217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】
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― 燦然と輝く月影の ―
[ あれははじめて 十二支の皆の輪に加わった時 静寂の中に激情湛えた金の瞳に 震え上がった白兎。 仏頂面のそのひとが、怒っていると思い込み、
どうぞどうぞと 差出たる餅は、 その時はまだ供物以上の意味を持たなかった。 ただ、甘味に皆が笑みを零すならば、己も笑えるからと こうすれば皆から睨まれはすまいと、 弱者なる兎の本能の、打算含みの差し出ものだったけれども。]
(24) ゼロ 2015/02/19(Thu) 11時半頃
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[藤の香がするある晩の、 まぁるく燦然と輝く月の、その光をしろい鱗に受けて かみさまの傍ですこうし、笑ったそのひとの 笑顔にいつしか惹きこまれてた。
それでそれから、 白兎はそのひとに率先して餅をあげるようになった 恩など売ったつもりはなく。 ただ、すこし、傍にいて話すことをゆるしてもらいたかった。
それだけ以上の見返りなど、なぁんにも、いらなかった。]
(25) ゼロ 2015/02/19(Thu) 11時半頃
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[そんな小さな変化を知っていたのはかみさまと、
この不思議な絆を結んだ 悪戯な誰かだけ。*]
(26) ゼロ 2015/02/19(Thu) 11時半頃
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― ―
([ 蛇に、そしておそらくは他の誰かに、 とりついていた呪い。 かみさまと十二支に恨み持ちたるそれらが 何を考えていたのか、兎は知らない。])
([ただ――。 泥濘のような闇の中に凝り、 寂寞とした感情を抱き続けたがゆえの凶行ならば それは奇しくも十二支の、孤独抱え込む幾人かの姿に重なる。 だからこそ、呪いを泥舟に沈める覚悟はしても 怨みは、持ちはしなかった。])
(27) ゼロ 2015/02/19(Thu) 11時半頃
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― 目を醒ます ―
[覚醒は突然。 茫洋と、あのひとの姿を探し 酉の声で完全に目を醒ます>>17]
おはようございます、べにはさん
[そして清浄な気が――かみさまの気配がすれば ひょこりと白い耳を出して、それを探り、 どたどた走る 午の姿にぼんやりと会釈をひとつ]
(28) ゼロ 2015/02/19(Thu) 11時半頃
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......おわった、の
[それでそれから、 だいすきなともだちの声に視線を泳がせ。]
もんぺちゃん......! もんぺちゃん、大丈夫?
[ぎゅ、とその袖を掴み、抱きしめて、 ひどいことをいってごめんなさいと、謝った*]
(29) ゼロ 2015/02/19(Thu) 11時半頃
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[丑の黒い瞳を見つめ返す。 瞼に乗る雫をごしごしと落とし。 だきしめかえされる温もりに、肩に額を預け]
わたしも、だいすきです…… ほんとうに、よかった
[呪いをうけてもともだちはともだちだと。 彼女のことを、再度そう思いなおして、 幸せを分かつ]
またふたりで ごはんをたべましょう
[にこりと笑む。ふたりでたべれば美味しさも、また二倍だ。*]
(72) ゼロ 2015/02/20(Fri) 12時頃
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[それで、 それから。 もんぺとはいくらか話しただろうか]
……あ、
[ むくりと起き上がったそのひとの姿を目にすれば ぱちりと黒い瞳にまばたきひとつ。 てっと駆け寄って、 勢い巳に抱きついた]
(73) ゼロ 2015/02/20(Fri) 12時頃
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みなかたさんっ……!
