25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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お前が犯してきたことは、お前の意思がそうさせたのか。 それとも、病であるからか。
――どちらでも、良いか。
[ふわりと。 応接の間を出て廊下を歩く。今は誰にも見られることはなく。 否。
あちらにいる二人の花には見えたかも知れず]
一緒に逝かないのですか。 辿り着く場所がどこでも。 私はこの手を離すつもりはありませんよ。
(+90) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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[艶の混じる硬質な声。 眉尻は微か下がっている]
…―わがころもでは つゆにぬれつつ……
[小さく呟く。 りん、と現世が啼く度に 響いて常世もりん、と泣く。囁く歌。]
…… ――――
(+91) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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……私はイビセラの花 言ってしまえば病そのもの 今は 人を喰らう力こそ無くとも
[同じ場所、同じ道を通る。 されど現世のひとには見えず]
逝けるでしょうか。 人でなくとも 其の手が私を離さぬなら
(+92) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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[桜の傍らに、ざわめく気配。 冬の色は彼の内]
――
[櫻は 要らぬかどうか答えは無く。 ただ、現世で告げた言葉 彼に届いていなかったのかと、愁い混じる]
(+93) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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[駒鳥と、センターの人間がやってくれば 彼の傍にあった気配はなりを潜め息を殺した]
(+94) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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[届く鈴の音。 そちらを一度見て]
思うのならば、今は届かぬほうを思うと良い。
寂しいからですか。 貴方がなくのは。
その鈴の音は、貴方の涙のようです。
[見る視線は生きていた頃と同じ。色はなく。 けれども僧であったものとしての慈悲を浮かべる]
(+95) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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逝ける。 逝けぬなら、私も往かぬまで。
[足を止めて、空を見上げた。 欠けた満月]
ロビン、お前は私の花です。 こちらに来た以上、それはずっと。
お前が厭というまで。
[月の下、花の身に触れて、心の臓が時を止めたのと同じように、かき抱く]
(+96) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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――…ボクの為に、染めた髪
[小さく呟く声、僅か。 これは聞こえぬ方が良い きっと、彼にとっては]
(+97) 2010/08/08(Sun) 02時頃
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[鈴の音に、主が声かけるを花は傍で控えている。 主が話すに口を挟むのは―― そう雛鳥に告げたのは、未だ昨夜の事。 足を止めた彼を見ている]
ボクも……法泉さまの花 ずっと 切り捨てられる事は、無い?
[不意に視界が覆われて、腕に擁かれたのだと知る。 頬を胸に摺り寄せて、鍵爪の無い手が背に回る]
厭などと、誰が謂うでしょう 私は主さまの花 人食でも良いと、選んでくださったのは主さま お傍に置いてください。 共になら、奈落に堕ちても構わない
(+98) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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何故切り捨てると? お前が私の花だという以上は――。
私の花はお前だけだ。
[摺り寄せられる頬。 頬に触れて、その眸は此方を向くのだと、向けさせて]
堕ちるまえにも。 もう一度歌を聴かせておくれ。 お前のその顔で。 私の為に、啼いてほしい。
[笑みを見せて、唇に触れる。 触れる感触は、生きていた頃と同じもの]
(+99) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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[僧の慈悲。 届くのは、こえ。]
……、ないてなどいない。
[――――りん、と 小さな鈴の音。 眉はきつく寄せられて けれど涙は流さない。 重なるように華月と、朧の会瀬を意識に重ねる。]
(+100) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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[見ている]
[感じている]
[願っている]
―――――朧さま、 ……―――華月……
[己をきつく、抱いて。 震える肩、 ―――りん、と鈴は鳴るばかり**]
(+101) 2010/08/08(Sun) 02時半頃
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[幾人も、花を囲うなら 気に入りが変われば切り捨てられる 習ったこの世の有様は、恐ろしいもの。 なれど]
うたを ……詠いましょう、主さまのために
[頬に触れる手に僅か震えて 冷たい冬色は嬉しそうに細まる]
奏でる曲はお任せします 穏やかな春でも 熱さ溢れる夏でも 実り多き秋も 身引き裂く寒い冬でも [そっと瞳を閉じる。遠くで鳴る鈴の音も 流れる血の鮮やかさも、今は意識の外に追いやって]
(+102) 2010/08/08(Sun) 03時頃
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お前の歌は、心地よい。 啼く声と、同じだからかも知れぬ。
[手折った朝のこと。 今は遠く感じられて。 けれども、腕の中にあるのは確かな]
ここでは、少々無粋か。 月の見える場所でと思うたが。
[窓が開けられるのなら部屋にでも、 あちらの騒ぎは僧の耳には僅かに届くだけ。
未練は今ここに。 現世になどないのだから]
(+103) 2010/08/08(Sun) 03時頃
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――思いの為らぬ秋の歌を。
[そう耳元で告げて、触れる指は優しく。 あの朝とは違う、慈しむ様な口付け。
ないていないと言う鈴の音。 目は向けず、ただ思うだけ。
やはり頑固だと]
(+104) 2010/08/08(Sun) 03時頃
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ロビンは、駒鳥の名ですから。
[温もりに擁かれ、背伸びをして唇啄ばむ戯れひとつ。 喧騒はそこかしこ 腹に残した種は思うところあれど、花は主の為に咲く]
月の下で……嗚呼 狭間にあっても風流な
[くすくすと、毀れる笑み。 薄灰の、洋装でなく着物を纏うて 耳元囁く言葉に震える]
――思いは、為らぬのですか
[柔かな肌を慈しむ指に、唇に 短く、切ない吐息を漏らした]
(+105) 2010/08/08(Sun) 03時頃
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秋には様々な色がある。 お前の声に合うものを探すと、そうなった。
冬でも良いが、冬では寂しすぎる。 物悲しいくらいが、ちょうど良い。
[月の見える廊下。 庭を前にふわりと腰を降ろす]
風流だというなら、ここでも良いか。
[膝の上に花を抱き寄せる。首元の合せを緩く、その白い首筋へと触れて]
(+106) 2010/08/08(Sun) 03時半頃
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説法師 法泉は、メモを貼った。
2010/08/08(Sun) 03時半頃
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[欠けた月のした 人は二人を見ること能ず]
それでは、あきさめのうたを 主さまが望むままに
[膝の上に乗れば、見上げずとも唇が触れる距離 薄灰の、着物の上でなく直に触れた指 感触は確かにあって、思わず息を呑む。 身じろぎ、両の手が縋るように着物の両袖を引いた]
(+107) 2010/08/08(Sun) 03時半頃
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