人狼議事


217 【突発誰歓】幸福の壷【十二支騒動記】

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[嗚呼、結局己は何をしたかったのか。]


[火の星を冠し、夏の陽の如く激情に流されし者。
智恵を持ち、能力あるはずの者が最後に願いし事は。]

『淋しい……――』

[忘れないでくれ。
同じく火の星を冠する男に対し、小さく小さく囁いた。
届いたか否か。其を知る前に、赤く黒い火の星は燃え尽きた。*]


―後の世―

[世が乱れたのは昔。
 ようやく平和な世になると誰もが信じ始めた頃。

 それでも街を離れれば、村へと足を伸ばせば、目に見える戦禍に昔を思い出さずにはいられまい。]


[上佐川。
 夏陽を受けてきらきらと眩く川面を見詰める子は、親を知らず。名を知らず。

 クロ。次郎。佐川。

 どの名前で呼ばれても、その子は頷き返事をした。
 取り立て困ることなく過ごしてきた。]


[けれど、心の内では思っていたのだ。


 それは違う、と。
 自分のことではない――――と。*]


―後の世―
[戦の面影が残る村。ひとりの少女が泣いていた。
大粒の涙を溢すのは朱金の目。

その気味悪さから皆からは蛇の目を意味する「鬼灯≪カガチ≫」と呼ばれ、捨てられたその子は親も知らず、名も知らず。
ただひとつ、己の中にあるのは大切な大切な、名前だけ。]


[ある夏の陽が降り注ぐ上佐川。
そこで佇み川を眺めながら、はらりはらりと涙を流す。]

 何処にいるの……『しんしょう』……

[産まれ出でた時より持つ、誰かの名。]

 あなたに逢いたいの
 また、わたしの名を呼んでちょうだい……

[己すら知らぬ己の名。
それはきっとこの者が持っている、と何故か疑わず。
春の日も、夏の日も、秋の日も、冬の日も。
何処かにいるとも知れぬ名を呼ぶ。]


【人】 聖歌隊員 レティーシャ

― 光 ―
[その時だった。
黒に染まった空間から、ぽつ、ぽつ、と光の雨が降り出し。

辺りが白に塗りつぶされる。
その中で、黒に紛れて見えなかった輪郭が姿を現した。

影。黒い人型を保っていたが、それは]

―― …… だよ。

[己の様に思えた。
黒き影は、もう一度、言霊を。]

(93) kuryu 2015/02/20(Fri) 20時半頃

【人】 聖歌隊員 レティーシャ

……一緒に、行こうよ。

[そう言って影に手を伸ばしてみるも。
影は首を緩く横に振り。
「おかえりなさい、を。言わないと。」
そう、口元が語ったように思える。一瞬自分の心を一部置いていくような錯覚さえ覚えたが。
元は、彼女は……]

……ありがとう、ひつじさん。

[せめて、笑顔で。会い見えることはもうないだろう、直感的に感じる。ならば、良き別れをしよう。

影もまた、口元を綻ばせた。]

(94) kuryu 2015/02/20(Fri) 20時半頃

【人】 聖歌隊員 レティーシャ

― いつもの光景 ―
――……。

[辺りが騒がしい。
幾つもの声が聞こえる。温かい。心地よい。
そう、一人ぼっちじゃない。]

……ぁ。

[上半身を起こして周りを見やり、影を探すも。
やはり、もう、彼女の姿は見えず。
少しばかり、心に穴が空いたような気もするが。
勢いのある彼の呼ぶ声に、思わず目頭が熱くなる。

嗚呼、夢じゃない。我儘を聞いてくれて、ありがとう。]

(95) kuryu 2015/02/20(Fri) 20時半頃

【人】 聖歌隊員 レティーシャ

おはよう、しょろ……!

[この言葉が言えることが。
この日常的な挨拶が、幸せに思えるとは。
今はとびっきり特別な言葉の様に思えた*]

(96) kuryu 2015/02/20(Fri) 20時半頃

[赤き血潮に染まった頃も。あったという。
 怨嗟の声が止まぬ夜も。あったという。


 お伽噺にするには新しい、昔ばなし。]

 ………だれ?

[岩陰の、奥から人の声が聴こえた気がして。
 少年は足を向ける。]


[血に染まり、怨みに染まる事もあった上佐川。
そうと知っても其処に佇み、飽くることなく泣いたのは、其処にいれば己の持つ名を持った人に、必ず逢えると思ったが故。]

 逢いたいわ 逢いたいの……

[何時までも何時までも泣いていると、誰かが此方へ来た気配がして。]

 誰なの……? 『しんしょう』……?

[それは、そうであってほしいという、願いにも似ていて。
肩までの長いとも、短いとも言えぬ黒髪を靡かせながら振り返る。]


[振り返ったその少女は。

 川面の光を黒髪に受け。まるで光の輪を冠しているかのよう。

 初めて聞く声が、初めて聞く名を呼んでいる。

 それは誰の名?]


