129 【DOCOKANO-town】
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―教会―
ジャニス………、
[自身の眦に触れた、一度。 何も聞かずに涙を隠してくれた彼女が、落ちた。 自分も彼女の、化粧の崩れた理由を聞けぬまま。 あの優しげな指の感触が甦って、口唇をかみ締めた。
ミルフィとともに退けばよかったのか。 自ずと彼女の元へと向かっていたかもしれなくて、 ――後悔はそのまま焦燥へと変わる]
……やらなきゃ。
[どうにか、しなければ、湧き上がるものが身を急かす]
(82) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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- 黒豹ご帰還前の発電所跡 -
んー…。
[重なる問いに、>>68セシルと同じように眉をしかめた。
誰が消えたかは、消去法でわかったけれど。 ねがいごとは3つ、ならまだセーフ。
ただ消えた1人の名前は伝えた方がいいような気がして。]
…セシルがクリスマスの質問に答えてくれたら。
セシルは、ダーラのこと好き?
[次にダーラと会ったら仲良く戦える?そういった意味で、尋ねたつもり。答えがあれば、消えた二人の名前伝えただろう。]
(@2) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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[頬から顎へ、そして首元へ。 フランシスカの手じゃ、ちゃんと男であるジャニスの首は片手では覆えない。はっきりと主張する喉仏に親指の爪をたて]
……気持ち悪ィんだよ、クソが
[全力を込めて、押しつぶした]
男がさァ、女の中はいってさ よりによって、女らしくあろうとする
なにそれ なに、それ
どんなになりきったとしてもよォ
[しゃがみこんだ時、傷ついた足を踏みにじったまま、膝をついた。反撃なんて、許さない。一方的にすりつぶしてやる]
(83) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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お前は、永遠に! ひとりでからまわってる だっせェ男でしかねェの!
[右手を前髪から離し、言葉尻につく勢いと共に、ジャニスの顔を思い切りひっぱたいた。この前のお返しだ。ただし、グーで、思い切り。容赦なく、脳みそ全部潰すつもりで]
だから死ね 生きてても無駄だ
[死にたくない、そんな呟きが呼吸の狭間、耳に飛び込んだ]
(84) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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>>80
[魔獣モードでも言葉はもちろんわかる。 誘蛾灯と言われ、芙蓉を葬ったとたされれば、黙り込んだ。
その沈黙はいずれも否定できることではないこととわかるだろう。 ただ、金色の眼はそのまま剣士の姿をじっとみている。 攻撃を仕掛ける様子はないようにみえるが、今は手負いだ。 ホーム主に仕掛けた戦闘の代償は大きい。]
(85) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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生きても死んでも一緒だろ? お前は、お前なんて
……どこにもない
[全てを否定して、全てを蹴り飛ばして、殴り飛ばして。 いつの間にか、笑みは消えていた。 流れた赤は、ジャニスの目元を鮮やかに彩る。
男は今、自分がどんな顔をしているのかわかrなかった。見えていないと思った。見えてなければいいと思った]
怖がっても 無駄だ
[それでも、緑に混じる赤が 醜い色の瞼が動くのを、持ち上がりそうになるのを]
……死ね
[ゆっくり立ち上がったフランシスカ――男の、鋭く尖った爪先が、ジャニスの柔らかい瞼に、めり込んだ]
(86) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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-黒豹ご帰還前後の発電所跡-
[>>70セシルの誰何に、ホームの主が帰ってきたことを知る。 「気をつけて」と声がかかる頃には部屋の隅に移動していたが、]
あっ。
[闇の中、それでもジェームスが魔獣化モードと知れば緊迫したムードの中でも、声が弾んだ。]
(@3) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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[そうして――フィリップが離脱したあと]
……ヴェラ。
[くいと、服のどこかを摘まんで。 幾らか項垂れたまま、ぽつりと、口を開く]
……私、芙蓉のこと、あんまり知らなかった。
だけど……仲間、だったよね? ああして話して……少し前まで、一緒にいて。
[ふるりと、かぶりを振って]
来た二人が、赤なら……、やろう。 ここは――私のホームなの。だから……やれる、から。
[そう呟いて――身構えた。自分たちを差し置いて、先に戦闘が始まるとは、思ってもおらずに**]
(87) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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[耳鳴りのような呟きが、消えた。 血の凝った気道を通る息の音が、少しずつ薄くなる。
二人を照らしていた、点滅する灯りが、一度眩しいほどに輝いて、甲高い悲鳴をあげ消えた。
暗闇に沈んだ地下駐車場。 地面が震え、閉じていくステージ。 全てを見届けることなく、血に濡れた舞姫は、顔に似合わぬ唾をひとつ吐き、同じく夜の似合うBarへと戻っていった]
(88) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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ジェームスは、クリスマスの声に、尻尾が左右にゆるく揺れた。
2013/07/07(Sun) 02時頃
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―黒にゃんご帰還前―
[眉をしかめるクリスマスに、中身の若者が悶えたのは別の話。 その表情に、返答はもらえないかと思った]
僕が、女王様を…好きか?
