3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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[もう、すっかり獣と化した身体。 グロリアから身を離すと両脚を地面につける。]
ぐるるるるる
[そこにいるのは、もう人じゃなく、大きな、ダークブラウンの毛を持つ、狼。
うなりとともに見える牙…… そして、眼の色も赤く変わっていく……。]
(295) 2010/03/05(Fri) 23時半頃
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嗚呼、……
…――「ケイトの手先」呼ばわりだったか
…、――
…、――ケイト も 違うのに
……、酷い言い草だ な
[――でも自分は何も。半端に。力なく。]
……バーニィ、 …やめろ
…、 …戻ること、…考えろ…!
『ケイト…… 似てるな、セシル。お前にさ。』
『お前になら、きっと……解るんだろうなあ。』
[似てる、と思った。
自分にも、でも、きっと違う。
過去に来て、彼女は人の中で笑っていた。
だから――。]
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[そう、もう獣と化した存在は、 言葉の意味はわからない。
ただ、そのものが自分を、
いや、鬼を……どう思っているのか。
反応に敏感に俊敏に……
獣はミッシェルのほうへ、ゆっくり近づいてくる。]
(299) 2010/03/05(Fri) 23時半頃
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… …センセ。
[この男の鍵は恐らく彼女だから。]
『頼んだ。』
『俺は、あのコ送りに行って来る。』
『異論、あるなら、聞くよ?』
『あ、セシル? セシルにはケイトを頼む。』
――似てる
…――、…
[似てる。何処か、似ているのだと思う。
鬼、は
多かれ少なかれ、“彼女”に似たところがあるものと
“彼女”が強く、想うた欠片を持ったものが
選ばれたのでは、ないかと――]
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―畑―
[グロリアやセシルの制止もその耳には届いてはいなかった。 ただ、使命を感じて、 己の使命を感じて、牙を剥く。]
[コイツラヲマモル オニダロウガナンダロウガ]
(307) 2010/03/05(Fri) 23時半頃
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…、さっき、先生の声で、
少し、おとなしくなった。
――、あの、キャロライナのところに、は
……ドナルド、が
[いるのでは、ないかと。そう。]
…、―― ケイト。
[走り去ってしまったままの彼女。
時間は迫るか。]
『ああ、 どうしようか。もうパメラは居ないしなあ。』
[彼らの事は知らないし、彼女の言ったあいつ、も彼のことだとは知らない。]
『…… それ なら』
[絶望の色濃い彼女は自ら消えるのでは。
それなら、その男を と 思って 闇 が止まる。]
[一瞬 弱まった 闇 は 反動のように、色濃さを増して戻る。]
『どうしようかな、呼び出せば来るかな。』
『力の事を話すなんて、信用されてるみたいだし?』
[くすり、くつり、歪んだ わらい。
どうせ 傷つけるしか出来ない自分だ。
その信頼は 必要ないよと 教えてあげようか、と。]
…… 、 っ、…
[闇の声が聞こえた気がして、
背が冷える。ドナルドは、
駄目、だめだ、]
[形《こえ》にならなければ 口にすることは、ないけれど]
『…… どうしようか、誰にしよう。』
『別に僕は誰でも構わないよ。』
[鬼が勝てばいい。
もう ケイトを見つけて、出来るだけ皆で、なんて浅はかな望みは 抱いてない。]
『…… ね。』
『バーナバス』、あんたの声が聴こえないよ。
[どうしたの。
少し、少年のような声音は、困惑と不安の、色。]
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[そのとき、ふと、また立ち止まる。 でも、もうその歩みが二足になることはなく…四本の足を持つ生物であることは変わらない。]
ぐるるるるるう、ガァッ
[そして、威嚇 威嚇 威嚇]
[ミッシェルに、オスカーに、マーゴに……。]
[鋭い牙の口をガァアアァッと開けて……。]
(317) 2010/03/06(Sat) 00時頃
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用務員 バーナバスは、服から、ぽろりとガラス球が落ちる・・・
2010/03/06(Sat) 00時頃
あお を キャロライナさん を……
[ ふるえる こえ ]
あのこが きえれば もどってくれ る … ?
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[落ちたガラス球は二個……]
[ひとつは透明な淡いピンク]
[ひとつは、血を固めたような……赤。 曇りガラスのような触感のその中に、黒い星が不気味に広がる。]
(319) 2010/03/06(Sat) 00時頃
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[覗かれたから?]
――バーニィ…
[蒼が、 覗いたから?]
[震える声が、沁みるよう]
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[ふと、ひびく
あおはのぞきみのわりぃこ
いや、ほんとうはべつのことばだったか
いや、関係ない
俺はあいつらをまもるから]
(321) 2010/03/06(Sat) 00時頃
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『…… そうだね、あの子は。』
『バーナバスを』
『ケイトの手先だなんて 言ってた。』
『悪者みたいに。』
[違うのに、違うのに。
こんなに 闇 に囚われても 尚 優しいのに。
護る って ばかな こと 言うくらい。]
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[そして、また眸が紅く染まっていく……。]
[獣は、もう、人じゃない、から……。]
(325) 2010/03/06(Sat) 00時頃
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ガァアアアアアアゥゥゥゥゥ
[奇数:ミッシェル 偶数:オスカーに向かって、歩きだした。47]
(327) 2010/03/06(Sat) 00時頃
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用務員 バーナバスは、鋭い牙に唾液をたらしながら、うなり声をあげてミッシェルに近寄っていく・・・。
2010/03/06(Sat) 00時頃
どうして
どうして
どうして
あの子達は 行ってくれな い の ?
[担任の、泣きそうな、声。]
『あのこ たち?』
『センセを困らせてるのは、だぁれ?』
『だぁれ。』
[低く 冷たく 闇 が 訊いた。]
[その人の言葉には少し、理性なのか、
何かが戻る。]
がぁあああああ
向こうに いけええええええ
鬼 なんて
なりたくてなったわけじゃねぇえ
先生は
だれよりも
やさしいひとなんだぁあああああ
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ガァァアアアアアアッ
[ミッシェルの傍までくると、その顔に向かって大きな口を上げて、咆哮をあげた。]
(337) 2010/03/06(Sat) 00時半頃
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