人狼議事


240 なんかさ、全員が左を目指す村

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 世を忍んで生きる身だからな。
 そのような面倒ごとは御免だ。
 
 …別段生まれに拘りはない。

[オレ単体が特別な人間というだけで家名に誇りも拘りも特になく。
しかし好奇の目に晒されるのは御免であったが、
それより義務とはいえ男に子を産ませたという事実を
公にして彼奴の世間体的なものは問題ないのだろうか等
大人げのない大人相手に考えてやるオレはとても寛大だと思う。]

 どうだかな。
 まあ、貴様がどれほど爛れた生活をしていようがオレには関係ない話だが。

[そう言ったものの顔にはそうではないと出ていただろうが
相手が自分の少ないと見透かしている経験値にすら嫉妬を覚えているとは気づかず。
ましてこの先の己の行動にまで懸念を抱かれているとは思わない。

ただ、呟かれた独り言の単純な意味だけは理解すると
無意識に首に回した腕に力をかけた。]


[抱かせてやらねぇよ、と恥じらうように許諾した彼を、
散々抱き潰してしまったことに後悔がない訳ではない。

ディー、と紡がれた名は極上の甘さを鼓膜に届け。
ブラックコーヒー色の彼は、チャイよりも甘く舌に落ちる。
自分だけに用意された一杯にお代わりを何度も強請りながら、
注いだミルクで波紋を作り、加えた甘言で甘さを満たし。
毒されて赤く染まる器から雫が零れぬよう、丹念に愛撫して。

焦らすなんて、出来るはずもなかった。
壊さない様に性急に這い回る掌も、最後は彼の掌に落ち着く。
名を呼び過ぎて掠れそうな喉は、己の唾液で潤そう。
ずるいとむずがるなら、喉仏に口付けてあやそう。

抱き壊されたら、と瞳を明滅させて怖がる節が見えれば、
頬を掌で包み、優しく額を擦り合わせてやろう。
大丈夫。優秀なサーヴァントが、身を張ってくれるはずだ。*]*


[震える身体を包み込む両腕に力が籠る。
背を反らせながらも今度は逃げずに収まってくれるそれだけのことに、顔が緩んだまま戻りそうにない。]

 そう、僕は我が儘なんだ。
 だから、全部欲しい。身体も────心も。

[くれるんでしょ、と問い返す声に喉を震わせ。
短い黒髪の間に覗く、薄ら染まった耳朶へ口付ける。]

 勿論。
 理津が僕のものである限り、僕も全部は理津のものだ。

[欲に掠れた声で、誓いの続きを紡ぎながら。
応えるように背中に回される腕に僅かに腕を緩め、彼の顔を覗きこもうとして。

下がる指先に布地の上から誰にも触れさせたことのない場所を押し上げられ、動きを止めた。
告げられる宣戦布告。

つまり、それは。]



 ───……ねえ、理津。

 それって、もし2人目も欲しいって言ったら
 また僕としてくれるってことだよね。
 


[次への約束ということでいいのだろうか。
義務として、遺伝子の相性だけで引き合わされた。
名前以外全く知らない彼を己は気に入っているし、この施設を出ても離すつもりなんてまったく考えてもいないのだけど。

彼の口から、この先の関係が続く言葉が得られると思わずに。
実に都合のいい耳は、それだけで舞い上がる気分でまた一層頬が緩む。]


 ……前言撤回はなしだよ。


[己にとって重要な箇所だけ言質はとったとばかりに、意気揚々と。
反論する声があっても、唇で塞ぎ。
足に絡む布地を、乱暴に取り払ってしまおう。

その時抱くのは彼だという言い分も、勿論聞こえているけれど。
態とそこははぐらかし、口付けを繰り返しながら互いに身体に纏う乱れた衣服を性急に剥ぎ取り、肌を重ねた。]


[彼の身体中余すところなどなく触れ、唇を這わせた場所へ痕をつけて。身体の境界線がわからなくなるほど、昂る熱を交らせながら。
楽しげに、彼の耳元で低く囁く。]

