25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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寝ぼけてやがる。
それとも色事の最中か?
[くくくと笑いつつ…。]
――……かんぴょーまき
[敷布にまるまるロビンに添い寝中と
言いたかったらしい。
うとうと眠る青年は聞こえた笑いに答えた]
かんっぜんに寝ぼけてるな。
かんぴょう巻もってこいってか?
[そして、かんっぜんに勘違いした。
大広間の食事の中にかんぴょう巻があるかどうか探している。]
えーっと、かんぴょう巻あったけど、切れてないな。
まぁ、あとでもってってやっから、端っこから咥えて食ってくれよな。
[声は多少エロくなった。たかがおっさんだった。]
[違う][違うのだが]
……………はら、へったぁ…………
[宴で酒しか口にしなかった青年は
若い食欲には勝てず
夢うつつにそう反応した]
……うん、そーする、あり、がと
おもて、ざ、しき、ロビンにも………
[えろい含みにも気づかぬまま、
ぼんやり頷いて笑みながら礼を溢して]
[まだみぬ干瓢巻きを夢にみつつ、
また眠りは深くなり次にかえるは寝息ばかり]
[半分以上寝てる青年にくわえさせたら
*寝ながら食べそうだ*]
表座敷な。
他も見繕ってもってきてやらぁ。
[と一応言ってるけど、食べながらだった。
片や寝ながら、片や食いながら。
だけど、それでも仕事はちゃんとやるつもりである。**]
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[鳥が囀る声に、雲間の月がその姿を見せるならば。 鳥はとっておきの笑みを浮かべて、 差し出された指先へと紅石榴を向ける]
……丁度今、 あなたの事を考えていました。
なよたけの、君……。
[濡れた金糸と、華奢な身体を浮き彫りにする白が、 月明かりの下で、誰の手垢もついていない無垢な少年に、 色を添える]
(499) 2010/08/04(Wed) 09時頃
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[そして散った花のあとに咲くのは
生あるものを惑わせからめとる、毒の花]
我こそ
巷に流れる噂の花
月夜に、艶やかに咲き誇る――私の名はイビセラ。
愚かな駒鳥は、もう要らぬ**
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[差し出されたに、細い指を乗せ。そっと絡めて。 雲間から覗く、淡い光の14夜に紅石榴を細めて]
中天に浮かぶ月へと焦がれる想いが、 僕を鳥から花――人へと変えてしまうのです。
(501) 2010/08/04(Wed) 09時半頃
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[寄り添う二人を見たときに、 胸に抱いたは嫉妬の炎。
月へと触れる事の叶う男への。 そして他の者へと照る月自身に対しての。
鳥の時には感じ得なかった初めての感情が、 紅石榴を雨で濡らした事を、少年は多分に理解していた]
(502) 2010/08/04(Wed) 09時半頃
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――――…お慕いしております、なよたけの君。
[絡めた指先へと、口接けを贈る。 告げる言葉はただ一つ。後はただ。 濡れる紅石榴が、眩しげに。月下の佳人を見詰めるのみ――**]
(504) 2010/08/04(Wed) 09時半頃
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[月の光に当てられて、思いは胸を焦がすのみ。]
あぁ…このまま穢れず美しいまま、永遠にわたしの中に納めてしまいたいのに、
この子が穢れに染まりきり、艶やかに色を変えるさまにも心惹かれてしまう。
[喰らってしまえば、永遠にそのままを留めて置けるけれど…]
永遠など……生有るものには訪れぬ
[宵待月冴える夜
薄い笑み零し、聞こえた音を拾うは
泡沫に消え行く名も無き花でなく]
死と生が、我等が力
そうでしょう
満月の前夜の小望月――…子持月
……臨月は訪れた
明日はお目見え出来ようか
この声届く貴方方に**
満ちては欠け、また満る、空に輝く月が如くに、
せいを喰らいて死出へ導き、新たなせいを蒔く我らなれど…
[複雑な胸の内は、焦がれる痛み。]
花ひらくを、楽しみに待っているよ。
