247 満天星躑躅の宵闇祭り
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─ 境内・参道 ─
[鳥居を潜って直ぐ、急に気配が増えたように感じた。 青年が足を踏み入れた参道には屋台が立ち並んでいる]
なんだ、祭りか?
[似たような光景は何度も見たことがある。 祭りの出し物として一座が芸を披露することがあるためだ]
なぁ、ちょっと聞きたいことがあんだけど。
[ここがどこかを聞くために、近くにある屋台へと近付き声をかけた]
(25) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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[が]
…──!?
[青年は屋台の店員を見て目を白黒させる。 そこに居たのは、人型ではあったが、目が一つしかなかったのだ]
えっ、 なんっ、
[悲鳴が上がらなかったのは幸いだったかも知れない。 青年が驚愕の表情のまま声を紡げずに居ると、誰かに頭をてしてしと叩かれた]
『またけったいなとこ落っこちよったなぁ。 坊、だいじょぶか?』
[振ってくる声には訛りの色。 どうにか屋台からずり下がるようにしながら距離を取り、青年は頭の上に手をやった]
(26) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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[むんず、と掴んで目の前に持ってくると]
『おま、待てや。握り潰す気ぃかっ』
[青年の手の中では、タヌキの人形がちたちたと動いていた]
!?!?
[二の句も紡げない]
(27) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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『おい坊、聞いとるかぁ?』
[手の中に居るタヌキの人形は、てしてしと青年の手を叩いてくる]
────何がどうしてどうなってんだ!? 婆ちゃんが作ったぬいぐるみが喋ってんぞ!?
『ちょ、落ち着けぇて!』
[手が緩んだ隙にタヌキの人形はするりと抜け出て、青年の手の上へと。 人形でありながら生き物のように動くそれは体長約20cm程。 青年の手の上で見上げ、短く溜息をついた]
『先ずは話聞きぃ、な?』
お、おぅ……。
[そうしてしばしの間、タヌキの人形から話を聞くことに]
(28) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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[暫く、楽琵琶と満天星躑躅の和音に聞き入っていると。 その楽琵琶を弾いていた主から声を掛けられて。>>2 >>24]
宵闇、祭り……?
[言霊を繰り返す。 そんな祭は、知らない。 初めて聞く名に、心を惑わせるばかり。
そして、続く問いに首を捻らせる。 来た、か来てた、か。 難しいが、一先ず答えておこうか。]
屋敷の地下を歩いていたら、此処に辿り着いた。 だから答は、来てた、という事かな……。
(29) 2016/05/20(Fri) 00時頃
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─ 境内 ─
[対する者の心の惑い>>29は知ってか知らずか。 まあ、気づいていた所で、この青年が態度を変える事はまずないのだが]
そ、宵闇祭り。 狭間の神社のバカ騒ぎ……てぇ言うたら、さすがに怒られちまうけどなぁ。
[くく、と笑いつつ、社の方へと一度視線を向けて]
ほうほう……つまり、こっちの旦那さんと同じ、迷いこんだクチかぁ。 まあ、自分からここに来るような酔狂者、そうはおらんやろーけど。
(30) 2016/05/20(Fri) 00時半頃
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[視線を戻し、けらりと笑いながら告げた言葉に、傍らに残っていた紫黒色の猫がもの言いたげに尻尾を揺らした。 「あんたが言うな」と言わんばかりのそれを、青年は完全に無視しているが]
まあ、「来てた」クチなら、祭りが終わればまた道も開くやろ。 今の内は、のんびりしとくとええよ。
[どこまでも軽くこう言った後。 青年の視線は、人形の方へと向いて]
に、しても。 ……面白いモン、連れてますなぁ。
[こてり、と首を傾いで問う、声音に滲むのは好奇の色。*]
(31) 2016/05/20(Fri) 00時半頃
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─ 境内・参道 ─
『───てぇわけで、坊は知らずここに来てもうたわけや』
はぁ……。
[今居る場所が元居た場所とは全く異なると言うことを伝えられたが、いまいちピンと来ず、青年は生返事を零す。 おかしな場所であることは屋台の店員が証明となっているが、俄かに信じられることでもなかった]
(32) 2016/05/20(Fri) 00時半頃
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…で、アンタは何なんだ?
『わいか? 坊の先祖や』
は?
『せ・ん・ぞ や』
………はぁ!?