 次も、その次も。
 また抱かれたいって思わせてあげるよ。

[その胎へ子種を植え付けるのは己であることを、疑いもしない態度を崩さずに。

その裏で。
意地だけでなく彼が己を抱きたいと強く望むなら、次は拒みきれないかもしれない。そんな想いは今はまだ黙っておく。

惚れた方が負け。
それは31世紀の今も変わることのない、恋愛論。]*


[我が儘なんだと、自らを暴露して。
ベッドの上の主導権や身体だけでなく、心まで欲しがる強欲さ。
その男の正体が劉コンツェルンの若社長だと知れば、多少強引なその手腕にも納得がいっただろう。

そんな正体を隠し持つシュウロから、自分を対価にシュウロの全てを――身体だけでなく、心まで――得られるのなら、悪い取引ではないと笑っただろうか。

唇を奪い合っても、今はまだ、互いに名前しか知らない間柄ゆえ。
勿論と答える、慾に掠れたシュウロの声に、今はただ当然だと縋る手に力を込めて。]

 ――……ね?
       シュウロ。

[された事はやり返す主義と。
口付けられた耳朶をより桃色に近づけながら。
告げる宣戦布告と共に、慣らせば男でも咥え込める場所を指先で押し上げる。]


[交渉のための手段とはいえ、俺が産んだら自分で育てると啖呵を切ってしまった手前。
シュウロがどうしても、曽祖父にひ孫の顔を見せたいのなら自分で産む必要があるから、その時は手伝ってやろう…。
という理津の思考は微塵も伝わらず。

可愛げどころか、懐かない猫のように毛を逆立てた自分を。
この施設を出た後も手離すつもりがないシュウロの思惑を知らない理津は。
ただ、より一層だらしなく頬を緩めて機嫌をよくするシュウロに、よからぬ気配だけを感じ取る。]

 撤回も何も、抱くのは俺の方……っんぅ

[反論する言葉は重なるシュウロの唇に塞き止められ。
幾度言葉を繰り返そうとも、聞く気のない男は意気揚々と互いに待とう赤と青の衣服をはぎ取ってゆく。]


[空調が快適を維持するはずの部屋で、目が回りそうなほどの熱に苛まれながら。
一向に引く気配のない波に、ただひたすら上へ、上へと押し上げられてゆく。]

 その次もって…
 何人、生ませる気だよ…

[耳元で囁く楽しげな声に、くらりとした目眩を覚えて、片腕で目を覆う。

保有するバライラ因子の相性によって引き合わされた二人。
一回の性行で確実に受精し、子を孕むというのなら。
この男は、一体何度自分を孕ませる気だろうと。

ここへ来てようやく。
シュウロの言う次が施設を出た後を指すことに気づいて、ぐっと息を飲む。

喜んではいない。
決して…。
この先も、シュウロを独占できる可能性になど、けっして…。]



 ………へたくそだったら、すぐにでもひっくり返してやる…。

[産ませるのは自分だと、もはや疑いもしないシュウロの首へ縋る様に腕を回す。

最初の交わりがどうなったかは…。
最後までシュウロを拒まなかった理津が、その胎へ生まれて初めて受精可能な精を受け入れたという結果が物語る。*]


[遺伝子の相性というのは身体の相性までいいものらしい。

情事の名残で皺だらけになったシーツの上。
横たわりながら抱き寄せた腕の中で、荒い息を繰り返す彼の顔を覗きこみ。
汗で張り付いた髪を指先で避け、その眉間にあやすように唇を押し当てた。

睫毛が震えるその目元へ。上気して染まる頬へ。
そして赤く濡れたその唇へ。
緩やかな口付けを繰り返し、目を細める。]

 ……まだ抱き足りないって言ったら、怒るかい。

[大分収まったとはいえ、足を絡め。太腿へ擦りつける下肢はまだ完全に萎えてはいない。
縋るように首に絡まった腕を引き金に。
拒むことをやめた肢体を与える刺激に身悶えさせ、快楽に乱れる彼の媚態に溺れるまま、その胎へ注ぎ込んだ回数は途中から数えるのをやめた。

