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志乃も帰るんだね
そっか 疲れた?
帰ったら 元気になるかな
[志乃が具合悪そうだったことを思い出しながら呟いて]
迷子 ならないように気をつけてね
明之進の兄さんも、お気に入りを見つけたのか。
辰サンも意中の相手がいるようだし
[辰次が志乃や芙蓉に冷やかされていたのは
それとなく聞いていたから、にたり、意味ありげに笑う]
……案外、今回の逢魔時は呆気なく終わるのかもなぁ。
[そうすれば、芙蓉や辰次が懸念するような、雷門の怒りを買うこともないだろう]
こっちに永ぅいても、だんだん眠ぅなりますからねぇ。向こうなら九十九の縛りも緩ぅですから、もう少し自由にできる思いますんよぅ?
ほんまはうち、奴延鳥さんとお祭りみたい思うてましたのに…奴延鳥さん思うた以上の伊達様やったから、すれ違ったとき緊張しましたんよ。
せやけど、大妖のお姿も凛々しぅ思いましたんに、ヒトの成りされててもあないなええ男やったらうちまともにお顔拝見する自信ありませんですよぅ?
奴延鳥さんもええヒト見つけてくださいな?
太古の風情も知らぬ無作法者共から、ヒトもモノ知るようになってますから、きっといいヒト見つけられますよぅ?
せやけどが奴延鳥さんが気に入るんやったら、きっとえらい別嬪さん見つけてくるんやろうねぇ。複雑ですよぅ?
[彼の滲みを知って知らずか、名残惜しげに音を紡ぐ]
おにいさん?
[『明之進の兄さん』
おにいさんなのかなあ?
ふえるけどちがうなあ……
[変なところで悩む。]
…頭は悪くなさそうだ。
あやかしに対する対策、次々と考えてるからな。
あっさりと、俺らの存在を信じたし…
[言葉から、厄介な者だというのが伝わっただろうか。
根は悪い奴じゃなさそうだから、明之進の遊び相手にちょうどよさそうだな。あとそうだ、眼鏡先生の弟子とか言ってたっけか…
いちゅ……
[藤の言葉に絶句。
しかし、ここで言い返してもどつぼにはまりそうな予感があった為、沈黙を守る。]
けしゃらんぱしゃらん……だっけか
お前さんを元に増えるんなら、増えた
けしゃらんぱしゃらんたちの、兄さんて事にしとけばいいさ。
……少なくとも、明の兄さんは
毛玉たちの親父さんって風情じゃないしさ。
[男の言葉のせいで、変なところで悩む明之進に提案してみた]
おおきに。隠世へ戻るとなぁ…現には干渉できんようにはなるけど、
現の気は届く聞きましたんよ?
折角うちと龍っつぁんの合奏楽しみにしてくれてたヒトもいたからね
皆呼んで隠世で聴かせたい思いますんよ?
龍っつぁんもはよぅあの子口説き落として連れてきてくれな。
待ってますよぅ?
たろうでいっぺいた?
人間の名前、あたしにはまだよくわかんないよ……。
[諦めたように頭を振る
辰次の一平太評を注意深く聞いて
そうかい。
会ったことはないけど、しっかりしてそうだねえ。
[明之進の手前、厄介そうだとはっきり言うことはしない]
めがねの弟子……じゃあ、いなくなったって知ったら、心配するだろうさ。
探したりも、するだろうねえ。
芙蓉さんは、気ぃつこうていろいろしてくれて
ほんまにありがとぅなぁ。
うちが出てるときに、あないに長い時間持って貰ったこと初めてやったわ。
……少し恥ずかしぃ思いましたんよぅ?
沙耶真っ直ぐな子やから、吃驚するかもやけど、すぐ分かってくれる思いますんよ。
それに夕顔さんも朝ちゃんもセンセもおるからね。
夕顔さんがきっと楽しいお祭り作ってくれてるやろし、
向こうでならうちも気ぃよう跳ねられますから
芙蓉さん来る頃にはこっちより楽しいお祭りできえてたらええなぁ
思うてますんよ。
うちが奏でますから、たんと踊ってくださいよぅ?
何にしても、あたしも一度会ってみたいねえ?
