56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2011/07/01(Fri) 04時半頃
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―― イアアァァアァアァアアンンッ!!!!!!
[夜の内、赤騎士団の執務室から怒りに満ちた咆哮が響く。 尤も、この様な怒髪天を突く怒り声に、騎士団は誰の物かと把握しかねたろうが。
身近になって、今漸く本当の意味で理解した、「あの」新団長の、騎士団随一の適当ぷりに頭痛を覚えながらも。 やがて書類を確認する為にオスカーが足を踏み入れる頃には、青年は一人で書類を纏め終えていただろう]
(65) 2011/07/01(Fri) 05時半頃
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― 暁直前・砦前平原 ―
[悔いの無い様に告げるべき言葉は告げた。 心を迷わせる物はもう何も無く、青年は鋭くも毅然とした眼差しで今にも暁を登らせる地平線を見据える]
……イアン、鼓舞はお願い。 こう言うのは君の方が得意そうでしょう?
[赤騎士団副団長として、愛馬に跨る青年の装いは、凡そ『騎士』とは呼べない。 鎧ですら無い、薄すぎる軽防具は、内に着込んだ、副団長としての真紅の軍服が露出している。 騎士の長剣も、携えすらしていない。包丁より少し長い程度の短剣が両腰に二本、馬の身体に更に短い短刀が十本程度のみ。
だがその姿は、『騎士』で無くとも、『狼』と呼ばせるには相応しい様相だった]
(68) 2011/07/01(Fri) 07時半頃
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――来る……!
[そしてやがて昇る暁こそが、開戦の合図**]
(69) 2011/07/01(Fri) 07時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2011/07/01(Fri) 07時半頃
本屋 ベネットは、メモを貼った。
2011/07/01(Fri) 07時半頃
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―薄明 出陣前―
[出陣の前に、姿を見せた神父>>71 青年もこれと言って敬虔な信仰も無かったが、心からの激励は純粋に嬉しく]
ありがとうございます。 必ず、無事に帰ってきますから。
[心配そうな神父を安心させる様に薄く微笑み、皆と共に出陣するのを見送られただろう]
(104) 2011/07/01(Fri) 22時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2011/07/01(Fri) 22時半頃
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― 暁直前:砦前平原 ―
『 ―――――今、勝利を我等が手に!!! 』
[闘志の炎燃やす狼達が一斉に雄叫びを上げる。 高らかに天へ翳された牙は空を突き破りそうに。
火蓋が切り落とされる]
(108) 2011/07/01(Fri) 22時半頃
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[平原の向こうに対する敵軍。 黒髪を束ね、嘶く黒い馬に跨る姿は死神の様に。
睨み合いはほんのわずか一瞬。 天へ翳された剣と共に、敵軍と言うひとつの巨大な獣は唸りをあげる]
(109) 2011/07/01(Fri) 23時頃
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――― 行くぞっ!!
[鋭い赤狼の咆哮が鬨の声をあげる。 砦の前に広がる数多の軍馬が嘶き、馬蹄で地震を引き起こす様に駆け出す。
真直ぐに進み、待ち受けるのは、激突]
(110) 2011/07/01(Fri) 23時頃
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[両軍が平原の中央で激突する。 最初の激突こそが最も剣戟激しく、一瞬にして大勢の死者が出る瞬間。 槍に、剣に貫かれ、馬に跳ね飛ばされ、硝煙の香りが立ち込める。 その首筋に突き付けられた刃を物ともせず、誰もが、敵陣深くの喉元にまで食い込もうとする]
――イアンッ!!
[そして彼よりも更に戦闘切って突撃を仕掛ける青年も又。 抜き放った両手の短剣を強く強く構えて……
乗り捨てる様に愛馬から飛び降りる]
(127) 2011/07/01(Fri) 23時半頃
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[馬から飛び降りた青年は、自身の足で戦場を駆け抜ける。
軍馬の突撃を――躱す。 騎士の長剣の斬撃を――躱す]
―――っ……!
