212 Dark Six
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全ての人狼を退治した……。人狼に怯える日々は去ったのだ!
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―本部跡地―
[澄んだ空が赤く染まる程に、紅の花弁が舞っている。
恩師が身を削り引きつけ、始祖が岩石で絡め取った、 吸血姫の僅かな"隙"に。 雪狼の祈りと共に護符が奉じられ、血桜は此世と断たれる。
護符より離れ、名残り雪のように舞う桜に身を焼かれつつも、 銀の食虫花は大きな口を開き吸血姫を丸ごと飲み込んだ。
『―――魂を喰らう』
彼女の意識はきっと、緩やかに落ちていく。 今まで食虫花に喰らわれた他の魂達と共に、無に還る。 そして最後には、百合の花も消えていく。 さらさらと砂の様に崩れ落ち、風に舞い煌めきながら]
(0) hayase 2015/01/23(Fri) 18時半頃
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[ミツボシの亡骸は綺麗なまま、 まるで眠っているかのように崩れる花の中から姿を現した。 落下する彼女の身体を優しく地上へ受け止めると、 蔓も砂へと還る。
食虫花を失った男は意識を失い、 飛び上がっていた中空より地上に落下する。 そのまま倒れ伏し、目を閉じたまま**]
(1) hayase 2015/01/23(Fri) 18時半頃
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― 本部跡地 ―
…………やったのか…………?
[>>0始祖の攻撃に、駆ける二人の姿に。 吸血姫が銀の花に呑まれると共に。
紅の花弁はやがて、意思を失うよう静かに地に舞い降りただろうか。 青空が、顔を覗かせだして。]
――――……ミツボシ! ケイイチ!!
[>>1花から顕れたミツボシと、中空から落ちたケイイチの傍へ駆け寄った。]
(2) yuo 2015/01/23(Fri) 20時半頃
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― 本部跡地 ―
……
[意識がゆっくりと落ちていく。 それが、最後に残された上位吸血鬼。
吸血姫ミツボシの最後だった。 彼女は最後に一言二言呟いて。]
(3) 葵 2015/01/24(Sat) 12時頃
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――血に染まっていない桜が舞う。
[その桜に触れれば最後の意識が伝わってくるだろう。
この世界は異能者に任せる。 どんな世界が作られるのか。
世界の果てで見守っていると。
桜に託した最後の意思。]
(4) 葵 2015/01/24(Sat) 12時頃
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[―――――十年前]
[目覚めた食虫花は、自分が何者かよく分からなかった。記憶も名前も何もない。唯一彼が持っていたのは、魔物を駆逐しなくてはいけないと言う凶暴的なまでの本能だけ。
故に、彼は直ぐに自分が"ケイイチ"であるということを受け入れた。少年と食虫花、二人の意識は最初から分離してはいなかった。十年間、同じ景色を見て、同じ声を聴き、同じ体験を繰り返してきた。そしてその間に、静かに蝕まれるように、"ケイイチ"の性格は変質していった。
次第に暴走を始める残虐性に、疑問を持つことさえ忘却する程に。彼は魔物を喰らう本能と同化する。闇の中で哂っていたのは、青年であり、食虫花であり、"ケイイチ"だった。
本能を使命に塗り替えたのは、遠い昔《アンバー》の記憶。記憶に魂が宿るならば、今の彼の名は。 花は咲く。運命の悪戯で上がることを赦された最後の戦場で、只管に咲いて、散った]
(5) hayase 2015/01/24(Sat) 17時頃
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―本部跡地―
[横たわる男の頬に一片の花弁が触れた。 酷く懐かしい、穏やかな声>>4を聴いた気がする。
―――――…
―――…
――]
…………先生?
[やがてゆっくりと瞼をあげる、両の瞳の色は黒]
(6) hayase 2015/01/24(Sat) 17時頃
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[>>4ひらりひらり、花弁に乗せて。 聞き覚えのある柔らかな声が、届いた気がした。
>>1横たえられる姿が見えれば、呟いたか。
――――私が見守りかったのは、貴女たちの幸せだったのに、…………と。]
(7) yuo 2015/01/24(Sat) 20時半頃
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[だがそれも、>>6少年の瞳を見やるまでの束の間。]
…………ケイイチ! 良かった……無事で、良かった……!
