3 ビー玉坂〜卒業式の前に視るその場所は…
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[そろ、そろと。]
…… あ、の、
[その気遣いは、なんだろうか、コレは、あれだ。
部屋を居ない間に母親に掃除されて、エロ本まで綺麗に整頓されてしまったような。
そんな、気分に、近いのだろうか。
非常に。
気まずい。
居た堪れない。]
……。
[なんかとても
とても
いたたまれないのが尾を引く。]
……。
へへっ、なぁにがあったのかな?
[すっ呆けた声。]
[このやろう…――
と、恥ずかしさやらなにやらが綯い交ぜになった顔で見ている。]
…… …
……
実際見たのは初めてだな
そうか、…そんなふうに
なったのか。
[小さく、謂った。]
うーん、ふっわふわ。
……走るのも地面蹴ってる感覚がないんよ。
びっくりした?
[ふふ、と僅かに声を漏らして笑う。
鳶色を少し、伏せた。]
…… ふわふわ か。
[少し不思議そうな、顔で。]
…―いや
……見慣れてきたせいか、…そこまでは。
……――
[伏せられる鳶色を見遣る。]
……っ……はは!
まだ試してないけど、今だったら壁すり抜けられそう。
[伏せた眸を隠すように早口で捲くし立てた。]
風船みたい。
ふわふわも悪くない……よ?
[にへら、と囁いて]
――、…――
[顔色を、窺うのは ――だけれど、黙って]
… …難儀なのか、便利なのか
[囁きに すこし、 言葉に詰まり
首を横に振る]
… ――そうか。…飛んで行かないようにしたらいい。
んー、便利なのかな?
でもすり抜けられなかったら顔面強打よねぇ。
[けらけら、けらけら
喉の奥からの笑い声]
飛んでかないように、紐つけてなきゃね。
……飛んでったら、スカートの中覗かないでよ。
[最も、スカートが捲りあがっても見えるのは
色気のないショートパンツだけだが]
強打する前にそっと手で確かめてみろ。
[異常な、アドバイスかもしれない。
笑い声、乾いた風のような笑い声。
きっともっと似合う場所がありそうなのに]
…ばか
誰が覗くか。
[だが不可抗力と謂うものもある。
なんというか、中にショートパンツを仕込んでいようと
ひらひらするスカートは。
どうにも。
困る。]
あ、そっか。確かめればいいってことか。
ぺたぺた触ってみるわ。
[思った以上に簡潔なアドバイスに納得したような声。
走り去る途中で、わざと脚を大きく振り上げた。]
……見てもいいのよ?
なんちて。
[セシルの表情が確認できないのが残念だと
へらへら笑いで]
そうしろ。
て っ、…!
[ひらり、にはやはりどきりとするもので]
莫迦か !
[眼を逸らしながらも叱咤した。
見ることがあれば一瞬紅くなっていたろうが]
[ちらりと振り返った先
クラスメイトの頬にさした紅色を見逃さず]
……シャッターチャンス逃したなぁ
[ぼそっと低く、呟いた。]
おっほう!くわはら、くわはら
[囁き声に乗ってきた声に
間違ったおまじないを唱えた。]
…くわばらくわばらは、雷除けの呪文だ。
[眉間のシワもいつもどおりに、思わずぽつり。]
… ――?
[おまじないには詳しくなかった。
ディーンのツッコミでああ、と思う。]
…違うじゃないか。
え、え、間違ってた!?
[指摘されれば両手に顔を埋めて]
……だってセシーが怒るんだもん。
くわばらくわばら。
[今度は無事に呪文を唱えた。]
… べつに、怒ってない。
[どきりとして 困るから と
そんなこと言える筈も無く]
助けに…といっても、なんかないかなぁ。
[校長室に帽子も取りにいきたいのだったが…。]
怒ってないならいいや。
くわばら撤回撤回
[結局呪文の意味はあまりよくわかっていない。]
なにそれちょっとかっこいい
[火炎放射器のレシピに妙に関心して]
ほんと酷いわね。というか。
とりあえずドナルド君に休んでもらうために、
ここに戻った気がするんだけど…
[ 自家発電って休憩になるのかどうか ]
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