額を合わせた距離で見つめて、喉を震わせ。
下敷きになった腕で、抱き寄せた背中を撫ぜる。
そうして少しだけ身体を離せば、彼の下腹へと視線を落とした。]



 生まれてくるのは、男の子かな。女の子かな。
 僕と理津どっちに似るんだろう。
 楽しみだな。

[招集を受けた時は、祖父を喜ばせられればと思っていただけだったのが。
今はそこに息づいたばかりの彼の子供が、どうしようもなく愛おしい。
とはいえ、彼が産むことになった時のことを忘れたわけではない。

 ……ねえ。やっぱり、子供は君が育てるのかい?

[一度言ったた引かなさそうなのは、わかっている。
確認してから、うーん、と数秒唸って。]



 あのさ、一つ提案があるんだけど。
 理津が子供を引き取るっていうなら
 僕が、子供ごと理津をもらうってのは、どう?

 僕も仕事があるから子育て出来る時間は限られるけど
 幸い、お金だけはあるからね。
 ベビーシッターを雇えばいいし、
 それなら理津も学校に通えるよ。

[最終手段で弁護士を立てて親権争いなんてのはできればしたくない。
睦言にしては現実的で甘さが足りず、やっぱりムードの欠片もないのは諦めるとして。

今、己が本当に言いたいことはこれではない。]


[彼の空いた手を取り、指を絡めて。
顔の前まで引き上げれば、瞼を伏せ。
もう一度その指先に唇を落とした。]


 言っただろう。僕は理津の全部が欲しいんだ。
 これから先も含めて、全部。

 僕に、理津と。
 生まれてくる子の責任を取らせて欲しい。*

 


[指輪が用意できるならすぐにでも贈るのに。
順序もへったくれもありはしない必死のプロポーズは彼に届いた否か。

そんな事後の部屋の空気を破るように、徐に部屋の扉が開かれた。


 ………………………。


[あれは隣の部屋のガチムチ系男。それも半裸。
無言で何事もなかったように再び閉じた扉を見つめて。
一言ぽつりと。]


 ……ああいうのが好みなんだよね。


[彼の言葉を真に受け。
扉の向こうに消えた筋肉隆々の身体と己とを見比べ、ジム通いを検討すべきか真顔で呟いたのだった。]*


[シュウロの腕を枕に、汚れたシーツの上へ横たわりながら。
荒い呼吸を繰り返すのは、全てを欲しがる我が儘な男が。
本当に貪欲なまでに、理津の全てを根こそぎ喰らい尽くしていったからだ。

汗ばむ額に触れる指先を知覚して。
閉じていた瞼を開ければ、満足という一言に尽きる表情を浮かべたシュウロの顔が間近に迫り。
開いたばかりの瞼を再び閉じて、やわらかく眉間へ触れた唇を受け入れる。

眉間から始まった優しすぎる口付けの雨は幾度も降り注ぎ。
微かな笑みを浮かべる唇を終着点にした。]

 ………足りないって…
 何回したと、思って…

[絡め取られた足。
太腿に擦りつけられる熱源に、くらり…として目元を覆う。
スプリングのよく利いたベッドの上で目眩を起こすのはこれで何度目だろうか。]


[シュウロの視線が下を向くのに気づいて、後を追うように理津の視線も下を向く。
そこにあるのは、薄く平らな自分の腹。
本当に、そこに自分以外の命があるのか疑問に思う。

男として生きて来て23年。
バライラ因子が発見され、Birth Liberty計画が実施されて早十年
まさか自分がその計画に巻き込まれて、子を産むことになるとは思わなかったけど…。]

 さぁ…
 どっちでもいいんじゃない?

[若干無気力気味な声は、幾度も重ねた疲労故に。
ただ、自分の腹を見下ろす目だけを微かに細めて。
向かい合う男が父性を自覚し始める傍ら、母となる理津に、母性の目覚めはまだ遠い。]


 ………ん?
 …うん、まぁ……。

[尋ねられて、曖昧に返事を濁す。
あの時は啖呵を切ったものの、実際に大学生である自分が一人で赤ん坊を育てられるかと言われれば、非常に謎だし不安の方が大きい。

今更、やっぱり無理だとシュウロに丸投げしてしまっては呆れられ…、いや、嫌われるだろうか…。

唸るシュウロを前に、不安に目を伏せ。
卵とやらが有るか無いかも分からない腹をそっと撫でる。]


 ………え?

