276 ─五月、薔薇の木の下で。
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─談話室─
[ 気を利かせてくれたモリス>>0:332には 矢張り後で、とらしくなく尻込みをした。 人の造った物を壊すのは初めてだ。 それも職員室に飾ってあった、他人の。
優等生が、そんな失敗あってはならないのに。]
(55) 2018/05/17(Thu) 07時頃
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[ 天鵞絨のソファに身体を沈める。 ひとり、同級生へすべき告解に頭が重い。
口に残る甘さを煩わしいと思いながら 先生から任された鍵のかかった棚の奥、 瓶に入った───を思い出す。
きっとこういう時にこそ 口に含みたくなる物なのだろう。]
(56) 2018/05/17(Thu) 07時頃
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[ 指の先に、溶けかけの砂糖。 拭おうとポケットに入れかけた手が 偶々ハンカチを忘れた事に気がつく。
東屋からの帰る度に立ち寄った花園。 羽を捥いだ妖精>>0:345は会ってから、 ハンカチの存在に気付くようで>>0:347
未だ返ってくる気配はない。 あの時確か、汚い手で触れられたくは無い。 そう突っぱねた。]
(57) 2018/05/17(Thu) 07時頃
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[ 此方を見下ろす真っ黒で小さな目。 余りにはっきりと映る、自分の顔は 見るに耐えなかったけれど、
心が澄んでいないと語る口元には 解けるように笑ったのだ。]
じゃあ 僕も出来ないな。 澄んだ心でしか、それを囁けないのなら。
(58) 2018/05/17(Thu) 07時頃
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[ 「好きの反対は嫌いでは無い」 とは、誰が言ったのだったか。
黒のジャケットを脱いで、 心もとないシャツ一枚。 靴のまま横長のソファに横たわる。 談話室の窓の外、 真上で輝く月が見えた。]
(59) 2018/05/17(Thu) 07時頃
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[ 部屋のベッドのシーツは、 音を思い出すから駄目だ。
絡み合う と、交わされる囁き。 まだ自分には手に入らない。 思い出せば、心臓が焦がれて仕様がない。
まだ未熟な細い指を眺める。 早く、と願う気持ちだけ昔と変わらない。 焦燥を忘れるように、 閉じた瞼の上に腕を置けば完全な暗闇。]
(60) 2018/05/17(Thu) 07時頃
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[ 夢へと誘われる道すがら、 耳に残る秘密>>40に身を寄せながら。
起こされない限り、誰かが入ってきても気が付かないだろう。]**
(61) 2018/05/17(Thu) 07時頃
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オスカーは、ユージンはまだ中庭だろうか、とぼんやり考えた。
2018/05/17(Thu) 07時頃
オスカーは、ロビンが机に向かっているところを眺めるのが好きだ。
2018/05/17(Thu) 22時半頃
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─いつかの休暇─
[ 初対面で名前を呼ばれるとは思わず>>0:416 さすがに瞠目した。 一方的に知られている──よもや生徒会長。 訝しげに片眉を上げた後、続いた言葉>>0:417に納得する。]
………確かに、僕が見てるからサボりづらいな。 手伝いをする気もないから奢りなんて気を遣わなくていい。
(120) 2018/05/17(Thu) 23時頃
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[ それだけ言うと、素っ気なく踵を返す。 数分後、 正しく正しい選択をした生徒会長>>0:418の元に、 シュトーレンの包みとコーヒーを携えた優等生が戻って来るのだが。]
仕事が好きなのは結構だが、 目の前に可愛い後輩が居る時は相手をすべきだ。
[ どちらにせよ、 側から見れば共犯だろう?と。
悠仁が叩けば音がする空箱ならば差し詰めイアンは金庫だ。 だから、これは信頼。 少しくらいの傲慢な物言いではきっと、この堅牢な生徒会長は崩れないであろう。]*
(121) 2018/05/17(Thu) 23時頃
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─談話室─
[ 微睡みの中、深い深い夢を見ていた。 酷く疲れて薄っすら意識が浮上しかけた時、
───…パンツも何もかも放り出し、…
突如湧いた言葉>>115に 自分で自分に顔を顰めた。
ガタン、とソファが揺れる>>118。]
(146) 2018/05/18(Fri) 00時頃
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[ 最悪の寝起きだった。 シャツが冷や汗で張り付いて気持ちが悪い。
緩慢な動きでソファから上体を起こす。 やや蒼ざめた顔は不機嫌そうにも見えるだろう。]
