65 In Vitro Veritas
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[>>109 仲良し、言葉に湧き上がるものに、 腕を押さえた、ほんの小さな血染みは肩の背に近く、 それは視界に入りはしないだろう。
彼に傷つけられた、というわけではない。 けれど、雨宮セシルに眉根を寄せさせるには充分だ。]
(113) 2011/10/03(Mon) 23時頃
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[刻まれたしるしを、知っている]
……コーダ。
[それは“終わり”を示すその記号の名前だ、
だから、その時、彼の名前を読んだわけではなかった。
刻まれた、それ は、
所有のあるいは、所属のしるしなのか。]
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……たとえて言うなら、 見たくもない鏡を見せられてる、とか、 そんな気分になったりするんじゃないのかな。
案外、君は自分自身が好きなタイプ?
[同じ顔の2人が抱き合う様子に、ゆるく首を傾げた。 自分と同じ顔の人間にキスをする、 仮にそれを見せられていたら、尚理解できなかっただろう]
ああ、死ぬ気はなかったんだろう。 散花くんは自分のクローンから、何らかの危害を受けた。 だから、……殺すつもりだった?
[ため息と共に沈む眼差し、 あの時に止めるべきだったのだ、とぼんやり思う]
(114) 2011/10/03(Mon) 23時頃
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[止めるべきだったのか]
[どうやって]
[殺させる前に]
[殺してでも?]
[ゆっくりとゆっくりと沈殿していくような思考がある]
[大事な人というのはなんだろう。
ただ自分のクローンは自分であることを否定し続けた。
それもやっぱり、自分であるような気がする。
生きる知識を得るために生かされたのだろうか。
だとしたら、それは逆に自分から遠い気がする。
知識を教えたのが、
音楽を聞かせたのが、いけなかったのだろうか。]
――……、
[あれは自分ではない別の者に、
なろうとしているのかもしれない]
[胸のざわつくような感覚、
たぶんそれは無意識の不快感だった]
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[>>117 自分だと思うから怖い、 そう言葉にするクロへ眼差しを和らげた]
クロはずいぶん、しっかりしてるね。 俺には君のそういうところは、 やっぱりなんとなく水無月くんらしく、見えるよ。
……君は、怖くはなかったの?
[穏やかな声で問いかけを向けて、 その眼差しは一度黒田へも向いた。 彼女にも自らのクローンへの恐れはあっただろうか。 休ませた方がいいかもしれないとふと思う]
(119) 2011/10/03(Mon) 23時半頃
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別に、いいやつなんかじゃないよ。
ただ皆が好きなだけ。
[伸ばされる手。
それに自ら頬を寄せた]
僕はただ、皆と笑っていたいだけなんだ……
それは僕の望み、だから。
[セシルの肩にしるし、をつけたとき、
彼がそう呟いたなら、返事をするだろう。]
[それは、名前を呼んでもらったのだと、勘違いをする。
そして、目を少し開いてから、
小さく、笑んだ。]
[だから]
[その為に]
[オリジナルを]
[排除しなければ]
[ニックが人気者なのは知っている。
でも、コーダはだからと特に近寄ったりはしなかった。
だから、意図的に彼に触れたのは、とても珍しいことで…。]
ニック……。
[その頬を撫でて、肩に抱き寄せる。]
そう、
ニックは、本当に、
優しいね。
[頭を撫でて、髪に口づける。]
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>>118
同じところが目に付かないのだとしたら、 それは幸いなことだと思うよ。 2人でここから出られるといいね。
[浮かべる笑みは嘲けるものではなく、静かなもの]
でも、 ヨーランダや蝦江君を殺したクローンは、 もしかたらそれを、許さないかもしれないね。
[無意識に自身の首筋にふれる、憎しみは確かに存在するのだ。 けれどそれは恐らく自分に向けられたものとは、違う。 水無月とクロと、2人を一度見比べた。]
(120) 2011/10/04(Tue) 00時頃
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ああ、ニック、
そう、俺のオリジナルだけど……。
あれは、俺がやるから。
[そして、嘘をつく。]
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[ふたりを殺したのは、誰なのだろう。 目の前のクロはあまりそうは見えない、 リーネも赤毛も同じで、彼もきっと違う。
散花と黒田と蝦江、 彼ら3人のクローンの誰かを想像する。 別に誰でも構わない、と思う。
抱く怒りは正当なものだ。 著しく歪んでいるのは、この世界のシステムなのだから。]
(123) 2011/10/04(Tue) 00時頃
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それを言うなら、コーダだって優しいよ。
