198 かるらさんのうなじ争奪村
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優等生の、音……か。楽譜通りの音は素晴らしいよ。
でも、つまらない音―――…
[技巧に優れていても、真に感動させることは出来ないのたろう。
夏休みの前。生徒に伝えたことを思い出していた。**]
(193) 2014/10/07(Tue) 10時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 10時半頃
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―回想:消えた表札の名―
[隣家の扉が開き、表に出てきた家人に睨まれた。不審な人物に見られているのか。]
あの、此処は――相賀さんという家では……
[「引っ越されたのよ。」 少し考えればすぐに辿り着く答え。共働きとか、離婚とか、そんな単語に相槌する。
玲のことだ。一人で暮らし始めたのかも知れない。夜に帰ってくる両親を待つ生活から、誰の帰りも待たない生活に。]
(203) 2014/10/07(Tue) 16時半頃
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[空を見上げる。 放課後の教室の窓辺に立ち、空を見上げていた玲の後ろ姿を思い出した。>>195 曽井は声をかけられないまま、黙って立ち尽くしていた。
チャイムを鳴らしても、扉の向こうに玲は居ない。教室の扉を開けても、窓辺に立つ玲はもう居ない。
友の悪友も、渦中の下足室に居た生徒たちも、誰も友を咎めなかった。 先生に告げ口する者も居なかった。 学校を休む本当の理由を、曽井は親にも言えなかった。
事件は解決の糸口を掴めぬまま、15年が過ぎていた。**]
(204) 2014/10/07(Tue) 16時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 16時半頃
許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 22時半頃
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―満月雫―
小さいね。もうすぐ消えてしまうのかな。もし消えてしまったら、翔くんのを借りようか。
[揺れる灯りは足元を、曼珠沙華をぼんやりと照らしていた。>>207]
……そんなこと。ない。
すごい先生の目に適ったのだから、大丈夫だよ。 見つけ、られるさ。
自分だけの華。自分だけの、音。 咲かせられる。
(244) 2014/10/07(Tue) 22時半頃
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――――恋を、すると良いよ。
[したことがないなら。>>208]
恋は感情を豊かにしてくれる。 喜びも、苦しみも、焦がれも、憧憬も、全てすべて……ヴァイオリンに歌わせて――さ。
そんな翔だけの音を、聴いてみたい。
[足を止めて、彼の袖を引く。]
今のままじゃ足りないのなら――…。
あ……楽器を恋人にだなんて、しないでよ? 恋の、愛の曲は、楽器の為に作られては居ないんだから。
(246) 2014/10/07(Tue) 23時頃
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[音の為に、音が作られているのではないのだから。]
だから――…赤い花を、さ。あげるのではなくて、翔くんが持って居たらどう、かな。
[今、開かないのなら。いつかの為に。]
(247) 2014/10/07(Tue) 23時頃
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[袖から手を離し、再び歩き出す。 屋台ののぼり、何の店だろうかと見上げ。>>232]
買えなくても、本物のトランペットの方が良いなぁ。 さっき、お姉さんに恋に似た感情を抱いてたって、言ってたでしょう?
だから、良い音に聴こえていたのかな……なんて、思ってしまったよ。
[並んでいるのはラムネ瓶、綿飴、飴細工、お面、ベビーカステラ、そして―――…]
ん…… 割と覚えている方だと、思う。
そうか、あんまり、か。 修学旅行での大騒動も?
(252) 2014/10/07(Tue) 23時頃
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…………そ、ぅ。 ごめんね。何の手伝いに、ならなくて。
[気が向いたら。つまりそれは、気を向けようとしないということ。 込み上げてくる寂寥に喉が痛くなった。>>257]
僕が聴きたいのは―――
[華のない、地味な音ではない。今の音では、ない。 小学校の思い出も、あまり覚えて居ないのなら。
どんなにペットを吹いたって、昔の、昔以上の音など。]
(260) 2014/10/07(Tue) 23時半頃
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[彼は教え子ではない。 一人の演奏家だから、自分にはただ遠くでその機を待つしかないのだろう。]
そう、だね。その衣装には白い方が、映えると思う。
[覚えてないなら別に良いと、首を振る。 修学旅行のことも。他のことも。]
……お姉さんの、受け売りでしょう? 落ちるもの、だなんて。
音楽の為の恋なんだから……
[仮初めの恋でも良いはずだ。]
(265) 2014/10/08(Wed) 00時頃
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聞きたいのは――…何だったんだろうね。
[やはり言葉に、音にならず。 黙ってしまった。]
……? 気のせい、か。
[イカ焼きの屋台の前に、誰か居た気がするけれど。]
(270) 2014/10/08(Wed) 00時半頃
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……変、かな。どうして?