あぁ…… 美味しかったか、タルト。
[ 靄がかかった頭は 聞こえた声>>125に反射で尋ねる。]
(147) 2018/05/18(Fri) 00時頃
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[ 薄めのまま視線を巡らせれば 其処には見知った包帯ぐるぐるの後輩の姿。]
ヒューじゃないか久しく見ないと思ったら、 まだ怪我治ってなかったんだ……へぇ。
[ 彼が医務室に入り浸っていた時期、 たまたま留守を任される事が多くて 手順が簡単な割には悪魔的な処置をしてしまった事がままあった。
態とか偶然か、 「僕しか医務室に居ない時には全然会えなかったね」と 気怠そうながらも目を細める。]
(149) 2018/05/18(Fri) 00時頃
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[ 編入生である彼の隣にいる後輩にも見覚えがあった。 誰彼構わず描かせろ、と迫っていた噂の後輩。
噂になっていたから逃げ果せ続けた今日、 よりによって調子の悪い今出会わなくても良かったのに
……とは顔に出さないまま、正しく笑う。 笑おうとする。]
こんな時間に談話室で二人きり? 何してたんだ。*
(150) 2018/05/18(Fri) 00時頃
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はは、サボりを非難してる訳じゃない。 まぁ元気そうで何より。
仲の良い奴もできたみたいだし お祝いでもしようか。 また今度、医務室においで。
[ あからさまな声>>152は聞かない振り。 代わりに笑みは深まった。 黒いジャケットを羽織りながら、 背凭れに両腕を預ける。]
(175) 2018/05/18(Fri) 01時頃
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ヒューが怪我してからはほとんど目にしてたからね。 手当もしたし、割と入学してすぐ出会ったんじゃないかな。
[ 其処にどんな含蓄>>159があったかは預かり知らぬところ。] それにしても寮を抜け出す、かぁ。 先生も今は居ないしね。 良いじゃないか、まだ子どものうちにやりたい事はやっておいた方が良い。
(176) 2018/05/18(Fri) 01時頃
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[ オーバーな敬礼>>159を信じるか信じないかは別として 特に叱らず、一笑に伏す。]
ふふ、風邪の心配ありがとう。 でもお化けだから大丈夫だよ。
ほら、手が透けているだろう?
[ 相手の言葉を揶揄って伸ばした細い指は、 悪戯にピスティオとヒューの頬に伸びる。
寂しい、の部分に返す言葉は無い。]*
(177) 2018/05/18(Fri) 01時頃
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オスカーは、冷えた指先はきっと氷みたいだろう。
2018/05/18(Fri) 01時頃
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[ 談話室でピスティオとヒューに別れを告げた後だろうか。
一度寮に戻ってシャツを着替えようと自室を訪れた。 まだ廊下に大きなキャンバス>>0:341は出されていなかったから、 ベネットは寮に戻っていなかったか あるいは部屋の中にいたのだろう。]
(197) 2018/05/18(Fri) 04時頃
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[ 寮の中に漂う微かな薔薇の香。 何処かの誰かが窓を開けたに違いない。
鍵を掛ける手間に嘆息を漏らしつつ手を掛けた扉。 爪先へと落ちる、白い切れ端。
赤い文字を互いに走らせるのは 互いに擦り切れそうな何かを繋ぐ為で、 誰にも触れられたくない物を抱えている時。
最初は相手を堕とそうと共有した秘密。 優等生でいなくても良い場所。 存外足は素直に動いていた。]
(198) 2018/05/18(Fri) 04時頃
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[ 真新しいシャツだけを手に、 半ば廊下を走るようにして東屋へと向かう。
花園で交わされた秘め事>>166>>181を 背の高い薔薇の木の影で見守っていた。 いつもの調子で茶化せば良いのに、 心臓が、微かな罪悪感に震えていた。
もし、この後 静寂が秘密を守るならば、 二人だけが知る秘密の場所へと。]**
(199) 2018/05/18(Fri) 04時半頃
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[ 一つ、家族のこと。 一つ、部屋に居たくないこと。 一つ、花の愛で方。 つられて重なる秘密。
潔癖かと思われた相手から 澱みを曝け出される度に、 真っ白な様に思われたフェルゼの汚泥>>206を自分だけが見ているような優越感。 同時に、誰にも見せた事の無い優等生の中身を引き摺り出す度に、 重苦しい安堵と、苛立ち。
この場所に足を杭で縛られているようだ。]
(220) 2018/05/18(Fri) 12時半頃
