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[
少しだけ目を見開いて、でも直ぐに伏せる。]
トレイル、俺やっぱ酔ったのかも。
[きっと嘘だって気づくだろう言葉を最後に
食べかけのアイスはそのままに、
カウンターにくてんと伏せた。
まるで気分は自らを餌に狩りをする動物のようだ。]
……、っ
[ぺろりと舐められて、ビクリと震える。
酒とキスのせいで、妙に肌への刺激に過敏になっているようで。]
ん…・…、うさぎは寂しいと死ぬって言うからな。
……俺も一人だとさみしくて、しぬ。
[うさぎは性欲が強いという話も思い出し、
それなら自他ともに認めるにくしょくじゅうのマドカの方にも
案外当てはまるのではと、思うだけ。
マドカの頭に手を伸ばし、そのまま引き寄せて自分から口付けた]
[
ゴディバのチョコレートリキュールも沈んでしまうだろう。
食べれない形になるだけで、啜れないわけではないが、
やはり美味しいものは美味しい状態で食べるべきなのだ。
…さて、マスターから早上がりして良いと言われたけれど。]
酔っ払っちゃった?
外の景色が見える席に移動しようか。
俯向くと、もっとしんどいと思うし。
[乗り物酔いじゃないから、風景なんて関係ないのだけど。
そして、彼が酔っていない事も、知っている。]
[アイスはすごく美味しいし罪もないのだけど、
今はそんな気分ではなくなってしまって。
例えば飼い主があーんしてくれるんなら
完食はしてしまうかもしれないが。]
んー。……うん。
ちょっとふらふらする、かな。
[奥にも席があるのは知っていたけれど
利用したことは無くて。]
あっち?俺、はじめて。
[なんだか違う意味にも取れそうだったが、
俺は今酔っぱらいなので深く考えない。]
おいで、サミー。
.
――トレイルになら、飼われてみたいな。
[
猫だって犬のように甘えたくなる。
その場合マロンと取り合いになってしまうかもしれない。
……どうしよう。]
[
もしかして本気で具合が悪いのだろうかと心配になる。
基本的には、人の言うことを疑える性分では無かった。]
そう…、立てる?
[
はじめて…、
ああ、あの席は元々の箱に着いてた感じなんだよね。
男二人で座りたがるお客さんもそんなに居ないから、
だから、常連さんでも滅多に気づかないかな。
[一瞬、別の方向に勘違いしたのは内緒。
一番都合が良いのは、カウンターから死角になる事。
ボックスシートにも背が向く形にはなるのだけれど、
場合によっては、こっちからだと悟られるかもな。
ちょっとイチャつく程度なら背凭れが隠してくれるが、
動き的な意味で暴れたら、視界には入りそう。]
へーき、歩ける。
[
マスターもそのつもりなのだろうか。
聞くのも怖いし深く考えないことにしておいた。]
そーなんだ、秘密基地みたい。
[特別な場所を教えてもらった気分になる。
その一人目じゃないとしても、まあ仕方ない。]
[秘密基地
ちょっと半個室的な感覚はするから。
別にカーテンなどがあるわけじゃ無いのだけれど。]
でしょ? じゃー秘密基地に名前つける?