[首を傾げる。>>273 恋は落ちるものなら―――…確かに初恋はそういうものだったけれど―――孤独感しかなかった。]
女の子が駄目なら……男の、子?
[ぱちりと瞬く。]
(277) 2014/10/08(Wed) 01時頃
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[鉄板の上で白いイカの足が赤く焼かれていく。 気持ち悪さが先に立ち、口元を抑えた。 イカの悲鳴が聴こえるようで。
焼かれる罪人の、ようで。
探しているのは別のもの。 翔に弱い視線を投げて、早く探そうと促す。
夢の中なら、翔の望む楽器はあるのだろう。]
(281) 2014/10/08(Wed) 01時半頃
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それが、―――音を変える為であっても?
強制したって恋が出来るかなんて、分からない――くせに。
[変わらないだろうに。]
……いや、構わないと思うよ。 相手が女でも、男でも。恋は――恋、だ。
[見られていた、気がして。翔に向き直る。]
そう……翔くんの恋は、前途多難……だね。
(285) 2014/10/08(Wed) 01時半頃
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そんな瞬間が……くると、良いね。
[考え方が違うのだ。 夏休みの前、生徒に向けた弁は、論は、間違っていると言われ。ただただ、眉尻を下げた。
あぁ。]
無理に笑おうとしなくていい、よ。
(288) 2014/10/08(Wed) 02時頃
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[無理にではなく、頑張って作ろうとしたものだとしても。今は、翔の笑顔を見るのが辛かった。]
君が、素敵な出逢いをして、君のまま恋に落ちて。 華のある君だけの音が奏でられるのを―――僕は、願っているよ。
[手を差し出してから、握手するのも変だと思い直した。 そういえば、泣き虫だったと思い出し。 彼の頬骨の上を指の腹でなぞる。
昔のように、濡れては居なかった。]
(289) 2014/10/08(Wed) 02時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 04時頃
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―櫓と祭り囃子―
[翔とはぐれ、気付くと開けた場所に居た。 和太鼓の音が上から降ってくる。 誰が、どんな人が叩いているのか、下からでは影になって見えなかった。
幹に背を預け、輪になって踊る面々をぼんやりと見ていた。]
(291) 2014/10/08(Wed) 09時頃
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いつか……いつか。 自然と笑えることも出来たら良い、ね。
僕には、願うことしか、出来ないよ……。
[待つことしか、出来ないよ。 頑張ることではないから、頑張れとも言えず。
嬉しいと、ありがとうと言ってくれる翔に、 曽井は簡潔にしか返せなかった。
痩せ細った鬼灯の灯り。 ガラス瓶の中の、2輪の花。
花を、下さいな。
促すように、輪の向こうに白い人が立っていた。]
(293) 2014/10/08(Wed) 09時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 09時半頃
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[友と玲の噂は曽井の耳にも届いていた。
翔と自分の次が出来ただけと、思っていた。 何故、玲の時だけ騒ぐのだろうとも思っていた。
玲の背を遠くから見て。 友の姿を遠くから見ているだけ、だった。**]
(297) 2014/10/08(Wed) 10時頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 21時半頃
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―彼、或いは彼女に―
[空に浮かぶ月は欠けゆき、鬼灯の灯りのように赤みを強めていた。 ガラス瓶が曽井の手から零れ落ちる。
割れた欠片はシャボン玉のものと混じり、指で掬い上げようとしても元には戻らなかった。]
………どうぞ、これを。
[咲ききっては居ないが、白い椿花を麗人に差し出した。]
きっと、此方の花の方が咲くと――思うから。
(370) 2014/10/08(Wed) 22時頃
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[願うことしか出来ないのなら、白椿の方が適しているのだろう。]
可愛い、あの子の……ため、に?
[誰の為に? 集めた花で、何をする?]