[ゆるゆると開かれる黒の瞳。 滲む視界、目頭から安堵を溢した。]
(8) yuo 2015/01/24(Sat) 20時半頃
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[緩やかに意識が覚醒していく。吸血姫と対峙した記憶は、はっきりと残っている。共に消滅することを覚悟していた。だが、死ななかった。 大好きな人の声>>8がする。満身創痍ではあるが、彼も無事なようだ。良かった。本当に、良かった]
先生。
[身体が重く、起き上がることが出来ない。それでも緩慢とした動きで腕を持ち上げて、彼の頬へ触れようと指先を伸ばした]
―――…親より先に、死ねませんから。
[薄らと微笑む]
生きなくては。
[自分の為、犠牲になった全ての者の為、そして未来の為に。 …初めて素直に、そう思えた]
(9) hayase 2015/01/24(Sat) 21時頃
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!!!
…………ええ、親不孝はミツボシだけで充分ですよ……!
[>>9緩く伸ばされた腕の動き。 指が頬に触れれば、手を引き寄せる。 精一杯笑みを浮かべようとはしたが、涙に濡れた頬は悟られているはずで。
それでも。 いつの頃からか、何処か達観した少年が浮かべた、どこか晴れやかな微笑みが。 ただ、嬉しかった。]
(10) yuo 2015/01/24(Sat) 21時半頃
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[引き寄せられる手>>10。 相手を確かめるように緩く力を込める。 指先に触れた涙すら、今は酷く温かい]
……まだまだ、恩返しさせてくださいね。
[くすくすと、悪戯っぽく笑う。 彼がミツボシのことを今なお子供だと言ったことが、 嬉しくて、悲しかった。
舞い終えた薄桃色の桜が、周囲に絨毯の様に散っている。 幼い頃に笑いあった無邪気な少女の面影を一瞬思い、そして。恩師の力を借りて身体を起こすと、ゆっくりと歩き出そう**]
(11) hayase 2015/01/24(Sat) 22時半頃
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[>>11悪戯めいた笑みに、ただただ頷く。 緩く込められた力は、この光景が現実だと伝えていて。]
――――…………行きましょう。
きっと、皆が待っている。
[彼が身を起こすのを手伝って。 皆に、声を掛けた。]
(12) yuo 2015/01/24(Sat) 23時頃
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― 本部跡地 ―
[紅い花弁が舞う。 血紅の花弁はやがて血の香を喪い桜となって。 黒い鼻に、ひらり、と落ちた。]
クゥ・・・
[寂しげに尾を振る。 親愛、哀しみ、そして、…。 消えてゆくものへ届く手は無い。]
(13) kkr 2015/01/25(Sun) 12時半頃
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[ケイイチとミツボシの傍に佇み見守っていた。 まるで眠っているかのような顔に、すぐに起き出すのではないか、そう思って。]
・・・ 《ケイイチくん》
[目蓋>>6が震え目が開いた。 囁きは微かな驚きの響き。大きな囁きでは、この奇跡を壊してしまうというかのような、小さな囁き。チャールズの耳には聞こえない程度だったろう。]
(君が…生かしてくれたのかい。)
[正解では無いだろう。 それでも。鼻からひらりとまた何処かへ去ってゆく薄桃色の花弁を見送りながら、ミツボシのことを想った。 彼女が吸血姫でも、譬え、人を、異能を裏切ることになったとしても、自分が手を伸ばせば、 ひとり なのを少し軽減出来たのだろうかと。 そんな、馬鹿なことも思いながら。]
(14) kkr 2015/01/25(Sun) 13時頃
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[ケイイチ>>11が半身を起こせば、足取りだけは軽やか近づき、ぺろりと頬や口元を舐めようとした。そして…ほんのり薄く差していた金の色は、ただ静かに消え。]
クゥ 《おかえり。ケイイチくん。》
[何時かのように鼻をくんくんと鳴らしてケイイチを迎えた。**]
(15) kkr 2015/01/25(Sun) 13時頃
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―後日談/墓地―
[しんしんと雪が降っている。 黒い傘を墓石に差しかけながら、肩に雪を積もらせる男が一人。 足元には、白い花束が置かれている]
