25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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危うい?何を仕出かした。
[幾らか呆れ交じりに問いかける]
手綱を取るとは難しいな。
あれは別段、私の花というわけではないのでね。
……何も。
ただ、食事を共に
何やら視線でまさぐられているような
妙な心持がした
[抱える不安は漠然と]
……若し、私が逝っても
かの人は
お前、
実は俺を殺す気満々だろう。
[少々ドスの利いた声]
…まさぐられる?
お前、どんな会話をしたんだまったく。
[呆れたような声になったのは自分のせいではない。
最後に付け足すように聞こえた声に問いかける]
…かの人?
普通だ
った……と、思う。
[少し考える間があった]
大事なものは、死したものだけ
復讐に駆られた狗は
誰で有ろうと、斬るらしい。
戯れに、研師に疑いを向けてみたら
本当なら恐ろしいと謂うくせに
あまり疑って居ない風だった
一人立ち向かおうと謂うのに
放り出された。
……会話の最中、ずっと
視線が痛かった
――いや、誰でも
若し私が逝ったとして
嘆くものは居るだろうかと
すまん、すまん!!
次に会う者からちゃんと伝える!!
――……お互いに生きような……
[そう言って朗らかにわらった]
思う…ね。
確かに、死んだ主は余程大切だったらしい。
我々の事を獣と呼びそのために死ぬことは厭わないようだったな。
[刷衛のけんについては、幾らか相槌を返し]
…それならばあの研ぎ師、喰ってもいいかも知れん。
本当に独りになった時に後悔させてやればよい。
…ああ、ひょっとしてお前、注視されるのが苦手なのか?
[視線が痛い。その言葉に推論を一つ立てて尋ねた。
自分は逆に視線をそらすことはほとんどしないのだけど]
…あの猫は塞ぐほどに歎いてくれるのではないか。
お前を詰られたあの反応を見ればそれぐらいは推測に容易い。
[そういえば引っ掻かれた傷があったなどと今更思い出す。
随分と控えめな事を言う花の声に男が帰すはそっけない言葉]
人として死ねば、歎くものはあるだろうよ。
狼として死ねば、喜ばれるやも知れん。
死んで歎く者などいないと思っていたほうが気は楽だ。
歎かれて、初めて、幸せだったと思えばいい。
私は、そう思っている。
自分が死ねば、喜ぶ人間は多かろうと。
……嗚呼。
よほど嫌われている様子
病あれど、人と同じく
情もあると謂うに
[花開き
色を付け
情を知る
刷衛の事となると、眉を寄せ]
その研ぎ師の、足音がする。
注視は好かん
もとより、この身も
見透かされるのが、おそろしいと。
寂しい
……この身が咲く前に
冬の名残が
未だ、強く根づいているのか
人を嫌う癖に
人に歎いて欲しいと思うのは。
[遠く視線映せば
冬の望む遠い峰と
表の情を望んだ坊主の姿
幾人か思い浮かぶのに
随分、欲を張ったと自嘲混ぜた]
あれの亡き主は、喰われたらしい。
酷く慕っていたのであれば、それは酷く憎かろうよ。
…お前にとっては、病なのだな。これは。
[それはぼんやりとした感想だった。
狼憑きを病と呼ぶ。
それは世の中でも同じことだが]
…あまり目立たないようにすることだな。
"ロビン"が振舞っていたように行動することも大事だろう。
目を欺くと言う意味では、だが。
見透かされると思うから怖いのだよ。
己の目は相手を黙する武器の一つ。
目は口ほどに物を語ると言うだろう。
上手く使えば有効に事が運ぶ。
人は、嘘をつくほど視線が泳ぐからな。
懼れは獣を弱くする。
自分の行動に迷いが出れば、それは隙になる。
…命獲りになるぞ。
[小さく息を吐いた]
嗚呼、其れは憎かろう。
何を今更
私の存在そのものが、ロビンにとっては病魔
[小さく哂う]
ロビンなら
先ず、花主を持たぬ
人に近づきもせず
目は口ほどにものを言うが
己の内を知られるのも、おそろしいと
あれは口先で総てを拒絶していた
……難しい。
あれと話していると、我々をどれほど憎いと
思っているかが良く解る。
なかなか興味深い。
…病魔、ね。
[やはりそれは病であるらしい。
生まれてこのかた狼であることが
当然の生き方であった自分には、解らない感覚だった]
随分気難しい花だったのだな、お前は。
…それでは急に変れば怪しまれて当然というもの。
…。
理解しているなら、管理するんだな。
お前が斃れたとしても私は手は出さんぞ。
霞はどうかは知らんが…あれも己の欲に忠実。
お前を助ける気になるかどうか。
[自戒しろ、とばかりに告げて念をおした]
……本当に。
ロビンをそうさせたのは、私の才
技術だけの蕾が
時折混じる病で色を為し
噂が噂を呼んで
押し潰されてしまったから。
変わった理由は作ったが
