52 薔薇恋獄
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―2階・耀と珀の部屋―
[鍵をかけてため息一つ。そこに声をかけられ、飛び上がりそうになった。羽根音に目が開き、腰を抜かしてへたりこんだ]
ぅ あ
き、こんにち…わ
―― 自室 ――
……?
[ゆるり、首を傾げて。
へたりこんでしまった後輩に近付き、手を差し伸べる]
大丈夫?
なんだか、逃げてきたみたいだったけど。
どうか、したの?
[焦って鍵までかけるほど。なにがあったのか、と]
[胸にかき抱いていた服は床に散り、手に残ったのは棒付きの飴だけ]
………な、んでも……
[言葉が続かず、強く唇を拭った]
本当に大丈夫……?
何かあったの?
体調、悪いなら。
しばらく休んでいったらいいよ。
[何があって、その胸中がどうかなんて全く知らないから。
本当にただ心配そうに]
[差し出される手に自分の手を重ねた。立ち上がれそうにはなかったから]
…お、れ
ばかな、こと
あ
い
[言葉がなかなか、でてこなかった]
キスを、あ、………
[ぽつと泪が溢れた]
ばかな、こと?
[上手く紡がれない言葉をなんとか拾おうとして。
手を取ったまま、自分もしゃがみこむ]
……きす?
[そうして聞こえた言葉に、目を丸くして]
ディーンは、もぞっと身じろいだ。眉間に寄った皺がぴくっと動く。
2011/05/19(Thu) 23時頃
先輩が…してて、なんか
いらっときて…俺…僕も、し、た
ば、かだよ、なん、で…
[ぎゅうと拳を握る]
気にするなって、それ、なかったって、なしに、
あ、
ぃや…もぅ、わかん…
|
― 自室 ―
[かぎなれない畳の匂いが、良く知った洗いたてのシーツの香りにいつ変わったのだろうか。もずもずと枕に鼻先を埋める。何か固いものがあたって思うようにできず、すっと意識が現に向かった。]
……んっ、
[鼻先に指先を持って行けば、金属の感触を覚える。 眼鏡をつけっぱなしで寝てしまったかと、ぼぅっと思ったところで。]
………っ!!
[飛び起きた。いつもはぼぅっとしか見えない視界が酷くクリアで、一瞬顔をしかめる。その視界の中に、顧問の姿を見れば、あっと開けた口のままでフリーズした。]
(684) 2011/05/19(Thu) 23時半頃
|
[内緒にすると言ってしまったから。
でも。苦しくて、吐き出したくて。
人の名前を挙げずに、あらましを告げた。
掠れる声、途切れる声に、どの程度伝わったかは分からないが。
時折唇を手の甲で拭い、残る感触を誤魔化した]
|
すみませ、ん。 寝るつもりはなかったんですが……。
[フリーズはいつもよりは早目にとけた。 紫の視線が向くのは、窓の外。 既にとっぷりと陽がくれた様子であれば、眉間に皺が寄った。]
………。
[微かに唇が動くも、それは音にはならない。 ゆっくりと頭を振って、鳴瀬に視線を合わそうとして、若干逸らした。]
(689) 2011/05/19(Thu) 23時半頃
|
|
[若干、視線を逸らしたあたりで眼鏡を取られただろうか。]
ええ、まぁ、おかげさまで……。
[浮かぶ笑顔がまともに見れず、僅か俯いた。]
(694) 2011/05/19(Thu) 23時半頃
|
うん、大丈夫だよ。
ちゃんと、聞いてるからね。
落ち着いて、ゆっくり話してくれていいんだよ。
[優しく労わるように。
そっと相手の背を撫ぜながら。
ぽつり、ぽつり。話す相手の言の葉に耳を傾ける]
[そうして聞き終われば。
今、ここにいるメンツを考えて]
そんなに、気にしなくても……大丈夫、なんじゃないかな。
[例えば、女の子との、キスとか。
そういうのなら、色々とあるのかもしれないけど。
だって皆男だし。仲間だし。
ちょっとした、過剰なコミュニケーションみたいなもの?と。
自分も抱えている気持ちも理解できていない蘭香は無責任にそう告げる。
相手の名前を聞いてないからこその、反応なのだろうけれど]
無茶してないだろうな……。
[寝入ったことを後悔するのは、彼が無事か直ぐに判らないから。
中庭に行くといっていたけれど、無茶していないといいと切に願う言の葉は、音にはならない。]
好きだって!
