、間近に寄れば人にも分かるほど、複雑で濃厚な甘さに変じている。
昨日と同じく、祭壇に端然と座するが、それはどこかギリギリの緊張感を孕み、嵐の前の静けさを予感させた。]
(36) 2012/03/17(Sat) 09時頃
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[茶の輩が木刀で殺し合う余興を言い出した瞬間、じろりと睨み付けるが。 それは反対の意ではないらしく、成り行きそのものには口を出さない。 黙って自分専用に酒を用意させ、酌を断り手酌で飲み始めた。
泰然としていながら、婀娜やかな所作、 居住まい変え崩した足の、黒袴から覗く白い足首が何とはなしに艶めかしく。]
(37) 2012/03/17(Sat) 10時頃
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>>29
――クラリッサ。
[娘の方は見ずに、名を呼ぶ。]
同胞を喜ばせるは汝のつとめぞ。 もそっと良い顔をしろ。
[冷たく抑制した声、輩に身体を触られて身を強張らせるへ向けたものだろうか。]
(38) 2012/03/17(Sat) 10時頃
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[娘の身体を損ない、犯す以外のどんな戯れも止め立てする気は毛頭ない。 銀灰の大神を願って、それに耐えられるかどうかもまた試し、
敢えて輩に許可を求められれば、前の条件以外は全て「許す」と一言だけ述べるだろう。]
(39) 2012/03/17(Sat) 10時頃
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[贄同士の闘いが始まれば、胡座して酒を啜りながら見物する。 気怠く、しかし破れた膚から流れる血を魅入られたように目で追いながら。*]
(40) 2012/03/17(Sat) 10時頃
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[立てた膝に片肘を乗せ、酒盃を干す。 贄たち同士の死闘に興を得たか、くくく、と楽しそうに喉を鳴らした。]
(58) 2012/03/17(Sat) 21時頃
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>>59 [輩のあいだで持ち上がった揉め事の気配。 酒盃手にして、茶の輩の方へちらりと流し目くれた。 今は薄墨となった輩と睨み合うを面白がる気色。]
(60) 2012/03/17(Sat) 21時頃
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[薄墨色の輩が戻り相対するのを確認すると、木剣持った贄たちの方へ目を戻した。 ふたりの争いに干渉する気は毛頭ないらしく、祭壇に座ったまま、悠然と独酌での飲酒を続けている。]
(63) 2012/03/17(Sat) 22時頃
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[褐色の贄の鍛え上げられた肉体に、目で犯すようにねっとりと熱を帯びた視線を這わせる。]
(64) 2012/03/17(Sat) 22時頃
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[ふと目を移し、ちらと長髪の贄を見遣る。 残忍な愉悦とも言うべきものが、目のうちに光となって煌めく。
銀灰はあの贄を忘れてはいなかった。 少年の頃に彼の瞳を覗いて、当時は本人も知らなかったであろう性根に気付いてから、彼を選ぶという選択肢はなくなった。 里を訪れて、彼がまだ贄として祭壇の前に現れるを見るたび白い貌に浮かぶ、嗜虐的な嗤い。
彼はずっと昔、散々に玩びながら結局喰らわず去った大神が最後に囁いた言葉を覚えているだろうか――]
(68) 2012/03/17(Sat) 22時半頃
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>>71
放っておけ。
[贄たちが手を止め話し合うを聞き、ぼそりと呟く。]
汝らが出張ったところでどうにもならぬぞ。 とばっちりで潰されるがオチだ。
どうせ他愛の無いじゃれ合いよ。 そのうちに終わる。
[酒器傾けるが、杯満たし切らぬうちに滴となって途切れ、空に。 不機嫌そうに、酒器を放り出した。]
(75) 2012/03/17(Sat) 23時頃
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ヴェスパタインは、大神たちの間に割り込む贄を見て、おやおやというように片眉上げた。
2012/03/17(Sat) 23時頃
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[流石に輩の血の香が流れれば、無関心ではいられず。 振り返ると、茶の輩の肩に深く傷穿たれたが目に入った。 何かに耐えるように顔顰め、きつく目を閉じる。 食い縛った歯の間から、ハ、と息が洩れた。]
(83) 2012/03/17(Sat) 23時半頃
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[いきなり立ち上がると、ふらり夢中にあるように傷ついた茶の輩のもとへと赴く。 熱に浮かされた如く忘我の眼、からだから立ち昇る香はねっとりと重く]
(90) 2012/03/18(Sun) 00時頃
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[薄墨の輩も、傍に控える贄も、全く目に入っていないかのように、倒れた茶の輩の前に跪く。 傷口より溢れる血を餓(かつ)えた眼で見詰め、恍惚と身を屈める。 そして、舌を突き出し、清泉の水を飲むように]
(95) 2012/03/18(Sun) 00時頃
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[――ぴちゃぴちゃ、
淫猥に舌動かして、派手に水音立てて血を啜る。 垂れかかる銀灰色の髪の間から覗く瞳は、恍惚と蕩けて水銀のごと輝く。
ハ、と熱い、血の香のする溜息を吐いた。]
(105) 2012/03/18(Sun) 00時半頃
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