276 ─五月、薔薇の木の下で。
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ああ、良かった……!
[いつも彼が持っている聖書から現れた魚>>2 安堵の声を漏らし、受け取った。 挟み込んだソフトカバーの小説の表紙には 御伽話をオマージュした棘と野ばらに囲まれ眠る女。 魚は神聖を謳う書から、茨の中に消える。]
そうだったのか、でも、ありがとう。 ベネットには会っていないんだ 君が持っていたからすぐに見つけられた。
……それに、会えたからね。
(17) 2018/05/19(Sat) 01時頃
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[何かしてあげたでも無いけれど、 様子がおかしい彼を>>3見つけることが出来たから。 そこまで口にすることはしないまま。
そして、離れてゆく彼の足がふらついて見えたから 思わず近寄り声を掛け同行を申し出たのだが、 平気だと言われたらそれ以上何も言えない。
やっぱり、僕は鬱陶しいかな。]
(18) 2018/05/19(Sat) 01時頃
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……これは嬉しい誤算だな。
[そんなことを考えていたから、一度は目を丸くしたけれど すぐに笑い、申し出に>>4遠慮なく頷いた。 嫌われてはいないと思っておこう。
礼を言って、そのまま見送ろうとして──
でも、俺は動いていた。]
(19) 2018/05/19(Sat) 01時頃
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ねえ、思うんだけどさ
──……踏み外しても、いいんじゃないかな。
[腕に手を伸ばし、可能ならば引き止めるように握る そこには棘も何も無く 人間の形と体温が伝わるのみ。
馨りを吸い込み背後で囁いた声は、掠れて響く。]
(21) 2018/05/19(Sat) 01時頃
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なんのことか分からないけれど、 君はやっぱり、ちょっと堅いから。 たまには、ね。
あっ、行き過ぎた非行は駄目だよ。
[自分の言葉を気にしてか、頬を引く様子も>>0やはり ヴェルツ辺りと比べると、真面目に見えた。
じゃあね、そう一方的に別れを告げて 彼とは反対側へ歩いてゆく。]*
(22) 2018/05/19(Sat) 01時頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2018/05/19(Sat) 01時頃
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── 中庭 ──
モリス君。
[後輩は、来ていいと言っただけ 来てほしいとは言われてないのだけれど。 それでも、そう言われたことが嬉しかったから。 言葉にしたまま中庭まで足を運んだ 毛布に包まる姿>>5に目を細め、名前を口にした時 眠気には負けていただろうか?]
(26) 2018/05/19(Sat) 01時半頃
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随分と準備がいいね。 でも、ここで寝るのは駄目だよ。
[どちらであっても暖かなそれの上に掌を乗せ 年下を撫でつつ、優しく呼びかける。]
パンを貰ったんだ。 一つだけだけど……半分どう?
[そして、しっかり意識が覚醒しているのを確認した後 荷物のうちの一つを示して聞いてみた。]*
(27) 2018/05/19(Sat) 01時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2018/05/19(Sat) 01時半頃
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誰に借りたのかな、僕も感謝しなきゃね。
[視線を逸らしたのは何故だろう>>30 誰かとのやり取りを、自分は知らないから ただ真っ直ぐに受け止めるだけだ。 息を吐く様子も、緩やかに醒めていく様も 常の彼よりどこか幼く見えて、 撫でる手は中々離れなかった。]
ああ、……そうだね。
[相手から切り出され>>35、漸く 手は離れ、隣に腰を下ろす。 膝に掛けられた半分の暖かさに気が緩んでいくようだ。]
(36) 2018/05/19(Sat) 02時頃
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[本は表紙を上に毛布へ、手にはレーズンパン
ここにはナイフも皿もありはしないので、 自分の手で割ることを許してもらおう。 お互い男だ、そこまで気にしない筈。 少し歪な形に裂ける二つ、大きい方を彼に手渡す。]
そういえば、本当に待とうとしてくれてたんだ。
[やはりケヴィンのパンは美味しい。 ナッツ入りが一番好きだけど、レーズンも悪くない。 惜しむように少しづつ口にする合間、ぽつりと。
あの時は、その内何処かに行くように聞こえて 来た時いなければそれまで、そう考えていたから。]
(37) 2018/05/19(Sat) 02時頃
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──……嬉しいな。
[口元を緩め、彼を見つめる。 心優しい後輩が何を思ってここにいたか、 しっかりとは分かっていないのだ。
心の奥にあるものにも。]*
(38) 2018/05/19(Sat) 02時頃
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ああ、あの綺麗な子 彼と会えて、良かったじゃないか。
君が風邪を引いたら、申し訳ないし心配だ。
[警戒されているなどとは知らず、ただ納得し モリスが風邪を引く可能性が少なくなったことを素直に喜んだ。 編入生の自分に、周囲は学校の話を色々教えてくれた それは丁度、マークが眠り姫であった頃。 綺麗な人は心もそれに比例するのだろう。
そんなことを考えながら隣にお邪魔し、その後。]
(45) 2018/05/19(Sat) 03時頃
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……なんだか君がお兄さんみたいだね。
[笑い混じりのそんな一言を相槌とした。 擽ったいくらいに暖かい言葉が>>43 空っぽの身体に染み込んでゆくみたいだ。
確かに、こんな先輩をよく心配してくれるいい子だが ここまでのことを言われたことはあっただろうか。
膝の上の手に一度視線が降り、何も言わず戻る。 他人から触れられるのは苦手な筈なのに 純粋に心地良く感じる。]
(46) 2018/05/19(Sat) 03時頃
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……え?