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[抱きしめられた胸に、頬を寄せる。 夜着が濡れるのも構わずに、 抱きしめて下さる優しい月の囲いに。
鳥は、嗚呼……と。震える唇が音を洩らす]
判っております。 それでも何時か、鳥は巣立つのです。 気ままに歌うだけでよかった親鳥の巣から、その外へと。
[紅石榴へ寄せられる唇に、 ぴくりと身体を震わせたは、怖さか。 それとも望んだ温もりを得た歓喜にか]
(515) 2010/08/04(Wed) 12時頃
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僕は……あなたのためだけに囀る鳥になりたい――
[濡れた髪の奥から、見上げる紅石榴。 そこに燈るは、恋情――――]
僕の羽根を落として下さい。 あなたの手で……。
(517) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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[月の檻に囚われて――否、自ら飛び込んだのだ―― 落とされる、風切羽。
歌えよ、囀れと、果てるまで。 鳥はただただ、甘く声を上げ続けるのだろう。
痺れにも似た甘い気だるさの中で、 再び眸を開けば、間近に見える月下の佳人]
……夢では、なかったのですね。
[夜通し歌っても尚、透き通る声で呟き、 その白い肌へと頬を寄せた]
(518) 2010/08/04(Wed) 12時半頃
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…何の花が開くかと思えば
[まどろみの中に聞こえた聲に小さな欠伸が一つ。
気だるげな声は数拍置いてから]
見えるは"晩餐"の時にて。
……愉しませてもらおうか。
[低く、哂う]
[目覚めた花は、ふと思い出す]
――…して、晩餐に並ぶは
誰ぞ?
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[用意された湯を浴び、着物を纏う。 仄かに香るなよたけの君の香りは、 まるでそのかいなにいつまでも包まれている様な、 そんな錯覚を鳥に誘った]
……法泉、さま?
[ふと廊下から見降ろした池の傍に見えるは、 昨夜言葉を交わした僧の姿。
こつこつ、と小さく窓を鳴らして。 鳥はにっこりと、微笑みを浮かべた]
(524) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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[時折歯にしっかりとした食感を寄せるのは
細かく刻まれた塩漬けの心臓。
悪くはないが、殺したての肉に比べれば鮮度が違う]
主から喰らうか。花から喰らうか。
…イビゼラ、だったか。
お前は誰を喰いたいと望む。
喰らいたい……私が?
[短く吐息を零す。
暫しの間]
種を植えるなら、育ててゆけぬものを
喰らうなら、財有るものを
[声の届く二人とは、間逆かもしれず
謡うように節をつけて囁く]
嗚呼 しかし
幼い肉は柔らかく美味と謂う
悩ましい
|
[擽る様に身体に残る花弁を辿る指>>525 その度に、鳥から花へと変わってしまった身体は、 なよたけの君の耳元に零す、甘い泣き声]
壊れてなど……。 いえ、いっそ壊れてしまっても構わぬ、のです。 あなたの手に齎されるものなら、どんなものでも僕は……。
[縋るように華奢な腕を巻き付けて、 うっとりと微笑む、花のかんばせ]
(529) 2010/08/04(Wed) 13時頃
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…柔い肉の味は霞に聞くがいい。
私は、あまり好まん。喰らわぬわけではないが。
[率先して子供を、とはあまり言い出さぬ口。
霞のほうは、誰を好むのであろうとは思いはすれど]
…――雛鳥は
[からかうような囁き]
さぞ、美味かろうや
…雛、ねえ。
[あまり興味はないのか、呟きもうつろ]
旨味はあるが、食感に欠ける。
まあ、初物に食うには好いかも知れんが。
先ずは前菜
幾つか挟んで漸くメイン
デザートは最後にとっておくもの
[さて雛鳥は何処に当てはまるか、と哂い]
ただ…――形式に拘らぬ晩餐であれば
好きなものを好きなだけ
皿を手に歩き回れば良い
[付け加える]
此度の晩餐は……どちら?
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