[すごくきょとんとした。 どういうレベルでの好き、なのだろう。 俺がクリスマス好きだー!というのと同じかというならちょっと違うところだけど…]
僕はダーラが嫌いだから共闘解除したんじゃないよ。 好き…というか、感謝はしてる。 けっこう気にかけてもらったし。中の人イイヤツっぽいし。
彼女が僕を襲ってくるか、僕と彼女の2人になった時じゃなければ、 あまり敵としたくはないな。
[くす、とした笑みの混ざった言葉を返す。 質問の意図を察しきっていない返返答だったかもしれない]
(89) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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― Bar 『Somewhere』 ―
[ステージ上のテーブルや椅子は乱暴に押しのけられ、いくつかの足は折れていた。 奥へと続く小さな扉。薄く開かれたその先は
――何処までも、何処までも、同じBar。 ひとつ先の其処は、床のほとんどが割れたボトルと液体で酷い有様だった**]
(90) 2013/07/07(Sun) 02時頃
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ジェームスは、二人を見つめながら、その場に身を横たえた。**
2013/07/07(Sun) 02時頃
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- 黒豹ご帰還前の発電所跡>>89 -
[セシルのきょとん顔に あれ?変な質問しちゃった?ときょとん顔伝染したけれど、]
そっかー、嫌いじゃないけど、色が違うから解除したのね。 好き、というより感謝?…あまり敵にしたくない?
そっかー、ありがとう。…あのね。
[シンプルじゃない回答を咀嚼しきれずにこぼれた言葉もあるけれど、 答えをくれたことに感謝して、薄い笑みも伝染したけれど、 芙蓉とジャニス、二人の名前を告げる神妙な顔で。]
(@4) 2013/07/07(Sun) 02時半頃
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―金色の獣の眼を見返しながら―
[む。っとした。 魔獣モードのJMSを見た時のクリスマスの弾んだ声と、ゆらっと揺れたJMSの尻尾に]
あー、にゃんこモードの時って喋れないんだっけ。 言葉はわかっているんだよな? 喋れないならないなりに、何か反応してくれよ。
[このゲームにおいて、沈黙は是とも否ともならないと思っている。 返答に何のレスポンスもないのを、そのままの意味で受け取ってなおも問いを向ける]
そういえば、何故ホームなのににゃんこモードなんだ? …そんなに手負いなのか?
[レベル64にはまだ手が届かないが、50は軽く越えている。 JMSのモードによる能力差は知識としても実体験としてもわかっている。
おやおや?とシニカルスマイルで金色の瞳を見て、首をかしげた]
(91) 2013/07/07(Sun) 02時半頃
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―教会― [この短時間で、2人。 一人はあいつがやったとして、 もう一人殺すを厭わぬ赤がいる。
あの時自分は、一瞬脚が止まった。 別に既知の相手でも良く知る相手でもなかった。 同族殺しを忌避するのは人の本能だ]
―――……、
[聖壇の上、知らず知らず体育座りになっていた*]
(92) 2013/07/07(Sun) 02時半頃
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―>>@4 クリスマスと―
[同じような表情が帰ってきて、若者が狂喜乱舞…言わずともわかるか。 しかしそんなテンションアップもクリスマスの言葉に一旦ステイ]
共闘解除したのは、色が違うからじゃないよ。 もちろん、同じだからでもないけど。 強いて言うなら、僕が迷惑かけちゃいそうだから…かな。
[共闘解除の理由を訂正して、ふふ、と笑った。 それでもいなくなってしまった2人の名前を教えてもらって] そうか……もう一人はジャニスだったのか。
[思い切り顔を曇らせた。 ―ピンチになったら助けに来てね、ナイト様― 最後に聞いた彼(女)の声はそれだったから。
けれど、想いは表情を曇らせる以上は表さず、 ありがとうとクリスマスにお礼を返した]
(93) 2013/07/07(Sun) 02時半頃
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- >>93セシルと -
[色が違うからじゃない。同じだからでもない。 セシルのその言葉は、芙蓉>>2:638の言葉を思い出させた。 意味はよくわからないままも耳に残っていた言葉。
もう一つの理由の訂正に、バーでの状態異常を 思い出せば、やはりつられてクスリと笑う。]
うん、多分わかった。ありがとう。
[改めてお礼を言ってから、情報開示。 表情を曇らせつつも、礼を言い立ち去ろうとする セシルに、改めて手を振ってみおくろうとしたが**]