[
……僕がべたべたに可愛がるタイプなの、
サミーは、わかるって言ってたよね。
[少し前にした話
だからね。
僕に飼われちゃうと、鬱陶しく感じるかもよ。
[くっついていても怒られないから、
気を良くしてさらに狭いシートの中で身を寄せる。
今までで一番近い距離にトレイルがいる。]
アイス、食べさせて。
[溶け始めているそれを横目におねだりの鳴き声。]
は…、 ぁン……ん
[深い口付けを交わしてるあいだ、
ちらりと視界の端に映るのはマドカが持ってきてくれたカクテル。
テーブルの上におかれたそれはすっかり結露して、水溜りを作っていた。
ああ、もったいない。]
ふっ マドカ、
[マドカの体を押しても、捕食されているようなキスは
すぐには止まなかっただろう。
マドカが離れた後、…は上がる息を整えながら
緩慢な動作で起き上がる]
…大丈夫だったんだ。
本気で具合悪そうな感じだったから、半分本気にしたよ。
サミーって演技が上手なひとなんだ。
[
スプーンで茶色のリキュールが溢れない様にしながら、
バニラアイスを掬い、サミュエルの口元へ。]
ん、あーん。
[スプーンの持ち手先端には、アリスのチェシャ猫が居る。
ピンクとパープルの、アレ。
確か、誰かのお土産だった気がするけれど。]
[マドカへとグラスを差し出すが、
少し考え直してグラスを取られる前に腕を引く。
くい、と呷って含ませたあと、
マドカの襟元を掴んでそのまま口付けた。
口の端からこぼれたかも知れないが、少しくらいは気にしない]**
[貪るようなキスに夢中になる。
唾液が混じり合う音が耳に聞こえて、それすらも熱を煽って欲が滾る。
このままやっちゃってもいいかな?いいともーなんて頭の中で考えてたら、
不意に差し出されたグラスに中断されるキス。
おあずけさせられる犬みたいに不服そうに唇をふくらませれば]
……ちょ、ん、ぅん?
[再び唇を塞がれ、流し込まれるアルコール。
こくこくと喉を鳴らして熱いそれを嚥下しながら]
口移しとか……エロ。
も、いっかい……。
[顎を伝う液体を指で拭いながら、甘いくちづけを強請った**]
秘密基地って、名前つけるもん?
[
何がいいんだろう。服装同様センスはあまりないと思う。]
溺愛してくれるんでしょ、だから……
飼われたいって言った。
[べたべたされるのが嫌なわけではない、
ただその相手が極端に少ないだけで。]
演技、どーだろ。
ふわふわしてるのはほんと。
[
大げさにしているつもりもなかった。]
ア、……ん。
[運ばれるアイスを口に入れる、
チョコとバニラが交じり合って喉へとするりと落ちる。
食べ終えるまで何度も同じように強請ったり、
途中でトレイルの唇へ舌を伸ばしたり。]
この猫は……、
あんまりかわいくないな、ふてぶてしくて。
[スプーンの先っちょでニタニタしている猫への感想。]
うん、この秘密基地に「名前」がある事が、
「僕達だけの秘密」になるからね。
[漏らさない限り、誰も知らない。]
「ワンダーランド」にしようか。
此処――。
このシートを知らずに来たサミーは、
アリスみたいじゃない?
[窓の隙間に手を入れ、電飾のコードを手繰りスイッチを入れた。
円筒内部にカラーセロハンが張られた電球が、ぴかぴか光る。
窓の外の世界の色が、照らす電気で違う色になった。]
うん、毎日抱きしめて毎日キスする。
しつこい位に。
[
遊んで構ってと鳴かれたら、眠くても疲れていても付き合う。
だって、あの子は大事な家族なのだから。
望まれるままに、――愛してあげたい。
キスやハグは、犬にとっては迷惑かもしれないけど。]
…………キミの知ってる僕じゃないかもよ。
[今の性格を作りも誤魔化しもしてはいないけど、
人から見たトレイルと、動物から見たトレイルは、
たぶん、――別のいきものなんじゃないかって思う。]
そうか?チシャ猫は悪いネコじゃない。
[
あんなふうに神出鬼没で、何にも囚われないのは憧れる。]
なら、俺たちの秘密の「ワンダーランド」
俺がアリス?ならトレイルは……帽子屋。
それとも女王さま?
[金髪の少女に例えられるのはむず痒いけれども、
ふたりきりの秘め事ならば悪くもない。]
こんなものまであるんだ、綺麗。
[まるでいつもの店内とは違う景色が見える、
本当にワンダーランドに迷い込んだよう。]
ふわふわか……、吐き気とかが無ければ大丈夫かな。
頭痛くなったりしたら、無理せず言ってね?
