17 吸血鬼の城
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――…よほど欲しかったのね。
[獲物をサイラスが見つけた事を影を通じて知った女は
くすくすと愉しげな笑みを漏らした]
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[常の如く、昇る足は2階まで―― ガラス戸の風に揺れるテラスへと出れば。
――紅の月下、
その身は鮮やかに跳躍、あるいは飛翔する。 白い手袋の手が黒壇を掴めば
その最上階の窓は影によって開かれる]
(258) 2010/06/23(Wed) 21時半頃
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―最上階・窓辺―
……おや、
[白薔薇は黒壇の枠におさまったまま、 同属と“獲物”の2人の姿を見やる―――]
先を越されてしまいましたか、残念。
[薔薇が芳香はその身より、 狩が対象――贄の少女を見やるは常と変わらぬ白薔薇]
(262) 2010/06/23(Wed) 21時半頃
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強い執着は時に命取りとなるやもしれんが
……さて、あれはどうするのだろうな?
[愉しげな気配混じる声音。
城主の部屋に近い場所、
霧の届く場所ならば全てを見通せる
蠢く影達はあるがままを己が主人たちへと伝えてゆく]
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[>>265 窓辺より、薔薇は囁く]
――……ああ、 旦那様ならお留守でいらっしゃいますよ?
どの途、毒華が血など、 旦那様のお口には、合いませんでしょうから――
ですから、――ですからあなたは…… 我らに獲物として賜れたのですよ?
[あとずさる少女に微笑みかける。 しかし薔薇はいまだその場を動く、気配は見せず。]
(267) 2010/06/23(Wed) 21時半頃
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――ああ、つまらない。
最初から、近くにいるのがわかってらしたのでしょうに……。
[少しだけ拗ねたような声音が呟く]
――…そんな聲を出さないの。
あの娘以外にも“獲物”はたくさん居るでしょう?
[拗ねた白薔薇の聲に宥めるような聲が重ねられた]
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[>>268 贄の少女へくすりと笑う]
――さあ、 何故存じ上げているのでしょうね?
施した者でもなければ、知りようがないものを。
[>>274 サイラスの言葉が聞こえる]
いらないのなら、 ―――いただきますよ?
それは“獲物”として賜られたものなのですから。
[薔薇の香はつよく]
(276) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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ふふ……
私はお前の拗ねた貌が見たかっただけかもしれぬ。
[白薔薇の声音に、くすくすと笑み混じる囁きが返る]
そう、私のローズが言う通り
獲物はまだ幾人も残っている。
宴はまだ続いているだろう?
――……ここは、下がってもらおう。
[白薔薇が拗ねた声を出すのとは対照的に、
暗い声を出して……。
そう、彼らにとっては、なんでもない、余興の一つ、きっと自分のことも滑稽にみえているのだと、わかっていても。]
―――お嬢様、
この狩りのこの“獲物”はそれのみ、ではありませんか。
[宥める声に答えるは、まるで道理を諭すように]
ああ、旦那様まで、
意地の悪いことを仰られて……
ですが、我らが同属は“獲物”に逃げろなどと。
[声音には冷笑の混じる]
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[薔薇は窓辺から動かない。 ――先に捕まえたものが、獲物を屠る権利がある
それが道理]
(282) 2010/06/23(Wed) 22時頃
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喰らわぬのですか?
―――毒花を。
いらぬのならば、もらいますよ?
[恐らくその毒は、己が身にも効くだろう。
予感していながら、囁きは流れて]
まさに
度を越えた執着、だな。
[なるほど。
薬師の様子が
丁度部屋で話すイアンの喩えに当てはまる気がして
呟きを洩らす]
白薔薇
今宵の狩りは、薬師が勝ったのだから
あれの好きにさせて遣れば良い
……しかし、其の娘がひとり逃げるかどうか
いや、
彼女を、
いや、獲物を、
捕らえれば、いいの だろう?
[白薔薇の言葉にそう返しながら…。]
――…お兄様もそう仰っているのだから、
別の“獲物”になさい、セシル。
……逃げろ?
この宴から本当に逃げられるとでも思っているの?
逃げられなどしないわ。
そうでしょう……? お兄様。
嗚呼、けれど……
お兄様への捧げものに逃げろ、だなんて……
いけないこ、ね。
[絶望など消えたはずなのに――]
あれが良かったのです。
あの、毒が。
っふふ……宴から逃れる方法は幾つかあるぞ?
[ローズマリーに]
ひとつは、魂だけで逃げる方法
ひとつは、身代わりを置いて逃げる方法
[前者は死を意味し
後者は犠牲を意味する。
魔物狩人と名乗った男が選んだ道を思い出し、
薄く笑いながら告げた]
後は……我が眷族となる道もひとつの逃げではある、か?
二度とひとには戻れなくなるがな。
[隻眼の男のぬくもりが
失ったぬくもりを思い起こさせた。
同じようでいて違う。
違うようなのに似ている。
白薔薇の呟きにふ、と息を吐く]
それでも……
あの娘はサイラスの獲物なのよ。
――…そう、なの…?
[兄の囁きに不思議そうな聲。
けれどそうだとしたらサイモンの魂は逃げられただろうか。
それともまだ城の何処かに囚われたままなのだろうか。
あの優しい男のこと。
魂だけの存在となっても妹の事が心配で逃げずにいそう。
そんなことを思いながらも緩く首を傾げ]
如何してそんな話をするの、お兄様。
私は、逃げる為にお兄様と同じになったのでは、
ない……、でしょう……?
……そうだな
お前は望んで、私の妹となったのだから。
[無理矢理与えた真実を隠し
城主は彼女の聲に同意を向ける]
中には、そのような者もいた、と言うだけの事。
|
―――……ッ、はは、 あはは
[白薔薇は笑う、 それは慟哭するかのように、笑って]
ああ、また、…―――い。
[呟けば、ゆるゆると首を振る]
(298) 2010/06/23(Wed) 22時半頃
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私が望んだから……
お兄様が与えてくれた。
[疑う事なく記憶のない女は兄の言葉を受け入れる]
……そう。
愛しいお兄様……
如何か私を遠ざけないで……
[切なる聲が微かに紡がれる]
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―――……ああ、
[厭わしき血の匂い、本能的に感じている。 それが自らに滅びをもたらすものであると――
けれど、それが、欲しくて。
一度伸びかけた手は、落ちる]
(318) 2010/06/23(Wed) 23時頃
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――………あ
[最後は、本当に呆気ない、呻きが一つ……。]
――……、
[眷属たる男の呻きに女の翡翠が微かに揺れた]
―――……、
[無言の気配はミセリコルディアを握る]
白薔薇に求めたのは、何だったのか。
白薔薇をそれでも、護ったのはきっと…
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