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飛行機は、何回かあるなあ……
なんか乗るまでのアレソレがかっこいいんだけど面倒でさ
そっか、皆で行くとなると、飛行機になんだよな
普段は友人に乗せて飛んで貰ってたんだよな…
うーん、あのワイバーンじゃ4人はきついな
[普段は夜間にワイバーンに乗せてもらっている蛇であった。
この店にも時々来る客の一人である]
え、もしかしてマスター
………こえーの?
[にやにや。にやにや。
ゆるい感情しか見せない店長の生の感情。
ニヤつかずにはいられようか]
えっ。ワイバーンて、あのお客さん?
[ケイのフットワークの軽さから、
てっきり飛べるものだと思い込んでいた。
旅の思い出話は語られれば勿論聞くし、
SNSはやっていなくとも、写真を見せてもらうことは日常。
それでも、必要外のことは訊くことがないため
長らく店員同士の付き合いがあれど、知らないことは多々ある。
どう考えても飛行機の方が便利かつ安全なのだが。
人間嫌いと非日常が日常の半分なこともあり、
アナログ極まれりな乗り物への関心が高くなるのは仕方ない。]
そーそ、ワイバーン、時々来るあのオッサンな
[外見は蛇より年上だが勿論実年齢は年下である]
え?
俺に乗んの?
[まさかの振り
身体の大きさは変える事が出来るが
翼を生やそうとした事は実は無いのだ。
欧州文明の蛇に、翼が無いからだ。
自分が翼を持つというイメージが無かったのである]
で、出来んのかな………
翼出した事は、ねーんだけど………
[本気で思案し始めた。
ぱくりとパスタを口にして、うーんと唸り]
可能性はゼロじゃねーと思うんだよな
えーと、アステカのやつ……ケツァコアトル
あーいうの、イメージして……
[ぱらぱらと紙が捲れるように黒髪姿が消え
とぐろを巻いた黒蛇が現れる。
その背中に翼は……やけに小さいのが一つ。
翼に意識を集中したせいか、身体もいつもより小型である]
あーっ、失敗した
[ぺしぺしと尻尾で床を叩いた]
[減給に文句をつければ「それが嫌なら旅行はナシね」なんて展開になるかと思ったのに、なかなかどうしてみんな乗り気だった。]
飛行機、
[乗ったことはある、ので控えめに手を上げた。
ただ、搭乗手続きのどうこうとかは、記憶の彼方。
ケイは経験豊富だろうと思ったら、ワイバーンに乗った、だと。ちょっと羨ましい。飛竜なんて、ゲームの中でしか乗らない。]
もう一人、……呼、べば。
[ワイバーンに4人は乗れないと言うなら、もう一人協力者の有翼を増やせば2人ずつだ。
自分も人外の知り合いを頼ってみるか。その分旅行者が増えて旅費が増えるとかは考えない。]
[その後、ケイの変化が失敗するのを見れば蛇の首とったりといった勢いでげらげら笑った。
あとあと首取られかけることなんて気にしない。]
やー、無理なら別にいいんだけどー
[時折顔を見せるワイバーンと、同僚と。
命を預ける対象としてどちらを選ぶかなんて考える余地はなくて。
そもそも、社員旅行として出かけるのに
ひとりだけ乗り物扱いするのも酷かと気づいたのは後のこと。]
――…おお、おお……?
[そんな酔っ払いの戯言も丁寧に聞き入れてくれる蛇の、
誠実さと優しさと努力の結果として現れた姿に。
べ、勉強しとく…… ……ふは、
[リクエストした手前、コテツほど盛大に笑えなかったが。
悔しそうに床を叩く尻尾と、小ぢんまりとした翼が可愛くて。
近々図書館で旅行に関する本でも借りてみようか、なんて考える。
普段はもっぱら、写真集とかばかりなので。]
黙れ餓鬼っ
[ぴしゃ、と尻尾がコテツの首に向かって振るわれた
これを避けられない鬼ではないし
万一当たっても、鬼ならば首は飛びはしない]
コラそっちもかよ
[トレイルをじろりと睨む
さすがにコテツ相手のような尻尾ビンタは
危険なのでやめておくが]
高いとこから落とすぞ
ごめ、だってさあ……
やーだ、死んじゃう
[コテツに向けて振るわれる尻尾の先に、
矛先は来ないと解っていても半歩退き両手を挙げる。
口元にはへらりとした笑みを浮かべたまま。
ワイバーンに払う旅費がいかほどか解らないが、
何れにしても公共の乗り物で行くのが無難だろう。
働き、お金を貯めてなんなら積立をしているうちに
ホレーショーやトレイルの、
飛行機への偏見も薄くなるかもしれない。
(ならないかもしれない。)]
死なねーよ
あの人狼にサバイバル訓練されてりゃ充分だろ
慣れりゃ受け身ぐらいいけるって
[両手を上げるトレイルに、にまにまと]
[もう一度とぐろを巻き、変身を試みる。
はらりと鱗が捲れるように空間が揺れるも
残念ながら、小さい身体に小さ過ぎる翼がくっつくのみ]
………絶対完成させてやる
[むむう。
プライドが高い蛇は、しっかり練習してこようと心に誓った]
そりゃあ、そーなんだけど、さあ
[ケイが命に関わるようなこと、
するわけがないと信じてる。信じてるったら信じてる。
でも、警戒を怠ってはいけないと養父に教わった。
例えそれが誰であっても――養父自身に対しても。]
ケイって見かけによらず真面目だよねー
試乗第一号は誰だろ?
[もはや彼を移動手段にする選択肢は消えたも同然だが、
自尊心からか、熱心に変化を繰り返す姿にはエールを送って。
もしも、――もしも、その翼が。
二人分の荷重に耐えられるほどの規模にまでなったとしたら。
それはそれで楽しそうだと目を細めた。]
[そんな、酒を交え雑談を交えた夜の大掃除。
終わったのは、普段の営業時間よりは短く。
もしかしたら大差なかったかもしれない。
ふあ、とあくびをかみ殺すことすらできなくなった頃には、
テーブルも椅子も元の配置。
床も、それなりに磨きがかかったことだろう。
ホレーショーが日ごろから、言う通り。
あくまでこの店は、夜の営業が本番だ。
これで明日以降も、
お得意様を招く準備はばっちりと満足げに店内を見渡した。]*
[よし。旅行用貯金、始めるか。
なら昼の営業ももう少しシャッキリ気合を入れて、…客からきちんと代金を徴収する事から始めよう。
グラスを煽りながら一人心に決めたけれど、外見はだらだらした酔っ払いである。]
うっ、…るさいな。
そういうんじゃ、ない!
[
明らかにビビって居るのを何とか取り繕い、しかし付き合いの長さがアレしてコレで、隠せない。
それでも表面上は平気な顔をして、誤魔化しに食事を終え、床を磨き始めた。そそくさと。
つーか客を足に使うなよ。あの人上客だぞ。
ワイバーンの彼の顔を思い出し、そう言えばデカかったなと、旅費が浮くなら頼むかなと、結局思考は皆と同じに落ち着く。
で、]
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