158 雪の夜に
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アンジェ、まだ中にいるんだったら、
もう表に出といた方が良いぜ。
中にいたら――、間違えて噛みついちゃうかも?
[笑み混じりの尖った気配。
警告はした。後は自己責任だろう。]
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― 診療所 ―
[ホレーショーの顔は、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。 見ている方の胸がつまって苦しくなるほど、ホレーショーは悔しそうに、泣いていた。>>25]
……。
[ヒューはかける言葉も見失い、嗚咽と、鼻を啜りあげるのを、ただ、聞き続けた。 自分が泣いていることにも気付かなかったヒューには、目の前の男が、自分の一年前の怪我を思っているとは、また、僅かも想像出来なかった。>>24]
……ああ。
[ホレーショーの軽口めいた台詞に、ヒューは頷く。 びしょびしょの顔で笑おうとするホレーショーの顔に、つられるように、無理やり笑う。 不自然に、頬が引きつった。]
(38) gekonra 2013/12/30(Mon) 21時頃
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[生きていてよかった、かみ締めるようにホレーショーに言われ、ヒューはぽかんとしていた。 無理やり作った笑みは強張るように失せていった。 それは、俺が言われるべきではない。 その思いに急かされ、気付けば口を開いていた。]
だめだ、――俺は ホレーショーに謝らないと
俺が、ちゃんとしてれば――ほんとうは、
[その腕を、きっと失わずに済んだ。 その言葉は、流石に紡げずに、声が尻すぼみに消える。]
俺が――代わりになれたら、よかったのにな。
[空虚さが胸を占め、平坦な声で、ぽつりと言った。]
(39) gekonra 2013/12/30(Mon) 21時頃
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[セレストの動向は、倒れている間、知る事は出来ない。 返事をする間もなく、室外の騒ぎに、病室に居た全員の注意が引きつけられた。 深刻そうな顔をして怪我人達は互いの顔を見合わせた。 やがて聞こえた名前は、ソフィア。 最近始めて知ったばかりの、雑貨屋の娘の名だった。 人狼の容疑がかかっているらしい。]
は……? 人狼は――だって、
[ハナは捕らえらてしまったはずだ。 ヒューには自分が追い込んでしまった自覚さえある。 恐ろしい人狼は、もう檻の中だ。 そういう事になった筈ではなかったか? そうならない、という事は?背筋が凍りつく。 頭のてっぺんまで駆け上がるような嫌な予感があった。]
まさか、誰か、襲われたんじゃないだろうな
[*ギシ、と腕を括った紐とベッドが、音を立てた。*]
(40) gekonra 2013/12/30(Mon) 21時頃
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……あのさあ、アンジェ、
ちょっと手伝って欲しい事があるんだが、
つったら、怒る?
[妙な前振りになったのは、
ちょっと無茶振りな自覚があった所為だ。*]
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― 診療所 ―
[病室の外が騒がしい。 緊迫した空気が、壁や扉越しにも伝わってきた。 叫び声や呼び声。人が出入りする足音や、扉の開閉音。 病室に残った医師の纏った雰囲気や顔つきが僅かに変わる。 彼は落ち着いたままだったが、静かに仕事に備えているかのようにヒューには見えた。
『今、女を捕まえたばかりだろう!』 『やはり子供の他にまだいたんだ!』
『宿だ!宿で襲われている!』
総毛立つ。 括られたままの手を見下ろした。
『船乗りだ!船乗りの女が喰われている!』
ぎし、と寝台が軋んで音を立てた。]
(66) gekonra 2013/12/31(Tue) 13時頃
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[船乗りの女が彼女一人でなくとも、一番嫌な展開が一番最初に頭を過ぎっていた。 直後、手を括っている紐の結び目を一瞥し、顔を近づけた。 引っ張るべき箇所は既に観察済みだ。 歯で探し、顎に力をこめて、顔を引く。 邪魔だと苛立ちながらも、それを外すのに長い時間は必要なかった。外してくれと医者を相手に駄々をこねるより、絶対に早いと思える程度には。
今までも、片手の指でどうにもならない時は、口や歯を使う事が多かった。今後はこれを頼りにするしかないのだろうことは、凡そ見当がついていた。
結び目が緩み、解けた。 殆ど同時にヒューは寝台から転げ落ちた。]
(67) gekonra 2013/12/31(Tue) 13時頃
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……げほっ
[手を庇って背中を打ちつけ、咽ながら、肘を支えに身を起こす。 眩暈で目の前が真っ暗になるが、気にせず立ち上がった。 大きな音に振り返った医者が驚き呆れていた。 すぐにだめだと渋られたが、それを無視して進んでいく。 病室の扉に肩を寄せて押し開けた。 病室の外には、怪我人の情報が寄せられていた。 誰かの「助からない」という声が耳に飛び込んできた。 焦燥感に歯がみした。 嫌な予感に足が震える。 部屋に戻れと言われても、頑として聞き入れなかった。 無事であるように祈る。その祈りには、セレストでない事を祈るという、身勝手も含まれた。**]
(68) gekonra 2013/12/31(Tue) 13時頃
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怒ったりはしないけれど。
……私に出来ることが、あるかしら?
