5 おんがくのくにのふしぎなおはなし
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[穏やかな一行の前に、不意に強い突風と共に大きな黒い鳥が現われる。
鳥の腹の中央には強引に埋め込まれた水晶玉。
そこから聞こえるのは不愉快な笑い声。]
Ladies and Gentlemen!!
音楽を取り戻せるとか思っている甘い考えを持っている獣ども一行はこちらかな。
この慈悲深いヨアヒム様から素敵なプレゼントを2つ送ろう。
一つ、これから毎夜毎に滅び逝く音楽の国を最期まで見届けられる権利を一人に与えよう。何も出来ずに国が滅び逝く様を、孤独を感じる大変素敵な権利だ。
もう一つ、貴様らの中に裏切り者がいる。わしの協力者だな。大掛かりな術を使ってしまった為に呪いを掛けるのに一手間になるが。
隣人を信じるか、疑うか、それは主ら次第。隣の者は何する人ぞか、苦しむがいい。烏合の衆がどれだけ隣人を信じられるか見ものだな。
その音楽の欠片を手に入れるまでの、つまらぬ余興だが、最期の希望と言う主らが苦しみ滅びるむ様を酒の肴に塔で待ってるぞ。
獣の分際で人真似をするのが忌々しい。
精々畜生らしい最期を見せてもらおうか。
[そう言うと鳥の胸の水晶は弾ける。
残った鳥は血まみれの胸を苦しそうに2・3度動かすと小さく鳴くと動かなくなった**]
(#2) 2010/03/21(Sun) 22時半頃
頭数か。
[自分に力が無いと自覚しているなら残った時にどうするつもりなのだろう]
それがヨアヒム様の求める物なのかな。
悲しみ、苦しみ。失望、絶望……。
……楽しいのかな。
[墓の方を振り返り、ぽつりとこぼした
僅か、首を振り
それでも「かみさま」が絶対であることには変わりはない]
眠るといいんだよ、きっと。
[音楽がなくなれば、と言う呟きに眉を伏せる]
ま、他の者がどうするかはぼくには関係ないけどね。
みなが音楽以外に寄りどころを見つければ──胸の痛みは減るかもしれない。
でもぼくは、痛いほうが、いいんだ。
生きている、証だから。
心が無いのは──
却って切り崩しにくいからね。
大切なものがあるのは、弱みがある状態と言い換えられる。
心がない、ということは、誰にも心からの理解をもらえないことにもつながる
その本人が崩せなくても、周りが崩れていく場所に、彼を一人だけ置いていくんじゃないのかな
怖いかい。それは良かった、おまえさんはまだ正常なんだろう。
お、おれが、正常かどうか……なんて、わかんねえよ
表情は穏やかに、裏切りものなんていなきゃいいのに、といいつつ、実のところ自分が裏切りものでした、なんて……
寒気がする演技だ
願い事がそうさせているのかな
裏切り者がいなければいいのに、と思っているのは、偽らざる気持ちだからね。
ぼくが裏切り者だなんて、どんな理由で選んだのかヨアヒムに聞いてみたいね。
そうだな……おれも、ヨアヒム様との約束がなければ心から裏切りものなんていないほうがいい、って思うぜ
変なひとはいるが、わるいやつがいない、ここには
みんな、お、おれのような言葉足らずにも、礼儀ただしくて、いいやつだ
森の連中とは、違う
でも、ヨアヒム様が何で爺さんを選んだのかは、わかる気がする
願い事のために、裏切る覚悟をもうしちまったんだろう
おれは、正直――未だに、迷ってる
迷っていても構わないが、口にするな。
ぼくにおまえさんを切る気にさせるな。
それに、ヨアヒムがきっと聞いている。
[*34の言葉通り、頭痛が大男を襲った]
う、う、う、あ、ぁぁ――い、いたい、いたい、いだい、い”だい”
[食堂の扉と頭を打ち付けた同時刻、別の痛みにもさいなまれていた]
大人げないな、ヨアヒム。
[呟いて、襲いくる頭痛に顔をしかめた**]
ちょっと考えた。あの鏡が本当に裏切りものを見分けるのだったら、2つあるのは厄介
1つはさっさとつぶしてしまったほうがいい
人間が信じあう絆を結びあうのは、厄介
でも、1つだけだったらどうなるだろうな
1つだけで、正体を知るものがかならずヨアヒム様に狙われるようなことがあれば――
誰も、誰かの正体を知ることなんて、できやしなくなるんだ
頭が痛いんだ。かわいそうだね。
[道中、痛がるようを見て]
レティーシャは頭とか、平気そうだな
多分この痛みはヨアヒム様を悪く思った時に起きる痛みだろうから、レティーシャがそういう風になることは、ないんだろうな
かがみ?
[そちらの話題には一切触れていなかったので不思議そうに下]
すごく納得した。そうか、レティは……
ヨアヒム様に、子供がいたのか。
鏡、というのは、渡した相手の正体がわかる魔法の道具らしい。
最初はピッパ姐さんと、それから軍馬さんが持ってた
軍馬さんはそれをお宝もの大好きな烏さんに渡して、ピッパ姐さんはおれに渡すつもりらしい
子供?
そうだね、子供。僕を作ってくれた人。創造主。
[胸に手を当てて、伝える。ぼろぼろのぬいぐるみだった自分に吹き込まれたかりそめの命]
ふうん。そうなんだ。けど正体なんて、ギリアンはギリアンだよね?
[やはり不思議そう]
[ふと、レティーシャの姿に、使い古されたぬいぐるみの姿がかぶって見える]
うん、おれ、は、おれ。
でも、あの鏡は、裏切りものか、そうでないかを見分けるらしい
きっとおれは、あの鏡には裏切りもの、って映ってしまうんだろうな
これから、サイモンさんから砂時計を奪おうとするんだから
ただ、その鏡は、一度持ってた相手に渡したら消えてなくなっちまうもんらしい
だから、明日もし俺が裏切りものだとばれちまっても、鏡一つを失くしちまうことができる
ヨアヒム様も、手下を3人そろえたのも、1人だけだったらなし得ぬこと、って理解してるから、だろう
ここでさっさと1つ潰しておいたほうが、ヨアヒム様にとって都合がいい
レティーシャは、ヨアヒム様のために長く働けるし、爺さんは望みに近づくし、な
ふうん。よく分からないけど、なるようになるってことだね。
僕はがんばるよ。ギリアンはそうしてヨアヒム様のために働くんだね。
ああ、レティーシャがんばれよ。親には孝行したほうが、いいぜ
おれみたいに、遅くならないうちにな
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