一平太にさ。
辰次の好きな子にも、ね。
藤のおめがねに叶うのは……
[志乃の言も受けて、じいっと、藤之助へ意識を集中し
面食いなのかい、あんた?
確かに、親父って風情でもないけど、兄さんってのも……
[明之進をちらり]
うん、いいや。きっと、兄さんなんだろ。
疲れは現におるからやからねぇ。
向こうやったはよぅ動ける思いますんよ
けしゃらんばしゃらんさんくらい速ぅないから
おいかけっこはできへんけど
迷子は……ヒトの道やないから
大丈夫やと
思います……よぅ?
[あんまり自信はないみたい]
けしゃらんばしゃらんさんも友達連れておいでぇな。
ああ、そうだね。楽しみにしてる。
皆で、踊れるといい。
――楽しみにしてるよ。
[静かに言って、思い浮かべるように目を*閉じた*
お志乃みたいな別嬪にそこまで言ってもらえるなんざ
己も果報者だよ。
……向うに帰すのが、つくづく惜しくなるな。
[あけっぴろげな好意を寄せる志乃に、韜晦するように笑う]
沙耶みたいに淑やかな花を手折れるのなら、愛でるのもいいが、
だが己と人の子の間に何が有ったか、お志乃は知ってるだろう。
結局、あいつらとは獲るか獲られるかの関わりでしかないのさ。
[秋月は例外的に気に入ってはいたが
結局彼はあやかし混じりで、純然たる人の子ではない]
うん、向こうでなら沢山奏でられるだろ。
太鼓や笙もあるだろうし、聞かせてやりたいな。
なるべく早く行………
…………。
[志乃の前半の言葉にはにこやかだったが。
後半の言葉を聴いているうちに、また言葉が消えていく。
表情が見えたなら、口をへの字に結んでいる龍笛が見えたに違いない。
……わかった。
己が面食いかって……?
[
そらぁ、そうさ。
己だけじゃなくて、男は皆そうだろう?
なぁ、辰サンだって、別嬪好みだろ?
明の兄さんも――あぁ、きっと、綺麗な娘が良いに決まってるさ。
[悪気なく辰次に追撃の言の葉を向け、明之進にも火種を飛ばす]
古来より、生贄にされるのは綺麗で若い娘と決まっているよな。
昔から変わってないってこった。
[さりげない同意。
だから俺らは悪くないのだ。]
……何言わすんだ。
[自爆。]
ほんまにお上手ですねぇ。
そうやっていつとなく心そらなる恋を育てて
富士の高嶺にかかる白雲のような気にさせるやろね?
豊穣を運ぶ秋の風のように花を撫で
微睡みの夢を残しますんやろ?
奴延鳥さんに魅入られた子は切なぁに思いますよぅ?
せやろうね。奴延鳥さんが負うたんはただの痕やないんはわかります
永劫の輪廻を抜けて尚、癒えぬこともないんやろうね
[同じ千の刻を数えども、運命の歯車はヒトへの思いをこうまで隔てて至る。
妖しとしてと言わずとも、彼が負ったことを思えば、それ以上紡げる言葉も持てず。女は悲しくもあり……だからこそ手負いの羅刹を美しくも思えた]
龍っつぁんは大胆やねぇ
[くすくすと鈴が揺れるような箏の音色がしばらく響く]
……本当になぁ。
辰サンのお気に入りを見るのが愉しみになってきたよ。
[くすくうと笑う箏の音色を受けて、男もくつくつと笑う。
こんな同胞との交わりも悪くはないと思えるのは、
砕けて欠片となった男が、永き歳月に磨かれて丸く軟くなったからか――或いは志乃や芙蓉に絆されてのことか**]
……そのうち、嫌っていうほど見せてやるさ。
可愛いだけじゃなく、気立てもいいんだぞ。
[自棄になったようにぼそりと呟き、仲間たちの笑い声に耐えていた。*]
【人】 団子屋 たまこあのね、一平太ちゃん、よく聞いてね。 (121) 2011/09/17(Sat) 04時頃 |
【人】 団子屋 たまこ[簪についた羽が、何か言いたそうにはた、と羽ばたいたのは一瞬 (122) 2011/09/17(Sat) 04時頃 |
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