[届いた囁きには、首をかしげる。
少なくとも荒事では役に立てはしまい]
この住所に嬢ちゃんを届けて欲しい。 ……出来るか?
[言うのは一言だが、各所の目をごまかしたり、
実現するには色々と手間がかかる筈だ。]
わかったわ、――船出の日に。
[あの子供であれば。
積荷の一つでも海に捨てれば、
船に乗り込ませることくらいは可能だろう。
この町さえ離れてしまえば、
女にとってはどうとでもなることだ。]
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― 診療所 ―
[堪らず診療所の外まで駆けだして、朝凪亭までの最短の道乗りを選んで進むと、すぐに人だかりが見えた。 道をあけるよう、怒号が飛び交っている。 駆け寄った。ヒューの嫌な予感や、悪い想像は、的中していた。 診療所へ運ばれているのは、セレストだった。]
せ、セレスト、セレスト! 先生、助けて、セレストが、
い、いやだ! 起きろ、セレスト、セレスト!!
[ヒューは追い縋って、泣きそうな声で、何度も名前を呼んだ。 それが出来たのも、病室の前まで。 ヒューは廊下に取り残された。]
(89) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[そこで、張り詰めていたものが、ぷっつりと途切れた。
足から力が抜け、膝がかくんと折れ、冷たい廊下に座り込んだ。 抜け殻のようになって、病室の扉をただ見ていた。 涙が流れるまま、ぽたぽたと落ち続けている。 拭うために、腕が持ち上がる事はなかった。 喚く力も湧いて来ない。 最早、立ち上がる気力も失せた。
どれほどの間そうしていただろう。]
(90) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[長い沈黙の後で、出て来たのは、不思議と、笑いだった。 額を膝につけて、背中を震わせる。 腹に力も入らず、ただ漏れるに任せてくすくす笑っていた。 ヒュー自身にも、自分がどうして笑っているのか全く分からなかった。 滞った思考がとろ火で生暖かく煮られ、匙でどろどろにかき混ぜられているような、酸素が足りずにぼんやりするような、わけのわからぬ温度を頭に感じる。]
……はぁ
[ひとつ息をついてみれば、笑っていたことさえ急激に冷めて、虚しくなった。 なるほど、と、ヒューは唐突に思った。]
(91) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[おとぎ話は、教訓話だったのだ。 先人は偉大だった。
悪い人狼がやってきて、みんな食べられてしまう。 だから人狼は、やっつけなければならない。 或いは、食べられる前に、逃げなければならない。 そういう悪者として描かれてきた。
良いとか悪いとかは、本当に、どうでも良い事だ。 だから、それはさておく。
けれど、逃げる、やっつける、というのはきっと正解だったのだ。 きっと、誰かが身を以て知っていた事だったのだ。
愚かしくも先人の教えに背いた結果が、これなのだろう。]
(92) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[蹲ったままの姿勢で、小さく、呻いた。]
いてぇ……
[切り裂かれた手が先についている方の腕を、頬で押す。 手で腕を擦り、誤魔化そうとする事すら、出来ない。 出来なくしてしまった。
当然手を使わなければ出来ないことは、それ以外にも山とある。 もう船で働くことは不可能だろう。 それどころか、ワンダの魚屋で仕事を続けることすら無理だ。
諦めなければ人生なんとかなると、セレストから言われたのが、ほんの数日前の事。 今この瞬間においては、もう一度、同じ人間にそれを言って貰う事すら叶わない。 あの時、一瞬でも望みを持てたことが、嘘のようだ。
もう、なんのともし火も残っていない。 からっぽだった。 つまり、諦めてしまった。 こうなってしまうと、セレストの論でも、人生なんともならないのだろう。]
(93) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[手の痛みが弱まる気配はない。 今まで、この痛みや、行く先の真っ暗さを差し置いて動けていた方が余程おかしな事だった。]
いてえ……いてえ。 くそ、いてえ……