……ごめんな、護れなくて。
[後輩の少年が、組織にやって来たのは三年前。詳しい事情までは知らないが、かなり悲惨な目に合っていたことは理解している。だからその死を故郷に伝えることもしなかった。 亡骸も残っていない彼の死は、鍵が失われている事実によりあっさりと認められた。遺体の代わりに遺品を埋めて、墓の体裁を整えた。 ただ、銀の弾丸を詰めた拳銃だけは、今も男の懐に]
そっちには、俺の父さんと母さんもいるし。 優しい人達だから、 きっと君を放っておかないんじゃないかな。
息子が愛想が悪かったから、その反動かも。 ま、構ってあげてよ。
[苦笑と共に、白い息が零れる。まだ暫く、寒い日は続くだろう]
(16) hayase 2015/01/25(Sun) 13時半頃
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俺が逢いに行けるのは、もう少し先になりそうだから。
その時は、今度こそ一緒に飯でも食いに行こう。 良いお店、探しておいてね。
[そのまま足を引きかけて、ふと思いついたように留まり。 傘を墓に立て掛けるようにその場に置くと、立ち上がる]
それじゃ、またね。
[淡く微笑むと、今度こそ踵を返す。 頬に触れる雪は、あの日の桜と違って冷たい**]
(17) hayase 2015/01/25(Sun) 13時半頃
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―エピローグ/何処かの街の片隅で―
[空には白い月が浮かんでいる。千砂倉の外、近隣の都市に吸血鬼が確認されたという情報を受けて、男は調査と対応の為にやって来ていた。
血桜事件の後、食虫花を失い大きく戦闘力を落とした彼だったが、"Dark Six"の実動可能な構成員不足という事情も相まって、未だに戦闘に携わる機会も多い。 傍らには狼が二匹。件の事件で共に戦い生き延びた、カリュクスの狼達を譲ってもらったのだ。彼女のような動物と心通わせる異能はないが、それでも今では随分彼らと意思疎通が出来るようになってきた]
……どうしたの。そっちが気になる?
[人の気配のない路地裏で、狼の視線の先を気にしつつ頭を撫でる。鋭く向ける眼差しの色は黒。注意深く様子を伺いながらも、こんな夜は、どうしても金の眸を思い出してしまう]
(18) hayase 2015/01/25(Sun) 21時半頃
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――――回想、吸血姫との闘いの果てに。
[恩師>>12に手を借り、立ち上がる。 近づいてくる雪狼>>15の姿に表情を緩めかけるが、 その眸に薄らと残る金の光に息を呑んだ]
―――――…っ。
[だが、それは直ぐに消え去り。 後には無垢な獣が残されただけ]
…ただいま。
[だから男は、ただ、泣きそうな顔で微笑むのだ*]
(19) hayase 2015/01/25(Sun) 21時半頃
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[忌まわしいあの眸を見たのは、それで最後だった。自分が知る限り、イワンが記憶を取り戻したと言う話は聞かない。
かつて、自分はイワンを赦すと言った。今際の心算で出た言葉だったが、本心から大きく外れていた訳ではないと思う。
彼がいなければ、両親は死ななかったかも知れない。だが、彼が望み悦んで人を喰らったのではないことも理解している。彼も被害者なのだ、といえば聞こえは良い。しかし、そのように単純に割り切れるものでもない。 恨み切れず、赦し切れず、複雑な想いの果てに聞いた恩師の言葉は、鮮烈だった。憎んでも良かったのか。怒っても良かったのか。真っ直ぐな怨嗟は、初めて自分に、純粋に憤ると言う新たな選択肢を与えたのだ。
――そして、その上で、赦すと言った。 聖人になりたかったわけではない。ただ、何も知らない故の雪狼の愚直さは、羨ましくもあったから。揺らぎかけた不安定な自分の心を、何度も救われてしまったから。恨めない。記憶のない彼を、これ以上自分は、…恨めない。
きっと自分は、本当の意味で薄情なのだ]
(20) hayase 2015/01/25(Sun) 21時半頃
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[気配のする方、路地の奥へ奥へと足を進めていく。 ぴくり、と狼が反応した。 銀の弾が詰まった拳銃に手をかけて、 男は壁に背を付けて息を潜める]
どさり。
[物陰から倒れ伏したのは、大柄の男の亡骸だった。 そしてやや間を開けて暗闇から姿を現したのは、 未だ幼い少女の姿をした吸血鬼。 酷くぼろぼろの姿で、泣いているようにも見えた]
―――――…っ!