->>@3へと続く-
(@5) 2013/07/07(Sun) 03時頃
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―今―
[本人(獣?)の前でにゃんこ呼ばわりしすぎると、 問答無用で食いちぎられそうな気がした]
やっぱ相手のホームステージでやると辛いみたいだな。
[相手の様子から悟れることを口にして、 剣を握る様子がないのは変わらない**]
(94) 2013/07/07(Sun) 03時頃
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[倒れた時に負った痛みは、実のところもう良く覚えていない。 痛かった、と思うのだけれど、それは一瞬で、今はもういたくなかったから。
気付いたら、私の意識はこの中にあった。 どういう状況かわからないけれど。 姿は「芙蓉」のままだ]
あー、負けちゃったか。 だってあれ64超えてるでしょ。 あと一ヶ月あればなぁ……。
[黍炉を64まで上げて芙蓉に切り替えけど、芙蓉のレベル自体は50に届かない。 必殺技はあと二つ残っていた。
最後に呼んでいたのが気になって、ラルフの姿を探す。 寺院からはいなくなっただろうから、と他のステージをくるくると回って]
(+1) 2013/07/07(Sun) 03時頃
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―床彼城址公園―
[そこに来た時にラルフの姿が見えた。 聞こえた言葉>>31に一瞬止まる]
帰れてないよ。 どうなんだろ、帰れるの、かな。
[今までも負けた後に観戦モードで見ることは出来たけれど。 ログアウトの文字はいつまでも現れない]
帰れないと、困るんだけどなぁ……。 せめて処分してからって、思うよね。 しかも乗っ取られたらそいつが私のもの使うわけでしょ。
やんなる。
[はぁ、と溜息をついて、その近くにふわりと*佇んでいる*]
(+2) 2013/07/07(Sun) 03時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2013/07/07(Sun) 03時半頃
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―― 地下駐車場 あるいは彼女の終の棲家にて ――
[彼女――便宜的に彼女と呼ぼう、 彼女の周りには音を立てて試験管が転がった。 勿論、その中身は全て空であったが、一筋二筋残った液体が 何色かを示している。一つは緑、もう一つは橙。 これらを彼女がどうしたのかは、想像に難くない。 飲んだ。すべて。 自殺願望があるでなし、ただ単に、彼女は、 リアルかゲームのどちらかに 認識を偏らせることが出来なかっただけだ。
手段の一つを試験管に見出してしまった。]
(+3) 2013/07/07(Sun) 04時半頃
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[ここで彼女の思考を一つずつ取り出すのは避けよう。 ステータス「混乱」にふさわしく、彼女の思考は取り留めもなかった。 もっとも異常状態に陥る前から彼女は「混乱」していた。 それは事実だ。 よりにもよって、攻撃手段の薬品で 傷を治そうとするくらいに「混乱」していたのは疑いようもない。
けれどその「混乱」も、一時的には彼女の役に、立っていた。 神経を焼く痛みから立ち直らせた。忘れさせた。 それが結果として彼女の為になったかは、また別の話だが。]
(+4) 2013/07/07(Sun) 04時半頃
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[話を戻そう。 彼女がいかにして、死んだのか、だ。 「混乱」した彼女の記憶はひどく曖昧な酩酊状態であった。 よって記憶の整理もかねて私が陳述している。 だからこそ、語るべきは彼女の死に方だ。
薬品を飲み干した後、喉を焼くような感覚を経て 彼女は自由になった。 彼女を捉えた痛みから抜け出した。 そんな最中に聞こえてきた足音、声音>>72は、 彼女に恐怖を与えずに喜ばせた。]
(+5) 2013/07/07(Sun) 04時半頃
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>>76 [彼女は立ち上がろうとしたが、うまくいかなかった。 痛みの閾値を無視する薬品は彼女を真には自由にしなかった。 ちょうど私と同じようなものだ。
膝から下が動かないことに唇を――桜色だった―― 尖らせて、けれど彼女は、来訪者に手を振った。 傷口を圧迫した指は、爪の間にまで赤が染み込んでいたが、 その指でもって来訪者を歓迎した。実に嬉しげだった。]
(+6) 2013/07/07(Sun) 04時半頃
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『ヤダ 嬉しい 会いに来てくれたの
アナタに似合いそうな』