風、が………
[鬼灯の灯りが揺らめく。 「気をつけて帰れよ」>>0:347>>287だなんて、懐かしい声が聴こえた気がした。]
……そういえば、卒業式の時だって、僕は勝丸くんに言えなかったな。
―――気をつけて、帰るんだよ。勝丸くん、君が此処に居るのなら。
どうぞどうぞ、気をつけて。
(378) 2014/10/08(Wed) 22時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 22時半頃
許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/08(Wed) 23時頃
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そう、だね。きっと要らないものだ。
孤独ばかりを覚えて、誰の音も変えられず、心の重石を増やすばかりなんだから。
[猫の鳴き声に金魚が揺れた。>>380 数を数えて確かめる。 これだけで、きっと充分。]
…………
[屋台の近くで甲斐とカケルに似た姿を見掛けた。彼等も気をつけて帰れると良い。]
何を想って―――…か。
(404) 2014/10/08(Wed) 23時半頃
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お元気で―――…、とか、かな。
[幹に背を預けたまま座り込む。 膝を抱えて、櫓の上を見遣る。
陸が見上げた先、同じものを見ていた。>>316]
(408) 2014/10/08(Wed) 23時半頃
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許婚 ニコラスは、メモを貼った。
2014/10/09(Thu) 03時半頃
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え……忘れ、る?
[赤い獣の、その言葉は初耳で、曽井は目を瞬かせた。>>406 ややあって、それでも良いと笑む。忘れてしまった方が、寧ろ良い。
距離が開いたせいか、カミちゃんへと突撃する二人が居た。
唖然と見てしまい、止める間もなかった。くつり笑ってしまうのは、伸びた獣の姿を見たからか。]
(445) 2014/10/09(Thu) 03時半頃
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ん……
[落ちてきた影。>>435 膝を抱えたまま顎を上げる。見えた顔に――陸の顔に、どきりとした。]
なにって…… 花を、あげていたところだよ。 終わりに、花を。
(446) 2014/10/09(Thu) 04時頃
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……もしかして、それを言う為に?
混んでたから、はぐれてしまっただけだよ……
[置いて行かれたと思いたくない気持ちが半分あった。 ゆらり、金魚はたゆたう。]
(447) 2014/10/09(Thu) 04時頃
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そうみたい。……心残りがあるから此処に居るらしいけど、それが済んでしまったから――かな。
[そう、忘れてしまった方が良い。 本の行方も、音の行く先も、孤独の在処も、後は彼ら次第なのだから。
いや、ひとつだけ。ただひとつだけ。 忘れる前に伝えたいことは――…]
ん、もう良いよ。僕のこと探してくれたのでしょう? だから。
陸、は……
(449) 2014/10/09(Thu) 04時頃
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[一度言葉を飲み込んで、目を閉じる。 開き、伸ばした指の背で陸の髪を払う。]
――… ひとりに、しないで。 せめて、終わるまで。
[我儘を、初めて言った気がする。]
ずっと、ずっと……そう、思ってた。
(450) 2014/10/09(Thu) 04時頃
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白い花をあげたら、此処で起きたこと、忘れてしまうって。
[知っていた?と増えた情報を伝える。]
甘やかしてるつもりはない、けど。 そうだな……陸は自由にやって欲しいから。
手のつけられない厄介者だからではなく、自由に?
[浮かべた表情の苦さに首を傾げる。]
(453) 2014/10/09(Thu) 04時半頃
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[もう一度繋がれた手。 次は自分が離してしまうのか。離れがたさが過る。]
いつからって……、前から。 実験だ、観察だって、夢中になってる陸を見てるのは好きだったから、それは別としても。
天才は、孤独なものだからって――…
[指先に力が入る。]
ねぇ、陸。俺は―――…
[緊張で声が掠れる。 陸にとって、俺は何だったの?]
(454) 2014/10/09(Thu) 04時半頃
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白い方しか、咲かなかったし……。 それでも良いかなって。
陸にまた逢えるとは、思ってなかった し。 探してくれる、だなんて。
[見えない所で赤の蕾が膨らむ。 いけないのに。してはいけないのに。]
どういたしまして。 陸には、何にも囚われない広くて自由な所が合ってる気がしてた、から。
[充分すぎるだなんて、もったいないだなんて。 子供から大人へと変わってしまった一片が垣間見えて寂しく思う。]
(457) 2014/10/09(Thu) 05時頃
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