主が出来たと謂うだけでは、納得できぬ者も多いだろう
己の始末は己でつける。
……構うことは無い
私とて
簡単に逝く心算も無い
|
―高嶺の部屋・小部屋―
[花主が使う部屋の裡と謂えど、使用人用にあてられた褥は、そう大きなものではない。]
……鵠。
[寝台に、ぎしりと音をたて、その身を押し倒せば、敬称なく名を呼んだ。手妻を行うより丁寧に、名のごとく白い肌に着衣を乱しながら触れる。]
泣かんといて、ひど、しとなるやん。
[何かに耐えるように苦笑し、紫苑色に滲む雫を舌先でねぶった。]
(731) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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…成程。
[押しつぶされる。
その間隔は己にはわからねど、言わんとする事は理解できた。
重圧、重責、過度の期待。
それらに押しつぶされて]
納得できぬ者がいるなら、納得させてみればいいだろう。
その、技術とやらで。自信は、ないわけではあるまい?
|
[りん――進む行為の間に間に、甘く啼く鳥の声に混じり、涼やかな音が聴こえる。もしかすれば、それが、傷つけたくなる衝動を抑えてくれたのかもしれない。
りぃん――また一つ大きく鳴る音。 重なるように呼ばれる名。]
くぐ い
[同じく名を呼んで、重ねたのは……―――。 白ではない何かに染めようとしたのに、気を遣る瞬間に見えるのは白。
―――そのことが、愛しいのに哀しい。]
(732) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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なんや、こういうのも悪、ないわ。
[行為の後のまどろみ。鵠は起きていたか否か。 起きていたとしても気がつかずに、華月は独り語ちる。 その言葉は、何色かに染まったかどうかを確かめるのを恐れることを、まるで取り繕うように響く。 みどりの黒髪に指先を絡ませて、寝物語のように後を続ける。]
(733) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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もし、唯の鳥と蝶になれる日がくることがあったら わての両親みたいに、色々な土地渡り歩くんもいいかもなぁ。 手妻もな、1人より、2人ほうが、出来ること増えるねんで。
[その話は、虎鉄には話したことはあるかもしれない。 手妻を得意とする和国の血を引く片親と、それの手伝いをしていた独国の片親。花として学んだ訳でもない2人。
その生活は豊かでもなかったけれど、 愛し合うが故に子供を欲した。 センターを通していない違法な手段ではあったが、和国の血を引く親が死ぬまでは、親子3人それなりに幸せだった。]
……なんてな
[照れ隠しのように呟いて、ふと別所に寝かせたままの弟弟子がどうしているか気になった。
耳を欹てれば物音は聴こえるだろうか。 それとも聴こえないのだろうか。]
(734) 2010/08/06(Fri) 21時半頃
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手妻師 華月斎は、メモを貼った。
2010/08/06(Fri) 21時半頃
さてに、
ロビンはお前が俺のこと、ちゃんと教えてくれれば、と云ってるぞ?
そして、どうも、ロビンとセシルは、一線超えたようだな。
[少し、深刻になる。]
ロビンがそうでなければよいがな。
人狼病の者の出生が
薄ら暗いものになること、
彼らは知っているのかねぇ。
[そう、それは病気なのだ。
それにかかり、生命を得たとして、それが無事に産み落とされる確率はそう高くない。
もし、誕生したとしても、それがまともであるかどうかはわからない。
そして、もし、まともであったとしても…。]
ああ、ロビンは随分
刷衛殿のことを疑っておりました、から
[そのことでしょうね、と刷衛の言葉に頷いて]
……そうですか……二人とも、只の人ならいいのですが
どちらかが獣で…孕ませる性の場合、
厄介ごとが増えますね
[聞こえた言葉に、こくり、と頷く]
……けれど、あの病は…いえ、それ故か
繁殖を欲する病
例え知っていても、種の本能に従い
孕み、孕ませようとする…
[それが、満月の晩に発症し、人殺しと化すとする。
そうしないためには、
その人物を存在しないことにするか、
それとも、存在しても害のない者にするか。]
――……
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