 あ、………は……?


[そんな状況で提示されたのは、あまりにも理津にとって都合がよすぎる提案
これが部屋へ入ったばかりの頃であれば「馬鹿にするな」と一蹴して終わりだっただろうが。
困ったことに今の理津には、断る理由がひとつもない。]


[腹を撫でていた手を取られ。
瞼を伏せたシュウロが、誓いを奉げる騎士のように指先へ唇を落とす。


 ―――………っは…


[言葉や感情よりも先に、ただひとつ零れた吐息。
本当に、見た目のいい男は狡い。
なにをしてもさまになるんだから。]

 責任とか、世間体とか。
 そーいうのを気にして言ってるんだったら、俺はいらない。

 どうしても、子供だけ欲しいって言うんだったら…
 考える……けど…、

[絡めた指先に、少しだけ力を込めて。
真剣な眼差しを向けるシュウロから視線を逸らしたのは、ほんの少し、続きを言う事に勇気と決意が必要だったから。]



 浮気と二股。
 絶対しないって約束してくれるなら…

 もらわれても、いい…よ…?


[順序もへったくれも無い、シュウロの必死のプロポーズに。
もうふたつ、条件を付け足した。*]


[ピロートークと言うには色気もムードもない会話の切れ目に、音もなく扉を開いて現れた闖入者

目が合って数秒の沈黙の後に、お隣さんとは違う部屋へ入って行ったガチムチ系おっさんの片割れは静かに部屋を出て行った。

一体なんだったんだろうと冷静に思う理津に、羞恥や憤怒の色はない。
なにせ普段からモデルのアルバイトでヌードやセミヌードを披露しているのだ。
真っ最中でもあるまいし、男同士で裸を見られたからといって何がある。

ただシュウロの方はそうでもないらしく…

 ん……?
 あぁ、うん…。結構好み。

[好きか嫌いかで言えば好きだと、若干間の抜けた調子で答える。石膏像の肉体美など何時間眺めていても飽きが来ない。

出産(?)までの一月をここで過ごすのだという事を注いでのように思い出し。
もしおっさんさえよければ、その見事に鍛えられた男性的な肉体をデッサンさせてもらえないだろうかと。
トランクの中にあるスケッチブックを思いだして悩む理津が、シュウロがジム通いを検討し始めたことなど知る由もない。*]


[せいやっ、と勢いを付けて吾郎をベッドの上に転がした。
その横に倒れ込むと、まだ湿り気の残る髪を掻き上げる。]

 ………………、

[なんと言って良いか分からずに、口を開けてから閉じ。
吾郎の腹に手を伸ばし、膨らんでないそこを優しく撫でる。]

 あー、妊娠してるだろう、から、
 あまり無茶とかは、するなよ。

 ───…もう、吾郎一人の体じゃないんだから。

[言ってから、実感と羞恥が交互に襲ってきて、
みるみる赤くなった頬は目の錯覚ということにしてくれ。*]


 ―――へッ !?

[ベッドの軋む音が一際大きく鳴り響く。
仮にも身籠る身体がディーによってベッドへと勢いよく転がされる。
その横へまるで悪びれもなく身体を沈めるディー。

髪を掻き上げる仕草は可愛いと言うよりは格好良いと言うべきなのだろうか。]

 人をベッドに転がしといてその台詞を言うのか……、まぁディーらしいけど。
 んじゃ無茶しねぇように上に乗ってもらおうかね?