[この場所が訳の分からない場所であることは然ることながら、目の前のタヌキの人形も同等に訳が分からない。 故に青年は問いを投げたのだが、思いもよらぬ答えが返って来て、声がひっくり返ってしまった]
(33) 2016/05/20(Fri) 00時半頃
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『まぁ背後霊みとぉなもんや思うとき』
…タヌキが背後霊…
『阿呆、元は人や。依り代で丁度ええのがこれやったんや』
人型の人形もあっただろ。
『とり憑けんかったんやからしゃーないやろ』
よりによって婆ちゃんの形見に…。
[青年は色んな意味でがっくりと項垂れた]
(34) 2016/05/20(Fri) 00時半頃
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『ともかくや。 坊一人やとあかん思うて出て来てやったんや、ありがとぉ思ぃ』
はぁ…どうも。
『もっと感謝込めぇや。 あ、わいの名前は琥珀やからな。 坊の名前はなんや?』
背後霊って言ってる割りに俺の名前分かんねぇのかよ。 斎、華月斎だ。
『みとぉなもん、言うたやろ。 斎やな、帰るまでよろしゅうなぁ』
[そんなわけで青年は味方(?)を手に入れた]
(35) 2016/05/20(Fri) 00時半頃
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─ 境内・参道 ─
…で、どうすりゃ帰れるんだ?
『直ぐには無理やろな。 この先になんや気配あるよって、そこ行って聞いてみぃや』
気配?
『せや、丁度こないな……おんや』
[タヌキの人形──琥珀が尻尾で指し示したのは不意に現れた紅緑色の兎>>22。 その色合いから青年も流石に普通の兎ではないと感じ取った]
これと同じ気配?
『せやな、大元っちゅーか、そないな感じや』
(36) 2016/05/20(Fri) 00時半頃
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[その返答を聞き、青年は紅緑色の兎へと近付き膝を折る]
案内してくれんのか?
[問いに反応があるか窺った]
(37) 2016/05/20(Fri) 00時半頃
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は……はぁ。
[アキの口から、生返事が零れる。
次々に紡がれる言葉。 要するに、アキはこの宵闇神社に迷い込み。 祭りが終わるまで此処から出られない。 良く分からないが、そういう事らしい。
ふと、視線は誠の方へ。 アキは思わず誠を見る。 誠の方は、お褒めにあずかり光栄だ、と言いたげに一つ、立礼する。]
こいつも、一緒に連れてきたんだ。 僕も風の噂しか聞いた事がない代物さ。 所謂、伝説の絡繰り人形って奴。
[興味を向けられれば、そう返す。]
(38) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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─ 境内・参道 ─
[紅碧色の兎は、青年とタヌキのやり取りをじいい、と見つめていた。 彼らの話が一段落した後、近づいて膝を折った青年の問い>>37に耳がぴょこぴょこと動いた後、兎はぴょん、と跳ねる。 数度跳ねて立ち止まり、振り返って、また耳をぴょこぴょこ。
着いておいで、との意思は果たして伝わるか。 伝わるようなら、紅碧色の兎はぴょんぴょん跳ねて、主の許へと向かう。*]
(39) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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─ 境内・参道 ─
[声をかけた兎は数度跳ねた後に立ち止まり、こちらを振り返ってくる>>39。 動く耳が青年らを招いているように見えた]
…来い、ってことかな。
『せやろなぁ』
[立ち上がり、荷を背負いなおしてから青年は兎の後を追う。 琥珀は青年の肩に陣取り、兎の進む先を見詰めていた]
(40) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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─ 境内 ─
[返る生返事>>38に、伝わったかなー? と言わんばかりに首を傾ぎはしたものの、重ねて問われぬようならそれ以上場に関しては触れる事はせず]
ほうほう、伝説の絡繰り人形。 中々、楽にも通じてはるようですなぁ。
[好奇交えた問いへの答えに、青年はまた楽し気に目を細める]
俺の楽に合わせて舞うやつ、とか。 はて、何百年ぶりに見たかねぇ。
[直後に零れた呟きは、なんか色々問題含みではあるが。*]
(41) 2016/05/20(Fri) 01時頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2016/05/20(Fri) 01時頃
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─ 境内 ─
……お。
[不意に上がる短い声。 動いた視線は、ぴょん、と跳ねてきた兎>>40へと向いて]
戻ったか、紅碧。
[名を呼べば、兎はこく、と頷く仕種の後に紫黒色の猫の隣にちょこな、と座る]
……んー? なんやら、久しぶりに触れる感覚やねぇ……。
[こちらに近づく気配に落ちる呟きは。 少しだけ、困ったような響きを帯びていた。**]
(42) 2016/05/20(Fri) 01時半頃
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座敷守 亀吉は、メモを貼った。
2016/05/20(Fri) 01時半頃
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─ 境内 ─
[兎を追い辿り着いた場所には二人のひとの姿。 片方は青年と然して歳が変わらぬように見える。 もう片方は]
『(…あー)』
[そっち、と心の中だけで呟くのは琥珀。 視線は当然のように兎が傍に控えた方の人物へと向く]
アンタが兎の飼い主?
