266 呑花臥酒―盤楽遊嬉・春の乱―
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…………にしても。
皆随分と酔いが回ってきたみたいだけど。
大丈夫、なのかなぁ。
[きょろり。辺り見回し、首傾げ。
母親秘伝、と。毎日飲まされる薬草酒を思えば。
少年はまだ暫く、余裕は保てそうで。]
まあ、まあ。
まだ皆さんまだ抑えて飲んでいらっしゃいますし。
たとえ何かあっても、藤の旦那が納めてくださるんじゃないですかねー。
まさかあの方まで酔いつぶれたりはしないでしょう。
[心配げに見回した白路の声を拾い。
妖御用達、信楽酒造の一代目店主はいつのまにか手酌で藤之助の用意した鬼の酒を呑みつつ、のほほんと声をかけた。]
………………………………。
[聴こえた声に、徐々に眉間に皺が寄っていく。
納める?
あの、愉快犯が?
いや、寧ろ。酔ってないからこそ、面白がって…………]
……いや。ある意味、一番危ないのは、藤之だよ?
[手酌の様相に、瓶をそっと掲げたが。
密談の様相には、手酌の方が似合うだろうか。]
さっきの火柱騒動、見たでしょ?
山が丸ごと萌えそう、とか、地面たっぷり吹っ飛びそう、とか。
そんなんでもないと。
呵呵、とか笑いながら。
酒の肴にしてるんじゃないかなぁ。
[言ってみて頷ける。
…………容易に、目に浮かぶ。]
ほらやっぱりーーーーーーー!!!!!
[きゃいん。
小声で吼えた狐の喚き声は。
聴こえる所にしか、聴こえなかっただろう。]
言われてみれば、ふだんはもう少し大人しいというか、隠山の主として頼もしい采配を振るう藤の旦那を見てきたせいでそこまで気にしていなかったすけど……
[個性の強い皆さんに釣られて、藤之助の愉快犯ぶりが天井知らずになっている気がしなくもない。むしろこれが白路たちにとっての普段の藤之助の姿なのかもしれない]
…気を付けておきますね。
[白路の杞憂では終わらないかもしれない、とこくりと神妙に頷いた]
ご、ご愁傷さまです白路さん…。
[あわれ無茶ぶりの生贄にえらばれてしまった白路さんに合唱。たいへん申し訳ないが助けることはできそうもない。
表では気丈にしているが、憐れそうな子狐の泣き声が聞こえた気がして胸が痛い。]
うん……せいぜい、頑張る事にするよ……。
[結婚の条件やらは、自らも降りかかりかねない話だし。
夜の話題も、そこもうちょっと詳しくなどと、言いかけていた矢先の災難に。
聞こえた気のする声援に、きゅーん、と。情けない声で、応える。]
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