[どういう意味だろうか、すぐには分からずに 見つめ合う視線は>>44互いに逸れない。 彼に名前で呼ばれるのはいつ振りだろう?
そんな問いに無関係なことを考えている内に ──薔薇の香りが、立ち込めて 遠くなった思考が誰かの背中を思い出させた。 だけど、今は]
(47) 2018/05/19(Sat) 03時頃
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僕は、君が作る作品が好きだよ 僕に出来ないことをする君を、尊敬している。 いつも相手をしてくれて、嬉しいと思っている。
それに、ひとりにしない為に待っていてくれたんだろう?
……そんなことを俺にしてくれるのは、君だけだ。
[例え繕った表面に対してだとしても。 そう考えながら、沈めた本物が浮き上がっていくことに気づかない。 妙に饒舌に、心からの気持ちを語っていることにも。
膝の上の手に、自分のそれを重ねる。]*
(48) 2018/05/19(Sat) 03時頃
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[寂しがり屋な女の子に言えば喜ぶだろうに>>51 掌の下で籠もる笑いは悪くないと思ったからこそでもある。 それが途切れたのは小さな音を拾った時 …やはり、いつもと違うような気がした。]
(62) 2018/05/19(Sat) 05時半頃
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[本当だと、静かに返しながら抱いていた錯覚 蔓薔薇が首に絡み付き、棘を刺しながら絞め上げる。
偽物のことなんて、誰も思わない その奥の汚い本物には、尚更 そして、向き合っていないのは周りではなく自分。]
(63) 2018/05/19(Sat) 05時半頃
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君の自己評価が、どうも分からない。 今言ったことは、人の為だろう?
でも、……どうして、君はそんなに。
[ただの先輩にそこまでする必要が何処にあるのか 作品を貰って、相手をしてもらい 心配されて、待ってもらって してもらうばかりなのに。
分からない、けれど。彼は何も知らないからだとは気づいた。]
(64) 2018/05/19(Sat) 05時半頃
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俺はそんな風に言ってもらえる奴じゃない。 騙されているんだ……皆。
[目を伏せる。もう、駄目だった。 皆にこうやって偽物を信じてもらって 自分を良く思い、寄り添ってほしかったのだろうに。 悪いことをしているのだと、気づいてしまった。]**
(65) 2018/05/19(Sat) 05時半頃
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イアンは、射干玉に気づく術
2018/05/19(Sat) 05時半頃
イアンは、など、何処にも無かった**
2018/05/19(Sat) 05時半頃
イアンは、ケヴィンのパンはとても美味しかった
2018/05/19(Sat) 11時頃
イアンは、モリスが語る全てを隣で聞いている
2018/05/19(Sat) 16時半頃
記者 イアンは、メモを貼った。
2018/05/19(Sat) 16時半頃
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[こちらの思考の否定と苦い笑み>>80 心に残る言葉は、しかし繋がりがはっきりとしない。 今日の彼は分からない、聞き手になりながらそう感じた そんな思いは、解かれる秘匿に少しづつ形を変える。]
俺、やっぱり駄目だったんだね。 ちゃんと普通になりたかったのに。
[絞り出すような声だった。 それでも先程より落ち着いてはいる。
その先に何があるか知らないからこそだとしても。 嫌だと言われたことが>>81 手を伸ばそうとしてくれていることが 絞まる喉を緩めていくように、優しく響く。]
(85) 2018/05/19(Sat) 17時頃
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いつも会ってたのにね、何も気づかなかった。 君は、……何を抱えているんだろう どうすれば、苦しくなくなるんだろう。
[分からないのは、今まで見ていた彼と違うからなのだろう 聡い後輩と違い、今更理解させられた自分がいた。 自分の手の下に重なる温度を撫でて、続ける。]
エゴイストなのが本当のモリスなら それで、いいんじゃないかな。
[相手のように>>82笑うことはしなかった。]
(86) 2018/05/19(Sat) 17時頃
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それに、何も間違ってない。言うとおりだよ。 俺も、誰かに触れてほしかった。
でもそれは、君の意味とは少し違う 俺は汚いんだ。
[そう打ち明けて手を離したのは、嫌だからではない
同性に触れられるのが苦手だ。 意識して、自分が普通ではないと知らされるから。]
(87) 2018/05/19(Sat) 17時頃
