295 突然キャラソンを歌い出す村3
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ばぁっちり…、かんつう、
しにそう、 ……
しにたくない、…
……、…………
[攻芸は小さく、そうかと返事をした。
聞きようによっては、それは少し寂しげだ。]
じゃあ、俺は
お前と共に吸血鬼になった分、報われた。
[寂し気な声に聞こえた。
そう思いたかったからかもしれない。]
… 報われたのか、オレの死で
[――― ああ、その理由なら…]
だったら、仕方ないってなるじゃん…
[たまたま攻芸という人間には
友達付き合いとか。
学校生活とか。
満たされる食事とか。
大好きな部活とか。
仲間と掴む勝利とか。
そういう、青っぽくて『今、たのしい』みたいな
現在だけを描く花火みたいな一瞬が
みんなみんな、人間のほうに詰まっていた。]
[吸血鬼として、吸血鬼殺しに生まれ変わったこの身で出来る、残った全てだ。九生屋を殺すことこそ、今の攻芸の居場所だった。]
…………、 ああ。
[報われたのだ。
攻芸にとっての夢をすべてひっくり返してしまった吸血鬼として生きたこの短い時間が。
なんの無意味でもない時間にならずにすんだ。]
寂しいよ、九生屋。
[こんなのは、殺しておいておかしいかもしれないが。
攻芸にとってはなにもおかしくない。
九生屋は、殺し合いをしても、ずっと友達だったのだから。]
[笑うように息を吐いた後、
今度は小さな笑い声をたてる。そして、]
オレも。
ああ、だから、
… … 死にたくなかったのかなァ……
――九生屋。
[か細い声が消えるまで。
その笑い声が、吐息が、みんな聞こえなくなるまで]
……もっと色々、なんか、話せないか。
いつでもはなせるんだから、
もっとやっておけばよかったけど……
ミタシュが面白い人でよかった。
さっきまで、楽しかったから。
俺がすぐに九生屋をみつけられたら、
もうちょっと一緒に……
………
[みんな殺してしまったあとにいうのも、
どれもこれも、仕方がないはなし。全て今更。
滑稽、あるいはゾッとされるような事。]
………………。
[それでも。九生屋が死ぬことには、
攻芸という者のなかには、一抹の後悔もない。
そういう風に育ったのだから。]
………――
[けれど友達は、
おそらくやり足りなかったのだろう。]
いろいろって、
…そ〜だけどさァ。
オレ死にかけてんですけど。
…うん。
……―― うん。
… 一緒に?
[続きを促す声は、心なしか優しめで。]
[続きを促されて]
……
あそべたよな。
色々。
[殺し合いはもうおわったので。
殺し合いでも歌でもなく。
攻芸はあまり賢いほうではない。
単に寂しいので、つい話してしまってるだけ。]
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[攻芸は、全身の力を込めてはなった杭が、実際吸血鬼の心臓に届いたのかどうかも、九生屋本人に教えてもらうまで、わからずにいた。
観覧車を見上げている。
だからそこまで、次の一手を考えていた。 けれど、ついにその必要もなくなった。
ふっと体から力を抜いた。
見慣れぬ大きな鳥が見えていて、観覧車のことはここからでは遠い。]
(548) 2019/05/02(Thu) 05時半頃
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[唯一だった目的が、ついに終わってしまって 攻芸はすっかり、次のことを考えられる頭になく
ただただ、吸血鬼同士で話せる音で なぜか九生屋にかまってもらっている。
これでは、あやされているようなものだった。**]
(549) 2019/05/02(Thu) 05時半頃
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うん。……そういうのできたかったよな。
………。 なんか、あらためて、観覧車、でかいな。
……天気いいから。
こういう日がいいよな。
[相変わらず、大きな金の月が出ていた。]
わかる〜、
オレも来た時観覧車の上ではしゃいじゃった。
※マジである。
…明日も 晴れるといいな。
マニャプィ酒飲んでルニィク炒め食ってくるわ。
[それが発した最後の言葉だ。
因みにルニィクッ炒めはきちんと発音できなかった。*]
え?
[初めてわかるようになった気配が
その瞬間、フッと消えていた。**]
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