[腕を噛んだ。少しも痛みは紛れそうもなかった。 苛立つように、体を揺する。 腕を噛んだまま、ふうふうと息を吐き、痛みを堪えていると、少しして足音が聞こえてきた。 *ヒューは、医師によって、病室に戻された。*]
(94) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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― 診療所 ―
[セレストが診療所に担ぎ込まれた日から、数日経った。 ヒューは、無関心そうに、出された食事を見下ろしていた。 小さく切られた食べ物が、皿に乗っている。
手は使えない。よって、食べる方法は限られていた。 ヒューは抵抗なく、犬のように、皿に顔を近づけ、食べはじめた。
最初は食べさせて貰っていたが、もう、断っていた。 うまいまずいは、気にもならなかった。]
(95) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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[皿へ伏せていた顔を上げた。 人の気配がしたからだ。 何の用だろうかと視線を向ける。]
……。
[口の中の物を飲み込んでから、唇を腕で拭った。]
(96) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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今日は、どうなさったんですか。
[病室へ入ってきた喪服の婦人へ、尋ねた。 人の死を思わせる黒色が、病室のなかにあるのが、なんだか少し滑稽にも思えた。 なにか忘れているなと、一瞬考えるような間があって、思い出したとばかりに、ヒューはうっすらと笑みを浮かべる。]
誰かの、お見舞いですか?
[行儀よく、寝台に座ったまま、*首を小さく傾げた。*]
(97) gekonra 2014/01/02(Thu) 02時頃
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― 診療所 ―
[婦人の質問へ、一瞬の沈黙を返した。>>105 思わず、鼻で笑っていた。]
どうって……。
[先ほどの後ずさりをされるような食事風景。 着替えも一人でするのは困難だ。 体を洗うことだってそう。]
さあ……? どう出来るんでしょうね。
[自分自身に呆れ果て、自嘲していた。 昔話の言いつけを無視して、良くないことが起きるのは、大人も子供もみんな同じだったのだろう。]
(107) gekonra 2014/01/02(Thu) 21時半頃
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[婦人の顔に、痛みを堪えるような笑みが浮かんでいた。 片手を差し伸べられていた。]
当てなんて……そうですよ。 ありません。
……俺は、あなたの所へいっても、 なにも、出来ないはずですよ。
[自分の両手を見下ろした。 差し出せる手も、無かったのだ。]
(108) gekonra 2014/01/02(Thu) 21時半頃
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[わざわざ確認するような真似をしなくても、此方が何も出来ない事くらい、一目見れば分かるのだ。 分かっている上で、言っている。 そう考えて、包帯に包まれた手を選んで、持ち上げた。]
……。
[差し出された細い手に、触れさせる。 痛むのか、一瞬顔を顰める。 小さく息を吐き出して、顔を寝台を見下ろすように、俯けた。]
俺は、あなたの名前も知りません。
(109) gekonra 2014/01/02(Thu) 22時頃
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[笑みは、諾の返答を得た事も理由の一つ。]
ありがと。
これが最後だから。
[これが最後の頼み、彼女に向ける最後の我儘だ。
目尻にどこか幼い色を乗せてそれを告げる。]
後で取りに来て。
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……なんだ……
……まだ 俺にも、使い道が、あったんですか?
