65 In Vitro Veritas
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[そのベッドが最初にベネディクトの寝ていたものとは知らないけれど。 そして直ぐ扉まで彼女が来ていることもまた知らないまま。
またしても意識は落ちて、赤くて黒いところへ]
――べ、ねでぃくと……
――いっしょに、なろ?
――わたしの、
[だいじな、オリジナル。
うわ言がぽつりぽつり、魘されながら*零れ落ちた*]
(230) 2011/10/02(Sun) 01時半頃
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[出られないのかと問われ、はたと顔を上げる。]
え、どうなんすかね……。 壁やなんかは、とりあえず擦り抜けちまうってか、何も触れねーっすけど。 どこまで動けんのかは、まだ。
とりあえず……。
[非常階段の方を指差して]
俺の身体は、あっちの階段のトコにあるんすけどね。
(+37) 2011/10/02(Sun) 01時半頃
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[惜しんでくれる蛯江の言葉>>+34には、深く息を吐いた。]
サンキュな。 そんだけ言ってもらえりゃァ、選手冥利に尽きる、っての?
[笑ってみせようと思ったはずの口元が、歪む。
蛯江の前では、努めて気にしていないフリをして振舞ってはいたものの。 矢張り、もう二度と野球が出来ない――その事実は重くのしかかる。
仮に移植手術を諦めたとて、野球そのものが出来なくなった訳ではなかったろう。けれども、死んでしまえば、全てを奪われたのと同じで。]
……もう一回、試合、したかったなァ。 せめて、もういっぺんボール触るだけでも。
[ぽつり。呟く。 おまけに、最後の試合が負け試合だったことが、今となってはひどく悔やまれた。]
(+38) 2011/10/02(Sun) 01時半頃
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ドナルドは、伸ばされた蛯江の震える手に、空いた手をそっと重ねた。
2011/10/02(Sun) 01時半頃
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手、やっぱでけーっすね……。
[重ねられた手が温かい。 ずっと荒んでいた、張り詰めていたものが、少しだけ和らいだ気がした。]
でも、その……。 俺にとっちゃ、野球、なくなっちまっても、岩瀬さんは岩瀬さんっすから……。 それに、こんなコト言ったら、アレっすけど。
……岩瀬さんで良かったな、って、ちっとだけ、思っちまって。
[多分、他の人間の霊と出会う事があったとしても、こうはいかなかったろうと。 おそらく、殺伐とした気持ちばかりが膨らんで、怒りと憎しみばかり成長し続けたろうと。]
(+39) 2011/10/02(Sun) 02時頃
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だからその、なんつか……ごめんなさい。
(+40) 2011/10/02(Sun) 02時頃
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[謝る蛯江の手>>+40を、軽く叩いた。]
ヤニクが謝るコトじゃねェよ、お門違いってヤツだ。 アンタがどう思ったって、俺が死んだのとアンタとは関係がねェこった。
俺ばっかじゃねェ、アンタだってやりてェコト、色々あったろ。 けど、ま、うじうじしたって生き返るワケじゃ、ねェし。
[多分に空元気ではあっても、ほんの少し、笑ってみせる。]
ふゥん……じゃ、この病院から出られるかどうかは、分かんねェってこったな。 あとで確かめてみっか……俺、どォせ幽霊やんなら、こんな廃病院よかスタジアムのが良かった、つゥか。
[や、スタジアムだったら却って歯がゆくなっちまうかな、と呟いて、首を回す。 それでも、自分を殺した者に対する恨みが心の底に確かにあるのは否定できなくて。どうしてか、ここから出られないという予感だけはあった。]
(+41) 2011/10/02(Sun) 02時頃
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[岩瀬の言葉に、自嘲し、頷いて]
そっすね……。 死んじまったら、もう、どうやったって生き返れやしないんすから。
へへ……やっぱ、ここ居ンのが岩瀬さんで、ホント良かった。
[つられるように笑みを浮かべる。 選手としては、勿論大好きだったけれど。 度量の広さを直に感じて、今まで以上に、今更のように。 野球選手としてだけではなく。]
……っへへ、たしかに、こんな病院で地縛霊なんてイヤっすよね。 どうせなら俺も、どっかウルブスの試合見られっトコ……あ、でもそれよか……。
[どこがいいだろう、などと。そんな事を考える余裕もできてきた。 尤も、自分を殺したニック、そして岩瀬を殺した誰かへの恨みや怒りが消え去ったわけではないので、まだ此処には留まり続ける事になるだろうけれど。]
(+42) 2011/10/02(Sun) 02時半頃
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― 地下2階 空き部屋 ― [“ニーナ”ではないこと、ではなくて、 “ニーナ”がどのようになったのか、を気付かれた、
それに自分が気付いたのは、 呟くような悟った者の声を聞いてからだ。]
あ……
[濡れた感触、肩におちる柔らかな髪。 眉根の寄せられた表情は、そのまま困惑の混じるものに変わる]
(231) 2011/10/02(Sun) 03時頃
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[そこにあるのが自分という認識であったら、 口を開けっ放しで、ぼうっとしている姿は嫌だと思うし、 泣き続けていることを情けなく思う。
けれどここにあるのは、同じだが違う存在だという。
自分に対して憐憫など向くはずもない。 雨宮セシルの自己愛のかたちは、 少なくとも、自分を惨めな存在とはしないものだ。
けれど、それが他者であるのなら―― まだ、完全にはそうと割り切れない部分もあるけれど、 違う存在であると認識すれば、憐れみのようなものも湧く。]
(232) 2011/10/02(Sun) 03時頃
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[彼を兄を無残に失った他人だと思ってやればいい]
簡単に泣くな。
[慰めに似た言葉は、けれど割り切れなさも滲んで、 優しいだけの響きにはならない、ただ改めて思うのは、
兄が壊れたのは、 ただ知らぬままに、ひとつの命を犠牲にしていたこと、 そのことに気付いてしまったから、なのだろう。 そして、このこの息苦しいほどの嫌悪感に襲われて――]
……そうか、
[重ならないハルモニア、 音の失われてしまったのは――何の、誰のせいなのか。
肩が生ぬるく濡れる、震えが止まったのかどうか知らない。 無意識の所作で、そこに存在を押しやろうと*した*]
(233) 2011/10/02(Sun) 03時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/10/02(Sun) 03時頃
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[笑みを浮かべた蛯江>>+42に目を細め。]
そォそ、笑ってた方がずっとイイだろ。 怖ェ顔してっと、まるっきりユーレイみてェに辛気臭くなっちまうかンなァ! 俺もヤニクが居てくれンのは、有難エね。
……他に居ねェってのもフシギなモンだけどよ。 病院ってェのはユーレイとかつきモンだろうに。 マジで昔の野球選手のユーレイとか、居ねェのかなァ。
[そういえば、雪織もどこかにいるんだろうか、などと思いながら。]
ん? それよかどっか行きてェトコ…とかあんの? ま、外へは出られっか分かんねェけど、病院内をちィと回ってみっか。
[こうして話している分には、気も紛れて悪くない。掴まれたままの手をふりほどきかずに、くい、と軽く引いた。]
(+43) 2011/10/02(Sun) 04時頃
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