249 Digital Devil Survivor
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[悪魔の出現と、町の封鎖から1日ほど経った。街の封鎖を続けている自衛隊は、騒ぎの原因を詳しく知らされているわけではないだろう。無論、自分達の包囲以外にもう一重、別にこの国の神々によって霊的な結界が街に張り巡らされているとは知るはずもない。
報道管制は相変わらず敷かれていたが、さすがにいつまでも事態を隠し通せるわけもない。この頃には、原因は不明だがとにかく市内でただならぬ事態が発生しているという事だけはニュースでも報道されるようになっていた。原因はさまざまに推察されていたが、大規模なガス爆発か、あるいはその昔この国で行われたような化学兵器を使用したテロではないかというのが大方の見方だった。
ただし、その原因については、誰もはっきりしたことを述べる事はできないようだった。]
(#0) 2016/06/18(Sat) 09時頃
[ヤタガラスにとっては、初動が遅れた事はらしからぬミスであったし、事態は悪くなる一方に思えた。いまだに中にいる何者かが手引きしているのか、御渡市に出現した悪魔の数は増える一方であるし、潜入していたヤタガラス直属のサマナーと全く連絡がつかなくなって以降、事態が鎮静化する目途すら立たなかった。
この時点においては、被害の拡大を防止する事が当面の最重要な目標となり、市内を囲む結界は幾重にも張り巡らされ、今となっては霊的、物理的な力が一切外界と出入りできないほどに結界は強化されていた。
電波や音、一部の光すらも遮断するほどの結界によって、この頃にはもう、御渡市はテレビ、電話、ネット回線に至るまで、ほぼありとあらゆる外的な刺激から遮断され、連絡の取れぬ異界のような場所と化していた。]
(#1) 2016/06/18(Sat) 09時半頃
人の持ってるもんなぁ。
そうだな、それが手っ取り早い。
でも徒党組まれると面倒くさいよね。
だから弱そうなのから潰してくのが理想的なんだけど。
それか、強いヤツが油断してる隙に食っちゃうか。
[強いと言えば脳裏に浮かぶのは同じサマナー仲間のチアキセンパイと真月か。]
[あのニコラスとかいう男も只者ではないだろう。
多数の悪魔を一瞬で無効化した、低級悪魔とはいえ大した技量だ。
鳴はどうだろう。
慶一としては手を出したくない相手筆頭である。
あれは神の御使のようなものだろう。
これでも神主であるし、靖水との縁が切れたわけではない。
信仰すべき相手。]
[ゆりにいたっては論外だ。
あれは一般人、少なくとも慶一にとってはそうである。
妹のような存在。]
……あーでも、素直にちょーだいって言ってみるのはありかな。
[ぽつり、と呟いた]
……そうだな。
頼んで貰えるならそれがいい。
[ぽつり、と聞こえた声に此方も呟いて。]
ああ、そういや強い奴といえば。
「サマナー」とは違う弓を持った能瀬小鈴って女。
マガタマを破壊をしたいそうだ。
面倒なのと他の回収優先で放って置いたけど。
あれは、うん、敵になる気がするな。
桃色の羽織を着ているから一目で分かると思う。
[彼女が自分を前に油断するとは思えないから。
面倒の押し付けも期待して伝えておく。]
― 前日 ―
見かけたらなんとかしてみる。
そん変わりさ、ニコラスさんどうにかしてよ。
俺、多分警戒されてっからさぁ。
[と、こちらはニコラスを押し付けてみた。]
―前日―
ン……、ニコラス、か。
オレの知り合いかも知れないんだけどなあ。
まあいいか。
見かけたらやっとく。
[こちらも押し付けようとしたのだし。
拒否する理由も特には無く、了解を返した。]
[追っ手の気配を察知した時。
――ああ、詰んでるな。
絶望したのではなく、ゆっくりと理解した。]
[御渡には長く住めた。
長く住みすぎたともいえるか。
金は一先ずはなんとかできるだろう。
だが物理的に遠くに一度逃げただけでは辿られる。
幾度も地を変え、名を変え、己を捨てても。
穢れた「血」の繋がりを断つのは不可能だ。]
そうそう。
昨日一つマガタマを増やせた。
まだ白いけど、素直に渡してくれてよかった。
もう一つも、頼んでみよう。
[場合によっては請け負ったニコラスは、後回しになるけれど。]
へぇ、順調でなにより。
[そういえばこっちは上諏訪に向けて投げつけたので一つ減っていたのだった。
後で回収するつもりがすっかり忘れていた。]
でも思ったより集まり悪いんだよなぁ。
やっぱお願いして回るべきかな?
[力づくでの”お願い”もそこには含まれる。]
タダじゃ、渡してくれないそうだけどな。
……優しく"お願い"するなら早い方がいいかもな。
もうすでにだいぶ警戒されている。
[此方の場合は適当に誤魔化していた自業自得の部分はあるのだろうけど。]
…………お仲間の"アリス"?
[尋ねるように、呼び掛けた。]
…………。
忍田千明と、あともしかしたら真月揺籃って。
三本足の烏……「ヤタガラス」なんだよな?
