88 吸血鬼の城 殲滅篇
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[手に持つ杖は、メイスにしては軽く、杖にしてはやや重厚。 殴打によるダメージではなく、対屍・死霊系の敵に対して聖属性の魔法を叩きこむことを目的とした物だった。]
[身体能力に劣る自分が単身で、遥かに高い身体能力を持つ吸血鬼に対抗できるのは、属性特化の聖術のみ。 ヘクターの気まぐれによる解放ではあったが、痛む身体を堪えて腕に力を込めた。]
(138) 2012/05/03(Thu) 22時頃
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[空中からでは、ヘクターが身体を逃がす動きにも、 下から突き上げる行動にも、臨機応変に対応できずに、 胸部に激しい衝撃を受ける]
ぐ……ぁっ……
[呻き声とともに、身体は簡単に宙を舞い、 受け身もとれぬまま床に打ち付けられた。
剣も打撃の衝撃で手から離れて、 倒れたままでは手を伸ばしても届かないところに、 からんと音をたてて、転がった]
(139) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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[仰向けに転がったまま 目が霞んで、意識が閉じそうになるのを 辛うじて持ちこたえている
革袋に入った、もう1本残っている青い薬。 どれくらいの時間を開ければ、 副作用を心配しなくともすむのか。
頭の中を支配することは、その考えだった]
(140) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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―――ッ… [聖なる力を全開で撃ち込もうとした時、杖の端がドナルドのワイヤーに絡め取られる。>>137]
黒い鋼線…呪いに侵されたアイテム…
――聖なる裁きを阻む物よ 正しき形を思いだし、 清らかなる姿に還れ!
[浄化の聖術を唱える。ワイヤーごと、持ち主に聖なる力を流し込もうと聖別された杖に詠唱の力を加えた。]
(141) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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――ぐ…っ…… [声に力を込めたことで剣に突かれた腹部の傷と抉られた足が痛む。思わずよろめきバランスを崩す。]
(142) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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[棍の一撃で吹き飛び、地に落ちた剣士へ向かい、 半身を赤く染めて、悠然と歩み寄る。 途中、転がった剣の柄を足で踏みつけて、立ち止まった。]
なあ。 なんで貴様が今まで生きていたか、わかるか?
(143) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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それはな。 [問いに答えが返るのを待たず、 自ら、先を明かす。]
最初に"娘"を傷つけたのが、貴様だからだよ。
[この剣で、刺し貫いた。 どれほど洗おうと、どれほど他の血にまみれようと、 微かに感じる"娘"の血の臭いが、それを教える。]
(144) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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だから。
[剣の柄を蹴り飛ばし、剣士の側へ押しやる。]
立てよ。 もう少し、オレを愉しませろ。 最後の最後まで苦しんで血反吐を吐いて死ね。
"娘"のために、最後の一滴まで血を流せ。
(145) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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[漆黒のワイヤーと聖杖が触れ合って火花が散る。 その隙に跳び退ったが、右の太腿に焼きごてを押しつけられたような傷が残った。
片手を噛みつきで封じられたままであれば、逃げ切れなかったかもしれない。 だが、ムパムピスも呪文の詠唱のために離さざるを得なかったのだろう。 とはいえ、足をやられては動きが鈍る。]
…不覚。
[呟いた右手には、背から抜いたフランベルジュが握られていた。]
(146) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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>>141 ――っ、…く、……!
[鋼糸を逆流し、聖術の詠唱が身を襲う。
ばちり、と大きな音を立て 漆黒のワイヤーが途中で千切れた。]
……っ、…、…つ、…
[全身が感電したようにびりびりと痺れ、 ぐらりとよろけてその場に倒れ伏す。]
(147) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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[負荷に耐えられずに 途中で切れたことが幸いしたのか、 なんとか聖術を全て受ける事は 避けられたようだった。]
……痛て、て…。…容赦ねえな、坊っさん。
[しゅうしゅうと、 ワイヤーを握っていた左手が白煙を上げている。
よろりと膝立ちに座り直し、 千切れたワイヤーを引っ張った]
(148) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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……あー。
[鋼糸は漆黒の血が剥がれ落ち、 元の銀色を取り戻している。
聖術によるものだろう。 武器を駄目にされた事に気づき 思い切り眉を顰める]
(149) 2012/05/03(Thu) 22時半頃
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いや…、間に合って良かった。
悪ィ、ワイヤー駄目になっちまった。
ちょい武器調達するわ。
[ヒューが無事だったことに安堵の息をついて、
その間頼む、と軽い笑みをむける]
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私が生きている理由……? むすめ……を最初に斬ったから……?