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[ 足は東屋へと向かいながらもマークの事が少し気にかかる。 彼は、何を言われたのだろう。 目も少し赤かった気がする。 そして何より、きっと自分は見てはいけないものを見てしまった。
湧き上がる焦燥は、 昔聞いたシーツの音と交わされる言葉を思い出す。
脳まで犯されそうな薔薇の芳香。 中庭の空気から逃げるように、鍵のかかっていない東屋の扉>>208を開いた。]
(221) 2018/05/18(Fri) 12時半頃
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[ キィ、と軋んだ音を上げてゆっくりと隙間を作る。 扉のすぐ横に座り込む姿を捉えた。
隠す気は無いから相手も自分には気付くだろう。 けれど何か声を掛けられても真っ先に向かったのは部屋の奥にある棚。 箱入りの辞典に隠された教師達のお楽しみ…───葉巻をひとつ。
擦ったマッチに焚き付けられた葉巻の先から、 苦い煙が立ち昇る。 それを口に含むのではなく、 灰皿に乗せて自分とフェルゼの間に置いた。]
(222) 2018/05/18(Fri) 12時半頃
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[ 内開きの扉に背中を預ける。 自然とフェルゼと隣り合った。 視線は合わせない。 冗談から切り出そうとした笑う口元が、 先ほど見た光景に潰された。]
………、吐き出したい事があるなら たぶん、今の内だぞ。
[ 指に残る薔薇の芳香も、きっと葉巻の煙に掻き消される。]*
(223) 2018/05/18(Fri) 12時半頃
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オスカーは、フェルゼからする薔薇の香りに鼻先を擦った。
2018/05/18(Fri) 13時頃
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[ 一人でいると、オスカー・ラドクリフという人間が存在していないような感覚になる。
幼い頃からそうだ。 母にすら呼ばれた事の無い"オスカー"という人間を、自分一人では肯定出来ない。
「何故?」への答えにフェルゼはどう反応しただろう。 完璧な優等生に塗り固めるのは自己の希薄さの裏返しであるという。 自分でもどうして告白したか分からない オスカー・ラドクリフの汚点を。]
(230) 2018/05/18(Fri) 15時頃
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[ まるで偶像にでも縋るようなフェルゼの目が 自分を映していなかったからかもしれない。]
(231) 2018/05/18(Fri) 15時頃
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[ 名前を呼ばれて浅く息を吸った。 ぎこちない言葉>>227と、 此方の目を探す不安げな視線>>226を横目で一瞥する。]
悪い事なんて、なんだ。 言ってみるといい。 自分は" 何も "していなかったと。
[ 笑いもせずに視線は部屋の壁を見ていたが 聞くに耐えない弁解に、 いつも倉庫で話を聞く時のように相手の前へと回り込んだ。]
……、悪い事かどうか 証明してみようか。
(232) 2018/05/18(Fri) 15時頃
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[ 顎のラインをなぞるような親指。 耳殻を冷たい手で挟んで、 唇に押し付けるように掌を寄せようとする。
薔薇の香りはしない。 止めないならば、「それから」の続きも自分は躊躇わない。]*
(233) 2018/05/18(Fri) 15時頃
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オスカーは、フェルゼの態度に苛立った。
2018/05/18(Fri) 15時半頃
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[ なんて無責任な言葉だろう。 でもそんな言葉すら、その時は甘く聞こえた。]
君が誰を傷つけても、 どんなに他人から大切なものを奪ったとしても、 僕は見ない振りをしよう。
[ 君のした事を許すよ。 自分には、君が奪ってしまうものなんて何一つ無い。 だから安心して"オスカー"と呼んで。
「その間だけは救われるから」とは言えないまま。]
(266) 2018/05/18(Fri) 21時半頃
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[ 火照った頬。震える肩。 自分の指が滑る度、色付く物が目に新しい。 フェルゼが此れを拒絶すれば マークの気持ちも知ることになるだろうと遊んだ指先。
いつの間にか、この行為そのものに傾倒しかけていた。]
(267) 2018/05/18(Fri) 21時半頃
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[ 我に帰ったのは相手の眼を見たからだ。 こういう眼を、よく知っている。 忌々しい程に。 そして没頭しかけた自分を殺したくなった。
滑る掌が相手の喉元を撫でた時>>251>>252、]
………欲しいと思うのは、間違いか?
(268) 2018/05/18(Fri) 21時半頃
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