[はじめから「ヤタガラス」の関係者だった仲間にこうして聞くのが、一番手っ取り早かった。
それを半ば無意識にしていなかったのは。]
[あの二人は"知り合い"だ。
それ以上ではないし、それはきっと向こうも同じ事だろう。
だが、それでも犬神憑きの人生にとって、最も親しい存在だったのも確か。]
そーだよ、その二人はヤタガラス。
サマナーは大体ヤタガラス所属。
だけど俺みたいに協力はすっけどフリーってヤツもいるけどね。
俺らサマナーは政府から監視されてんだよ。
[あの二人が好き好んでヤタガラスに収まっているのか。
それとも仕方なく従っているのか、それは知らないけども。]
[ アリスの笑い声は、軈て雑音に紛れて行く
ザワザワとした音に紛れて聴こえる2人の会話と
砂嵐のザラザラした視界は少しずつクリアになり
猫耳がピクリ、その両眼は驚きでパチリ
聴こえるけれど、音に非ず
見えるけれど、光でもない
── アリスが誘う闇の中だと思った ── ]
…塁? それから…アンタは、誰だ?
[ 突然、見えた彼らに訳も分からず、首を傾げる** ]
んー、そうかあ。
もしフリーだとしても、あの女が言うように既にアンタが喰った烏と一緒で排除優先ではあるんだろ。
仕方ない、けどなあ。
……。
……、…なんていうか。
ちょっと、気が重い。
[声音はいつも通り淡々としている。
けれど混じるのは深いため息の気配。]
まあでも。
手は抜かないからそれは安心してくれ。
[仲間が先に千秋に対峙しているとは知らないが。
すぐに気を取り直したように言う。]
[そのやり取りの最中だっただろうか。
"仲間"のように響いて聞こえたのは遥の声]
ん?
アンタ、お仲間?とは思えないけど。
邪魔はしないでくれ。
[けれど意識はそちらよりも今は目の前の相手に向く。]
アンタって俺の事?
俺は西廼慶一。
ケーちゃん、と呼んでくれていーよ?
[問いかけの言葉は誰のものだろう。
初めて聞く声に思えるが。]
そういうアンタは誰?
[仲間なのか、そうでないのか。
そうではないのならば一時的に手は組めるのか、どうか。
敵ならば排除すべきかどうか。
問いかける声に不審が滲む。]
[ 問いへの答えは塁のものが先に聴こえる
多分、自分は彼の「仲間」ではない
それには、素直に頷いた
彼が思い描いている「仲間」とは?
そこへの疑問もあったとはいえ
「仲間」がどんなものかは知らない以上
安易に「仲間である」とはいえない
彼らの話が聴こえるのも偶然の産物
そもそも、出会って半日程度なのである
ともだちとすらもいえないだろう ]
[ 続く答えには、問いがオマケについていた
ニシノ、ケイイチ…それがもう1人の名前
ご丁寧に愛称のリクエストつきに、吹き出しかける ]
俺? 俺は…久住遙、名前でも苗字でも好きに
[ なのに、しつこく店での名前で呼ぶ相手が
思わず脳裏に浮かんでしまったが
彼らがその人物を話題にしていたのは
残念ながら、聞き逃していた
知って何か変わるかは、分からないけど ]
[自己紹介している『声』を聴きながら。]
邪魔するなって言ったろ。
それとも。
お仲間どころか敵か?
[淡々とした声は変わらないけれど、混じる敵意が少しだけ強まる。]
生憎、ちゃんづけ出来る程
可愛げとか…俺にはねえんだ…
気が向いたら、好きな呼び方をする
[ 下手に名前を呼べば情が移る
それに自分が縛られているつもりは毛頭ないが、
持てるものが限られる以上、荷物は軽い方がいい
── 人は、最も容易く失われるのだから ]
[ 苛立ちを滲ませる塁へ、ふっと笑う ]
敵なら…「永遠のおともだち」にしてやったさ
[ と、だけ返した** ]
来たよ、累クンの言ってた小鈴ちゃん。
ほんとに強いんだなぁ、参ったね。
[傷つけられた脇腹がじくじくと痛み、血を流す。
現在、こちらは2対1の不利な状況。
助けを呼ぶか逃げるか。
考えてどちらも否定する。
助けを呼ぶには時間がない。
逃げる為に背を向ければそれは即ち死である。
ならば軽口を叩いてみせながら死にもの狂いでどちらかを倒して退路を確保するしかない。]
強いだろ。
頼んどいてなんだけど。
いきなり会うなんてツいてなかったな。
こっちは人間だとか言ってたやつがやっぱり悪魔だったな。
[それでもまだ1対1。
いや、敵か味方か分からない遥も入れれば1.5対1くらいだろうか。
なんとかはなるだろう。]
[ 闇の中から、弱ったらしい声がする ]
…ケイイチ、一度だけ助けてやる
[ 自分でも不思議にするりと、その言葉が出たのは
彼の人懐こさや、弱った声に絆された訳ではない筈だ
ただ単に、彼が厄介と思う相手と対峙してまで、
身近な相手を倒すに至ったのか?
少しだけ興味を持ってしまった、それだけである ]
今、何処にいる? 教えてくれ…
アリスが遊び足りないっていってて困ってる
どっちがいい?
アンタを逃すのと…アンタに加勢するのと
[ しかも、成功するかは分からない ]
アリスは「おともだち」が欲しいんだってさ
…誰か、連れてってやるよ
どれか好きなの選べ
[ 多分、塁の遠吠えのせい ── 多分* ]
でもセンパイに手出しはいらねぇよ。
だって、あれは俺のエモノ。
[ ── クスクスと、アリスの笑い声が闇に木霊する** ]
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