[それは、どういうことなのだろう。 物理的なことで、自分の知らないなにかがあるのだろうか。 それとも精神的なことなのか―― 恐らく後者なのだろう。
と、何かを蹴り飛ばす音。 確かめるように床のあちこちを触っていると ヘクターの血が僅かについた長剣に指が触れた。 必死に手繰りよせると、杖がわりにして身を起こす]
(150) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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── !!
[聖光に打たれて倒れたドナルドを見るや、足を引きながらその前へと回り込んで護りの陣形をとる。]
(151) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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死んで……たまるか。
[やれることは、恐らくあまり残されていない。 今の一撃を防がれるようでは、他の攻撃がどれほどになるのか。
考えてもわからないから―― 力を振り絞ってヘクターに、もう一度肉薄し。 心臓をめがけて突き出した]
(152) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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動けるか、ドナルド。
ああ── 護衛は任せろ。
[それこそ本領発揮だと奮起する。]
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[修道士に回復呪文を使う時間は与えたくない。 だが、クラリッサに血を与えて吸血鬼になったドナルドを護るのも己に望まれたこと。
飛び道具をもたない身で両方は無理だった。 ならば、迷わない。]
(153) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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…容赦なんてしていたら…私が、貴方の立場になってしまいます。 [言葉だけは強気に返すが、呼吸は乱れ立っているのもやっとの状態。それでも、術が効いていることを心の支えに吸血鬼二人を睨み付ける。]
(154) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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更新まで後1時間です。
【投票ベネット】セット確認してください。(返答不要)
(#0) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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……。サンキュ、ヒュー。
[自分を護るように前に立つヒューを そう見上げ、笑った。
暫く思案して服を止めるサッシュを引き抜いた。 口に咥えて噛み裂くと、細く縄の様に編む。]
(155) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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……血なら有り余ってんだよ。
[ぼたぼたと左眼から流れる血を、注いだ。
1メートル程の即席の鞭。 ワイヤーに比べればだいぶ短い其れを軽く振り、 立ち上がる。]
(156) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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――く… [体は痛み、血は流れ、動くと足元の床に赤が落ちる。 それでも、急所を避けていた為に意識は薄れていない。]
[衣服の内側に隠してあった回復と防魔の小瓶は、服を裂かれた時に転がり落ちたのか、手さぐりに探しても見つけることができなかった。]
二人そろって…一気に…術を…… [杖に再び意識を向ける。回復の為に余計な力を割いている余裕はなかった。]
(157) 2012/05/03(Thu) 23時頃
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[剣士が得物を掴み、再び立ち上がって駆けてくるのを、 歓迎するように迎える。
狙いは、こちらの心臓。 軌跡も、勢いも絶妙なその一撃に対し、 僅かに身をひねって、急所から逸れさせる。
逆に言えば、完全には躱しきれなかったのだ。]
(158) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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……ん。
俺もアンタは、誰かを護ってる姿が似合うと思うよ。
[やわらかく喉を鳴らす気配。]
ま、俺は護らなくても大丈夫だけどな。
当座のものは出来た。
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良い一撃じゃねぇか。
[背中から剣の切っ先を生やしたまま、 血の泡で口角を汚しながら笑い、 剣士を抱きすくめるように牙を剥く。
無防備な首筋が、目の前にあった。]
(159) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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隙を見てラルフのレイピアを拾いにいくが、
……それまで、ジェフリーが持つかは…、…
[主らの戦いに目を向け――
息を、呑む。]
っ、おい…!
[最後の声は、貫かれた主にむけてのもの。]
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[足を負傷している自分は敏捷性が劣る。 ならば、修道士の術をあえて受けて、その間にドナルドに決着をつけてもらうのがよい気がした。]
──行ってこい。
(160) 2012/05/03(Thu) 23時半頃
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