[
喜ぶものと思っていたけど、サミーの反応は微妙だった。
酒を提供した時は、チェイサーも与えているから、
そこまで酔いが持続するとは思えないのだけれども。]
よしよし。
[アイスを求めて口を開ける猫を撫でる。
唇が、舌が別のものを求め始めれば、唇を寄せた。
サミュエルの唇を割り、舌をねじ込む。
アイスを食べ続けた猫の舌は、冷たくて柔らかい。]
…は、
[
しかもそれが嫌じゃないなんて、どうしよう。
やはりマロンが羨ましい。]
いいよ、どんなトレイルでも。
俺のこと、見てくれるんなら。
[構ってもらえるのなら、同じだけ愛を返せる。
だから。]
――俺の知らないトレイルを見せて。
そこまで酔ってないよ、それに
ふわふわしてるの、トレイルが居るから。
[
そういえば良かったのかもしれない。
だがバカなことだと思う理性も僅かに返ってきていて、
そこまで大胆にはまだ慣れない。]
っ、ん。
[今度のキスはバニラの味。
温かい舌に冷えた舌を絡ませて、味を移す。]
おいし?
僕は、トランプ兵Aとかでいいんだけど……。
[
帽子屋も女王様も、役がはっきり立っているから
なんだか、彼らに申し訳ない気がしてしまう。
物語の中で生きる、空想上の人物達だったとしても。]
だって、この猫かわいくないよ?
僕は、キミみたいにかわいい猫のがいい。
あ、でもサミーはアリスだから、猫じゃないな。
[「ワンダーランド」から見える景色。
並んで見つめて居たが、サミュエルの髪の毛に視線を落とす。
無造作に跳ねた柔らかそうな髪は、アリスと同じ きんいろ**]
俺をワンダーランドに導いたから
白ウサギかもしれない。
[
何がいいかな、と考えて、でもトランプ兵じゃない。
それを言うなら俺はきっと眠りねずみがいい。]
俺だって可愛くない、よく見ろ。
[可愛かった頃など無いので不満そうに言うと、
トレイルの髪を引っ張ったり、
もっとひっついて項の匂いを嗅いだり、
いたずらし放題**]
[
サミュエルの口端に唇を押し付けて、にこり。]
うん、美味しい。
トマトも美味しかったけど。
[そういえば、とキスする前に言われた事を思い出す。]
僕と一緒に居ると、ふわふわするの?
[なんでだろう、と考えたけれど分からなかった。
でも、一緒に居て居心地悪いと言われなければ、
良いことなのかなあ、とも思えるが――…。]
サミーの知らない僕が、居るからなのかな。
[
思いも寄らずに、サミュエルをじっと見る。
少し眉が吊り気味だなあ、とか。
甘えんぼで可愛いな、とかそんなことを考えている。]
なるほど、白うさぎか。
そういう見方もあるね、うさ耳似合わなそうだけど。
[
サミュエルに猫耳をつけたら可愛いと思うのだけれど。]
ん? ちゃんと見てるじゃない。
かわいいよ、サミー。
[継続してサミュエルから視線は離さないまま。
唇をサミュエルの白い首筋に押し付けて、軽く吸う。
あんまり強く吸いすぎると痕が残ってしまうから、良くないかな。
マスターにばれたらいけないな、とか。
もう大体ばれてるのに、ばれてないと思っている青年A。]
うん、どっちもウマイ。
[
ふわふわしてる。
なんて言えばいい?
[言葉に困ってトレイルの肩に額を乗せた。
ぐりぐり押し付けてそれを返事にする。]
それもあるかな。
いつもと違うトレイルなのもある。
[
すらっとしているから似合いそうだけど、
今度買ってみようか。]
見てないだろ、それ。
もー、……ッ ん。
[項に唇を感じて甘えた声が出る。
痕が残っても問題はないので、逃げようとはしないけれど
他の皆にバレたら恥ずかしくて隠れたくなるだろうが。]
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