[いや。
 己の名だと―――信じることができた。]

なつひ!

[叫んだ。開いた口から飛び出た名前。
 駆け寄り、腕の中に抱き締めて頬を擦り合わせた。]


夏日、夏日、なつ……ひ

[手は黒髪を乱す。光を払うかのように。]


[振り返った前にいたのは見知らぬ少年。
駆けてくるその少年が紡ぐ名は、聞き覚えのない、知らぬ名ではあったけれど。
其が己を示す名であることは、すぐにわかって。]

 しんしょう……? 辰星なの……?

[尋ねなくとも、己の中で答えは出ていて。
駆け寄り、すりより、されるが侭に髪を乱れれば、今度は嬉しさで目が熱くなる。]

 今度はちゃんと、忘れなかったわ
 貴方もちゃんと、覚えててくれたのね

[抱き締め、その温もりが本物であると実感すれば安堵し。
やっと逢えたと、鬼灯色の目からまた涙を溢した。]


【人】 聖歌隊員 レティーシャ

ぁ……と、えっと。

[しかしまぁ。いざ、言いたいことがあっても。
午の彼を目の前にしてみれば、なかなか口から言葉が出てこない。
いつも通りの一線を越えてしまうのでは。もし拒絶されてしまったら。そんな後ろ向きな考え。私らしくもない。]

しょろ、おんぶー。おんぶったらおんぶー!

[じわりと熱くなる頬を誤魔化すかのようにいつものように我儘を。
実のところ憑き物が取れたせいか、身体の方は力が入らず。
午の彼におぶされば、自身の重みを彼の背に預けて。]

(168) kuryu 2015/02/21(Sat) 22時頃

【人】 聖歌隊員 レティーシャ

……ねぇ。

[宴会場へ向かうであろうその足取りの途中、彼に囁くように。]

―― …… だよ。

[もしかすると、彼は聞き取れなかったかもしれない。
そうでなくてももう一度聞かれたかもしれない。
そんな時は顔を真っ赤にして、一寸の沈黙の後。]

大好きだよ、黍炉。

[今度はちゃんとはっきりと言葉を紡ぎ。
返事がどうであれ、顔を隠すように彼の背に埋まった**]

(169) kuryu 2015/02/21(Sat) 22時頃

[巳 火性 陰
その方角を司る神は『おそれ』を表し、凶とされ
司る星も凶星たる星『螢惑星』 別名『火星』

方角も、星も、司りし神も、己が名でさえも
凶事ばかりを示すもの


軈て来る吉事を、深く味わう為に在るもの]


[禍福は糾われる縄の如く、表裏一体を成すもの
何れ程願い、神にすがろうとも、大吉は何れ凶に還る


其は禍とて同じこと
身に振り掛かりし厄は、廻り廻って何れ吉へと還る


――だが、その何れも必要な事に非ず
大事は、禍福は神が決めるに非ずと云うこと
総て己が決めし事、と云うこと]


[己を不幸と思う者よ 己の禍を嘆く者よ
禍凶を知りし時、初めて幸福を知ると思し召せ

禍凶ありてこその幸福だと思し召せ]


[総ての禍福は意味あること
総ての禍も福も、己が決め、定めたと云う事]



   [其を胸に刻み、己が手で幸福を*掴み取れ*]
 


[―――――――幸せだ、



    と思えたのは久方振りだった。]


[その瞳は赤橙。
 遠くからでも招き、誘う色。

 胸焦がす名前を呼べる幸せは喉を震わせる。]

……あぁ、そうだとも。
僕が「辰星」だとも。
 


[遠い記憶。暗闇のなか。光のなか。
 確かな感触、甘やかな香り、心地好い声。

 なつひ。


 其れ以外の名前など知らないとばかりに、繰り返す。

 なつひ。 夏日。


忘れさせるものか。赦さないと――言っただろう?

忘れるものか、忘れるなんて――…
もう一度喪うなんて。


――――嫌だ。


……今度こそ離れず、共に生きていこう。

夏日。
君の全てが―――欲しいんだ。

生きる時間も、何もかも。
もう待たせないで済むように。

[奪わせて欲しい。

 独りにしないで――と
 請い願う。恋願う。**]


[己が紡ぎし名を肯定せし少年に、繰返し繰返し名を呼ばれ、幸を噛み締める。
赦さないという愛しい名を持つ相手に暫し目を見張るが、軈て笑みへと変えて]

 そうだったわね 赦さない、と言っていたわ

[嫌だと紡ぐ口に、ふふ、と笑いを溢し。]

 いいわ 全てをあげる
 あの時叶わなかった、全てを――

[あなたに奪われてあげる。
其は、娘なりのもう二度と離れないという契り。]


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