[琥珀の思いを余所に、青年は兎が向かった先に問いかける。 歳の近そうな人物の傍にある人形を見止めれば、お、と物珍しげな声が零れ落ちた**]
(43) 2016/05/20(Fri) 01時半頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2016/05/20(Fri) 01時半頃
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[楽しげにする青年>>41。 やはり、この様に勝手に動き回る人形は珍しいのだろうか。 楽にも通じている事を喜んでいるようで。
何百年ぶり、との呟きに。 一瞬、信じられないという表情をするも。]
……やはり此処は、 この世では無い、ということか。
[ありありと、それを知らしめさせられる結果となった。]
(44) 2016/05/20(Fri) 01時半頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2016/05/20(Fri) 01時半頃
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―道場前―
――ありがとうございました。
[セーラー服に身を包んだ少女は、門の前で一礼すると道場を後にする。 その動きに合わせてきっちりと編み込まれた三つ編みが揺れた。
肩にかかるのは黒い合皮製のスクールバッグと、 爪唐草模様に染め上げられた臙脂色の竹刀袋。]
(45) 2016/05/20(Fri) 03時頃
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[陽がゆっくりと沈んでゆくと共に西の空の茜色が段々と薄らぎ、深い藍色へと移り行く。
――黄昏時、或いは大禍時。 妖と逢うとも称されていたこの時間は、現代では人工の灯りに照らされて、随分と明るくなったものではあるが。 この世に暗闇が決して無くなる事がないように、妖と呼ばれる存在もまた存在していた。
密やかに妖怪を祓う事を生業とする者は、退魔師、と呼ばれる。 かつて、天より落ちた星の雨。 その中に紛れていた星を宿した者の血は連綿と続き、この少女にも受け継がれていた。]
(46) 2016/05/20(Fri) 03時頃
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―帰路―
[――しゃら しゃらり。]
…? 何だ?
[帰り道、鈴の音がしたような気がして、少女はふと、吊り目ぎみの双眸を眇める。
決して怒っているわけではないのだが、初対面できつい性格のように思われてしまう事は、 ほんの少しだけ、思春期の彼女の心を悩ませていた。 負けず嫌いで男勝りな言動がそれを補強してしまうのだが。]
(47) 2016/05/20(Fri) 03時頃
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[少女は怯えるでもなく、音のした方角へと歩みを進めていく。 子供の頃から親しんできた神社だ。 この時間には祈祷の受付はとっくに終わっている。 かといって、誰かが練習をしているという様子でもない。
此処を預かっているのは父と同年代の神主だ。 祭りには遠いし、新たに人を迎えたという話も聞かない。
‘――それでは、何故。’
そんな疑問が少女を突き動かしていた。]
(48) 2016/05/20(Fri) 03時頃
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…なんだ、これ――
[少女はぽかんと口を開ける。
神社の境内の一角にあってはならないもの――漆黒の‘洞ろ’が口を開けていた。 その暗闇の遥か遠くに見えるのは白い灯りか。 奥からは鈴の音に混じり、琵琶と思しき旋律が聞こえてくる。
此岸でも彼岸でもない、狭間へと誘う道であるとまでは分からないが、これが放置してはならないものであるという事は分かった。]
父さんに、いや、神主に言った方が早いか?
[修行の一環で小物を祓った事はあるが、まだ見習いの身である少女は逡巡する。 父は仕事に出掛けている筈だった。]
(49) 2016/05/20(Fri) 03時頃
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…少し、
少し、様子を見るだけだ。
[少女の中で勝ったのは、己は退魔師の見習いであるという矜持。
踵を返しかけた少女の足は、真っ直ぐに洞ろへと向かう。 僅かに疼いた星、誘うような音に挑むよう。*]
(50) 2016/05/20(Fri) 03時頃
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―神社・参道手前―
[暗闇の中に足を踏み入れ、何かの境を越えたような感覚を覚える。
気付けば宵闇に田舎と思われる景色が広がっていた。 遠目に見えるのは神社だろうか。]
何だ、これ
[それらは少女のよく知る景色ではない。 はたと我に返り、後ろを振り返っても既に虚ろは消えており、 それが元の場所に戻れない事を示していると知った少女は、己の軽率を恥じつつ舌打ちする。]
(51) 2016/05/20(Fri) 03時頃
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…くそ。
[少女は咄嗟に右肩に手をやり、スクールバッグと竹刀袋が確かな重みを伝えてきている事に一先ず安堵した。]
――取り敢えず、此処が何処か探らなければ。
[此処がどういった場所か分かれば、やがては帰る術にも辿り着く筈。
そう考えた少女は鈴と楽琵琶の音色のする神社へと続く参道へ進んでいった。]**
(52) 2016/05/20(Fri) 03時頃
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─ 境内 ─
おとと、いらされませー。
[新たにやって来た者たち>>43に向けるのは笑み。 撥が四弦に当てられ、短い音色を紡ぎ出す]
んー、飼い主いうか、本体いうか。 まあ、こいつらは、俺から出てきたモンではあるが。
[問いかけに答えつつ、視線はタヌキの人形へ]
(ぁー……形はアレやけど、『銀』の眷属かぁ)
[『以前』のように、貪欲に喰らおうとする衝動はないものの。 相反する存在に、秘めた『闇』の本能が騒ぐのは已む無しと言う所。 それを紛らわせるように四弦を弾きながら]
(53) 2016/05/20(Fri) 10時頃
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