……言ったのに
気にするんなって、同じこと、言うんだ…ね
|
いえ、俺が寝るのはあまり良くない、です。 この状況だと……。
[飯はそう言えば食べてませんね……と、苦笑する。 眼鏡が取られてぼやける視界なら、頑張れば自然を装って視線を合わせられた。]
……この雨は、止まないかもしれません。 彼女の哀しみに呼応するように、降り始めたから。
[彼女の所為ではないのかもしれない。 でも、そう信じるのは自分の役割ではないから。 逆に、疑うくらいで丁度バランスが取れる。そう思っている。]
大須も、まだ見つかっていないなら、攫われたんだと思います。 逃げてと声がしたから、逃げなければならない状況なのだと。
彼女自身が逃げて……というのが、聊か不可解ですけれども。
(705) 2011/05/19(Thu) 23時半頃
|
[相手の大きな声に、そしてそれ以上に真剣な声色に、びくりと驚き。
ごめん、と言ってから。
相手を刺激しないようにゆっくりと声をかける]
好きって……えっと、ここでの、話だよね?
……今ここにいる、誰かの、話なんだよね?
[百瀬の話すそれは、言ってしまえば恋の悩み。
でもここにいるのは全員、同性。
だから、心配になって。そう確認してしまう]
[小さく頷く。そうして、はっと顔を上げた]
…ぁ、ない…しょ で
だって、これ、そういう…でしょう?
キス、したいなんて
それとも、…誰とでも、出来るもんな、ん?
合宿前、とか。
来たばっかの時、とか。
百瀬君、車酔いしたの除けば普通だったから。
ここに来てからのことだって、なんとなく分かるよ。
[それでも男同士で……というの以前に、そういった感情自体あまり分からないせいで確認してしまったけれど]
……ごめん、ね。
僕、誰かと付き合うとか……好きになる、とか。したこと、ないから。
なんて言ってあげればいいのか分かんなくて。
役に立てなくて、ごめん。
[キス。
子供の頃に、とか。家族と、とか。
そういう事しか、知らなくて]
|
俺も全容が判ってる訳じゃないんですが……。
[そもそも、喋るのはあまり得意ではない。 1つ1つ順を追って話し出すならば、
初め挨拶を交わした彼女は所謂悪霊ではなかった。 雷が鳴る前、中庭から彼女の悲痛な声を聴いた。 暁様(屋敷の息子ではないか)と呼んでいた ……けれど、暁様らしい霊はここには視えない。 ともあれ、暁様という存在が切欠で、彼女は悪霊に転じてしまったよう。
状況を整理するなら、彼女が誰かを暁様と見間違えた。 その相手には声は届かないから、絶望して悪霊になってしまったのではないか。]
可能性としては、蓮端先輩が濃厚かな……と思っているんですが、そこまでは俺には視えませんでした。
[一連の流れを喋った後、可能性を話、大須に関しては、 悪霊になった瞬間に、大須が消えたなら、攫われた可能性が高いと。]
(718) 2011/05/20(Fri) 00時頃
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[ わたしじゃないひとと、しあわせになるのですね ]
[ ああ、うう、いや、うう、あう、ああ、ああああ ]
『………………』
『…………殺ス』
[ ああ、あああ、うう、おお、あああ、ああ、ああ ]
ディーンは、ふいに、けわしい顔をした。
2011/05/20(Fri) 00時頃
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