[呪いを一番に受けていた彼は大丈夫かと そんな心配をしながら彼の人を抱きしめ
白い首には、痣。 それでも、蛇が怖かったことだとか 首を絞められたことだとかは、既に兎の意識から飛んでいた*]
(74) ゼロ 2015/02/20(Fri) 12時頃
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[驚く声も、なんのその。 勢いをつけすぎ少し彼の体が強張るのを感じるも、 その胸にすり、と頬を寄せ 首に沿う掌の、ひやりとした感触、ひりりとはしる痛み それに震え、驚き黒い瞳で巳を見上げ、]
う……? どうしてですか? それよりも 南方さんは 無事ですか
[何故謝るのだろうと、首に集まる気を感じながら 不思議そうな顔をした。]
(77) ゼロ 2015/02/20(Fri) 13時頃
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[平気だと、応えた彼の金の目を見上げ、 ふわりと流れる清浄な気に安堵するように目を細めた。 申し訳無さそうな表情をするから、眉を下げ]
……それは南方さん、あなたのせいでは ありません わたしのくびを しめたのは のろいであって あなた、ではないから
それに、ともに眠るなら、……う、なんでもないです
[それでそれから困ったように微笑んで、 巳の手をとって 桃色の頬にぺたりと押し当て目を閉じる。 悪い気配も、奇妙な絆ももう、ないけれど。 ほんの少しこうしていても、罰はあたるまい。 ――巳にとってはわけのわからぬ行動だっただろうけれど。]
(85) ゼロ 2015/02/20(Fri) 19時頃
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[彼は自分のいう事をひとつきいてくれるらしい。 巳の手から頬を離すとはにかんで 名残惜しそうに掌を開放してから、金色を見つめて云う。]
それじゃあ、もう謝るのは やめましょう 自分を責めるのも やめましょう
[この場にいた誰も、悪い気を纏ってしまったひとを 責められない。 「終わりよければすべてよし」と笑う>>79申のこの声が耳に入り]
(86) ゼロ 2015/02/20(Fri) 19時頃
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これがお願い …できますか?
[首を傾げて、巳に微笑む。
兎はエゴイストだ。 律儀な巳が困ると知っていて、そんな願いをまずはひとつ。 いつかは白蛇の笑顔を見たいと望むがゆえに。*]
(87) ゼロ 2015/02/20(Fri) 19時頃
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ありがとうございます
[善処してくれるというならば、それ以上は言うまい。 ぺこりと頭下げれば 律儀な彼の、大きな掌が黒髪に乗せられ、 ゆるりとなでられる。その感覚に、 兎はくすぐったそうに笑ったけれども、
続いて見えた 優しい笑みに、目を見開いて、驚いた。 それでそれから、頬を染めてふふふと笑う。]
(97) ゼロ 2015/02/20(Fri) 20時半頃
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( ……やっぱり 笑顔がいいなあ )
[そんな声を心にとどめ、ほくりと温まる胸を抑えた。 宴だったか、と問う巳の声に、]
今宵は望月。月の宴。 うたげの準備を、しなくっちゃ。
[小さく呟いて、 皆の姿を黒い目に映し、 それでそれから、確か、 ――かみさまが倒れる前に、もう、支度は済んでいただろうか? そっと確認をしに行っただろう**]
(98) ゼロ 2015/02/20(Fri) 20時半頃
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[かりゃり、かちゃん。 宴の支度を進めてく。
かみさまと上戸な大人達には旨い酒。 酒飲めぬ者には甘い菓子。 無論、腹を満たす魚や米やも用意して、 (騒動の前に準備してくれていたから、 苦ではなかったのだけれど )
それでそれから、餅をあげていないひとの席には兎餅。 それぞれしっかり並べれば、ほどなく宴会は始まるだろう。]
じゅんびが すみました
(170) ゼロ 2015/02/21(Sat) 22時頃
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[かみさまにそう告げて、 辰に甘える寅>>158のこの、姿を見れば 先ほど亥と連れ立ったとき薫っていた血の匂いを案じつつ
十二支になりたての幼子の、ふわりと白く柔い毛を 見て ふるりと頬染め震え、]
……さわってもいいですかっ
[そう問いかけ手を伸ばした日を思い出す。 だから、微笑み、自分の席には戻らず。 そっと縁側に座り込んだ。]
(171) ゼロ 2015/02/21(Sat) 22時頃
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[宴の声に笑む酉の、零した声>>166に、ふと頷く。
なにより巳>>91の笑顔を一日に二度も見れたのだから 卯にとっては あれはあながち悪い壷とも云えぬ。 だいすきなともだちに 辛い思いをさせたということはあるものの。
そういや、おいしそうなご飯があったのだった。 あとで丑と一緒に食べようと考えて、]
(172) ゼロ 2015/02/21(Sat) 22時頃
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[ まだお酒は飲めぬ年の頃。 それでも とろりと杯満たす上等の酒に うつる酒まで飲む戌>>112の真似して一献傾けた。
甘く、馨しい香り。 かみさまの傍にいた時と同じ気分。
ほう、と頬に朱がのぼる。 ゆっくり外を見上げてみりゃ 夜空にひとつ、潤むうさぎの目にひとつ。 まぁるい月が、浮かんでた*]
(173) ゼロ 2015/02/21(Sat) 22時頃
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