[腑抜けた顔を前へ向けた。 夢を見ているように無気力げな、表情に乏しい顔で、喪服の婦人をただ見ている。 紅い唇が言葉を紡いでいる間、捕らわれたように、それから視線を離せず、喪服の婦人が名乗るまで、口を開けずにいた。]
パピヨン・ローズさん。
[名を覚えようと、飼われた鸚鵡のように、繰り返す。]
(119) gekonra 2014/01/02(Thu) 23時頃
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……。
[人狼を、エレクトラ号でこの町に連れてきたのが、パピヨンだとする。 その人狼が何もしていなければ、この町に船で人狼を連れてきたなどと、わざわざ口にはするまい。]
――そうですね。 それじゃあ、止めないとならない。
[疲れたように、そう口にしてから、声をたてずに、笑った。]
(120) gekonra 2014/01/02(Thu) 23時半頃
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[多分、名を知らないのは目の前の喪服の婦人も同じはずだ。 相手に自分の名は、不要だと感じていた。 だから名乗りもしなかったし、覚えて貰おうとも思わなかった。 多分、縁が交わるのも、一瞬の事だろうと思っていた。 いや。今も、思っている。]
ヒューといいます。 ……きっと――長くご迷惑には、ならないでしょう。
[パピヨン・ローズと名乗った女が、どれほどの間、酔狂でヒューを傍へ置くのかは、分からない。 仮にそれがヒューの余生の全てだとしても、それは女の人生におけるほんの一瞬の事にすぎないのではないかと、何故か、そういう風に、感じていた。**]
(121) gekonra 2014/01/02(Thu) 23時半頃
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[船出までの間、町の人間の、ごく僅かな人にのみ、挨拶をした。 ワンダに今まで世話になった礼を言った。 ダーラの所へも出かけ、同じように礼を言う。
そしてそれらの二人、どちらにも、もしもセレストとホレーショーが困った時は、助けてやって欲しいと、頭を下げた。
――自分がそうして貰ったように。 見捨てないで欲しいと。
きっとそれは、言うまでもなかった事だけれど。]
(132) gekonra 2014/01/03(Fri) 00時半頃
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[診療所への帰り際、海に面した坂道の雑貨屋がやっているかどうかを確かめた。 雑貨屋の元の主人は死んでしまったらしい。 あまり用事は無かったから、よくは知らないが、優しげな瞳をした老人だったはずだ。 だから、開いていなかったかもしれない。 兎に角、どこかでヒューは手紙を書くための品を手にいれた。
診療所に戻り、手は使えなかったから、買ってきた素描用の道具を口に銜え、ミミズの這ったような文字を書いた。
『またな。』
たったのその一文。それだけ、セレストに残して、ヒューはパピヨンについて、旅立った。]
(133) gekonra 2014/01/03(Fri) 00時半頃
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[セレストがそうしていたように、ヒューもまた、手紙で、経過を医師に尋ねた。 義足を欲しがった事を手紙で読んだ時は、ひどく驚いた様子だったこと。また、読んだ後に、下がった目尻が、ひどく嬉しげだった事を知るのは、パピヨンくらいのものだ。]
……すごいな。
[諦めなければなんとかなると言っていたあの言葉を、本当にするつもりらしい。]
――……
[目を閉じて、海の上で生活していた頃のセレストを思う。 エレクトラ号の船員として、セレストや、ホレーショーと働いていた頃を。 大丈夫。彼女なら、じきに何とかするのだろう。 では、前よりは幾分上達した文字で、何と書こう。 この手紙が届く頃には、すでに彼女がその町にいなくても。**]
(134) gekonra 2014/01/03(Fri) 00時半頃
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