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[ ずっと、何処かで思っていた。
それが特定の誰かである必要は無い。 何もかも暴いて汚い俺に触れてほしい “あの頃”されていたみたいに組み敷いて 必死に築いた正しさを崩してほしい。
そこにあるのは楽になりたい一心の願い そして、植え付けられた欲望。 ]*
(88) 2018/05/19(Sat) 17時頃
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……ごめん。ただ、本当に凄いと思っていたんだ。
[告白は予想外の内容で>>90、目を見開く 何も考えず喜んで、なんて残酷だったのか。 知らないところでどれだけ苦悩したのだろう。 彼が自分をどう言ったとして、褒め称えていた人間の一人に違いない。]
だけど、例え何も作らなくなったとしても 君は君のままだ、モリス。 ……俺は作品を貰うより、隣にいてくれるほうが好きだよ。
[伝える言葉が正答になるのか、分からない 思ったままを口にするばかり そうして、そうありたいと思う心を肯定した。]
(99) 2018/05/19(Sat) 20時半頃
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[自分の汚れ、芸術家の苦悩 重ならない隔たりが確かに二人に存在して。 それでも、根本にあるものは同じだと感じた。]
……君はどうして、欲しいことばかり言うのかな。
[そう言い笑みを作ろうとして、失敗に終わる。 彼が口にする何もかもが>>93自分の望むままなのは 二人が似ているからこそなのかもしれない。]
(100) 2018/05/19(Sat) 20時半頃
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[それは自分にとって唐突に 息を吐く音が、緑を踏む足音が>>95 ──聞こえたような、気がした。 どちらかでも幻聴ではなかったのなら 視線を向けた先、去り行く背を見ることが叶い ただの勘違いならば、そこにはもう誰もおらず 落ちた薔薇の花弁を見つけただろう。]
……ヴェルツ?
[どちらでも同じことだ 小さな呟きは、名の主には決して届かない。]
(101) 2018/05/19(Sat) 20時半頃
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モリス、モリス……
[確かな動揺を浮かべた表情 怯えるようにモリスに自分から身を寄せた 無意味に名前を繰り返し、縋ろうとする。 他の人間を呼んだ俺を彼はどう思ったか 嫌そうに見えなければ、少しの間そのままでいた。
薔薇の香りが心地良い。]
(102) 2018/05/19(Sat) 20時半頃
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[傷ついた心で自分を気にしてくれた 大切な後輩、汚してはならない相手 いけないことだ、許されないことだ──]
俺、俺は……君に見てもらいたい
君が、欲しい。
[だけど、“苦しくなくなる“のならば ──汚い俺は逃げ道を見つけた。 手の感触に体温が上がる心地 視線は彼の瞳ではなく、唇に注がれ 欲の籠もる吐息が噎せ返る香りに混ざる。]*
(103) 2018/05/19(Sat) 20時半頃
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記者 イアンは、メモを貼った。
2018/05/19(Sat) 20時半頃
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[罪深い、許されない。倫理に反する。 今自分は後輩を誘惑した。]
ごめんね。
[こんな行為を求めることに、 待っていた先輩が汚い奴だということに ぽつり、悲しそうに笑って謝罪した。 言外の感情を察するのは不得意 先程は伏せていた目が>>148こちらを向き 笑みを見せられるのならば、罪悪感を覚える。
正しい道からはとうの昔に外れている 遊び半分の悪意に突き落とされた。 今まで落ちてないふりをしていた、だけ。]
(177) 2018/05/20(Sun) 01時半頃
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[頬に触れる違う温度が心地よい 添えるように自分の手を重ねるまでが似て 甲を指でゆっくりとなぞるのが先程と違う。]
俺といる時は、怖がらなくていいよ。
──……君を見ている俺を見て。
[途切れた話>>150を思い出すだろうか ひとり怯えるモリス・レーヴェンへの答えは 彼のことを思うだけではない 自分を見てほしいという、利己的な感情も含む。]
(178) 2018/05/20(Sun) 01時半頃
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場所を変えようか。 また見られるのは、……ね。
[優しく手を下ろさせ、毛布を退け立ち上がり 微笑みかける顔は生徒会長のもの。
どう反応するのか、彼を見ている。]*
(179) 2018/05/20(Sun) 01時半頃
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