[似合いの、何であるか、は私は知っている。 けれど書く必要はないだろう。 事実、彼女の言葉は一瞬にして途切れた。]
>>78 [ひどく、肉感的な音がした。 かろうじて骨に垂れさがっていた肉なのかもしれないし 弾けて消え損ねた表皮たちなのかもしれない。 そういったものが削げて剥がれた音だ。]
(+7) 2013/07/07(Sun) 04時半頃
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[一瞬、彼女はやはり不思議そうな顔を浮かべる。 動くべきものが動かず、感覚の薄れた結果だ。 それは遅れて焦燥となり、それはようやく、不快と結びつく。 一方的な怨嗟――と言い切るには不確かだが、 それが彼女の精神を、薬で一時的に混乱した精神を引きずりあげて 更に惑乱とした精神状態へさせた。]
>>78
『 ―― …… 、 チョット 女の子なんだから 止めてよねっ』
[彼女が手を振るえば、 乾ききらない自身の血液と一緒に試験管が飛んだ。 彼女が似合いの台詞を吐けば 注射針が地面から湧き出た。]
(+8) 2013/07/07(Sun) 04時半頃
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[けれどそれらはあまり、意味をなさなかった。 月光の下で捕食者然とした笑みを見せた時は違い 人工的な明かりの点滅の下で単調な攻撃を仕掛けるのは彼女だった。 もっとも、押し気味なのが黒檀の女性であるという点は相違ない。]
>>81 [「混乱」が彼女の脳を弄る。 指が痺れた。投げる方向が定まらなくなる。 コート内部から引き出そうとした手は何もつかめなかった。 何もないわけではなかった。 彼女は手を伸ばそうとした。 しかしその手には何もなかった。 彼女の言葉を借りるなら、『幸運の女神のせい』だったのかもしれない。 つまるところ彼女には、女神の微笑は貰えなかった。 獰猛な肉食獣が嗤うというのに。]
(+9) 2013/07/07(Sun) 04時半頃
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『 ―― 、っ 』
[「混乱」は、肝心なところで消え始める。 だんだんと明らかになっていく感覚が、彼女の脚を刺し そして新たに掴みあげられた毛髪を通じて頭部に生じる。 ようやく、脳の深層から恐怖が湧き出した。 そしてようやく、彼女も認識をし始める。 彼女を苛むのは痛みではなく、死の可能性だと。]
(+10) 2013/07/07(Sun) 05時頃
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[こわい、と思った。 浅い呼吸だけを繰り返す喉は、発声の機能など忘れたように 呼気によって震え、慄然によって痙攣する。 助けて、と誰かに乞う言葉も彼女は思い出せなかった。 ただ眼前に広がるビターチョコレートの獣が、ひどく、恐ろしかった。]
『 、…… 』
[呆然と瞬く顔面に、桜色が広がる。 悲鳴を上げるのも泣くことも忘れた、薄い切れ長の瞳は ただ眼前の「恐怖」に注がれた。 頬に塗りたくられる生暖かいべた付く温度も気にできないまま 恐怖が何か口を開き、閉じ、また口を開くのを眺めていただけだった。 条件反射のように口唇が戦慄いただけだった。]
(+11) 2013/07/07(Sun) 05時頃
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>>83>>84
[こわい、と、明確に唇が動く。 単なる事実のように動いた。 触れた指のやわらかさはどこか、何かを思い起こさせる。 けれどいま、彼女に伸ばされた指は一対だけだった。 彼女から伸ばす腕は地下駐車場のどこにも在りはしなかった。]
『 ―― ! や、 ……っ』
[遮ろうと上げた手は重い。 喉に触れた嫋やかな指が軟骨を押しつぶす。 鈍い音がした。脳内で響くような大きさで。
血に塗れた手が無意識に、嫋やかな手に這い寄る。 けれど到達する前に 新たに走った電気信号に潰された。 脳の回路が白く焼き切れたようだった。 点滅を繰り返す電燈が脳内にそのまま入り込んできたかの、ように]
(+12) 2013/07/07(Sun) 05時頃
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>>84 [手放された上半身は支えもなく、前に倒れ込みかけ また火花が散った。脳が揺れた。 感覚器官が悲鳴を上げる。 傾いだ上半身に引きずられ、脚が浮きかけ、それもならなかった。 もはや彼女の自由になる部位はどこにもない。
湿った床に倒れ伏す彼女の上には言葉が降り積もる。 彼女の薄い唇は、もうすでに桜色ではなかった。 口中に溢れた血と断続的な言葉の欠片で埋められる。 「嫌だ」「こわい」「死にたくない」 繰り返す言葉の内いくつを彼女が認識していたのか、不明だ。]
『やだ 、っ……や、だ こわ、しにたくない 、だ 死ぬの、は、』
(+13) 2013/07/07(Sun) 05時頃
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