[一拍の間が置かれた後、乾いた銃声が*響いた*]
(21) hayase 2015/01/25(Sun) 21時半頃
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― Ending Ivan. ―
(22) kkr 2015/01/25(Sun) 23時頃
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[春になれば、新しい花の種を蒔こう。]
(23) kkr 2015/01/25(Sun) 23時頃
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[生ける屍に魔物達、瓦礫の群れも、何時かは街から消えるだろう。 闇は祓われ光は満ちる。強き光が闇をまた呼び込もうとも。 平和も何時しか訪れるだろう。 千の砂をもて封じられた「千砂倉」の街の平和が。]
(24) kkr 2015/01/25(Sun) 23時頃
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[春になれば、新しい花の種を蒔こう。]
[どんな花になるかは分からない。 血に濡れた街に蒔かれた種がどう芽吹くかは分からない。
未来への導は示されず。 地を這う虫の如き歩みであろうとも。 世界を見守るものがあるのならば、 それに応えなくてはならないだろう。
断罪の鐘は未だ鳴らず。 それでも何時か鳴らされる日が来るならば、恐らくその時もイワンは笑っているだろう。
今はただ、この馬鹿な男にも出来ることを積み上げる。 それが、正しい未来へと繋がると信じて。**]
(25) kkr 2015/01/25(Sun) 23時頃
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ー本部跡地ー ...終わったか。 [赤い花弁は力を失い、元の姿へと戻った。そして、ひらりひらりと舞い落ちるそれを手で掬うように触れると、彼女の意識が流れ込んでくる。]
.....。 [何やら思うところがあるのか、その表情には陰りが生じていた。
惨劇は回避された。しかし、本当にこれで良かったのだろうか。 さっきまでは、殺してしまってでも止めようとしていたはずで、彼女を止める方法は他にはなかったはずだろうに。
半ば、強制的に納得させるようにして現状を飲み込んだ。ぐるぐると思考を巡らすよりもそうした方が、楽だろうと。]
.....。 [そして、寄り添う三人の姿にふっと表情を緩める。続いて、どこか自嘲するような薄い笑みを浮かべた直後に 頬の黒い痣が段々と消え始めてきた。]
...さらばだ。迷惑をかけた分際で言うのも何だが。 皆、達者でな。 [やがて、すっと目を閉じると完全に痣は消え去っていった。]
(26) こむにゃ 2015/01/26(Mon) 00時頃
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あれ?ここは...? [目を開けると、見慣れない風景が映し出された。 頭に疑問符が浮かぶと同時に、仲間たちの姿が視界に入ってきた。]
皆さん!大丈夫ですか!? [仲間たちが服やら身体やらボロボロだったのを見て 慌てて駆け寄っていく。
この後、目を覚ましたカリュクスは最初は状況についていけず おろおろと狼狽えてばかりだったという。
そして3人が始祖のことについて説明しても、何のことですか? と記憶にヴァイスのことは残っていないようであった。]
(27) こむにゃ 2015/01/26(Mon) 00時頃
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