 ――――わかってるよディー、俺とディーの子だからな。

[ディーの方を見れば目の前で顔を真っ赤にしているではないか。
此れは此れでもの凄く可愛いものを見れたな、と口許を緩ませて。
ゆっくり身体を起こしながら彼の上へと覆いかぶさる。]


 俺、優しくは出来ないかもよ?
 ヤられたことは倍返ししないと気が済まないタチでね。

[フン、と愉快に鼻を鳴らして顔を近づけ鼻を甘噛みする。
容赦なく何度も己の身体を貪ったからには、倍ぐらいヤり返さなければいけないなと。

俺の欲が早く突っ込みたいからと言う我儘を彼のせいにして優しくしないと言うのは致し方なし。
ちゅ、と頬へリップ音を立てながら数度口付けを落として、
己の両方の五指を彼の五指へと絡ませて、暫し彼を見つめながら。]

 ディー、愛してる。
 お互いの子を一緒に産んで、一緒に育てようぜ?

[耳許へ唇を寄せて甘く囁いて。
彼の希望も俺の希望も両方叶えばもう言う事はないだろう。

後は愛に溺れるだけの事だから。**]


[まだ触れ足りない。
けれど、同じくらい彼も大事にしたい。
理性はシーツに沈む身体を労ろうとするけれど、まだ収まらない煩悩は足を絡ませて触れる肌の範囲を少しずつ増やしていく。

年上の自分がこんなじゃだめだろう。
疲労が滲む掠れた声一つでまた貪りたくなるのを耐えて。

煮えきらない返事に、やっぱりそうかと早合点を。
畳みかけた提案に返ってきたのは、拒絶ではなく。戸惑い。
期待しても、いいだろうか。
この先を告げても、この手が振りほどかれないことを。
僅かな緊張で、鼓動が早くなるのを感じながら。

微かな吐息に、指を絡めたまま息を詰める。
握り返される指先に、祈るような想いで瞼を上げれば。視線が逸らされ落胆した。

けれど。]




 ………え。


[了承の言葉と共に付け足されたのは、条件。
それの両方とも己にとっては、考えつきもしなかったもの。
必死だった分だけ気が抜けたせいで。思わず聞き返すような声を漏らしてしまい、慌てて釈明する。]

 違う違う。
 どっちも考えてもいなかったから驚いただけで…っ。

[本当にそれだけでいいのか。
彼の目を覗きこむように見つめて。ふ、と頬が緩んだ。

絡んだ指を押しこみ、硬く握るように繋ぎ直し。
背に回した腕に力を込めて、もう一度強く抱き締める。

その約束が、彼にとって言葉にするほど大事なものなら。
己も同じように、大事にしよう。]




 約束する。
 浮気も二股も、絶対しない。

 だから理津を全部、僕にちょうだい。
 僕も全部、理津にあげる。


[曖昧さを取り払った『全部』が、彼に伝わればいい。]*


[色気もムードもないとしても。
実質新婚ほやほやの雰囲気に割り込む闖入者。
元より人の視線には慣れている。
腕の中の彼と同じく、真っ最中でもなければ。向けられる視線に邪なものが混ざりらない限り、平然としたものだが。

ただ彼の口から聞こえた答えだけは。
わかっていても、面白くなかった。]

 ……ふぅん。
 そうなんだ。

[思いの外拗ねた声が零れてしまったことに、ハッと気づいて。
なんでもない、と鬱血が散る彼の首筋に顔を埋めて誤魔化そうとした。

好みの対象が石膏像であることも。ヌードモデルのアルバイトのことを知るのも。
アルバイトを断らせるために彼の身体に定期的に痕をつけたがるようになるのも。

全ての真相とその顛末は、もう少しあとの話。]*


[涙ぐむ姿が嘘泣きだってことくらい、分かっている。
それでも甘やかしてやりたくて、静かに唇を寄せた。

その一方で身重だと気遣う体を放り投げるのだから、
呆れられても、見捨てられても、文句も言えない。]

 いや、その。
 ……乗れって言って、その行動はなんだ。

[照れ隠しだ、分かれ馬鹿と緩み切った口を睨み付け。
覆い被さって来た体に心臓が跳ね、肩を震わせた。

もっと屈辱的な想いをすると思っていた。
だが、実際、こうして押し倒されてみると照れ臭さや
むず痒さはあっても、嫌な気がするどころか、むしろ。]


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