赤さんのために……赤さんを、守るために。
オリジナルを壊してくれたんだから。
[くすぐったそうに目を細めて笑う。
触れ合う行為は、嫌いではない。
自分も同じようにコーダに手を伸ばした。
ただ触れて、温もりを確認するだけの行為]
……うん。
コーダのオリジナルだものね。
コーダに、任せるよ。
[自分はもうオリジナルとは決着をつけたから。
あいつは壊れた。
もう二度と声を――クローンを蔑む言葉を聞かされることは無い]
うん、そうだ。
[それは、あのとき、確かにそうだった。
赤毛を守りたくて、イワセを殺した。それは事実。
だけど、いまは、心持が変わってきている。
人数を減らすなら、
もう死にそうなやつは死ねばいい。
そんな、合理的な、
だけど、純粋なニックの言葉を訊けば、
いまの考えは伏せる。]
[そして、ニックがこちらのぬくもりも求めてくれば、さらに抱きしめてから、
そっと、解放する。]
――……ニック、
くれぐれも、気を付けて……。
[そして、彼が誰かのところに向かっていくのを見送った。]
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それにここから脱出することを考えたら、 人数を減らすのに、身近な存在と遠い存在とどちらを選ぶか。
クローンっていうのは、 もっと無垢な存在だと勝手に思っていたよ。
[自嘲の笑みを滲ませていれば、彼女から返る、 思いの外力強い宣言に瞬いて、ちらりとクロを見た。
危険が高いのは、オリジナルである水無月の方だというのに、 彼女にとってはそれでもクローンの方が、庇護対象らしい。 クロはそれに何を思いどう答えるのだろう]
(126) 2011/10/04(Tue) 00時半頃
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君のクロは、純粋だね。
[恐らく番号で管理される社会、では、 個人を認識せぬままに生きてきたのだろう、と思う。
鏡がなければ、自分の姿は見られない。 それと同じなのではないだろうか。 自分という個を存在を認識されてくるもの、 それがクローンにとってのオリジナルなのではないか、と。
語られる無邪気な言葉を分析するばかりで、 そのまま受け取ることは出来ず、 雨宮セシルはそれをこそ、歪みだと感じる。]
(130) 2011/10/04(Tue) 00時半頃
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少し黒田くんを休ませてくるよ、 もう、どれくらい時間がたったのかな。
疲れてくるのは当然だ。
[黒田に手を差し伸べて、南側を見やる。 上の階は南側は病室だったけれど―― こちらの階はどうか、大人しく上の階へ向かうかと、一つため息]
(131) 2011/10/04(Tue) 00時半頃
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[考えれば、自分のクローンは異質だ。 恐らく雨宮セシルと会う前より既に、 個としての存在を認識している。
恐らく彼には鏡があったのだろう。 ニーナ、という存在があったがゆえに。
それゆえに、おかしなことを言い出したのだ。 そして、おかしなところで笑ったのだろう。]
(135) 2011/10/04(Tue) 01時頃
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[蝦江の亡骸も、雪織の亡骸も、 顔を隠されているとはいえ、かわらずそこにあるのだろう。 掃除に拘っていたのは、黒田のクローンだった気がする。 もう仕事を果たすことは、諦めてしまったのだろうか?
そんな問いを道中、黒田に投げたが、 彼女の知ることではなかったかもしれない。 牧野とリーネが言葉を交わしている。 告解する者とそれを聞く者、 そんな静かな空気を感じながら小さく目礼して通り過ぎる]
(136) 2011/10/04(Tue) 01時頃
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― 地下1階 病室101 ― [眠りの取れるような状況ではないかもしれない、 あるいは見通しの悪い場所を嫌がるだろうか、 けれど一番見通しもよさそうで、 休むに適した当直室は酷い惨状であるらしい]
水を持ってくるよ、 ……ついでに子守唄でも弾こうか?
[そこで一度病室に黒田を残して、去る。 壊れた自動ドアを潜る折、ふと思い出したように振り返る]
そういえばサロメも、 結構、身勝手な理由で人を殺す話だったね。
[生存も恋情も、 欲望としてひとまとめに語るのは乱暴なことだろうか?*]
(137) 2011/10/04(Tue) 01時半頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2011/10/04(Tue) 02時頃
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コーダ(ラテン語のcaudaに由来するイタリア語・coda、
「尾」の意)とは、楽曲において独立してつくられた
終結部分をいい、しばしば主題部とは違う主題により
別につくられているものを指す
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