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Each of you should use whatever
gift you have received to serve others,
as faithful stewards of God’s grace
in its various forms.
[ 子守唄のように読み、眠るケヴィンの肌に触れる。
百合の香りはなく、漂うのは薔薇の香。
なぞる指先は清いはずの無い≪穢れた≫悪魔の指。]
──── kevin、
"美しい子"
[ その声は、揺り籠で眠るその男の
何を揺り動かそうか。 ]
[ 首筋に、そっとそっと唇で触れ
甘い素肌を吸い上げれば
その肌には薔薇の花びらが落ちる。
おかげで少し、精を得る。
生を、得る。 ]
[ 狂ったような月明かり。
噎ぶような薔薇の香。
衝動に駆られる、人の子。 ]
[ 弧を描き、歪んだ唇。 ]
≪それ≫が、キミの 紫陽花?
[ 『こっち見ろ、莫迦』と、謂いたい相手?
彼と彼の瞳は合っているように思う。 ]
ならば、もうあとは奪うだけ。
多少強引にだって、いいんだよ、今は。
───だって、手に入れたいんだろ?
[ どろどろと甘い、胸を焼くような
薔薇の匂いが、モリスを包み込む。 ]
[ 薔薇の荊蔦は沈む身体を捕らえ、
純白には程遠い"小麦"の膚を 柔く疵付ける。
馨る泥に全身を浸す様な 、
─── 甘美な快楽が、其処には 確かにあった。
"天使"の訓戒も、 "悪魔"の歌声も、
総てが甘やかに脳を掻き混ぜ、]
──── "善いものをくださるのですね"
──── "何時ものように 良い子にします。"
[ 夢見る呟きは、──もう低い"男"の声では違和感さえある
舌ったらずな響きをもって、
"誰もいない"部屋に ぷかり と 浮かぶ。
─── 揺り動かすのは過去の記憶。
清算されない純潔の罪だ。]
[ 薔薇の精が離れても、
夢の荊蔦は "誰か"の手を記憶のままに模倣し、
指先を捉え、 腰を撫で、
軈て、"穢れた"中心へ達する。
───あまい あまぁい 悲鳴は、
だれの耳にも 届かない*]
【人】 本屋 ベネット俺さ、やっぱここ来るのやめるわ。 (117) 2018/05/19(Sat) 22時頃 |
【人】 本屋 ベネット[不思議に長く感じられる夜。 (132) 2018/05/19(Sat) 23時頃 |
【人】 本屋 ベネット
(133) 2018/05/19(Sat) 23時頃 |
――……、
[ヴェルツ。呼ばれた先に、彼がいるのならばと視線を向けた。
けれど、呼びかける言葉は出てこない。
渦巻いているのは感謝と謝罪に似た感情だけれど、ありがとうもごめんもそぐわない気がした。
ただ、思い返すのは、どろどろと胸の奥に溜まって自分の中を染め替えるような、甘い甘い薔薇の香り。]
俺が手に入れたいのは、紫陽花じゃなくて。
紫陽花の隣だ。
[紫陽花の花は、一輪では咲かない。
小さな花が、己を飾って寄り添いあって、ようやく見知った姿で咲ける。
その、寄り添う隣を、手に入れる。
奪ってでも。多少、強引にでも。
ここにいると、こっちを見ろと、振り向かせて。
独白のように呟いた言葉。薔薇の精には届かなくても、いいつもりで。]
[ 中庭の二人と、図らずしも同じ構図をとっていると思いもしない。
緑を踏んだ時に呟かれた言の葉(
ただ、思い出していた。
手に入れたいのは、紫陽花の隣。
紫陽花そのものではなく、その隣の場所だと。
人はおかしなことを考える生き物だ。
それもまた人の──彼の
想う、心の、かたちなのだろう。
悩み、押し殺し、隠して生きれば生きるほど
彼らの中には美しいものが詰まっている。
俺はどうやら、空っぽだ。 ]
[ 独白めいた響きであったから
言葉を返すことなど、なかったけれど。
見せずにいた顔は確かに
笑っていた。
モリスが望むものを手に入れたなら。
いっちゃんが望む姿を見せられたなら。
それ以上の事が、あるはずもない。
その形がどうであれ。
風景の《薔薇》は彩りに変わるだけ。 ]*
[ 良い子にしていると呟いた(
あの幼子(おとこ)はどうしているだろう。
首筋に降った薔薇の花弁は
洗い流しても、そうそう落ちはしまいが。
罪も、水で洗い落とせるものじゃない。
彼に詰まったものも、中身は知らねど
ぎゅうぎゅうと美しいものが詰まっているんだろう。 ]
[ ひらり、夜風は凪いでいるのに
はらり、薔薇の花弁が舞う。
ふたつ、ひとつ。 ]
[ そんなキラキラした記憶を思い返しながら。
平気で他者に口付けようとする、俺こそ。 ]
──こんなに 穢い のにね?
[ 薔薇と、紫陽花とは違う。
雨に濡れながらも、寄り添い咲くのが紫陽花とすれば
蔓を絡ませ棘で傷付けながら、一人咲くのが薔薇。
中庭にあるただの花(おれ)に
誰が愛を囁くというのか。
棘で傷付くだけの薔薇(おれ)に
誰が寄りそうというのか。
咲こうとしていた蕾をもぎ取り
迷いも無く握り潰した。
溺れるような花の中――― ]
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