[そして静かなる咆哮を上げる狼は、その牙を振り翳す]
(128) 2011/07/01(Fri) 23時半頃
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[一瞬の交差に、数名の敵騎士が纏めて絶命する。
その力で甲冑を打ち砕くでも無い。 その力で盾を叩き割るでも無い。
その狼の如き素早さを以て、片手で肩を叩く。 そしてその手には、一振りの短剣が、兜に覆われない首を掠める。 ただそれだけで、人は軽く絶命してしまえる。
それが、力強さに恵まれず、騎士剣を持てなかった青年の戦い方]
(129) 2011/07/01(Fri) 23時半頃
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[この分野では最強と言えるオスカー程では無い。 人体の急所等青年は全て押さえても居ない。
然し、地を駆ける狼の足は疾風を求める様に素早い。 既に軍馬に道を塞き止められそれ以上を斬り込めずに乱戦の最中斬り合う騎士達を後方へ。 馬に乗らず、己が身一つで剣を振り翳す騎士達は、只一人突出してきた狼を狩り尽くそうとその長剣を突きだすが。
―当たらない。 ――当たらない。 ―――当たらない。 ]
(132) 2011/07/01(Fri) 23時半頃
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[傍には、命を棄てたとしか思えない特攻。 然しその数多の剣に斃れず、その数だけの敵軍の喉笛を噛み切る。 敵陣も敵陣。既に周りには敵しか居ない『副団長』のその勇姿に、赤狼達はきっと勢い付けられるだろう]
―― 食い千切れっ! 赤狼達っ!!
[活気付いた士気は、未だ高まる]
(139) 2011/07/01(Fri) 23時半頃
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[――だが、殺気の渦巻く戦場の中で。
更に奥深くから感じる、一直線の殺気に、青年の背筋は身震いする。 青年は狙われて居ない。それよりも後方、乱戦を繰り広げる赤騎士団へと]
まずい……
[血の気と殺気に中てられて気付かなかった。 咄嗟に踵を返す様に、仲間達が戦う場所を塞ぐ敵兵に両手の牙を突きつけながら]
(146) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[一直線に走る殺気。 ……これは『弓』だ。それも、数え切れない『敵騎士』を射る為の物じゃない。 『将』を射んとする、只一人だけを殺さんとする弓]
――っ………!
[狼達は誰も気付かない。 血気に逸り、獰猛な本能を剥き出しに、冷静さを保てない戦場の中で。
『彼』を狙う一矢に誰も気付いて居ない]
(154) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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どけえぇっ!!
[初めて脇腹を斬らせ、赤い飛沫と激痛が走る。 剣を躱す一瞬すら惜しかったのだ。
最前線で敵軍に囲まれ、『彼』は気付けて居ない。 早く、速くしないと、殺気が放たれ――]
(155) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[痛切な咆哮が、イアンの名を呼んだと同時に。 心臓深く目掛けて放っただろう一発の矢が放たれた事を感じる。
――遅い。 切り結ぶ剣に動きを止められ、彼を護り切れるオスカーが生み出してしまったほんの一瞬の隙が重なる。 そんな最高過ぎる機を狙い放たれたその矢は、間違いなくイアンの命を穿つ。
だから責めて間に合えと、最後の一歩、高く跳躍して――――]
(156) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[ 背中に感じた衝撃に 一瞬穿たれた意識 ]
(158) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 00時頃
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[中空で硬直する身体。
心臓の裏には鏃が埋まるほど深々と突き刺さった矢。
眼前の彼の名前が小さく鳴かれ、青年の身体は音も無く堕ちる]
(163) 2011/07/02(Sat) 00時頃
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[穿たれた意識が、ほんの一瞬の覚醒を促す]
…… ――
[死の直前を思わせる様な、あまりにか細い狼の鳴き声が小さく]
(176) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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本屋 ベネットは、メモを貼った。
2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[ か細い声で囁いたのは、夢。
もしくは約束 ]
(185) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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[それを伝え 狼は眠る様に 事切れた** ]
(186) 2011/07/02(Sat) 00時半頃
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